宮本常一のレビュー一覧

  • 山に生きる人びと
    濃い本であった。
    日本は単一民族の国という認識をあらためたところだけれど、農耕民族の国という認識も改めるべきかもしれない。
  • 海に生きる人びと
    面白かった……。日本に暮らしてて普段意識しなかったこともこの本を読んでようやく認知できた。入れ墨についての話がすごく興味深かった。
  • 民俗のふるさと
    1964年(昭和39年)東京オリンピックの年に書き下ろされて1975年に改訂されたものを底本に文庫化。
    日本の都会はどうやってできていったのか、都会の暮らしはどうやってなったのかということを、村ができて、そこではどんな暮らしが営まれていたか、そして村が町になっていって、と、この順ではないけれど自身が...続きを読む
  • 塩の道
    「塩の道」「日本人と食べもの」「暮らしの形と美」
    文献だけでなくフィールドワークで得た情報が、リアルに立ち上がってくる。

    塩は必要不可欠なものだから、山の民は灰(麻を白くする)と交換したとか、牛を使って運ぶと道草を餌にできるし、ついでに向こうで牛も売れる(馬は管理が厳しかった)とか、当時の生活が垣...続きを読む
  • 民俗のふるさと
    日本の都市や農村で、何が変わり何が残っているのかについての重要な示唆が詰まった一冊。本書が書かれたのは戦後、都市人口が急激に膨張した時代であり、そこでは必然的に都市と農村のせめぎ合いが強く意識されたことだろう。農村コミュニティが急速に解体し都市化が進む一方で、農村国家としてのアイデンティティが喪われ...続きを読む
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一
    南方熊楠の論文は初めて読んだが、大変ロジカルであり、また先駆的な手法に基づいた内容であると感じた。さすが天才たる所以だと思う。
    「死者の書」は、飛鳥時代を舞台にしながら素晴らしいリアリティ。文学作品として非常に質が高いと思う。
    「土佐源氏」も同様。ノンフィクションとはとても思えない高度な短編小説とし...続きを読む
  • 山に生きる人びと
    とてもよかった。宮本常一の本を読んだのは3冊目だが、一番心をつかまれた。山とか森とかについて書いているから、だろうか。
    50年前の本で、「山に生きた」ではなく「山に生きる」と銘打つことができる時代であったことにジェラシーも感じさえするが、いやはやそうだとしても見事な見取り図である。
    そしてまた俺自身...続きを読む
  • 民俗のふるさと
    この本は町における、村における「ふるさと」を題材にしており、地方や村やコミュニティに関心のある人には必読と思われる。
    中盤以降の村の話は、身近に感じつつ読後は複雑な心境になった。

    ・人口が増えたことにより土地でまかなえる人数に余裕がなくなるため次男三男は明治以降では町へ出て行き、町の成立がそういっ...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    時代は循環しながら発展していくと言われるもので、高度経済成長時期を過ぎ、人口の減退期にある日本では、自然農やマクロビオテックといった動きが、昔ながらの地方の田舎の暮らしをモチーフとしたイメージ作りとともに、一部で力強いムーブメントとなっている。心理的な側面として、現代社会に対して多くの人が食や経済や...続きを読む
  • 塩の道
    20131223 講演会のまとめのため、読みやすい。日本人とは?ということを考えるきっかけになりそうな本。日本人として大事な事は何か、考えさせられる。
  • 生きていく民俗 生業の推移
    青春18切符で旅行中、移動の電車の中で読みました。

    地域に生きた人の生業が地域をつくってきて、その軌跡を思い浮かべながらの電車旅。旅行に持っていってよかった。

    企業に雇われ働くようになったのはたったここ1世紀の話。
    常に貧困と隣り合わせの中で、必死に働き、仕事をつくり日本人は生きてきた。どのよう...続きを読む
  • 日本文化の形成
    冒頭から話が面白い。引き込まれる。民俗学はから語りの面白さを奪ったらただの歴史くずれだ。
    民俗学の探求心は語りべによって構成されているようにさえ思える。
  • 塩の道
    塩が貴重だった時代、山に住む人にとっての塩。

    その塩を活用するための日本人が編み出した暮らしに密着する知恵と工夫。

    「日本人と食べもの」の内容に関心がありましたが、どの章をとっても、どの節をとっても、得るものが多かったです。
  • 日本残酷物語 1
    宮本常一の民俗史作品を読んでから、庶民の文化史に関する本を読んでみようと思って探してたら行き当たったのがこのシリーズ。あとがきが大月隆寛、昔、ナンシー関と「クレア」で対談の連載をしていた民俗学者だ。
    本作は、シリーズのまとめ的な作品集。だから、いろんな時代、階層、職種にまたがった包括的な「圧制と生活...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    江戸時代以前は、藩や国の単位で往来が制限されていた、、というのは武家社会の話で、農民や商人といった一般層はかなり自由に行き来していました。街道とは別に赤線と呼ばれる山間の道を通って、博労や女衒といった人身売買も盛んに行なわれていました。

    人身売買というと物騒な雰囲気ですが、戸籍制度が整備される以前...続きを読む
  • 塩の道
    日々の暮らしの中に ひっそりと息づいている 大事なことが
    腑に落ちる・・・村から村へと歩き続けた宮本常一さんの見聞と体験が
    ぎっしりつまっています。
    「日本人と食べもの」「暮らしの形と美」とあわせて3作が薄い文庫本におさめられています。目からうろこ、のエピソードもたくさんあって、海外への旅のお供にも...続きを読む
  • 生きていく民俗 生業の推移
    日本の村と町の様々な仕事の変遷を描いている。山、村、海辺、町での様々な職業をその起源から説き起こし、更に著者が各地を旅した時の見聞を散りばめているので説得力が有る。ちょっと前のほとんどの日本人が、色々な生業に携わり、ぎりぎりの生活をしていたというのに驚かされる。明治以降の新しい産業の担い手が、農村に...続きを読む
  • 山に生きる人びと
    国土の70%が森林という日本。これだけ山に囲まれた環境に住みながら、あまりスポットライトが当たらなかった山の暮らしとは。

    山の奥深くに突如ポツリと表れる集落。マタギや生地屋、強力、たたらなどを生業に、山岳信仰を深めた人々は、平地人とは全く異なる文化を持っていた。

    緻密で徹底したフィールドレポート...続きを読む
  • 民俗のふるさと
     昭和39年の東京を出発点に、日本の都市とムラの成り立ち、失われていく伝統や地縁を記録した一冊。とくに明治期の都市の形成過程において〈村は古さを保つために、増えていく人を都会に送り出し、都会は村の若者たちと新しい知識を吸収して新しくなっていった〉という一節は印象的だった。日本の都市が伝統や固有の色を...続きを読む
  • 塩の道
    塩がいかにして作られ、運ばれてきたのか。
    塩は神として祭られたことがないという話から始まり、山奥に住む人が苦労して塩を手に入れていた話や、塩を運ぶために道が作られたという話などが続きます。

    塩だけにとどまらず、日本の食べ物や道具や暮らしなど、興味を掻き立てられることがぎっしりと詰まっていました。
    ...続きを読む