川島真のレビュー一覧

  • ユーラシアの自画像 「米中対立/新冷戦」論の死角
    米中対立が枠組みのようになり、例えばグローバルサウスなど多様な主体があるにも関わらず主語が米中で語られるのはおかしいのではないかという問題意識を持った多くの研究者による編書。中国やロシアの研究者はもちろん、朝鮮半島や東南アジア諸国の専門家もそれぞれの章を書いている。最新の同時代的研究として興味深かっ...続きを読む
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
    経済制裁とは何か、コーカサスや中東の国々の行動原理は何かという(自分にとって)新しい視点が得られた。
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
    ロシア・ウクライナ戦争について7人の研究者の視点から冷静に分析した論文集。
    単純な善悪二元論には収まらない世界の冷徹な現実をまざまざな角度から示してくれる好著。


  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
     日本の行動を見ると、遅れた戦争をしているとつくづく思う。まるで第一次世界大戦時のドイツの劣化コピー。
     第一次世界大戦時のドイツも皇帝・軍部・政府・議会・各州各地域に権力が分散していた。第一次の時に敗戦したことが権力集中を可能にし、皮肉にもヒトラーの台頭につながったといえる。
     第一次の敗戦を経験...続きを読む
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
    各分野の碩学による評論集。

    ロシア−ウクライナ関係そのものではなく、今般のロシアの暴発を受けて欧州、米国、中国、中央アジア、中東等の対外政策がどうなるのかを考察する。

    紛争地である欧州にどうしても一つ目が向く中、周辺地域の動きが俯瞰できて興味深い。

    共通して言えるのは、今般の紛争が世界の変化を...続きを読む
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
    ウクライナ戦争について、各地域の国々の考えとそこにいたる歴史や背景(特にロシア及びアメリカとの関係)の考察が興味深かった。日本の報道だと、欧米各国の反応はよく報じられるが、中央アジアや中東等はあまり触れられないので、勉強になった。
    (誤字脱字等が多かったが、急ぎ出版したので仕方ないのかなと思う)
  • UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
    ウクライナ戦争についてのジャーナリスト的な本はたくさんでていて、どれも役にたつものだが、これは一味違った視点を与えてくれるものであった。

    東京大学出版会からの本で、主として東大の教授などが中心となって執筆した論文集。

    ロシアの侵攻に対する国よって異なる考えがあることがさまざまな地域の専門家が冷静...続きを読む
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    有識者5人により日中戦争について書かれた本。3部10章から成り、5人で各章を担当している。特に、戸部先生と庄司氏の内容が素晴らしく、勉強になった。

    「(日中専門家による共同研究)太平洋戦争の勃発によって中国は、世界大の「反ファシズム統一戦線」の重要局面である中国戦線を一手に担い、日本軍を消耗させた...続きを読む
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)
    冒頭が太平洋戦争ではなく大東亜戦争というのでイデオロギー色の強いものかと思えばさにあらず。太平洋という米軍相手のものではなく、英米中ソとのそれぞれにある程度独立したものが重なった複合戦争で広域で行われたことと、戦争目的が開戦時の自存自衛から大東亜新秩序建設に変容していったことを主な理由としている。
    ...続きを読む
  • 決定版 大東亜戦争(下)(新潮新書)
    特に第7章戦争指導体制、第9章戦争終結、第11章賠償問題が勉強になる。個人的には下巻の方が面白かった。
    ・日本は統帥権を実務レベルで調整する仕組みを最後まで持たず、大本営会議は報告の場に過ぎなかった。これは、デモクラシーのイギリスが戦時独裁を許容したこととの対比で興味深い。
    ・日米間に存在した信頼関...続きを読む
  • 決定版 大東亜戦争(下)(新潮新書)
    上巻に続いて、下巻では大東亜戦争や太平洋戦争と言う名前付けや、戦後の皇族のアジア諸国に対する慰霊の旅や戦争終結に向けての動きなどが書かれています。
    大本営と言う存在が上手く機能せず、軍部が勝手に動いて、中国での戦争の場を広めていく。政治家である民が軍をコントロールしないといけないが、それが出来ない国...続きを読む
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    日中戦争は、本当によくわからないものだったので、一つの理解の筋を得られたように思った。はじめてしまったら、なかなか終われない。なんでとそうだが、難しい。終結の難しさ。御前会議での陸軍の頑固さは何かと思っていたが、中国での戦いを考えると、確かに理解出来る面がある。目の前の相手に、全く負けていないのに、...続きを読む
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    229頁2行目で、
    カイロ会談当時、「中華民国国民政府主席」であったはずの蒋介石の肩書きは「総統」と書かれる。
    専門者にとっては、とんでもないミスではないか...
  • UP plus 習近平の中国
    習近平が主導する中国について12の視点から論じられた論文集。専門性高く情報の質も量も半端ない。内容をきちんと消化するには自分の能力が足りてない。
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)
    最初は「失敗の本質」のような戦略面からの日本の失敗を書いたものかと思いましたが、日本という立場だけでなく、アメリカやイギリス、そして中国から見た太平洋戦争と言うのが興味深かったです。
    先進的なアメリカでも、海軍や陸軍で利益が異なり、一枚岩てなかったと言うのも始めてしりました。ヨーロッパと太平洋の2面...続きを読む
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    ・南京事件
    南京陥落前後に生起した日本軍による南京事件は、現在でも活発な議論がなされているが、外務省のウェブサイトの「歴史問題Q&A」では、「非戦闘員の殺害や略奪行為等があった事は否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定する事...続きを読む
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    失敗の本質を改めて整理できるかと期待して読んだが
    これまでと同じ事実の整理に留まっている
    特に、太平洋戦争の開始は
    誰もが「合理的にはあり得ない」としたという指摘だが
    それゆえにこそ、開戦に至った謎
    何より開戦の決断のした者は誰なのか?
    77年を経て、自国の責任を明らかに出来ないこの国