宮本常一のレビュー一覧 塩の道 うらカバー 宮本常一、最晩年の講演 「塩の道」 「日本人と食べ物」 「暮らしの形と美」。 日本人の生きる姿を庶民の中に求めて村から村へと歩きつづけた著者の膨大な見聞と体験が中心になっている。 日本文化の基層にあるものは一色でなく、 いくつかの系譜を異にするものの複合と重なりであるという独自...続きを読むの史観が随所に読みとれ、 宮本民俗学の体系を知る格好の手引き書といえよう。 Posted by ブクログ 日本文化の形成 宮本常一の未完の遺著である。柳田国男の『海上の道』とおなじくらい壮大な意図をもって書かれた書物と思われる。したがって柳田の同著と同様に、民俗学の通常のテリトリーを超え、むしろ歴史学に近づく。ただし宮本は柳田の仮説よりはもっと常識的な範疇で提言している。 この本で説かれている、たとえば稲作・畑作の伝来...続きを読む、エゾ=エビス文化のなりゆき等、読んでそれなりに面白くはあるが、やはり歴史学者の専門的な記述にかなうものではないと思う。 この本が未完で終わってしまったのは残念だが、もっと民俗学的なパースペクティヴが生かされた論述を期待していたので、やや不満足を感じてしまった。 Posted by ブクログ 民俗のふるさと この本はこれまで私が読んできた他の宮本常一の本たちと、ちょっと様子が違う。 民俗学は民俗学なのだが、俯瞰的・通史的な観点が入って、歴史学的な著述となっているのだ。町や村の「なりたち」を問うということは、継起した事象の因果関係を追うことであり、それを体系化していくと民俗学とも人類学ともちょっと違う場所...続きを読むに行ってしまうようだ。 私の好みとしては、今回の宮本常一はいまひとつだった。 ちょっと面白かったのは、著者によると「村八分」というのは明治以降、つまりムラが解体しはじめたとき、共同体の維持のためにとられた方策だという指摘だ。 つまり、それ以前はムラの掟にわざわざさからう輩はいなかったのに、明治維新という「近代化」によって個人が自立化し、共同体から離れ始めた。村八分はそれを罰し、共同体を守ろうとしたわけだ。 宮本さんの言うとおり、江戸時代に村八分がなかったかどうかさだかではないが、そうだとすると、近代化=個人主義化=自由化の波にあらがい、共同体はかつての「自然なむすびつき」を失って、懲罰を処する「権力構造」を武装したということになる。それ以前には、共同体は構造的な権力を必要としなかった。 ちょっとおおざっぱな見方になってしまったが、ついでに連想を広げていくと、子供たちの世界に「権力構造」がなく、素朴な結びつきしかないのであれば、「いじめ」もまた存在せずに済むのかもしれないと思った。 Posted by ブクログ 山に生きる人びと 宮本常一の民俗学は、柳田国男のそれとちょっと似ているが、より庶民的な風景を描き出す点が異なる。 柳田民俗学は学術的というよりしばしば随筆的で、文体は極めて文学性が高く、凝縮されたものだった。それに対し、宮本常一の本はずっと平易で、親しみやすい。その文体が、名もない庶民の民俗誌を描出しようとする彼の民...続きを読む俗学的志向とぴったりマッチしている。 この本はサンカ、マタギ、木地屋、平家等の落人など、あえて山に住んだ人びとの生活をテーマとする。彼らは狩猟と採集で食料を得るが、結局それだけでは足りないということで、平地の村落まで降りていって交易する。平野部の水田地帯に定住した人びとに対し、山の人びとは「歩く」ことによってそのノマドぶりをあらわす。 ただしこの本は、興味深いエピソードを持ちながらも、あまり深い探究はなされていないように感じた。 Posted by ブクログ 塩の道 『塩の道』は、 Ⅰ 塩の道 Ⅱ 日本人と食べもの Ⅲ 暮らしの形と美、 初出は昭和54〜56年で、最晩年に行った講演だそう。 とても読みやすい。 そんなに昔でないはずなのに、 知らないことがたくさん書いてあった。 Posted by ブクログ 日本文化の形成 なにかのきっかけで、この本であんなことが書いてあったな、 と思い出せるように頭の引出しの中に入れておけたらいいな。 古代の日本での、稲作の伝来ルートや、人の移動、農耕など、 人々の生活のありようがどうであったかを記した本です。 「秦氏」は侵略によって文化を運んできたのではなく、 必要とされることで...続きを読む文化を伝えた、 といったような記述が心に残っています。 宮本常一さんの、勤勉で実直な様子が文章から読み取れます。 Posted by ブクログ 塩の道 宮本常一の晩年の書である。「塩の道」、「日本人と食べ物」、「暮らしの形と美」からなる。「塩の道」は製塩・釜を作った製鉄・燃料を提供した木材・牛馬での移送などの産業ネットワークを論じている。「食べ物」では、ソバ・トウモロコシ・米・サツマイモ・魚食などを論じている。「形と美」では、家のデザインが舟から来...続きを読むているらしいこと、ワラを使った軟質文化などを論じている。馬での塩の移送は宿が必要だが、牛は道草を食って、野宿で旅ができること、山の民が木を切って川に流し、それを追いかけて海までいき、そこで木を燃やして塩を作ったこと、近江の鉄のネットワークなどを論じている。「食べ物」では、「オカズ」が祭りの日に出される数ある料理のこと、「献立」は酒宴の一献ごとにだされる料理のことだと言っている。「形と美」は日本の貴族は騎馬民族で船にのる民族と協力して渡ってきたらしいことが語られている。十二単衣などは寒いかららしい。日本人が器用だとされるのはワラを使った細工をせねばならなかったからだという。ワラジは三日に一足履きつぶされ、年間で100足必要だった。冬には作られねばならない。 Posted by ブクログ 日本文化の形成 民俗学に関する本としては読みやすく、スラスラと読んでしまいました。内容に関してはどこまで真実なのかさっぱり分からず。 Posted by ブクログ <<<12345678・・>>>