アーネスト・クラインのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ★★★★☆
ニコニコ生放送で岡田斗司夫が「面白い」と言っていたので買ってみたら当たりだった。
OASISという、セカンドライフのようなバーチャル空間が当たり前になった未来世界が舞台。
そこでOASISを作った天才プログラマーの莫大な遺産を巡る壮大なゲームが展開される。
主人公は両親を亡くして叔母のトレーラーハウスに身を寄せている少年。
彼は、リアルの学校では、貧しさや他人とのコミュニケーションが苦手なことからいじめられ、OASIS内の学校に通っている。
叔母さんも決して良い人ではなく、政府から支給される彼の養育費が目当てで、ろくに世話もせず邪魔者扱いしている。
そんな環境にも恵まれず、金もない主人公だが、遺産争奪ゲームで一躍トップに踊りでたことで彼の世界は一変する。
社会的に弱者である主人公が、自分の運と才覚で華々しい活躍をしていくという、ハリー・ポッター的な王道エンターテイメントだ。
本書の特徴は、そこに80年代のゲームや映画、音楽などがギミックとして散りばめられていること。
今年は『マッドマックス』や『スターウォーズ』の新作が公開されるなど、80年代に縁のある年といえそうだ。
本書はそんな年にうってつけの小説といえる。
主にアメリカ文化が中心なので、聞いたことのない作品も取り上げられるのだが、知っている作品(『ゼビウス』とか『ゴールデンアックス』とか)が出てくると思わずニヤッとしてしまう。
まだ上巻しか読んでないので今後どうなるのかはわからないが、バーチャルな世界なんて捨ててリアルに戻りましょう、なんていうつまらないお説教物語にだけはして欲しくない。
ハリウッドで映画化が決定しているそうなので、そんなに尖った展開になることもなさそうだが、王道エンターテイメントの枠の中でどれだけフレッシュな驚きを見せてくれるのか、それを期待させるだけの魅力は持っている。
さあ、下巻を読むぞ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ソードアート・オンライン』かと思ったら『スーパーロボット大戦(あるいはスーパーヒーロー作戦)』だったでござる。
本当、日本人なら「アホかーーーー!!」となる物凄い展開。映像化不可能だろこれ。
こういう仮想現実を描いた作品として、やはり最後に関わってくるのは「現実」と「虚構」の関連性。その部分については本作は少々浅いというか、実はもう「現実」も「虚構」もどうしようもないくらいどんずまりで、少なくとも本作時点ではOASISの自由のみが焦点で、その是非とか現実の世界がどうこうとかそういうレベルまで達してはいないんですよな。そこまでやると本作は収集がつかなくなる。
主人公ウェイドが最後の最後に得た思い。それがこの壮絶な戦いの果ての、ほんのちょっとの希望なのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
リアルに限りなく近いバーチャルリアリティゲーム「オアシス」の中で、制作者ジェームスハリデーの死とオアシス内に隠したイースターエッグを見つけた者に遺産全てを譲るというメッセージが現れた。世界中がエッグを目指してオアシス内を探索するが、見つからない。少年はその大事な鍵を見つけ、一躍時の人となるが、命を狙われることに。という破天荒且つオタクなストーリー。2041年を物語の始まりに設定しているが、映画や音楽などは昔懐かしい内容。
オタクの世界で起こるドラマと冒険を描いた作品でありながら、冒険と日常の間のギャップを見せながら進むストーリーと世界観は秀逸。こういう時代がいつかくる。そんな小学校時代の予感をそのまま小説にしたような感じだ。バーチャルが日常を超える瞬間とは、きっとこういうことなんだと思った。 -
Posted by ブクログ
脚本指南の本にストーリー構成の例として掲載さていたので読んでみた。
環境問題や貧富の差が深刻化した、悪い予想があたったような近未来を舞台にしている。人々は仮想空間に入り浸り、現実から目をそらしている。その仮想空間を設計した人物が、ネット上に隠した「エッグ」を発見した者に莫大な遺産を贈ると言い遺して亡くなった。そのエッグ探しをめぐる物語である。
脚本論に取り上げられるくらいに正統派のエンタメストーリーで、次の展開やラストはなんとなく分かる。主人公は貧しいいじめられっ子だが、ふしぎと賢く、やたらとIT技術に長けている。ライトノベルの一種なのだと思うが、外国語に翻訳されるだけあって、素人が趣味で書く「なろう系」(ちゃんと読んだことはないのでイメージです)とは一線を画すクオリティで、読者を最後までわくわくさせてくれるのはさすが。80年代のオタク・ギーク趣味がてんこ盛りで、分かる人には分かるネタもきっとあるのだろうが、そこまでゲームや特撮映画に明るくないので、素通りしてしまったところもある気がする。一定程度の歳のオタクなら懐古の情をかき立てられるのではと思うし、推理ものとして主人公と一緒にエッグ探しを楽しめたりするのかもしれない。また、ギーク系のアメリカ人が持つ日本へのイメージも興味深かった。
この本に出てくるようなゲームの達人は現実にもいる。私がプリクラに興じる横で、信じられない速さに達しているビートマニアやコラムスなどをワンコインで延々とプレイしており、幼心に感心した。彼らを見なければ、セーブもできない昔のゲームをノーミスでやり切るなんて、都合のよい物語としか思えなかったと思う。どんな経験がどこでどう活かされるか分からないものですね。