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日本各地を歩き、漂泊民や被差別民、歴史の表舞台に姿を表さなかった無名の人々の営みや知恵に光を当てた「野の学者」宮本常一。膨大な著作のエッセンスを一冊に集成。
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Posted by ブクログ
民俗学、やはり最高。 あとがきで自分を卑下しまくっているが、日本全国を歩き、普通の人達の普通の暮らしを書き残したものを我々が読めるというだけで圧倒的に偉業なんですよね。 しかも読んでてとてもおもしろい。 昔の人は性についておおっぴらに話しまくっていたことや、季節の折に玄関を訪れる旅芸人や、祭りだけ...続きを読むが年通して少ない娯楽だったこと、海から遠い地域では塩がとても大事だったこと、昔の人は基本的に生活に必要な小物はすべて自分たちで作っていたこと、食事は主菜副菜というのではなく、芋だけとかそういうものも多かったことなどなど、少しだけ前のはずなのに、今の生活とは圧倒的に違う庶民の生活をとてもリアルに感じることができる。 更に、著者の父母の人生を語ることで、自分を通して民俗学を語るというわかりやすさ。すごくためになる。やっぱり民俗学って面白いよな、という思いを改めて感じられる良書だった。 この人の写真も相当民俗学的価値が高いらしいのと、単純に良い写真に見えるので今度写真集も買おうと思う。
頭でっかちになりそうなとき、読み返してぴしゃりとほっぺたをぶたれたいような文章。こんなふうに他人を見下さず、地味なものを取りこぼさず、すくい上げて渡せる人になりたい。
読んでみたいと思っていた平凡社スタンダードブックス。 装丁といいサイズ感といい、これはまた美しい本を生み出されたものだなあとため息です。 宮本常一の、この語りの力というか視線に宿る隈ない優しさって涙が出そうになります。 中でも「女の世間」と「土佐源氏」のあけすけなエロ話は、女や貧民に悲愴な役割を押し...続きを読むつけたり敢えて見出そうとしない、そういう強さを感じるのですが、きっと深読みですね。 とても良い本でした。
柳田に続く民俗学者として、名前だけはよくよく知っていた人。 でも、実は何も知らなかった人。 勝手に、流浪の人のイメージだったけど、そうではなかった。 聞き書きの部分も多いのに、客観的なきちんとした印象の文体だった。それでいて、対象を突き放しているわけではない。 地に足がついているというか、民を深く理...続きを読む解しているという安定感がある。 どの聞き書きも物語としてとても面白かったし、そこに考察が加わって論となったものは、さらに興味深かった。
読みやすさ ★★★ 面白さ ★★★ ためになった度 ★★ 「すばらしい食べ方より」「土佐源氏」「私の祖父」がおもしろかった。
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宮本常一 伝書鳩のように
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