平谷美樹のレビュー一覧

  • 風の王国(3) 東日流の御霊使

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    明秀が突欲の鼻を明かしたのは、溜飲が下がる心持ち。
    一方で、須哩奴夷に連れ去られていた芳蘭も、紆余曲折を経て帰還し、そのなかで彼女の目が世界へ大きく広がったのは、災い転じて福と成す、となればいいと思う。

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    2020年06月11日
  • 風の王国(2) 契丹帝国の野望

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    すべてがうまくいくはずもなく。
    ついつい、ヒーローが現れて助けてもらえると楽観視してしまうわたしは、だいぶご都合主義に毒されているらしい。

    漢字と読み方が独特すぎて、どこまで理解できているのか怪しいけれど、
    それを差し引いても先が気になって読み耽ってしまうので、やっぱり平谷美樹さんはすごいんだなぁ、と思う。

    日本海を行ったり来たり、東日流に戻っても各地の御霊使に援軍と同行してもらうための交渉に走り回り、と明秀は休む暇がないね。
    さて、同盟国ではあるが、永の平和に膿んでしまっている渤海国の行く末やいかに。

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    2020年06月09日
  • 風の王国(1) 落日の渤海

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    うわぁ!うわぁ!

    草紙屋薬楽堂も好きだけど、なかなかどうして。
    古代東北地方にあった東日流国と幻の渤海国が舞台の物語。
    明秀(あきほつ)をはじめとした登場人物が皆生き生きと描かれているのが、まるで目の前で見てきたような気にさせられちゃって、これって史実なの?とか、多少混乱してました。

    あー、でもすごく面白かったー!
    寸暇を惜しんでまで読んでしまう本に、久しぶりに出会えました。

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    2020年06月04日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談

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    薬楽堂シリーズも第5弾を迎えました。
    今回は、葛飾応為(これも実在する人物ですね)の登場が増量です。
    気風のいいお姐さんは好きです。

    金魚と無念の恋もだいぶ前進。ラストシーンはなんだかこのまま二人が旅立っちゃって、シリーズが終わっちゃいそうな感じになりました。
    続きますよね??

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    2020年05月21日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 名月怪談

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    気がついたら5冊目。真葛、けい、応為など途中から増えたメンバーも、それぞれに活躍して、なんとなく一区切りついたような感じ。主人公の金魚が、着物や煙草入れに凝ったおしゃれをしている様子なのだけれど、挿絵がついていればいいのになぁと思いながら読んでいる。

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    2020年04月18日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 唐紅色の約束

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    唐紅色の約束、か。
    なるほど。
    おけいちゃんは現在で言えば、生きにくさを抱えた子なのかもしれないな。
    金魚という友だちを得たことで少しでも救いになってくれたらいい。

    そして無念の幽霊嫌いの原因が明らかに。
    七年もの間、よく耐えたね。
    「自分だけが生き残ってしまった」という後悔がそうさせてしまったのかもしれないし、本能寺無念というペンネームにも、その気持ちが現れているのかも。
    ともかく、少しずつその傷が癒えればいいなぁ。

    今巻は、松吉と竹吉の薮入りを描いた短編「薮入り」、勘兵衛とかつての愛弟子との淡い懸想「名月を杯に映して」、真葛が著した『独考』をどうにか本にしようとがんばる長右衛門のスピン

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    2020年01月07日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ

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    金魚さんの姐さんっぷりが相変わらず心地いい二作め。

    初めて目の当たりにするご贔屓さんで金魚は浮かれぎみだけど、ピンチも自分の筆力でなんとかしちゃうのはさすがです。
    無念も、なんやかやと言いつつも、ご贔屓さんと出かける金魚の後を心配してつけちゃったりなんかして、かわいいところもある。

    主人公ふたりが本当に好ましい。
    今後も楽しみな作品です!

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    2020年01月04日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末

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    久しぶりに、面白い物語に出会えた気がします!

    手にしたきっかけは、高田郁さんの推薦文のかかれた帯。平谷美樹さんは、はじめましての作家さんです。

    戯作者志願の金魚(きんとと)と、戯作で食べていくのがおっつかっつの、けっこうイケメン本能寺無念のいいコンビが、江戸で起こる不思議を気持ちよく解決していきます。
    あと、元御庭乃者(忍びとして情報収集をしていた)北野貫兵衛がいい仕事してます。このご仁もけっこう好きかも。とにかく主要人物のキャラがどれもいいです。

    金魚の過去には苦しくなるけれど、それを蹴り飛ばすほどの賢さや洞察力の鋭さとさばさばした性格が、とても好ましく、すべてを応援したくなります。

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    2019年10月06日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 唐紅色の約束

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    金魚が主人公の話の間に、聞き書き藥楽堂波奈志として、脇役の人たちを主人公とした話が入り、さらに本編でも登場人物の過去や、これまで表に出てきていなかった設定が明らかになってきていて、ますます面白くなってきている。3つの短編のそれぞれで、金魚の煙管や煙草入れの趣向が違っていて、季節ごとのお洒落の様子も楽しい。この巻では名前だけしか出てこないけど、只野真葛さんもまた登場してほしいな。ぜひおけいちゃんと会わせてあげたい。

