宮本常一のレビュー一覧

  • 山に生きる人びと

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    口伝ぐらいでしか残っていない民俗風習から山岳民という民俗がいたという推論を証明しようとした点が非常にチャレンジング。
    確かに山奥に畑作中心で細々と暮らす集落を見ると「なんでこんなところに住んだんだろ」と思うことはある。山岳民は著者の所詮想像ではあるが、縄文から弥生、朝廷ができて武家社会へという一般的歴史観にそぐわない歴史を歩んだ日本人がいる事は確かだろう。
    ともすればスピリチュアルに陥ってしまう柳田國男的民俗学とは別に、あくまで現実的でリアルな民俗の成り立ちを捉えようとした意欲作。なぜ山で暮らしたか、そしてなぜ山から下りたか。それは決して精神論や綺麗事では語れない現実的な理由があったはずだ。

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    2025年02月27日
  • 忘れられた日本人

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    日本各地のお年寄りのお話です。風俗、農民の暮らしぶりなど、興味深い内容です。でも途中までしか読めてません。

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    2025年02月09日
  • 忘れられた日本人

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    一日を大事に生きる
    損得を考えず黙々と働く
    人の役にたつ、人を面白がって噂話をしない
    文字の知識での生活が違う時代
    人と比べず自分と周りの生活を大切にする
    忘れてはいけない真摯さ、思いやりがあります

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    2024年08月11日
  • 忘れられた日本人

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    昭和の初めに地方を巡り老人たちから村の伝承や風習などを聞いて回り集めた話。歴史や石碑なんかには刻まれないけれど、そこにある生活、喜びや悲しみや笑いや涙や知恵のようなもの、もしかしたら読むことも知ることもできなかったかと思うと少し感慨深い。

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    2024年07月28日
  • 忘れられた日本人

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    机上の話ではない。実際に聞き書きして著わされたことに価値がある。1人の人生が「日本人」の全てではないが、1人の日本人の真実ではある。

    気をつけなければならないのは、これは一つの時代の、主に西日本の農村部で聞き書きされたものであるということ。
    しかも相当プライベートな内容である。
    現代の農村の事情と異なることは当然だが、誰にでも話す内容ではない。このような貧困からくる人生やおおらかな性は、今も表には出てこないだろう。
    記録された人たちは、歴史の中の人々として今も生き続ける。

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    2024年12月15日
  • 忘れられた日本人

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    丁寧に綴られる生活誌。
    人の歩み、真の進歩とは。

    ・寄りあいと年より
    ・生き方、生活そのものが民話。

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    2024年08月16日
  • 忘れられた日本人

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    ネタバレ

    100分で名著で取り上げられていたので読んでみた。
    柳田國男の遠野物語を少し読んだことがあった。番組で解説していた、柳田のそのような視点とは違い、人々の日々の生活がどのように営まれていたかに着目した、という点が、わたしにとっては親しみやすく面白かった。
    序盤の方でこの本で語られていることへの興味がぐっと大きくなった一文がある。
    「ラジオも新聞もなく土曜も日曜もない、芝居も映画も見ることのない生活がここにはまだあるのだ」(p.27)

    正確な年はわからないけど、100年ほど前の日本の端っこには、こんな生活が残っていたんだと、著者が出会った人々のことを知って驚いた。
    朝起きて畑仕事をして、ご飯を食

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    2024年07月06日
  • 忘れられた日本人

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    名もない人々の日常を聞き書き。
    人びとの生きた記録が、文学作品のような読み応えになる。
    土佐源氏は読んでしばらく噛み締めちゃった。それから94pからの、和さんのエピソードがとても好き。

    他の方も感想に書いてるけど、昔の日本人の意識って「女の子は慎み深く」「嫁いり前なんだから不用意に男の人とお話ししちゃいけません」みたいなものだと思ってたけど、思った以上に強くておおらか(?)で意外だった。思えば民謡の歌詞とか聴くとわりと大らかで下ネタも満載だから、まあ、そういうものなのか。この辺のことは地域や時代、社会的立場も関係するのかな。

    聞き書きの良さを感じたものの、同時に思うのは、どの程度、開示され

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    2023年12月01日
  • 宮本常一 伝書鳩のように

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    読みやすさ ★★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★

    「すばらしい食べ方より」「土佐源氏」「私の祖父」がおもしろかった。

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    2023年09月30日
  • 山に生きる人びと

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    読みやすさ ★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★★★

    山の中というと静かなイメージがあるが、実はさまざまな人びとがそこに住み、時には他の山の民や権力者たちと闘争しながら、生きていたことを知った。最後は弥生式時代人と縄文式時代人の対立の歴史にも言及するダイナミックな著作。
    何度かチャレンジして今回ようやく完読した。正直なところ、あまり読みやすくはない。その原因は長い段落の多いことがあるが、鉛筆片手に段落内で大きく意味が切れるところに印をつけながら読んでいくと、だいぶわかりやすくなった。久しぶりに読み応えのある本を読んだ。

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    2023年08月18日
  • 海に生きる人びと

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    海を生計の糧として、ときには船の上に住まった人々は、どこからきてどこに行ったのか。「海に生きる人びと」の歴史をたどった著作。

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    2023年08月11日
  • 塩の道

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    日本の文化や歴史を、庶民の生活の視点から調べてまとめてある本は、とても貴重で、興味深かった。

