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人混み、車、インターネット……世の中、渋滞だらけである。新しく生まれた研究「渋滞学」により、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。一方で、駅張り広告やお金、森林火災など停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。渋滞は、面白い!
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Posted by ブクログ
素晴らしいの一言。 渋滞の解明には、いろいろなアプローチがありますが、まずは適切なモデルの構築がカギ。 そのモデルを用いた説明をしているわけですが、シンプルかつ丁寧で、非常にわかりやすい。 また、そのモデルの応用も素晴らしい。 そして何より、西成先生の、基礎科学と応用科学に対する姿勢、自...続きを読む然科学観には、強く共感します。 是非、たくさんの人に読んでほしい本です。 そして、不快な渋滞を、みんなでなくしていきましょう。
渋滞はなぜ発生するのか。人込み、車、アリ、インターネットの渋滞を科学する。 特に第一、二章の車の自己駆動粒子系をモデル化して渋滞を計算するところが参考になった。 この最新の論文が読みたいところだが、流体力学なんかまったくわからない門外漢なので困る。
NHK「視点・論点」で著者を初めてみた。テーマはもちろん「渋滞学」について。 高速道路で渋滞が発生するメカニズムを、10分という短い時間で簡潔に話していて、その「渋滞学」という耳慣れない言葉と、身近さに引かれ、著者にも関心をもった。 そこで一番興味深かったのは、高速道路で渋滞しないための策が「やさ...続きを読むしい運転をすること」だという。 つまりごく簡単に言うと、高速道路ではある一定の車間距離より間隔が短くなると、前の車両のブレーキングなどが微妙に直後の車両の運転に影響を与え、余計な減速や加速が繰り返され、それが後続へと連なることでダンゴが発生するのだという。 そこで前へ詰めるのではなく、前の車両とは余裕をもって距離をあけることが、一見、車列が延びて渋滞がひどくなるような気がするが、逆にマクロで見るとかえってスムーズに運転できる結果となるのだという。 オンエアや本書ではもちろん、学術的な論拠も示されており、きちんと自然科学的アプローチから渋滞という現象が解析されている。一方、車の渋滞をはじめとした身近な現象の原理で、いまだ論理的に未解決なものが多いという。 本書では我々の日常のまわりから多くの「渋滞」現象を取り出し、笑うくらい身近なところからも、まじめに学問している。硬と軟、まじめと遊びが絶妙にブレンドされている。研究者らしからぬ“サービス精神”を感じた。著者はメディア向け?なのかもしれない。 (2007/9/10)
理学と工学をまたぐ学際的な研究と人材の重要性について、この頃から提唱していたのですね。 著者は領域横断に活躍したフォン・ノイマンに憧れていたのだろうか?セルオートマトン、ゲーム理論とノイマンにちなんだ話題が多い。 ウィーナーの『サイバネティクス』やサイモンの『Artificial』を読んでいるよ...続きを読むうな感じ。
「渋滞学」なる学問があるとは知らなかったので、手に取った本。 第一章「渋滞とは何か」は渋滞自体の説明というよりは、渋滞を説明する理論及び用語の説明が多く見られる。 「ホースで水を撒くときに先を細めると勢い良く水が出るが、人間の場合は当てはまらない」という誰にでも想像できる例をうまく用いて、物理...続きを読む学に疎い人でも容易に読めるように見事に書かれている。この他にも、慣性の法則、作用=反作用の法則を用いて人と水の違いを説明したり、管の中を通る空気の流れも超音速になると管を細くすると遅く、細くしなくても外部から温めると遅くなるという事を、人間は興奮・パニックに陥ると「人の温度」が上がり流れの速度が遅くなるという説明につなげたりとユニークである。 現実を表す「良いモデル」として、更に渋滞の説明にも役立つASEP(Asymmetric Simple Exclusion Process:非対称単純排除過程)という、セルオートマトン法の一種の解説がなされている。 第二章は、年間約12兆円という経済損失を発生させている交通渋滞が起きる原因を考察している。 高速道路で渋滞が起きる原因の第一位は「サグ部・上り坂」であり、すぐには気がつかない程ゆるやかな坂道の為に自分と、その後ろにいる車がどんどん減速してしまい、ブレーキを踏む強さもどんどん大きくなってゆくという連鎖反応で渋滞が発生するのだという。 交通の流れを分析する際に「基本図」が使われ、渋滞していないときのデータは右上に伸びる直線となり、渋滞が発生する所(右下がり:渋滞への相転移が見られる)を見ると、車間距離が40m以下(急ブレーキを踏んで止まれる制動距離)になった時が渋滞になるという。そして、この状態でも自由走行の80km/hを保っているのを「メタ安定」といい、通常10分程度しか持たず、渋滞に変化してしまう。 