西成活裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
渋滞をシミュレートする理論として有効なセルオートマトンモデル。その単純版ともいえるASEP(非対称単純排除過程Asymmetric Simple Exclusion Process)。もっとも単純な例ではセルの半数以上に玉があれば、どんな初期状態でも最後はクラスターが発生するという。おもしろい。臨界状態で1/2おきる。閾値か。
平均速度×交通密度=交通流量。これが基本式だと。フジテレビでやっていたサーキット場で渋滞を再現した実験は、筆者たちがやったんだ。
これらはおもしろかったが、本書ではアリ、インターネットの渋滞にも議論がおよび、これらの渋滞もセルオートマトンモデルで再現、解析が可能という。
ただ、個人的には車の渋滞の発生過程をもう少し突っ込んで解説してほしかった。
坂道などのサグとブレーキの連鎖はよく言われる理屈と変わらない。驚くような解説を期待したこちらが間違っていたか。 -
Posted by ブクログ
よくある「○○学」的なトンデモ本ではなく、科学として真剣に研究・調査された「無駄学」。中身の多くの部分トヨタの生産方式を説明しながら、社会のいろいろな場面に潜む無駄を無くして行こう、的な内容なので、特に製造業、ものづくり関連の職種に従事している人には新鮮味に欠ける感じは否めない。むしろ本書のキモは、最後の30ページほどの部分、資本主義経済と無駄について論じた部分にある。
「経済評論家の多くは、経済成長率の低下を問題視し、いかに景気を回復して3%台にするか、などという議論を展開している。しかし年3%成長とは、ちょっと計算すれば分かるが、23年で経済が2倍近くになることを意味している。(中略)どれをとっても実現できそうにない」という一文に始まり、持続可能な社会という考え方と現在の資本主義経済との矛盾を指摘し、現在の資本主義経済のありかたを転換するための議論に真剣に取り組むべきと述べる。
「渋滞学」から「無駄学」へ、そしてその先の我々の生き方への問いかけがこの本の本質だと思う。そういう意味ではタイトルでちょっと損をしている気もするのだが、できるだけ分かり易く伝えようという著者の想いは伝わってくる。理系的視点からスタートして社会学的地点に着地するような感じなので、理系の人にも文系の人にお薦めです。 -
Posted by ブクログ
【読書メモ】
●これがこうなるから、次にこうなって、という論理の糸をたぐって素晴らしいアイディアに到達できることは滅多にない。どこかに思考の「飛び」が必要で、これを可能にするのが直観力であり、それは論理の階段を登ることとわけが違う。
…まずは考えるもとになる深い知識や経験がなくてはならない。そしてそのことで頭の中をいっぱいに満たすことが重要である。
…次に頭の中の圧力が最高潮に高まったところで、あるときにガス抜きをして頭を開放し、リラックスする。このときは論理を忘れて夢を見ているように自由に連想する。すると不可思議な発想がわき出してきて、自分でもすぐに否定できそうもない面白そうなアイディアがいくつか生まれる。この時こそがその人の持つ個性を反映したひらめきの瞬間
…最後にこのアイディアを忘れないようにメモしておいて、また論理の世界の自分に戻るのだ。そうしてアイディアを今度は論理を使って検討していき、本物かどうかを見極めていく。
●システム思考…「部分を集めても全体にはならない」
●創発…ボトムアップの組織から生まれる
●無駄を評価するときには、「目的」と「期間」という二つをあらかじめ定め、その範囲で考えることが重要になる。
●三つの無駄
・「ムダ」→見える無駄、誘引型
・「むだ」→見えにくい無駄、不覚型
・「無駄」→見えない無駄、自然型
●七つのムダ
・作り過ぎのムダ(仕掛り品を余分に発生させてしまう)
・手持ちのムダ(何かを待っているというムダ)
・運搬のムダ(運搬そのものによって製品に付加価値がつくことはない)
・加工のムダ(道具、環境のため作業がやりにくい)
・在庫のムダ(余分な材料や仕掛り品、完成品)
・動作のムダ
・不良をつくるムダ(不良品を除くための検査も)
●製造業では、付加価値をつけるような加工をしている時間と、無駄な作業をしている時間をストップウォッチできちんと計る計測が行われている。これによれば、無駄な時間と加工をしている時間の比は、トヨタ自動車でも300:1になるそうだ。つまり、加工が1時間で済むところをトータル301時間もかけて作っているのだ。そして一般の製造業ではなんと5000:1、そして赤字の企業では10000:1程度
●「分ければワカル、分ければデキル」…全体が絡んでいると何も分からないが、分けてみると見えてくる。分けることでどこから着手すべきか分かり、無駄も発見しやすくなって改善ができるようになる。
●トヨタ生産方式に飛びついて改善を進めたが、その導入に失敗した企業については枚挙にいとまがない。成否の鍵を握るのは、何といっても経営トップの改善にかける意気込みとリーダーシップ、そして同時に現場の作業者が自ら考えて効率をあげようという姿勢である。いずれも人の意識を変えることが本質で、機械的な方法論のみで改善できるわけではない。
