宮本常一のレビュー一覧

  • 日本文化の形成
    本書は、民俗学の巨人・宮本常一氏が生涯にわたる実地調査から得た着想を基に、日本文化の形成過程を探求した遺稿集です。

    著者は、単に古典文献の解釈にとどまらず、東アジア全域を視野に入れながら、稲作や畑作の伝来、海洋民と床住居の関係など、日本文化の源流を徹底的に掘り下げています。『古事記』『日本書紀』は...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    忘れられているが、忘れてはいけない日本人の姿。戦前から戦後まもなく日本全国の民間伝承を調査した民族学の名著。
    長崎の対馬を先祖に持つ関係で読んでみました。初めの章にこの地方のしきたりや伝承が載っていました。
    この本に登場する日本人は、司馬遼太郎さんが、理想としているような鎌倉武士の起源を原形とする姿...続きを読む
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    時に外国人の視点は気づきにくい他国の真実を記録してくれる。魏志倭人伝、フロイス、サトーなど。同様にイザベラ・バードの紀行文を民俗学の泰斗が読み解くと実に新鮮な視点。

    やはり民俗学者の視点は面白い。実は普通の日常の生活文化や風習は記録が残らないので難しい再現、想像できない、ところが多いが、たまたま外...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    ・面白い!
    ・西日本が記述の中心であることが、なんとも嬉しい。
    ・もとは「年寄たち」という総題が想定されていたのだとか……「忘れられた日本人」は同じ意味だが、より大上段に構えた表現であって、もとの素朴な想定のほうが内容にフィットしている。
    ・寄合とか地域会とかめんどくせぇと肌で嫌悪するシティボーイな...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    「この学問は私のようなものを勇気づけます。自分らの生活を卑下しなくてもいいことを教えてくれるのですから」
  • 忘れられた日本人
    東京中心・今の時代を最善と考える傾向のある私にとって、民俗学はその意義がよくわからない学問であった。しかし、この本を読むと、各地方特有の生活の合理性、世間的には有名でない人がそれぞれの立場で懸命に生きてきたことが追体験でき、民俗学の意義を少し理解できたと思う。
    また、西洋の法を継受し作り上げられた現...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    いまでは通信技術などが発達し、電話ひとつあれば離島を含む日本の隅々まで容易につながることができる。地方の誰かに話を聞きたければ、自分のいる場所から電話の一本入れたらすむ。だが本書の時代は電話などない。筆者はそのような環境のなかでこの物語を自らの足でかき集めたのだ。当時は道路網も十分ではなかっただろう...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    書店で手に取るまで、恥ずかしながらこの本のことを知りませんでした。不朽の名著!岩波文庫70刷です! 司馬遼太郎や近代日本史の本を読んで、戦前の日本がわっかたように思っていたことが恥ずかしい。
    古老のひとつ一つの話が、短編小説のようでもあります。著者の宮本常一氏が只者ではないことがすぐにわかります。
  • 忘れられた日本人
    世に名を残した偉人だけでなく、一生懸命生きた普通の人達のおかげで今の豊かな暮らしがある。そのことが、地道な取材を方言を交えた臨場感溢れる描写で描かれていて、白黒の昔の映像が鮮やかに蘇るような感覚になった。なんとなく知識としてはあったけど、現実に落とし込むとこういう感じか!とか、えっそうだったの!!と...続きを読む
  • 日本残酷物語 1
    難破船を糧としている海辺の人びとがいたことは、現在ではほとんど語られなくなっている。
     福山のそばで日本住血吸虫による被害があったことは現在では場所が特定されないように書かれている。
     からゆくさん、についても書かれているが、これは他書のほうがより詳しい。
     1959年版は、活字が細くて薄く、厚いの...続きを読む
  • 宮本常一 伝書鳩のように
    民俗学、やはり最高。

    あとがきで自分を卑下しまくっているが、日本全国を歩き、普通の人達の普通の暮らしを書き残したものを我々が読めるというだけで圧倒的に偉業なんですよね。
    しかも読んでてとてもおもしろい。
    昔の人は性についておおっぴらに話しまくっていたことや、季節の折に玄関を訪れる旅芸人や、祭りだけ...続きを読む
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一
    神仏合祀、民俗学の芽生えから、小説、聞き書きなど多角的な内容。日本民俗学の芽生えや成果を知ることができる
  • 海に生きる人びと
    海人の歴史、日本人と海の関わりが歴史とともにどう変わってきたか、今治や泉州など海人の多かった地域に繊維業が賑わった経緯など興味深い内容だった
  • 忘れられた日本人
    辺境の地で黙々と生きる日本人の知恵。
    村では、寄合制度が形成され、そこでは表面的には村の取り決めや自治が行われていたが、本質的には村の人々との知識の共有がメインだった。
    今から120.130年前は、読み書きができない人の方が多く、読み書きができるひとの役割が非常に大きかった。そのような人々は、正確に...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    「みんなの民俗学」を読んでからまた民俗学づいている。
    民俗学の本、読んでるととても楽しい。なにか知識として身についている気は特にしないが、きっともっと大事な何かが身についているはず!
    民俗学って、「普段の生活」が時間が経つと「学問になる」というのが面白いと思っている。いっそのこと、今この瞬間が既に民...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    人々がまだ世界とつながっていなかった頃のエピソード

    日本各地における特有の文化、風習などが生き生きと書き留められている良書

    人々が混ざらないことによって産まれた凝縮された営みはとても豊かで、健気で、セクシャルだったりする。

    一言でいうと「おおらか」といった感じか。

    ものすごい勢いで変わってい...続きを読む
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    宮本常一による日本観光文化研究所の講義録。
    わたしも少しはものが言えるようになったと思っていたが、この方の膨大な知識量を浴びるとやはり言葉がない。同じ本を読んでこれほどにもゆたかに思索を巡らせるのか。もう少し知識が深まったときもう一度読みたい。
    巻末の赤坂憲雄氏による寄稿が非常に、ひじょーーに興味深...続きを読む
  • 宮本常一 伝書鳩のように
    頭でっかちになりそうなとき、読み返してぴしゃりとほっぺたをぶたれたいような文章。こんなふうに他人を見下さず、地味なものを取りこぼさず、すくい上げて渡せる人になりたい。
  • 忘れられた日本人
    幕末から明治にかけての古老のお話し。貨幣経済が浸透したなかにも、村落共同体のしきたりや明らかな身分差など中世的、封建的な匂いを感じる話しが多い。文明開化を中心とした教科書的な歴史との同時代に、パラレルに存在した民俗学的な景色である。
    近代の価値観では会議は結論が大事であり、性は秘匿し慎むものと相場が...続きを読む
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    バードさんの旅の記録を、日本の民俗学者さんの視点で。
    なかなか興味深い内容。
    講演の記述のらしく、お話を聴いている感じでとても読みやすかった。
    『日本奥地紀行』を「はーん、ほーん、ふーん」(鼻ほじほじ)で読み流してしまった(失礼な)私には、とてもよい解説書だったと思う。