三原順のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
三原順の最高傑作。「はみだしっこ」より数段読みやすい。主人公には出生の秘密があり、自分を取り巻く愛し護ってくれる善良な人々や徳とされる行動などに対する違和感を軸に、アメリカの田舎の村に起こる事件を追っていく。キャラクタリゼイションが深く巧みで、嫌なヤツはたくさん出てきても、それぞれに何かを抱えていて、でも結局理解しあえることは少ない。とは言え、満月の夜にイノシシに変身してしまうおじさんとかも出てきて、ファンタジーや笑いも盛り込まれ今読み返すとずいぶん明るい作品に仕上がっているなぁと思う。本作の前編にあたる「ムーンライティング」(作品発表はこちらが先だが、時系列的には「Sons」の方が子供時代)
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Posted by ブクログ
この本を買って読んだのはかなり昔のはず。表題作と短編「今は静かな」が入っている。ハッピーなお話ではない(特に後者は読後感が…)はずなのに、何故か時折読み返したくなり、手放すことの出来ない不思議な本。
「X day」のほうは、青年ダドリーが主役。これでもかこれでもかというくらい、様々なエピソードが織り込まれている。会社を辞めて実家のトマト農家を継ごうとするダドリー。その反面自分がある種の強迫観念によって動いていることも認めている。株を操作してお金を儲ける。不正の証拠を握り白日の下にさらそうとする。兄夫婦の間のゴタゴタ。兄弟の確執。姪といとこの意味の違い。思春期の少年少女の危うさ。セラピストはじめ -
Posted by ブクログ
この漫画をきっかけに、三原さんに嵌りました。
昔の少女漫画なだけあって絵柄もモロ睫毛バチバチングなんですが、描く内容はものすんごく深い作家さんです。
人間を色んな性質を深く抉り見せるドラマ構成に長けているというのか……。
偽善、とか、裏ッ側に強いように見えます。
普通の人達なんだけど、他者を想いやれない人達が一杯でてくる。
でもそんな環境だからこそ、愛されたいとかいう切実さがより鮮明になるっていうのかな…
すっごく色んな要素が複雑に絡まりあって身動きが取れなくなる人間が面白いっていうか……なんか上手く言えないや。
大体暗い暗い感じなんですが、物語なんで、ちゃんと夢の部分もあるんだよな -
Posted by ブクログ
漫画というより、哲学書みたい。
初読時は全く意味がわからなかった。
でも、なんとなく、今まで自分が読んできた漫画とは一線を隔したものだってことは解った。
それから、多分ちゃんと読み返したのは数回です。それくらい難易度が高く、内容も重く、漫画だけど漫画じゃないような。
やっぱりこれも70年代の作品。
天才といわれ、夭折された三原順さんの代表作です。
私なんかが感想を書いたり、点数をつけるなんてちょっとおこがましい、と感じてしまうような。
あー、何度も書いてるけど、どうしてこの時代の漫画って完成度が高くて傑作ばかりなんだろう。
この頃の漫画を読んで育った人はかなりIQとか高い