宮本常一のレビュー一覧

  • 山に生きる人びと

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    特にお気に入りなのが【木地師】について。まるで妖怪のような扱いを受けていて面白い人達だった(本著での言われようも)。

    個人的に民俗学が好きなので、項目の一つずつにもっと情報が欲しいなと思いつつも楽しく読めた。これをきっかけに気になった言葉は己で調べて深掘りしていこうね、という足掛かり的な一冊。

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    2026年08月11日
  • 忘れられた日本人

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    「私の祖父」や「文字をもつ伝承者(1)」などお気に入りの話があったが極め付けはみんな大好き「土佐源氏」。土佐源氏の猥談?色懺悔?はなんとも味わい深い。土佐源氏こそ後世に遺されるべき逸話だと思った。
    それぞれの語り手の人となりは面白く、その考え方には感心させられる。

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    2026年01月03日
  • 塩の道

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    日本の民俗学の本。三部構成で塩の話、食べ物の話、暮らしの話の三つ。身近過ぎてあまり考えない自分が暮らす国のそれぞれの地域に根付いて生活する人たちの知恵や工夫の歴史。

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    2025年12月20日
  • 忘れられた日本人

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    -こうした貧農の家の日常茶飯事についてかかれた書物というものはほとんどなくて、やっと近頃になって「物いわぬ農民」や「民話を生む人々」のような書物がではじめたにすぎないが、いままで農村について書かれたものは、上層部の現象や下層の中の特異例に関するものが多かった。そして読む方の側は初めから矛盾や悲壮感がでていないと承知しなかったものである(「私の祖父」)

    -村里生活者は個性的でなかったというけれども、今日のように口では論理的に自我を云々しつつ、私生活や私行の上ではむしろ類型的なものがつよく見られるのに比して、行動的にはむしろ強烈なものをもった人が年寄りたちの中に多い。これを今日の人々は頑固だと言って片付けている。(「世間師(一)」)

    -文字を持つ人々は、文字を通じて外部からの刺戟にきわめて敏感であった。そして村人として生きつつ、外の世界がたえず気になり、またその歯車に自己の生活をあわせていこうとする気持がつよかった。(「文字をもつ伝承者(一)」)


    宮本常一の民俗学の金字塔といわれる著書。

    巻末の網野善彦氏の解説によると、宮本氏は、客観的なデータを整理・分析する従来の民族誌よりも、「生きた生活」をとらえることを目指したということで、分析的な記述よりも、地方村落のお年寄から聞いたことやフィールドワークの体験がそのまま記録されている。

    太平洋戦争直後の昭和20〜30年代に調査は実施された。
    東京の文壇ではちょうど同じ頃に小林秀雄が『ゴッホへの手紙』を書いたが、その当時の地方村落は、まだ中世のような生活だった。
    地方の村落と言うのは、文明では都市部から100年近く遅れているようで、素朴なやり取りに、ほっこりと里山の空気を感じる。

    動物や虫を支配するのではなく共に生き、性愛に風流を感じ、目に見えない神を尊ぶ、などが日本の特徴だろう。
    西洋文明では、人は自然を支配し、純潔を重んじ、一神教、となる。

    現代の日本が西洋と同じとは勿論言わないが、昔に比べてその傾向に近づいていることは間違いない。
    科学技術や目に見える文化だけでなく、人間の頭の中もそのように変わるものだと改めて知った。
    『源氏物語』の風流は、庶民にも存在したのかもしれない。

    印象的だったのは、対馬である老人を訪ねた際のやりとりだ。

    老人「あんたァどこじゃね」
    宮本「東京の方のもんじゃがね…」
    老人「へえ!天子様のおらしゃるところか。天子さまもこんどはむごいことになりなさったのう」

    太平洋戦争敗戦について天皇を気遣う言葉だが、あっさりとどこか他人事のようで、自分が所属する国が他国との戦争に負けた、という実感は感じられない。
    そもそも、「国家」というものが機能や組織として意識されていない。
    都市部の戦争体験と言えば、空襲を受け、日の丸を掲げ、プロパガンダ新聞を読んで他国への憎悪を燃やす、と悲壮な画が浮かぶが、
    それに比べて、「天皇かわいそうだったねー」というこの遠めの距離感。

    国家や政府によって作られた物語に煽られず流されない、都市住民にはない素朴な人間の聡明さを感じた。

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    2025年10月19日
  • 忘れられた日本人

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    一昔前の日本の村の生活や風習を記録した書籍。少し慣れるのに時間がかかったが、貧しくて不自由なようでどこか自由そうな人々の生き方や、農村漁村での生活や風習を感じられて一気に読み進んだ。本来好みというほどではないが、何故か手元に置いておきたい一冊。