●重要なのは「現場・人・数字」の三つである…社長といえども報告書を見るだけでなく、現場に立って実際の様子を見るべきなのだ。そして現場には様々なタイプの人が働いている。こうした一人一人の個性も見極め、組織に改善魂を根付かせるのだ。最後の数字とは売上のことではなく、いま作るべき必要量やサイクルタイムといった、ムダのない生産のために必要な数字で、これを作業者が把握しているかどうかで全体の流れとリズムが決まってくる。
●「日本人は一人一人は豚でも、三人集まると龍になる。中国人は一人一人は龍でも、三人集まると豚になる」
●植物でも、栄養分や水の投入量が少なすぎても枯れ、多すぎても腐ってしまう。人間もその人に合った適度な投入量というものがある。必要以上に投入してしまう家庭は過保護で、親は子供可愛さからこういった行為をとるのだろうが、この場合は最適な投入量というのがそもそも分からない難しい問題だ。
●効率的な流れを作り出すには、詰め過ぎも空け過ぎも無駄なのだ。…(交通量と密度の関係図から)交通量が最大になる密度は1kmあたり50台。交通容量は約330台。車間距離40m以下に車をつめても交通量が落ちるだけで良いことはない。この40mというものさし感覚をドライバーが持ち、この車間距離をうまく使って皆がなるべく一定の速度で走行するようにこころがけると、渋滞は劇的に緩和される。
●Waste not, want not.無駄がなければ不足もない。どこかで無駄にしているために、不足するところも出てきてしまう。
●高度資本主義社会においては、無駄は必要悪になっているといえる。消費社会が資本主義を支えているため、過剰なサービスを提供して需要を喚起し、そしてそれが無駄を発生させている。マネーが資本主義の血液ならば、無駄は資本主義の脂肪のようなものだ。…右肩上がりでない社会を我々はこれから皆で知恵と力をあわせて構築していかなくてはならない。それが環境問題への最終回答なのだ。
●「組み合わせ」と「すり合わせ」という二つの言葉の対比を考えてみよう。これはものづくりの二つの考え方を表わしていて、全体をモジュールに分けてその部分をプラモデルのように単純に組み合わせていくのか、あるいは部分間の相互作用を考慮して各要素をすり合わせていくのか、というものだ。
●幸せ=財÷欲望
●人間は命令されると不愉快な気持ちになることが多いが、自分で考えたことであれば自然に行動できる。間接的に伝え、本人に考えてもらうステップをひとつ挟み込むことでうまく人を動かすことができる。
●まず子供の道徳教育こそ第一に優先すべきことだと私は考える。大人になる前の教育が人格形成上で最も重要で、昔は家庭や地域がその役割を担っていた。しかし現在、こうしたボトムアップ的な教育体制は崩壊しつつあるため、トップダウン型の補助政策も必要になってきた。
●かわりばんこ社会の提案…「かわりばんこ」ならば、いつか資源は自分に回ってくる、したがって資源が手に入らないときでも、自分の番が来るときの期待感によって幸せを感じることができる。…人間は、変化と期待をうまく組み合わせれば、その心に大きな幸せを感じることができる。以上より、前に述べた振動型の経済変化と合わせて、「かわりばんこ社会」という考え方が未来の鍵を握っているように私には思える一定の資源の中でもこうした動きを作り出すことで生命は生命らしく生きてゆける。停滞は死だが、動きは生だ。 -
Posted by ブクログ
「渋滞学」の人の新しいやつですな。
トヨタ式カイゼンみたいな話を元に、いろいろ無駄について話をふくらませているわけですが。
キューバの博物館は驚きの無駄さでした。各展示室に一人か二人づつスタッフがいて、なぜか毎回人が入る度に入り口にヒモかけて、というのを繰り返して、たまに観光客に案内してみたり(そしてチップをねだってみたりねだらなかったり)をしています。たいして貴重なものがなくても各室に誰かいます。
私の感覚としては、人件費の無駄もいいところだ、と思うわけですが、まあでも他に仕事もなくて公務員の完全雇用を目指すとこうなっちゃうんだろうか、と考えこんでしまった。
ベトナムもまあ、人件費が安いせいか、サービス業なんかだとそんなに人いなくてもいいじゃん!と言うぐらい人が群がってくるんだよなあ。
専門的スキルがない人が多いからこうなるのか、教育プロセスがないからこうなるのか、よく分からないのだが、あの無駄にいっぱいいる警備の人とかなんとかならんのだろうか、と良く思うわけですが。
とかまあ、日本には日本の、ベトナムにはベトナムの、キューバにはキューバの無駄があるのですが、資本主義と共産主義と無駄について漠然と考えながら、いつもの通り交通マナーが悪くて渋滞している空港道路を走ってホテルにつきました。 -
匿名
やっぱり理系脳
就職試験でSPIが出るため、数学音痴を治すべく基礎から学び直そうとして購入。一通り読んでみたが、最初のうちは『なるほど!』と感心する部分も多々あったが、やはり超文系の自分には所々の“なぜ?!”にぶち当たり難解化していった。細かい所の計算が省かれて(数学参考書あるある)いちいちそこを調べながら読み進めていく感じがあり、結局数学って面倒が臭いなって結論に至った。あと、これも数学参考書あるあるなんだが、結局これができても他の応用問題に対処できないで挫折する。やはり、この手の本はあくまで数学できる人目線で作った本というのが最後まで付きまとう。この参考書さえあれば数学は完璧!なんて本、多分人類が滅びる時になっても現れないんだろうな。