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    2019年04月16日
  • 義経暗殺

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     途中ちょっと中弛みしたけれど、面白かった。
     現代に残されている資料と通説の裏側を描いた歴史ミステリ。奥州藤原氏と源義経、源頼朝らの思惑や生き方を、平泉の文官が解いていく。
     覚悟をして死んでいくものの凄まじさを感じる。
    2018/12/10

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    2018年12月10日
  • 草紙屋薬楽堂ふしぎ始末 絆の煙草入れ

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    シリーズ2作目というのは、1巻の雰囲気からそれほど変化がないかと思っていたら、大きく動いた。必ずしも1話完結でなくてもいいというのもあるが、何と言っても只野真葛という新キャラクターの存在が大きい。巻末の参考文献を見ると実在の女性らしい。真葛と金魚の推理対決が面白く、この後も登場してほしい。

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    2018年09月30日
  • 百物語 実録怪談集

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    ネタバレ

     著者の主な執筆ジャンルは「SF」である。だが著者は同時に「視える」人でもある。
     これは、著者が三十年あまりにわたって体験したり蒐集したりした怪奇譚を、嘘偽りなく本当に百話収録した実話怪談集である……。

     このシリーズも大好きです。「視える」人でありながら怪異を受け入れつつも、本来SF畑である人間らしく、怪異に合理的な説明をつけようと試みる話もあります。
     中には本当に怪異ではなく、現代科学で解決できた怪異譚もあり、その時は井上円了先生の「お化け談義」を思い出しました。
     しかしそうした誤解や勘違いも、体験者自身からすれば正しく怪談なわけで、やはり怪談は主観的な恐怖を前面に出さなければ怪談

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    2012年03月04日
  • 義経になった男(一) 三人の義経

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    4巻本なので臆していたけどめっちゃ面白本である。読み終わるのに時間かかったのはカバンの奥にしまいこんでしまった為。
    二巻目が近所の本屋に無くやきもき。買っておけば良かった。

    本書で平泉に目覚めました。すみません、遅すぎです。これから本書と並行していろいろ読む予定です。

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    2011年10月19日
  • 百物語 第十夜 実録怪談集

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    ネタバレ

     毎年刊行されているシリーズの最新作である。筆者の在地が岩手県ということもあり、今巻にはあの「東日本大震災」前後に起きた不可解な出来事も収録されている。
     まだ震災の傷が癒えきらないこの時期にそんな話を出版するのは不謹慎だ。そう主張する方もいるかもしれない。
     だが以前にも紹介した、稲川淳二さんが語った戦争に関わる怪談と同様、多くの人々が亡くなった事象に関わる怪談というものは、一般的な怪談のそれとは大きく異なる。
     単に読者を怖がらせるものほど、「創り」であることがほとんどだ。本物の戦争や震災に関わる怪談は、恐怖を抱かせるものはほとんどない。むしろ生存した方々、亡くなった方々双方への「鎮魂慰撫

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    2012年08月03日
  • エリ・エリ

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    神の存在を疑問視する神父がとても新鮮だった。でも、神父じゃなくても私でもそう思う時がある。だからこの作品は惹きつけられた。SF作品だけど、読みやすかったな。何度も読みたい本かな。

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    2009年10月04日
  • 採薬使佐平次 吉祥の誘惑

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    これも、凄く面白かった。「阿片」「抜け荷」というキーワードは、時代小説では使い古されたものだけど、平谷美樹さんの手に掛かると、大砲の弾が飛び交って、外国船が沈没する大活劇に発展する。それでいて、最後は、胸のすく結末に収まるのは、流石である。

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    2025年08月31日
  • 天酒頂戴

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     幕末の東堂藩の若待の時代に翻済される姿を描く。佐幕、新政府派に分かれた三人。重蔵が早々に討ち死にする展開には正直驚いた。
     だが、本作の本質は戦後の新時代との向き合い方を丁寧に描く点にある。隼人は重蔵を死に追いやったことで佐幕の意思を失い、町人たちと過ごしながらも左馬之介に討たれることを潜在的に望む。左馬之介も本意に逆らいながら隼人を打つことを生きがいとしている。武士というのは実にからっぽだと思わずにいられない。現代の政治家もそうかもしれないが権力を失うとただの役立たずになる。そこに「誇り」が加わると、余計に普通の生き方をするにも時間がかかる。互いに思い人が出来、夫婦としての夢を描くことがで

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    2025年08月09日
  • 貸し物屋お庸謎解き帖 絵草紙と隠金

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    お庸はほんとに一所懸命だね
    困った他人を放っておけないなんて
    頭が下がるよ 眩しいねえ
    おりょう姉ちゃんまで手助けできて
    ホッとしたよ

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    2025年06月24日
  • 江戸城 御掃除之者!

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    意外、と言えば失礼だけど、面白かった。掃除をするのが仕事の侍の話なんて、面白くなる要素があるのか?なんて思って読み始めたけど、そこは平谷美樹さん、やるもんだ。これなら、次回作も楽しみだ。ちゃっかり佐平次まで登場するところも、さすが!

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    2025年06月15日
  • 採薬使佐平次

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    この作品は、今までに読んだどの作品とも違う趣がある。時代小説なのに、科学的な内容が多分に入っていて、それでも、ちゃんとチャンバラの場目もある。「採薬使」という役割があったということは、初めて知ったけど、非常に面白い存在だ。こんな面白い題材を、この一作品で終わらせているとは思えないので、続編を探してみよう。

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    2025年05月22日