    ・確かに塩はどこでも採れるわけではないけど、人体に必要不可欠であり、ないと生きていけない。当時の流通網を調べるには、とてもいい糸口だと思った。

    ・日本の人口は中国などと比べて、過去二千年の間に大きな増減をすることなく、緩やかに増え続けてきた。戦争をする者/食糧を生産する者が分けられていたからだ。

    ・日本の食糧自給が安定していた理由として、民衆が戦争から離れたところに存在していたことがあるが、民衆の生活の工夫が続けられてきたことも大きい。
    米だけではなく、その土地の特徴に合わせて新しい作物を民間レ

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    2021年11月23日
  • 海に生きる人びと

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    あとがきに書かれているように日本人の多くが海に関して無関心だという、そのせいか、散文的に感じて読みづらくずいぶん時間がかかってしまった。
    エビス神が漂着神としての性格をもつというのは興味深い。

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    2019年01月14日
  • 海に生きる人びと

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    陸に住む者に比して、異質な文化、生活体系を持っている(持っていた)海に生きる人びと・・・。宮本常一 著「海に生きる人びと」、1964.8刊行、2015.7文庫化です。造船、海運、漁業の歴史ではなく、船をつくり、船を乗りまわし、魚をとった人たちの歴史を明らかにしたものです。瀬戸内海沿岸で育った私ですが、確かに、船を家にして学校に通ってた生徒がいました。瀬戸内海が穏やかで一年中漁稼ぎができるからでしょうね。時に海賊(水上水軍)としても出没したようですが~。九州北西、志摩、房総半島など海人漁村も詳しい記述が。

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    2017年07月26日
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

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    ネタバレ

    宮本常一がイザベラ・バードの「日本奥地紀行」を解説している。
    「日本奥地紀行」は明治11年にイザベラが横浜~北海道を旅した話であり、宮本が全国を調査した経験を元に、イザベラが話す明治の地方の暮らしを補足していくスタイルとなっている。

    ●彼らはめったに着物を洗濯することはなく・・・夜となく昼となく同じものをいつも着ている。(奥地紀行)
    一年に一枚くらいの割合で着破ったと考えられるのです・・・着物一人分の一反を織るのにだいたい一ヶ月かかるとみなければならない・・・働いている上にそれだけのことをしなければならないのです。(宮本)
    ●日本人に病気が多い・・・その大部分の病気は、着物と身体を清潔にして

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    2016年01月15日
  • 塩の道

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    ネタバレ

    人間にとって不可欠な「塩」を手に入れるため、昔の日本人がどのような手段を取っていたかが紹介されています。中でも、山の中に住む人々が塩を手に入れるため、木を伐って川に流し、河口まで行ってその材木を拾って焼いて塩を取っていたというのは衝撃でした。そこまでの苦労をしないと塩を手に入れられなかったというのがすごいなと。
    これ以外にも、日本での製塩方法がいくつか紹介されていて、その辺の雑学も楽しいです。

    著者によると、塩の道はかつては牛が踏み固めた道であり、道草が牛によって食われた道であるとされています。つまり、その先に必ず何かがあると確定している道であり、旅人はそれを頼りに道を進んでいったことになり

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    2015年12月31日
  • 生きていく民俗 生業の推移

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    ネタバレ

    物々交換〜行商が、この国の商売のルーツであり、各地の営みと生業(なりわい)が丹念に綴られる。 『芸事』も、施しを受けて来た“流浪の民”が、生きていく為の『売り物』として成り立って来たという説も興味深い。 夏休みの自由研究的に、民俗学を“かじり知った”一冊。

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    2015年09月01日
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一

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    日本民族学の大家の4人の作品集
    南方熊楠・柳田國男・折口信夫・宮本常一
    南方熊楠は、『神社合祀に関する意見』
    各地の神社が廃止されていくことに強い危機感を
    もって意見書として書いてあるもの。神社をはじめ
    日本における宗教的施設の役割や重要さ、もしくは
    それが亡くなってしまう場合の民族として失う
    ものを体系だてて整理して書かれてある。
    少し難解ではありますが、とても趣のある内容で
    あると思います。
    柳田國男は民族史や古代からの日本の成り立ちに
    ついての考え方や意見、考察がのべられている。
    『海上の道』『根の国の話』『何をきていたか』
    『酒ののみようの変遷』
    折口信夫は、『死者の書』貴族の生活と仏

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    2015年06月21日
  • 生きていく民俗 生業の推移

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    人々の生活の歴史が詳細に描かれている。

    杉は近世になると桶や樽の材料として利用されるようになり、都市で酒が作られるようになると、吉野熊野で大量の樽材が求められた(樽の記述は水の文化史にもあり)。

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    2022年03月19日
  • 日本文化の形成

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    日本書紀で神が出雲にやってきたときに、そこにいたとされるコトシロヌシ(事代主)を後世の人はエビス神としてまつった。古くから日本列島に住んでいた人々がエビスと呼ばれたと考える。

    中国の夏は東南アジア系の人々の王朝で、祖先神として蛇身の水神(竜)をまつった(岡田英弘「倭国」)。越人は夏の王の後裔であると言い、体に入れ墨をして米と魚を常食とする海洋民族だった。倭人は越人の一派に属するとも考えられる。揚子江や西江では、船を家にし、鵜を利用して魚をとる人々がいる。

    日本列島で国家を形成したのは、新たに海の彼方から強力な武器を持って渡来してきた人たちであり、東南アジアの海岸から北上してきた海洋民と考え

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    2018年10月31日