宮本常一のレビュー一覧

  • 塩の道
    昔の日本で、塩をどのように作り、運んでいたかを民俗学者が語る。内陸の村民が伐った木を川に流して、その木を海岸の村民が薪にして海水を煮詰めて塩を作っていたとか、馬よりも細い道を歩ける牛の背を使って塩を運んでいたとか、まったく知らない話が具体的に説明されていて面白かった。塩自体の神がいない説明が興味深い...続きを読む
  • 周防大島昔話集
    宮本さんの故郷、山口県周防大島の昔話を聞き書きしたもの。
    単純にお話として読んで楽しい。

    屋根に這わせたかぼちゃが大きく育って、家をつぶしてしまう奇想天外な話もあれば、どこかで聞いたようなものもある。

    シンデレラを思わせる話もあった。
    義妹はヒロインをいじめないとか、ヒロインが落としていくものが...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    宮本常一は相変わらず、とにかく平易で読みやすい。この本は民間のさまざまな「職業」にスポットライトを当てており、中身も興味深く、宮本民俗学の中でも特に面白い一冊と言えるのではないだろうか。
    宮本常一や柳田国男を読んでいて気になるのは、「昔は○○だった」と書かれているとき、その「昔」とはどのくらい昔のこ...続きを読む
  • 塩の道
    塩と塩味が好きなので読んでみたのだが、次から次へと、日本の文化や生活に関する謎が明らかになって「ほほー」「へぇー」「はー」と感じ入る。
    日本人の生活習慣や風習で、なんでかなーと思うことや、疑うこともなく行っている行為について掘り下げるとこんな歴史があったのかと知ることができた。

    岩手の牛、牛のすご...続きを読む
  • 塩の道
    宮本常一晩年の話がたり。日本人とは何か?というかそれを育てた型やあり方についての深遠膨大な知識。韓国人がどうのという前に、自らの民族史を読み返しても損は無いですは。
  • 日本人のくらしと文化 炉辺夜話
    宮本が各地で行った講演録のオムニバス。話の展開がスピーディーで空間的時間的にもぽんぽん跳ぶので、読んでいても飽きない。
    京都は中世以降、大阪よりも若狭北陸との縁が深かったというのは実感としてもわかるような気がする。巨椋池、湿地帯のため狭隘な摂津街道で隔たった大阪よりも若狭小浜のほうが近しい。
    また、...続きを読む
  • 日本残酷物語 1
    気が滅入って読むのが辛い本でしたが、決して遠くない日本の現実物語でした。忘れてはいけないと思います。
  • 山に生きる人びと
    かつての日本の山は資源であり里であり、そこに様々な人々と生計、歴史があった。サンカ、木地屋、マタギ、炭焼きなど、失われようとしているが、確かに今の我々の生活の中にも受け継がれているものがある。

    奥多摩の方の山に入ったとき、かつて炭焼きなどで栄えた廃村の後を見て、何とも言えない感慨深さがあった。実際...続きを読む
  • 周防大島昔話集
    周防大島の昔話を集めた本。
    134の昔話がある。

