宮本常一のレビュー一覧

  • 忘れられた日本人
    著者が、日本各地の村を訪ねて、そこでの見聞をまとめた説話集のようなもの。こういうのを読むと、民俗学というのは面白いものだと思う。
    今から百年ぐらいしか経っていない時代のだけれど、現代から考えてみると随分と違っているもので、その、開放性と閉鎖性を両方持った「村」という共同体の極端さと奇妙さは、驚くこと...続きを読む
  • 忘れられた日本人
    名もない人々の日常を聞き書き。
    人びとの生きた記録が、文学作品のような読み応えになる。
    土佐源氏は読んでしばらく噛み締めちゃった。それから94pからの、和さんのエピソードがとても好き。

    他の方も感想に書いてるけど、昔の日本人の意識って「女の子は慎み深く」「嫁いり前なんだから不用意に男の人とお話しし...続きを読む
  • 宮本常一 伝書鳩のように
    読みやすさ ★★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★

    「すばらしい食べ方より」「土佐源氏」「私の祖父」がおもしろかった。
  • 山に生きる人びと
    読みやすさ ★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★★★

    山の中というと静かなイメージがあるが、実はさまざまな人びとがそこに住み、時には他の山の民や権力者たちと闘争しながら、生きていたことを知った。最後は弥生式時代人と縄文式時代人の対立の歴史にも言及するダイナミックな著作。
    何度かチャレンジして...続きを読む
  • 海に生きる人びと
    海を生計の糧として、ときには船の上に住まった人々は、どこからきてどこに行ったのか。「海に生きる人びと」の歴史をたどった著作。
  • 忘れられた日本人
    庶民の生活を描き出すことで、今日の文化を築き上げてきた生産者のエネルギーはどういう人間関係や環境の中から生まれて出てきたのかを探る。『忘れられた日本人』1960

    ✳︎性に奔放な庶民の女性たち。cf. ルイス・フロイス『ヨーロッパ文化と日本文化』1585
  • 忘れられた日本人
    宮本常一という民俗学者が日本全国を旅しながら、その土地のお年寄りから聴いた話をまとめたもの。

    明治、大正を生き抜いたある意味自分の祖父母の若い時代はちゃんとしっかり若者で、自分の足で様々な所に旅したり、出稼ぎに出たり、ずっとアクティブだったんだと実感。

    性に関しても現代よりもずっと奔放な感じでそ...続きを読む
  • 塩の道
    日本の文化や歴史を、庶民の生活の視点から調べてまとめてある本は、とても貴重で、興味深かった。

    ・確かに塩はどこでも採れるわけではないけど、人体に必要不可欠であり、ないと生きていけない。当時の流通網を調べるには、とてもいい糸口だと思った。

    ・日本の人口は中国などと比べて、過去二千年の間に大きな増減...続きを読む
  • 海に生きる人びと
    あとがきに書かれているように日本人の多くが海に関して無関心だという、そのせいか、散文的に感じて読みづらくずいぶん時間がかかってしまった。
    エビス神が漂着神としての性格をもつというのは興味深い。
  • 海に生きる人びと
    陸に住む者に比して、異質な文化、生活体系を持っている(持っていた)海に生きる人びと・・・。宮本常一 著「海に生きる人びと」、1964.8刊行、2015.7文庫化です。造船、海運、漁業の歴史ではなく、船をつくり、船を乗りまわし、魚をとった人たちの歴史を明らかにしたものです。瀬戸内海沿岸で育った私ですが...続きを読む
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
    宮本常一がイザベラ・バードの「日本奥地紀行」を解説している。
    「日本奥地紀行」は明治11年にイザベラが横浜~北海道を旅した話であり、宮本が全国を調査した経験を元に、イザベラが話す明治の地方の暮らしを補足していくスタイルとなっている。

    ●彼らはめったに着物を洗濯することはなく・・・夜となく昼となく同...続きを読む
  • 塩の道
    人間にとって不可欠な「塩」を手に入れるため、昔の日本人がどのような手段を取っていたかが紹介されています。中でも、山の中に住む人々が塩を手に入れるため、木を伐って川に流し、河口まで行ってその材木を拾って焼いて塩を取っていたというのは衝撃でした。そこまでの苦労をしないと塩を手に入れられなかったというのが...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    物々交換〜行商が、この国の商売のルーツであり、各地の営みと生業(なりわい)が丹念に綴られる。 『芸事』も、施しを受けて来た“流浪の民”が、生きていく為の『売り物』として成り立って来たという説も興味深い。 夏休みの自由研究的に、民俗学を“かじり知った”一冊。
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一
    日本民族学の大家の4人の作品集
    南方熊楠・柳田國男・折口信夫・宮本常一
    南方熊楠は、『神社合祀に関する意見』
    各地の神社が廃止されていくことに強い危機感を
    もって意見書として書いてあるもの。神社をはじめ
    日本における宗教的施設の役割や重要さ、もしくは
    それが亡くなってしまう場合の民族として失う
    もの...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    人々の生活の歴史が詳細に描かれている。

    杉は近世になると桶や樽の材料として利用されるようになり、都市で酒が作られるようになると、吉野熊野で大量の樽材が求められた(樽の記述は水の文化史にもあり)。
  • 日本文化の形成
    日本書紀で神が出雲にやってきたときに、そこにいたとされるコトシロヌシ(事代主)を後世の人はエビス神としてまつった。古くから日本列島に住んでいた人々がエビスと呼ばれたと考える。

    中国の夏は東南アジア系の人々の王朝で、祖先神として蛇身の水神(竜)をまつった(岡田英弘「倭国」)。越人は夏の王の後裔である...続きを読む
  • 塩の道
    明治時代の日本人の暮らしとは隔世の感がある。

    本書は昭和50年代に書かれている。
    日本全国を訪ね歩き調査するときに話を聞いた地元の長老はまだ明治生まれが健在であった。

    現在では戦前の話を聞くことすら難しいだろう。
    そういった意味で、すでにかつての日本の姿を新たに見つけ出すのは不可能だ。
    昔の日本...続きを読む
  • 周防大島昔話集
    宮本常一民俗学の根本ともいうべき、周防大島の説話集。
    シンデレラやジャックと豆の木との類似話があったりオチの無い昔話もあったりと続けて読むには辛いけど、パラパラめくるには大変楽しい。
  • 塩の道
    ・牛の大きな産地は西日本にあった。牛が東で飼われるようになったのは戦後。
    ・鎌倉時代、国々に地頭が置かれ、鎌倉の御家人が警察権と租税の徴収を行ったが、そこで自分の勢力をもった武士が戦争を起こした。奈良などの寺社勢力が強い場所には武士がいなかったため、戦争も起きていない。
    ・トウモロコシは根が深く下り...続きを読む
  • 塩の道
    専売制であった塩について、知りたいなと思い購入。専売制時代のお話はほとんどありませんでしたが、興味深い内容がたくさんあった。

    3部構成で、「塩の道」「日本人と食べ物」「暮らしの形と美」からなる。

    日本は、内陸に塩井なるものや岩塩などを存在しなかったため、海岸で塩を造作りそれを内陸まで輸送していた...続きを読む