宮本常一のレビュー一覧
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民俗学者、宮本常一の代表作。主に宮本常一が戦後、聞き取り調査を行った農村の古老たちの話をまとめたもの+α。
語られている内容は明治から昭和にかけての農村に暮らす市井の人々の日々の営みの中でも個人史や世間話のようなもの。いずれも面白いが読んだ印象は民俗学の本というよりは、もっと文学的な読み物といったほうが近い。有名な橋の下で乞食として暮らす元馬喰の色懺悔とでもいうべき「土佐源氏」は現在では宮本常一の創作であったとする説が有力であるようだが、それはそうかもなという感じ。
村の意思決定機関である寄り合いの実態や、世間師といわれる村と外部をつなぐ共同体の異端的な存在の話や、女達のエロ話や娘の家出の話、 -
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社会に生業が生まれ、家業となり、やがて職業へと移り変わる。
そんな大きな流れを描いた本。
いつの間にか持っていたイメージのいくつもが、本書によってくつがえされた。
印象的だったのは、かつていたという押し売りのこと。
自分は「サザエさん」の中でしかその存在を知らない。
今話題なのは「押し買い」だが、押し売りもその手の「悪徳業者」「詐欺業者」だと思ってきた。
ところが、本書によれば、かつては相互扶助のようなものであったらしい。
自給自足でやっていけない土地で、凶作が起こったりすることで流浪の民が生まれる。
乞食になることをよしとせず、食べ物などをめぐんでもらう形ばかりの対価として、粗末であ -
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ネタバレ
道ばたに倒れ伏すものは数かぎりなく、はじめのうちこそ死体を埋めていたが、まもなくだれ一人としてかえりみるものはなくなった。いたるところに犬やカラスがむらがって、死体を食いちらす光景がながめられた。
この飢饉のときといえども人間が家畜に近かったのではなく、家畜が人間に近かったのである。
飢えの記録 より
明治十二年九月十三日埼玉県北足立郡中尾村の農民はコレラ流行防衛のために、県が避病院に患者を隔離しようとしたのに対し、村民は患者の生肝をとるのだと誤解しこれを妨害した。
新潟県西蒲原郡では消毒薬をまくのを毒薬を撒布すると誤解して暴動を起こしている。
そこには、無知の暗黒と、じぶんた -
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バードの『日本奥地紀行』を、つっかえながら、しかしもう半年以上、読み終えられず。
今、青森あたりを、バードとともにうろうろしている(苦笑)。
いや、読みはじめたら面白いと思うところもあるのだが、なかなか手が伸びない。
これを打開するには、優れた先達あれ、と思い、本書を手にする。
この本を読むと、バードの紀行文のどこを面白がっていいか、とてもよくわかる。
自分だけでは、「へ~、当時はそうだったんだ」で終わってしまう。
それが、博識の宮本さんから、次々と関連情報が示されるので、バードの記述が立体的に見えてくる。
例えば。
バードが宿屋で障子に穴をあけて覗かれることに閉口する記述は有名だ。
彼女 -
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宮本民俗学なるものを一度くらい読んでみようと思って。話し口調で説明もわかりやすく、たいへん読みやすかった。
塩水をそのまま煮詰める方法から揚浜式へ、石釜方式へ。
山から材木を流してそれを海に行って焼く。材木と塩の物々交換。麻をさらすための軽い灰を売って塩を焼く。牛で塩を運ぶ。細い道の道草を食わせる。人の背で運ぶ、塩魚を売る。
米の伝来、騎馬民族、壺の発達、畳の発明、一つ一つの営みを合理的に限られた中でやっていくことに、文化の繋がりや社会制度が見えてきて面白い。
民俗学に詳しくないからこの見解がどこまで正しいのかわからないけど。
P200
それは、そこにいる人たちのたんなる美意識というよりも