宮本常一のレビュー一覧

  • 忘れられた日本人

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    江戸末期から昭和初期くらいのかつての日本人の暮らしが書かれている。寄り合い、村の意思決定、女性の役割、娯楽としての歌や踊りや性など、そもそも人の暮らしとはこうだろうなと思えて、視野が広がった感じ。あるがままに生きることが良いことだと感じる。

    記録するのは未来のため

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    2024年09月12日
  • 塩の道

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    読みやすい文章
    商圏や文化圏が
    どう伝わって
    どう広がっていったか
    イメージしやすく
    分かりやすい
    それにしても
    ほんの少し前の世代の話なのに
    全く知らない事が多い
    そういう情報が
    途絶えてしまっているのは
    悲しい事だ

    とよたブックマーケット内
    積ん読屋にて購入

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    2022年10月21日
  • 塩の道

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    宮本常一氏の晩年の講演をまとめた一冊。「塩の道」「日本人とたべもの」「暮らしと形の美」の三篇を収録。
    日本全国を歩き回って得た知識を縦横無尽に駆使して、新たな宮本常一ワールド紬上げる、魔法のようです。

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    2022年09月18日
  • 忘れられた日本人

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    江戸や明治の頃の田舎(主に四国や九州)の庶民の暮らしというと、貧しく虐げられたものというステレオタイプなイメージしか持っていなかった。
    そこに住む生き字引のような翁や婆のいきいきとした実話はどれも興味深い。

    ■女の世間
    世間を知るために、女性でも山口から四国まで旅をする慣わしがあった。下半身に下着をつけずに歌を歌いながら田植えをして観音様と呼ばれた農婦の話。下世話でおもしろい。

    ■土佐源氏
    盲目で80歳過ぎのヤクザな翁の話。ばくろうというちょっと悪い牛をいい牛にとりかえる仕事をして、社会コミュニティに属せず、貧しくもフリーな立場だった。あちこちの女性に親切にして手を出した話など、下衆す

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    2024年02月02日
  • 日本残酷物語 2

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    島に生きる人々、というのが一番印象深い。壱岐対馬の部分だけでも読む価値がある。山の騒動では、一揆が資料をもとにして説明している。50ページもあるが、本書の趣旨からは外れているような感じがした。
     文字は大きいのだが、活字が古く、紙が黄色いので、読むのに意外と時間がかかる。

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    2022年06月30日
  • 宮本常一 伝書鳩のように

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    読んでみたいと思っていた平凡社スタンダードブックス。
    装丁といいサイズ感といい、これはまた美しい本を生み出されたものだなあとため息です。
    宮本常一の、この語りの力というか視線に宿る隈ない優しさって涙が出そうになります。
    中でも「女の世間」と「土佐源氏」のあけすけなエロ話は、女や貧民に悲愴な役割を押しつけたり敢えて見出そうとしない、そういう強さを感じるのですが、きっと深読みですね。
    とても良い本でした。

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    2022年01月18日
  • 日本残酷物語 1

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    ネタバレ


    道ばたに倒れ伏すものは数かぎりなく、はじめのうちこそ死体を埋めていたが、まもなくだれ一人としてかえりみるものはなくなった。いたるところに犬やカラスがむらがって、死体を食いちらす光景がながめられた。

    この飢饉のときといえども人間が家畜に近かったのではなく、家畜が人間に近かったのである。

    飢えの記録 より


     明治十二年九月十三日埼玉県北足立郡中尾村の農民はコレラ流行防衛のために、県が避病院に患者を隔離しようとしたのに対し、村民は患者の生肝をとるのだと誤解しこれを妨害した。

    新潟県西蒲原郡では消毒薬をまくのを毒薬を撒布すると誤解して暴動を起こしている。

    そこには、無知の暗黒と、じぶんた

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    2021年08月28日
  • 日本文化の形成

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    稲作の伝播、海洋の民と床住居等々。さまざまな観点から日本の起源を知る試み。言葉、語感というものも大切だと改めて思った。

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    2021年07月06日
  • 塩の道

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    元々内陸ではほとんど塩の取れない日本では、山で伐採した木を川に流し、海の河口で回収して薪に使い、海水を煮て得た塩を内陸に持ち帰ったという。生きるための知恵と
    労力を惜しまぬ力技に感動。
    また、そもそも塩魚というのは大量流通によって安くなった塩に付加価値をつけたもので、魚よりも塩を摂取することが本来の目的であったという。1日目は塩を舐め、2日目は頭を食べ、3日目は胴体、4日目に尻尾と大事に食べ分けたとのこと。まさに目からウロコの話し。

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    2021年03月04日
  • 山に生きる人びと

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    私の中でサンカブームがやってきたときに購入。

    定住せずにあちこちに居を移し、竹細工をして、川魚を食べ暮らしていた彼らの生活に思いを馳せながら読みました。

    人間は結構自由な動物だなと思いなおした本。

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    2021年02月11日
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

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    イザベラバードの紀行の原文を読もうと思ったことがあるが、なかなか難しくて理解出来なかった。

    本著はそれをバードが感じた当時の日本文化や習俗について解説をおりまぜて触れているため、とてもわかりやすかった。

    日本人がある種醜い人種とされている一方で、アイヌ民族にバードが共感を得ているところが驚きだった。何より当時の日本の生活レベルの低さに正直驚かされた。

    ノミの大群。ある意味、今の時代に生きれてよかったと思う。

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    2020年12月12日
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一