このメタ安定が現れやすい道路がサグ部であり、これ以外にもカーブ(見えづらい場所にあるとき:夕方の西日の影響)、トンネル(暗さ・閉塞感・水が溜まらないよう為のサグ:夜よりも昼のトンネルのほうが渋滞が多い)、合流部(ただし「弱いメタ安定状態」という60km/hで走れる状態が続くことがある)が主な地点である。また、混んできた時は追越車線でなく走行車線を走った方が良い、というお得な情報が明かされている。 この本が出版される8年前は、料金所が高速道路で渋滞が起きる原因の第であったらしく、それを解決したのがETCの導入であったそうだ。その効果を認める一方で、個人負担が未だに高額であること、ETCゲート通過時に速度を20km/h以下に落とさなければならないという課題が解決される必要があると述べている。 都市交通における基本図は台形をしており、ボトルネック型と呼ばれている。青信号に変わったときに自分が動ける番になるまでには、車一台あたり1.5秒かかることや、よく赤信号に引っかかる人は速度を落とすと解消できる可能性があること、先日日本でも導入されたラウンドアバウトは、交通量が適度に少ない時に最も効果があると述べられている。 第三章は人の渋滞についてである。 明石歩道橋事故の事例を参考に、通常人間は自己駆動粒子として振舞っているが、集団が極端な密着状態になっているとニュートン粒子として振舞うようになってしまうという。そして、群衆の状態は動因によって「会衆」「モッブ」「パニック」の三つに分けられている。 超満員の電車から一斉に出ようとすると詰まってしまう(ボトルネック)構造を「アーチアクション」といい、眼鏡橋はこれを応用している。避難の際に発生するボトルネックは「ミンクの実験」でも追試が行われれおり、競争でなく譲歩し協調することが大切であることを示している。 航空機からの避難には、90秒以内に脱出が可能でなければならないという基準があり、実験ではドアの幅が約70cmより広いと競争し、狭いときは譲歩協力したほうが早く逃げられるという結果になったという。さらに、競争しながら逃げている時には、避難口の付近にわざと障害物を置くことで避難時間が短くなるという、意外な結果がある。 パニック状態でないときの移動では、お互いに衝突を避けようとして自然に進行方向ごとのレーンが発生し、そのレーンがどちらの向きになるのかはその国の走る方向と一緒だという。また、駅構内において歩行速度が遅くなるところでは、周囲に気を配れることもあり広告をみる機会も多くなるため、近年注目されているという。 第四章はアリの渋滞の話である。 アリは車と違い、自分と仲間のフェロモンを利用して移動することもあり、お互いの距離が近いほうが早く動ける、適度に混み合ってくると通常動きが遅い先頭のアリが早く動けるようになる(列が長いので末尾のアリのフェロモンを嗅ぎつけるようになるため)という筆者の推測がなされている。 アリも渋滞問題を抱えていたこと自体初耳だったこともあり、興味深い章だった。今後の研究に期待したい。 第五章は幅広い領域における渋滞問題を考える章である。 インターネットの渋滞は、大量のパケットが「ルーター」という交差点に集中することで引き起こされるが、車が交差点で待たされるのに対し、パケットは物理的実体がないため渋滞すると捨てられるという違いがある。現在、輻輳状態に応じてウィンドウ数(ホストが一度に送り出すパケット数)を変化させる制御を効率的に行うための研究が行われているという。 粉粒体は一つ一つは固体だが、ある程度集まると液体の動きもするようになる(例:アリジゴク)。砂時計で1分を測るための理論的な計算、ブラジルナッツ現象のメカニズムの解明が、まだ出来ていないという事実があるが、その理由には遠くの場所まで瞬時に情報を伝える「非局所性」(例:金属の玉のおもちゃ)と、三つ以上の物が同時に衝突する際にはその動きを予測できない「多体衝突」(例:ビリヤード・カーリング)による「非可換性」(順序を入れ替えると結果が異なる事)によるもと述べられている。 乗り物の渋滞についても触れられている。電車や地下鉄で「時間調整のために停車」しているのは、四章のアリと同様に、ダンゴ運転状態となり渋滞が発生してしまうのを防いでいる(先頭はギュウギュウ詰めで乗り降りに時間がかかるが、末尾はガラガラですぐに発車できてしまう)、エレベーターが勝手に動くのは「群管理」が行われているため、飛行機が離陸許可を得るのに時間がかかるのは、「滑走路の奪い合い」と「航空機が使える空域が限られている」という大きく二つの理由によるものだという。 第六章はこれからの渋滞学をどう考えるかという話である。この章には日本の理科系大学の未来の展望と、数学の重要さが分かる情報が豊富に載っているので、「数学を勉強して何になるんだ!」という人こそ読むべきだと私は思う。 ネットワークをつながりの様子によって分類することをネットワークの「トポロジー」といい、本章ではバス型・リング型・スター型の3種類が説明されている。この考え方は高速道路の建設(首都高速道路とその他の関係)や航空機の路線(高い空港使用料を取るか否かで直通・乗り継ぎに分けている)にも応用されている。 