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    2025年05月04日
  • 山に生きる人びと

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    口伝ぐらいでしか残っていない民俗風習から山岳民という民俗がいたという推論を証明しようとした点が非常にチャレンジング。
    確かに山奥に畑作中心で細々と暮らす集落を見ると「なんでこんなところに住んだんだろ」と思うことはある。山岳民は著者の所詮想像ではあるが、縄文から弥生、朝廷ができて武家社会へという一般的歴史観にそぐわない歴史を歩んだ日本人がいる事は確かだろう。
    ともすればスピリチュアルに陥ってしまう柳田國男的民俗学とは別に、あくまで現実的でリアルな民俗の成り立ちを捉えようとした意欲作。なぜ山で暮らしたか、そしてなぜ山から下りたか。それは決して精神論や綺麗事では語れない現実的な理由があったはずだ。

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    2025年02月27日
  • 忘れられた日本人

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    日本各地のお年寄りのお話です。風俗、農民の暮らしぶりなど、興味深い内容です。でも途中までしか読めてません。

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    2025年02月09日
  • 忘れられた日本人

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    一日を大事に生きる
    損得を考えず黙々と働く
    人の役にたつ、人を面白がって噂話をしない
    文字の知識での生活が違う時代
    人と比べず自分と周りの生活を大切にする
    忘れてはいけない真摯さ、思いやりがあります

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    2024年08月11日
  • 忘れられた日本人

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    昭和の初めに地方を巡り老人たちから村の伝承や風習などを聞いて回り集めた話。歴史や石碑なんかには刻まれないけれど、そこにある生活、喜びや悲しみや笑いや涙や知恵のようなもの、もしかしたら読むことも知ることもできなかったかと思うと少し感慨深い。

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    2024年07月28日
  • 忘れられた日本人

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    机上の話ではない。実際に聞き書きして著わされたことに価値がある。1人の人生が「日本人」の全てではないが、1人の日本人の真実ではある。

    気をつけなければならないのは、これは一つの時代の、主に西日本の農村部で聞き書きされたものであるということ。
    しかも相当プライベートな内容である。
    現代の農村の事情と異なることは当然だが、誰にでも話す内容ではない。このような貧困からくる人生やおおらかな性は、今も表には出てこないだろう。
    記録された人たちは、歴史の中の人々として今も生き続ける。

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    2024年12月15日
  • 忘れられた日本人

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    丁寧に綴られる生活誌。
    人の歩み、真の進歩とは。

    ・寄りあいと年より
    ・生き方、生活そのものが民話。

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    2024年08月16日
  • 宮本常一 伝書鳩のように

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    読みやすさ ★★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★

    「すばらしい食べ方より」「土佐源氏」「私の祖父」がおもしろかった。

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    2023年09月30日
  • 山に生きる人びと

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    読みやすさ ★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★★★

    山の中というと静かなイメージがあるが、実はさまざまな人びとがそこに住み、時には他の山の民や権力者たちと闘争しながら、生きていたことを知った。最後は弥生式時代人と縄文式時代人の対立の歴史にも言及するダイナミックな著作。
    何度かチャレンジして今回ようやく完読した。正直なところ、あまり読みやすくはない。その原因は長い段落の多いことがあるが、鉛筆片手に段落内で大きく意味が切れるところに印をつけながら読んでいくと、だいぶわかりやすくなった。久しぶりに読み応えのある本を読んだ。

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    2023年08月18日
  • 海に生きる人びと

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    海を生計の糧として、ときには船の上に住まった人々は、どこからきてどこに行ったのか。「海に生きる人びと」の歴史をたどった著作。

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    2023年08月11日
  • 塩の道

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    日本の文化や歴史を、庶民の生活の視点から調べてまとめてある本は、とても貴重で、興味深かった。

    ・確かに塩はどこでも採れるわけではないけど、人体に必要不可欠であり、ないと生きていけない。当時の流通網を調べるには、とてもいい糸口だと思った。

    ・日本の人口は中国などと比べて、過去二千年の間に大きな増減をすることなく、緩やかに増え続けてきた。戦争をする者/食糧を生産する者が分けられていたからだ。

    ・日本の食糧自給が安定していた理由として、民衆が戦争から離れたところに存在していたことがあるが、民衆の生活の工夫が続けられてきたことも大きい。
    米だけではなく、その土地の特徴に合わせて新しい作物を民間レベルで積極的に受け入れてきたこと。
    トチやドングリなどの実のなる木を代々管理し続けて飢饉を乗り切ったこと。
    山間部で発達した発酵食品などの保存食の知恵などなど…長い間、民間で繰り返されてきた努力と工夫で、日本の文化はできている。

