高橋直樹のレビュー一覧
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下巻は、戦前日本(ファシズム)、インド(議会制民主)、理論まとめ。
日本については、プロイセン=ドイツとの対比も交えて語られる。ドイツのユンカーほど強制的なアクターはいなかったにもかかわらず、元々の協業の必要性と(村八分などの罰則も含め)統制の強い社会だったために農村部の権威(地主)と社会構造(隣組など)が温存され、農本主義→ファシズムへ進んだという話。ちなみにユンカーについては、先行して産業化した外国への輸出という誘因があったためにイギリスと違って農奴を得る方向へ進んだというような説明。
インドについては、この本が書かれた時点ではプロセスが完了してないって気がするので話半分で読んだ。カースト -
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近代化の結果の統治体制が、A.議会制民主主義、B.ファシズム、C.共産党独裁、のどれになるかに対して、農村部の住民(地主と農民)がどのような役割を果たしたかに着目した古典的論考。
上巻では、イギリス、フランス、アメリカ(全てAの体制)と、アジアのうち中国(C)の章を収録。
農村部の旧来の権威がどのように破壊されるかがポイント、という元も子もない話。イギリスでは囲い込みで破壊、フランスでは革命で破壊、アメリカは入植地なので事情が特殊。アメリカの西部は家族農業なので権威は弱く、南部のプランテーションが上下構造のある農村社会にあたり農園主が権威。これを破壊したのが南北戦争。
ちょっと興味深いのは、イ -
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色々な味わい
7人の作者による7本の短編集。いずれも不利な情勢から逆転した戦い、しかもそれほど有名でない戦い という共通点を持たせている。どの作者もそれなりに良い味を出しているが、私はいくらか滑稽味を帯びた岩井三四二の作品が一番のお気に入りである。
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きれいな表紙とは裏腹の…
とんでもくしょうもないB級エロパニックホラー笑
恐るべきウイルス「ネオヤリマン」に感染した女性と肉体関係を持った男性は脳が破裂する…という奇病が蔓延している島からのサバイバル漫画。
『彼岸島』と『監獄学園』をかけ合わせたようなB級感が癖になる~笑(*>ω<*)
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民主政治の起源について、地主と農民に主眼を置いて研究した本。地主や農民が主体となって革命を起こし民主政治が生まれたとする流れを基本とし、英仏米日中印についてそれぞれ同じ切り口で分析している。地主と農民を調査しただけでは説明のつかない部分が大きいと感じた。社会の体制は政治を中心とした権力争いの構図が大きく、農民の影響力は小さいことが多いのではないか。
「明治維新直前の武士の人数は、その家族も含めて200万人前後、つまり総人口の十六分の一と考えられている」p16
「(農村内の強い絆)あらゆる兆候から見て前近代の日本の村落共同体は、顕在的・潜在的不満を持つ個人を結合させ統制する、きわめて強力な機構で -
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著者は序文で「我々は資本主義デモクラシーにいたるブルジョワ革命、ファシズムに至る失敗したブルジョワ革命、共産主義に至る農民革命の、各々における、地主上層階級と農民層の役割を明らかにし」p18と述べているとおり、農業社会に焦点を当て、農民社会から独裁政治や民主政治、共産主義への変遷について、イギリス、フランス、アメリカ、中国について調査研究し述べたもの。それぞれの国を比較し、その違いは理解できるが、民主主義の成立を述べるにあたり、農業社会を調べることが適切なのかが疑問。
「資本主義社会で掲げられる原則は、私有財産を自らの蓄財のために無制限に利用することが、市場のメカニズムを通じて必然的に、社会全 -
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明治維新後の、貿易を中心とした経済発展の基礎を築いた五代友厚の生涯。江戸(東京)ではなく、商業地として大坂が発展したのは西南戦争と関連があったとか、いろいろ興味深い話もあり、濃密な一冊。やや詰め込みすぎかな、とも考える。幕末からの薩摩藩、長州藩の関係などを知らないと理解しにくい面も。3大財閥の成り立ちや三井物産と井上馨との関係。大隈重信と中野伍一、藤田伝三郎の暗躍のミステリーもあり、維新後の歴史に興味を持った。
北海道開拓使を貰い受けての朝鮮との貿易が空振りになったのは残念だが、商法会議所の設立、鉱山事業の弘成館、染色事業朝陽館と幾多の事業を成し得た五代友厚の凄さを改めて思い知る一遍。 -
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歴史上の人物を描くフィクションにも色々とタイプがある。徹底して取材したという事がよく判るもの、作者の思いだけで書かれているもの等々。この本は、そのあたりがよく判らない。どこまでが考証を経た史実なのか、どのあたりが作者の想像なのかが判らない。全体的には作者の想像で書かれた部分が多いようには感じるのだが。
五代友厚は大阪の恩人といわれる人物である。今住んでいる大阪市北区にはその痕跡が良く残っている。本書ではこの近辺にゆかりの藤田傳三郎も登場する。五代にしても藤田にしても何となく今までのイメージと違い世俗的な感じで描かれている。実のところはどうだったか、もう少し他の文献にも当たる必要がありそうだ。