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    私の好きな池澤夏樹が企画し編集したこの文学全集の中でも、取り上げる対象が南方熊楠、柳田國男、そして宮本常一というこの表紙だけで、購読を決めた。


    宮本常一という人の、日本にかつてあった人々の普通の暮らしを描きとり、描写のみならずそこから俯瞰して、その後の発展との関係を導く巧みさ。

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    2020年07月06日
  • イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む

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    バードの『日本奥地紀行』を、つっかえながら、しかしもう半年以上、読み終えられず。
    今、青森あたりを、バードとともにうろうろしている(苦笑)。
    いや、読みはじめたら面白いと思うところもあるのだが、なかなか手が伸びない。
    これを打開するには、優れた先達あれ、と思い、本書を手にする。

    この本を読むと、バードの紀行文のどこを面白がっていいか、とてもよくわかる。
    自分だけでは、「へ~、当時はそうだったんだ」で終わってしまう。
    それが、博識の宮本さんから、次々と関連情報が示されるので、バードの記述が立体的に見えてくる。

    例えば。
    バードが宿屋で障子に穴をあけて覗かれることに閉口する記述は有名だ。
    彼女

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    2020年04月11日
  • 日本文化の形成

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    81年の本をまとめ直して05年に出版。小さく読みやすい。
    稲作は東南アジア・南方から伝わってきた。
    日本に稲作が伝わってきた時代、朝鮮半島ではまだ行われていなかった。
    「旧唐書」日本は倭国を併した→倭国と邪馬台国は別。

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    2020年03月29日
  • 宮本常一 伝書鳩のように

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    柳田に続く民俗学者として、名前だけはよくよく知っていた人。
    でも、実は何も知らなかった人。
    勝手に、流浪の人のイメージだったけど、そうではなかった。
    聞き書きの部分も多いのに、客観的なきちんとした印象の文体だった。それでいて、対象を突き放しているわけではない。
    地に足がついているというか、民を深く理解しているという安定感がある。
    どの聞き書きも物語としてとても面白かったし、そこに考察が加わって論となったものは、さらに興味深かった。

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    2020年01月21日
  • 日本残酷物語 2

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    「忘れられた土地」という副題のとおり、離島、山間部、北海道開拓地の人々の明治から終戦直後の苦労を聞き取ってまとめた話。書かれたのは昭和35年。
    北海道のクマ、蚊、霜、冷害の話は壮絶。

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    2019年11月23日
  • 生きていく民俗 生業の推移

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    むかしの人がどのように働いて、どのように生きてきたか、働き方の移りかわりと生活の移りかわりを紐づけながら追いかけた宮本常一の本です。
    それぞれの時代、それぞれの地域の人々が、その時代その地域に合わせてなんとか食いぶちを作ってしぶとく生きてきたのだというのが印象的でした。昔からそうであったようにこれからの仕事のありかたも移りかわっていくのだろうと思え、読み終えて労働感が柔軟になった気がしました。

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    2019年10月26日
  • 塩の道

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    宮本民俗学なるものを一度くらい読んでみようと思って。話し口調で説明もわかりやすく、たいへん読みやすかった。

    塩水をそのまま煮詰める方法から揚浜式へ、石釜方式へ。
    山から材木を流してそれを海に行って焼く。材木と塩の物々交換。麻をさらすための軽い灰を売って塩を焼く。牛で塩を運ぶ。細い道の道草を食わせる。人の背で運ぶ、塩魚を売る。
    米の伝来、騎馬民族、壺の発達、畳の発明、一つ一つの営みを合理的に限られた中でやっていくことに、文化の繋がりや社会制度が見えてきて面白い。
    民俗学に詳しくないからこの見解がどこまで正しいのかわからないけど。

    P200
    それは、そこにいる人たちのたんなる美意識というよりも

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    2019年09月16日
  • 塩の道

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    2014.9記。

    生きるために欠かせない「塩」と、人々はどう関わり合ってきたか。
    著者はまず、「八百万の神」を祀る習俗の日本において「塩」そのものを祭った神社がない、という事実に着眼して筆を起こす。

    容易に塩を得ることのできなかった古い時代。山奥の人は薪を川に流す、川下の人はそれを拾って海水を茹で、塩に変える、それを山奥に返す。まさしく、流通経済が塩を媒介として育っていた。昭和初期くらいまでは薪のことを「塩木」と呼ぶ地域があったという。

    また、人々は山中で立小便をすることを厳しく戒めた。理由は、狼が塩をなめに来るため。以前読んだ「イマドキの野生動物」という本の中で、現代でも、野生のシカが

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    2019年01月05日
  • 塩の道

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    最晩年の講演3編を収録。語り口からして良いです。

    「塩の道」
    製塩法や塩の交易の移りかわり。
    日本では塩は基本的に海水から作る(外国では塩井、岩塩の利用も多い)。単純に海水を煮詰める方法から、揚浜・入浜といった効率的な生産方法がおこり、瀬戸内などで大量生産されるようになる。原始的な少量生産をしていたころは本格的な塩の交易はなかったと考えられるが、集中生産されるようになると塩の道をたどって交易されるようになる。運搬については牛の果たした役割が強調される。馬と違って、細い山道もこなし、道草を食いながら移動できるので活躍した。塩を運んでいった先で牛を売って人間だけ帰るなんてことも。険しい山道は人間

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    2018年11月05日