    現在は平和な世の中で飢えとは縁遠い生活をしており、生きるためというより、楽しむための食になっている。
    ただ、また戦争などでいつ自給自足の生活に戻らないといけない日がくるか分からない。そんなときのために、自分で生きていくための食糧を得るための伝統的な文化はある程度伝承していかなければいけないんだなと思った。

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    2021年11月23日
  • 海に生きる人びと

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    あとがきに書かれているように日本人の多くが海に関して無関心だという、そのせいか、散文的に感じて読みづらくずいぶん時間がかかってしまった。
    エビス神が漂着神としての性格をもつというのは興味深い。

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    2019年01月14日
  • 海に生きる人びと

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    陸に住む者に比して、異質な文化、生活体系を持っている(持っていた)海に生きる人びと・・・。宮本常一 著「海に生きる人びと」、1964.8刊行、2015.7文庫化です。造船、海運、漁業の歴史ではなく、船をつくり、船を乗りまわし、魚をとった人たちの歴史を明らかにしたものです。瀬戸内海沿岸で育った私ですが、確かに、船を家にして学校に通ってた生徒がいました。瀬戸内海が穏やかで一年中漁稼ぎができるからでしょうね。時に海賊(水上水軍)としても出没したようですが~。九州北西、志摩、房総半島など海人漁村も詳しい記述が。

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    2017年07月26日
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

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    ネタバレ

    宮本常一がイザベラ・バードの「日本奥地紀行」を解説している。
    「日本奥地紀行」は明治11年にイザベラが横浜~北海道を旅した話であり、宮本が全国を調査した経験を元に、イザベラが話す明治の地方の暮らしを補足していくスタイルとなっている。

    ●彼らはめったに着物を洗濯することはなく・・・夜となく昼となく同じものをいつも着ている。(奥地紀行)
    一年に一枚くらいの割合で着破ったと考えられるのです・・・着物一人分の一反を織るのにだいたい一ヶ月かかるとみなければならない・・・働いている上にそれだけのことをしなければならないのです。(宮本)
    ●日本人に病気が多い・・・その大部分の病気は、着物と身体を清潔にしていたら発生しなかったであろう・・・(奥地紀行)
    日本人はきれい好きである、風呂好きであると言いますが・・・村へ入ってみると風呂のないところが非常に多かったのです・・・戦前はすごく垢を溜めた子が多かったし、特に洟をたらし、それを袖で拭くものですから袖口のぴかぴか光った服を着ている子が多かったのです。(宮本)
    ●昔アイヌ人は弓矢・槍・ナイフで戦ったが、彼らの英雄神である義経が戦争を永久に禁止したので、それ以来は両刃の槍は熊狩りに使われるだけになった・・・(奥地紀行)
    「義経記」がアイヌの世界に入っていって、ここでユーカラと同じように語り継がれたのです。源義経は北海道へ行きアイヌの世界に入り、そこで英雄として祀られた。
    アイヌはかつて北海道で一つの統一体をなしていたことがあった。北方民族と戦って、その時の様子をうたったのがユーカラなのだ。少数民族の場合、琉球王国は形成され、アイヌは国家的要素をかえって解体させていった。(宮本)

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    2016年01月15日
  • 塩の道

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    ネタバレ

    人間にとって不可欠な「塩」を手に入れるため、昔の日本人がどのような手段を取っていたかが紹介されています。中でも、山の中に住む人々が塩を手に入れるため、木を伐って川に流し、河口まで行ってその材木を拾って焼いて塩を取っていたというのは衝撃でした。そこまでの苦労をしないと塩を手に入れられなかったというのがすごいなと。
    これ以外にも、日本での製塩方法がいくつか紹介されていて、その辺の雑学も楽しいです。

    著者によると、塩の道はかつては牛が踏み固めた道であり、道草が牛によって食われた道であるとされています。つまり、その先に必ず何かがあると確定している道であり、旅人はそれを頼りに道を進んでいったことになります。その意味でも、塩が通る道は非常に重要だったことが分かります。

    この本では、塩以外にもサツマイモの安定供給によって江戸時代の人口が急増し、様々な職業が増えていったことや、畳が発明されたことで座ったまま生活をするようになり、食事が膳になってそこから幕の内弁当が作られるようになったことなどが紹介されています。塩の道以外のテーマについてはあまり詳しくないですが、面白い情報がいくつも入っている本です。

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    2015年12月31日
  • 生きていく民俗 生業の推移

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    ネタバレ

    物々交換〜行商が、この国の商売のルーツであり、各地の営みと生業(なりわい)が丹念に綴られる。 『芸事』も、施しを受けて来た“流浪の民”が、生きていく為の『売り物』として成り立って来たという説も興味深い。 夏休みの自由研究的に、民俗学を“かじり知った”一冊。

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    2015年09月01日