    往来のあった伊予や土佐から持ち込んだ話や、
    岩国が舞台の話が入っている。

    今まで昔話というと時代も人物も、歴史から独立して想像していたけど、
    「岩国様」と呼ばれる殿様が出てきたり、
    具体的な地名が登場したりするので、
    昔話の背景にうっすらと歴史を...続きを読む
  • 塩の道
    「塩の道」「日本人と食べ物」「暮らしの形と美」という3つのテーマについての講演をもとにした本。
    表題の「塩の道」がやはり興味深い。今でこそ専売制も崩れいろいろな銘柄の塩を好き勝手に使えるが、歴史にあっては貴重かつ不可欠なものとして生活・経済と歩みを共にしてきたことがわかる。
    柔らかい語り口ですんなり...続きを読む
  • 日本文化の形成
    古代史・考古学関連本をずっと読み漁って来て、何となく壁に突き当たっていたが、民俗学の権威の先生の本を読んで、また違った視点で古代史を見ることができるようになった気がした。
    一点どうしても以前から気になってたこと。朝鮮半島における倭人の拠点。古墳などの考古学遺物もあるし、中国、広開土王碑、日本書紀など...続きを読む
  • 塩の道
    柳田国男や折口信夫はそれぞれに独特な、文学的な語り口で、晦渋なところがある。日本民俗学の古典的著者としては、この宮本常一がいちばん易しく、すっと入っていけるのではないだろうか。
    巻末の解説に明記されていないが、ここに収められた3編とも、講演の記録と思われ、いっそう平易な文章が読める。
    柔軟な思考で、...続きを読む
  • 山に生きる人びと
    実は、(引用や抜き書きではなく)まとめて宮本常一を読むのは初めて。その、ある程度のボリュームをまとめると浮かび上がる雰囲気がよい。
    情熱と冷静の、ロマンと現実の、願望と事実の、志の高さと腰の低さの、両方がそこにある。
    特に面白かったのは、農民の「豊かさ」と山の民の「貧しさ」を対比させているところ。職...続きを読む
  • 塩の道
    いいですね。宮本常一の文体は常に市井の人のそばにありて読んでて平和な気持ちになります。
    本書は塩を手に入れるための庶民の生きる術、生活の術、そこから作り出された社会の構造を描いています。
    それにしても、上流の村人が薪を流して海辺の村人が塩を焼くくだりは、人の交流と富の交換が昔から自然発生的に機能して...続きを読む
  • 塩の道
    民俗学の古典ともいうべき本ですね。
    勿論、今、読んでみると古臭いネタも多く、
    非現実的な話もあるのですが、(何故か三陸の人たちが自分たちのところで塩を作らず、わざわざ遠くから塩を調達しようとしてたり(´∀`;))
    戦後の時代にこの本にあるような論文が書かれたという事実を、
    時代背景を考えながら、読ん...続きを読む
  • 民俗のふるさと
    河出文庫から、宮本常一の著作が復刻されている。全集などでしか読めなかった作品が手軽に読めることはラッキーで、出版社に敬意を表したい。
    中身は、日本の町、村の成立を概要的に解説しており、非常に読みやすい。一通り読めば、流れをつかめるようになっている。
    書かれたのは今から数十年前になるが、読み終えたあと...続きを読む
  • 日本文化の形成
    <構成>
    一 日本列島に住んだ人びと
     一 エビスたちの列島
     二 稲作を伝えた人びと

    二 日本文化に見る海洋的性格
     一 倭人の源流
     二 耽羅・倭・百済の関係
     三 北方の文化
     四 琉球列島の文化

    三 日本における畑作の起源と発展
     一 焼畑
     二 古代中国の農耕
     三 渡来人と農耕

    ...続きを読む
  • 日本残酷物語 1
    日本は昭和の高度成長期が訪れるまでは、ほとんどのときが貧しかったのだ。それゆえ、数々の悲劇が産まれていた。天災や飢饉や流行病があれば、多くの人々は自殺か狂うか仏に縋るしかなかったのだろう。そんななかでも、強く悲しく生きた女性たちがいた。どんなに虐げられても、騙されても生き延びた。そのような話が「はた...続きを読む
  • 塩の道
    宮本常一という
    民衆の生活に根ざした視点で
    研究を続けた民俗学者の本。
    この本には
    『塩の道』『日本人と食べ物』『暮らしの形と美』
    という3本の著作が入っている。
    なかでも表題の『塩の道』がおもしろかった。
    塩は神に祭られた例がない。という導入。
    米やほかの作物は神棚に祭られるが
    塩はないという。
    ...続きを読む
  • 日本文化の形成
    50近くで他界した叔父の毅彦も「宮本常一のように生きたい」と言っていたと聞いていて、常に気になる存在である宮本常一。『塩の道』や『忘れられた日本人』に感銘を受けるも、まだまだ叔父のような生き方には至らず。

    この本を読んでみて、最近、南の島にも行ったりしてるので、海や半島からの文化(つまり人と生活様...続きを読む