川島真のレビュー一覧
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ネタバレおそらく21世紀では最高の外交・安全保障に関する政治力が高かった政治家・高村正彦による回想録。正直な話「外交の安倍」という評価の8割はこの人が後ろで支えていたお陰だと思っている。
冷戦が終結し、世界の枠組みが変わっていく中で旧来の「9条平和論」に拘泥していた政・官を根気強く変えていった著者の苦労が読み取れる。
当時はあまりそんな感じはしなかったけど小泉さんとはかなり険悪で安倍さんとはずっと仲良かったんだね。小泉時代に総裁選出てたとはいえそこは意外。
終盤は憲法9条論における芦田修正の根拠のなさと砂川事件の唯一の判例性に触れていたのが面白かった。判例を絶対視しすぎるのもどうかと思うけど、現状それ -
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「超約歴史シリーズ」は、ある地域の歴史を一冊で体系的にまとめ上げるという“試み”なのだろうと思う。一冊という制約の下で、如何にわかりやすく、どのように取捨選択が行われ、体系的に説明がなされるのか。本シリーズは、そういった他の歴史書には無い、特別な楽しみを供給してくれていると私は感じる。特に本作「超約中国の歴史」は、漢字圏の民では無く、なんとオーストラリア出身の方が書かれたもので、極東に住む我々には見えなかった、独特な視点を提供してくれている。しかし、本書は翻訳本ということもあり、英語圏向けの内容となっているなと、所々で感じてしまう。例えば、中国のことわざを英語圏のことわざで例えていたり、漢字の
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ウクライナ戦争についてのジャーナリスト的な本はたくさんでていて、どれも役にたつものだが、これは一味違った視点を与えてくれるものであった。
東京大学出版会からの本で、主として東大の教授などが中心となって執筆した論文集。
ロシアの侵攻に対する国よって異なる考えがあることがさまざまな地域の専門家が冷静に分析してある。
複数の視点をもつこと、価値観を共有することが難しい多極的な世界をどう理解するか、どう捉えるか。
と言っても、価値ニュートラルな相対主義的な世界にとどまることは、今回の戦争は倫理的に許されないという感覚がある。
そのあたりをしっかり考えるのに役にたつ。 -
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有識者5人により日中戦争について書かれた本。3部10章から成り、5人で各章を担当している。特に、戸部先生と庄司氏の内容が素晴らしく、勉強になった。
「(日中専門家による共同研究)太平洋戦争の勃発によって中国は、世界大の「反ファシズム統一戦線」の重要局面である中国戦線を一手に担い、日本軍を消耗させたがゆえに、連合国の「世界反ファシズム戦争」の勝利も実現した、という第二次世界大戦像は動かしがたいことを確認することになった。中国以外の連合国が抗日戦争の勝利に貢献したという側面が入る余地は少ないのである。以上のような傾向は、現在の習近平政権になって、さらに強まりつつある」p5
「(リットン報告書)報 -
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上巻に続いて、下巻では大東亜戦争や太平洋戦争と言う名前付けや、戦後の皇族のアジア諸国に対する慰霊の旅や戦争終結に向けての動きなどが書かれています。
大本営と言う存在が上手く機能せず、軍部が勝手に動いて、中国での戦争の場を広めていく。政治家である民が軍をコントロールしないといけないが、それが出来ない国は滅びていく。
今回印象的だったのが、外交の大切さではないかと思いました。長い目で見て、譲るべき所は譲り、機が熟したら、果敢に攻める。しかし、軍隊は短期的な視点でしか見れない、目の前の利益を手に入れないといけないから、譲ることはないという。人の本能の様なものかもしれませんが、戦争ほど非効率的なもの -
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なんかいまいち。
長く外交、安全保障に関わってこられた高村正彦氏のオーラルヒストリーらしいのだが。
なんか、名前くらいは知ってるおじさんの自慢話。
実は俺が裏で動いてたんだ、俺は王道、自分の考えで進んできて、一本筋が通っている。
俺の一言で色々決まったんだ。
そうかもしれない。
そうじゃないのかもしれない。
取り巻きが集まって持ち上げながら持論を展開している。
ご本人も、なんだかちょっと面倒臭そうな感じが伺えて、特段裏話的なもんもないし。
まあなんと言うか、結果今、石破政権で日本はとんでもない方向へ落ちかけてるんですが、その辺どうすか。それ踏まえての、雑談?
でも、「内政の失敗は内 -
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最初は「失敗の本質」のような戦略面からの日本の失敗を書いたものかと思いましたが、日本という立場だけでなく、アメリカやイギリス、そして中国から見た太平洋戦争と言うのが興味深かったです。
先進的なアメリカでも、海軍や陸軍で利益が異なり、一枚岩てなかったと言うのも始めてしりました。ヨーロッパと太平洋の2面同時に動けるのはアメリカぐらいかもしれませんが。ドイツこそが本丸と言うのも、納得出来ます。
中国もまた終戦間際に、日本からの和平を持ち込まれたりとした話もあったのですね。
今の政治家と、戦中の政治家は、そんなに変わらないのかなと想います。他人事のようですからね。