三池ろむこのレビュー一覧
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健気。ひたすら健気。
地味な二人の話だけど、すごく胸がきゅ~っとなる。
何もかも諦めることで自分を律してきた宮下(大学生・塾講師バイト受)と安定した仕事があるのに一心に医者になるために大学受験をしようと予備校に通う日下部。
宮下の塾にそんな日下部が入校し、あからさまに無理だと決めつけ面倒なものを押し付けるかのように学長に日下部の担当を言い渡される宮下。
それでも、まっすぐ頑張る日下部を見て、自分がたくさん諦めて、期待しなければ傷つくことはないと生きて生きた自分にないものを持つ日下部にどんどん引かれて。
視点が受け視点で始まり、思いが通じた後の2話目が攻め目線。
気持ちの補完があるからとても分かり易くて良かった。
取り立てて大きな事件とかないけど、同性愛者だということを高校時代に気づきそこからいろいろ傷つきすべてを諦めてきた宮下君が日下部さんを好きになり、諦めて生きることで平穏だった生活を捨て、ちゃんと希望を持って歩いていく姿がとても強かった。
心を決めてしまえば迷いなく、10以上も年上の日下部さえも支えようとする強さ。
2話は医学部に受かったけど、場所が遠くなり付き合って1か月で離れ離れになって二人の話。
大切だからこそ支えたい。
日下部さんの宮下君への愛だだ漏れで可愛いかった。
でも、何もかも初めての宮下君の不安や戸惑いをわかってあげるべきの日下部さんが少し驕り過ぎて、宮下君を不安にさせちゃったり。
なのに、それでも最後は宮下君は逃げずにまっすぐ気持ちをぶつけたり。
終始、宮下君の男気があっぱれでした。
30も過ぎると、経験が邪魔をすることってあるもんね、日下部さん(笑)
この二人の未来をまた読んでみたいなぁと思いました。 -
Posted by ブクログ
「トイチの男」スピンオフ。醒花堂の硅太郎と銀示cpの過去編です。
銀示のイメージがかなり違っていて、ちょっとびっくりしました。それでも、この10年前の美大生だった銀示は、浮世離れしていて危なっかしくて、ほっとけないかんじでとてもかわいいです。硅太郎の気持ちがものすごくよくわかります!感性もすばらしいです。まさしくアーティスト。
硅太郎は日本画を専攻する美大生で、実家の会社を継がずに絵で身を立てようとがんばっているのですが、自分には天性がないと苦しんでいます。自分が凡庸であることを思い知らされたのは、銀示の描く作品に出会ったから。
見知らぬ銀示に嫉妬と羨望を抱いてしまう硅太郎。
でも、実際に硅太郎が会った銀示は、生活能力も自己表現能力も未熟な人間で、気がつくと何かと面倒を見て世話をしてどんどん深入りしていくことに。
パトロンという存在をどこか軽蔑していた硅太郎が、その気持ちに共感してしまうシーンが微笑ましいです。
トイチの男の悠も、父親から酷い扱いをされていたけど、銀示も親の愛情が歪んでいて可哀相でした。本人が自覚していないところがさらに切ないです。周囲から搾取されるだけ搾取されて、本当に腹立たしくさせられました。
硅太郎が、とても頼れる存在ですよね。自身は絵を描く才能が無くても、ホンモノを見抜く目、美を見極める才能があります。そして銀示を守り抜く愛情が何より一番。
銀示のママの絵が瑠璃やに入れられてよかったです。守られた。ちょっと、うるっとさせられました。
この先、二人が醒花堂を経営するに至るまでの話は知りたいところです。もっと、ラブラブになった二人の姿を見てみたいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一風変わった人材派遣会社で働く攻と、そこに依頼人として
現れた受のお話。
野原さんの作品は3冊目ですが、これってもうこの方の
スタイルなんだね、っていうくらいのテンポの良さが特徴。
ぽんぽんと進む台詞回しに、絶妙に混ぜてくるコント風の
やりとり。
時折、ぷっと吹き出してしまうようなシーンも多く、最後
まで飽きずに一気読みできちゃいます。
攻が人情に厚く涙もろいという性格に反し、受けは現実に
いたらしばき倒したくなるくらいのネガティブ思考です。
ネガティブ一周旅行に出かけたらなかなか帰ってこない
というように、本当に鬱陶しいくらいネガです。
人の言葉尻をひっつかまえて皮肉り当てこすり……。
攻め視点のせいか、最初はイラついてたはずなのに、最後
の方ではこっちまで巻き添え食らって受のこと可愛い、とか
思っちゃいました。
野原さんの作風なんでしょうけども、のりがいい分、物語
に重みがなく少し薄い感じが気になるところではありますが、
それを差し引いたとしても十分に楽しめるお話でした。