ある程度ランダムな繋がりのネットワークの中に、実は多数の接続を持つ中心的な役割をもつものが少数存在するネットワークを「スケールフリーネットワーク」というが、これは現在悪意のあるネットワーク攻撃にどこまで耐えられるか研究が進められているという。 何でもコンピューターで計算するのではなく、数学的に「紙と鉛筆で」計算しておおよその値を算出してからコンピューターで計算し、さらにその結果を「紙と鉛筆で」計算するという、得られた結果を要素還元的なアプローチをする重要性を、カオス理論である「パイこね変換」の例を用いて解説している他、大学が独立行政法人化している昨今だからこそ、一見お金にならないような数学の基礎分野の研究を国がサポートするべき、理学部と工学部の乖離化が進んでいる今は、両分野を修めた人材が育つことが望まれると述べている。 興味本位で手に取った本が大当たりだったときの喜びは、どう書き表して良いのかわからなくなる。この本も、その一冊だ。 自分用キーワード 定量的 定性的 自己駆動粒子系 臨界状態 臨界密度 相転移 待ち行列理論(リトルの公式) (非)平衡状態 プラトーン走行 映画『スピード』 スルーバンド:グリーンウェーブ(信号機) 個別要素法 ル・ボン『群集心理』 建築基準法施行令(長さ60mを越える地下道では直通階段が設置されている) 二方向避難の原則 ハリネズミのジレンマ 自発的対称性の破れ ボトルネックでの振動現象 Swarm Intelligence ブラジルナッツ現象 排除体積効果 跳ね返り係数 in vivo(in vitro) ロードプライシング ルーティング問題 ワッツ「スモールワールド」(たった6人を通して世界はつながる) パイこね変換
身の回りにありふれて存在する「渋滞」という現象を力学的、数学的アプローチで分析する試みを紹介し、「渋滞学」という横断的な分野確立のビジョンを示しています。サグによって発生する高速での車の渋滞も順番待ちの行列も山火事の防止も数学的モデル、とくにセル・オートマトンでモデル化できるというのは目からウロコで...続きを読むす。どんどん広がって欲しいと期待したい新しい学術分野です。
すごく参考になりました。物事は色々な見方があって、読書をすると、知らなかったことに気付き、読書の大切さが分かる。 「新潮選書」というと、難しいイメージがあるが、とても楽しく読むことができた。 「メタ安定」という概念が出てきたが、渋滞する前の仮の安定というような意味で、興味を持った。 この「メタ安定」...続きを読むを持続することが、交通量を増やすためにも大切で、現在盛んに研究されていることが分かった。 「渋滞学」はこれでひとまずおいといて、今後さらにいろいろな分野の本に挑戦してみたい。そういう意味でも、いろいろなことに興味を持つきっかけになったこの「渋滞学」は貴重です。
渋滞学とはどんな学問かを知るには一番適した本です. 渋滞学関係の書籍を読み始めるなら,最初に読むべき本だと思います. タイトルが渋滞シミュレーションでなく,渋滞学であることに注目してください.渋滞学は西成先生の構築した学問で,単なる渋滞シミュレーションでなく,あまたある「流れ」を取り扱うことができ...続きを読むます.「流れ」には必ず渋滞が存在し,その渋滞が良い渋滞ならより渋滞させる方法を考え,悪い渋滞なら渋滞を軽減する方法を考えるということが基本精神です.実際,例としてアリの行動や脳内の神経細胞の栄養分の渋滞など様々な渋滞を扱っています. 非常に壮大な研究だと思います.読む価値十分です.
著者と渋滞学という分野に興味があり読書。著者とは学生時代に一回お会いしたことがあるが、とてもバイタリティがある方といった印象。さて、肝心の渋滞学というところは単純な離散的な数理モデルに収まらず、本作では車、人混み、アリ、インターネットを特に多く取り上げ、生物学や粉体モデルなどのより複雑な事象の分析を...続きを読むも動機を与えている。一つに渋滞という現象だけをフォーカスしているのではなく、制御不能(可能)な多体モデルにおいて、科学に基づいた分析をし、より適合できるルールを生み出しているのが面白い。一見すると単純なルールの集まりが複雑な現象を生み出し、それを理解し、最適なコントロール原理を抽出するようなヒントもそこに隠れているのかもしれない。理工の問題は著者の問題意識には根強いことが終章を読んでも分かる。私自身も、理学、工学とそれぞれを学んだ経験から、新しい形の理工学のあり方というのも考えたいと思った。学生時代に触れている分野とはいえ、やはりこうした複雑系、数理系のモデル解析は面白いと素直に感じた。
少し前に筆者の『クルマの渋滞 アリの行列』を読んでおり、本書とは大体半分ほど内容が被っているので、感想はそちらの方で。 最終章で筆者が述べている「理学と工学の乖離」については、これは全くその通りだと思う。僕自身の今の興味が理論の中でもどちらかというと応用寄りのところにあるので、大学にいるうちに少...続きを読むしぐらいは工学系も勉強してみたいと思っているのだが、目の前の授業や課題をこなすので精一杯でなかなか難しい… 1 渋滞とは何か 2 車の渋滞はなぜ起きるのか 3 人の渋滞 4 アリの渋滞 5 世界は渋滞だらけ 6 渋滞学のこれから
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