西成活裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数理物理学者の著者が長期的思考の価値について自身の見解と研究による結果を書いた一冊。
短期的な傾向にある現代の日本において、「空けるが勝ち」「分けるが勝ち」「かけるが勝ち」「負けるが勝ち」の4つにわけて長期的思考の重要性が解説されており勉強になりました。
著者が実証した研究結果や事例をもとに著者が専門とする研究の分野や企業のあり方や教育や国家など多岐にわたり見解が述べられており、著者の見識の深さも味わうことができました。
また、知らないことも多くあり、そのなかでも日本企業には200年続く企業が世界の半数以上も占めていることや改善においてはフォアキャスト型よりバックキャスト型の方が優れている点などは勉強になりました。
また、企業会計におけるトリプルボトムラインの考えは大変面白いと感じました。
また見解の部分でも刺激を受けたところも多くあり、人工知能に対する著者の見解が刺激を受けました。
著者が以前に出版した書籍のテーマとした渋滞については本書でも詳しく述べられており、速度調節によって渋滞形成を防ぐことができることは勉強になり、信号の切り替えや電車のダイヤなどバランスが大事であるということを感じました。
また、公演の際の静かに話すテクニックは使えると感じました。
本書を読んでゆとりを持って行うことがいい結果につながるということを感じるとともに、長期的思考は現在の日本において強く意識しなくてはいけない問題であるとも感じました。
一時はマイナスであっても結果はプラスになることを信じ、利己的な行動を心掛けていきたいと感じました。 -
Posted by ブクログ
物事には長期的な視野が必要だ。
ちょうどこの本を読んでいる今は2017年の解散総選挙中。
北朝鮮がミサイル打ち放題、少子高齢化の深刻化による国難を問う、というものなのだが。
正直、危機を煽るのは好きじゃない。大嫌いだ。
さらには消費増税はしないけれど、社会保障費は上げるというばら撒きマニュフェストを全ての政党が掲げている。
世の中は超短期的な政策が好まれる。
しかし、政治でそれをやることは国難を先送りにしているだけなのでは。
まともな政党がないこと自体が国難であるとも考えられる。
本書では「空けるが勝ち」「分けるが勝ち」「かけるが勝ち」「負けるが勝ち」を提唱している。
長期的視野に立ったときに、果たしてどちらの選択が利するのか。
短期的視野よりも長期的視野の重要性を説く。
でも、あんまし面白くなかったなぁ...。 -
Posted by ブクログ
数学が現実世界のどんなことに寄与できるのかについて、イメージとして理解できる本。
数学における理論・法則・公式・数式を使いこなすと「こういうこと」がわかったり、できたり、こういう風に役に立つ、ということだけは分かりました。(未来)予測ができたり、効率化が図れたり……ただ本当に理解して、「役立たせる」ためには、自主自学の必要がありそうだなあ。
比喩もユニークだし、スタンスがひょうきん。こういう数学の先生に学生時代、出会いたかったなあ。
仮説の上に仮説があってその仮説のもとに私たちが暮らしている。確実なことの少ない世界なのだなあっていうことも感じました。
あと、「数学は仕事やその他の何かに使えるから価値がある」、ということだけでなくて、数学を学ぼうとするプロセスで学習者が自然と培っていく「数学に携わらなければ得られないような」思考能力もきっとあるのでしょう。 -
Posted by ブクログ
さまざまな流れの停滞を数理モデルによってシミューレーションしている。内容は、高速道路の車の渋滞、地下街や航空機から避難する時の人の渋滞、アリのフェロモン走行による渋滞、ネットのパケット渋滞、山火事(渋滞が起これば拡散しない)、人体内の分子モーター(神経繊維内部でタンパク質を運搬する)などである。基本的には、人や車は自己駆動粒子であり、ニュートン力学に従わないし、流体の運動法則であるベルヌーイの定理(流体の速度は通過する部分の断面積に反比例する)もなりたたない。数学的モデルとしては、ASEP(前方が空きならば進め、同じ場所には一つしか入れない)で解析するのだが、高速道路の渋滞などはスロースタートルールを加えると、渋滞特有の「人」字カーブがあらわれるそうである。しかし、アリでは追い抜きが怒らず、バッファに収まらないパケットは破棄されるなど、流体によってそれぞれに特長がある。また、建築法も引いており、一つの非常口から逃げられる人数は幅1mあたり1.5人/秒、60mをこえる地下道では、どの場所からでも30m以内(普通に歩いて23秒)に直接地上へ抜ける道があり、粒体でも人でも出口が粒体の直径の6倍あれば、「目詰まり」がおこらない。こういった知識は渋滞がおきた時にどれくらいで逃げられるかを計算できるので重要な知識だろう。粉粒体の運動は「ブラジルナッツ運動」(大きな粒が浮く)などまだ数学的に解けないものが多く、砂時計の内部の動きもまだ嚴密に示す式がないそうだ。今後の渋滞学はネットワーク理論やゲーム理論(協力や譲りあい等)と連携して進める必要があると指摘している。お金が貯まるなどといった現象も渋滞として考えられるそうだが、これはまだ分からないらしい。