櫻井武のレビュー一覧
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ネタバレ「こころ」って何だろう?どこにあるのだろう? そんな疑問を脳科学から解き明かす本。
・もっとも進化的に新しくて認知や思考をつかさどる大脳皮質と、脳の深部にあり動物にも共通する情動をつかさどる大脳辺縁系。
・大脳皮質は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分かれ、領域ごとに機能が細かく分かれている。
・大脳皮質はものごとの要素を分解して情報処理を行う。視覚情報は左右別々に傾きや色、明るさなどの要素が入力され、脳内で再構成されてイメージを作る。「味、におい、色などは意識の中だけに存在する」→音楽も脳の中だけに存在する…?
・共感力も大脳皮質に存在し、こころに影響する。
・情動は脳大脳辺縁系でつくられる。結果としての情動表出が脳にフィードバックされて情動を修飾する。
・作業記憶(ワーキングメモリー)は前頭前野、エピソード記憶や意味記憶などの陳述記憶(言葉で表せる記憶)は海馬と大脳皮質、手続き記憶(技能の取得)は大脳皮質、大脳基底核、小脳、情動記憶(条件や文脈で引き出される)は海馬と偏桃体が関わっている。
・ストレスホルモンは陳述記憶を弱め、情動記憶を高める。
・ドーパミンの放出による快感で行動を強化する「報酬系システム」によりその行動をやめられなくなる。人間を向上にも破滅にも導く。
・脳内にはこころの機能に影響を及ぼす多数の神経伝達物質があり、認知や記憶など速く正確なもの、ゆっくりと気分を醸成するものなど特性もいろいろ。
・行動のほとんどは認知よりも情動のもとに行われている。大脳皮質での共感性や社会性、認知などの機能をフィードバックすることで人間のこころは複雑化し、社会の変化とともに日々進化している。 -
Posted by ブクログ
【献本当選作】第1章で出てきたホムンクルスの図は、有名なのだが正確に記憶できない思い出がある。「こころ」とは原始的で非自律的な大脳辺縁系で生み出される情動と、我々人類が発達させた大脳皮質の論理的思考、そして脳以外の身体から血液を通じて伝達される神経伝達物質の総合的かつ複雑な結果から表出されるという科学的知見が良く判った。「こころ」について知ると、いいね!されると「報酬」として快感が得られることに納得できる。しかしながら、他の読書記録サイトでは一時に多くのいいね!をもらうことで恐怖を感じ、いいね!を送った相手をブロックするユーザーがいる。自分も一日に同じユーザーから100以上ナイスをもらったら(そんなことはなかったが)、快感ではなく恐怖を感じるかもしれない。
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「なぜ人間には食欲があるのか」という疑問は、「生命維持に必要だから」ということで調べるまでもなく理解できるが、「どのようにして空腹/満腹を感じるのか」という疑問に答えられる人は少ないだろう。本書はそんな空腹の欲求と脳の活動の話。
αメラノサイト刺激ホルモン、ニューロペプチドY、プロオピオメラノコルチン、コカイン・アンフェタミン誘導転写産物などの読みくい物質から、弓状核、外側野、室傍核、視交叉上核という読み方すらあやうい脳部分まで説明なしで用いられるため、全てを理解するには新書では足りなすぎる。だが図は豊富なため、かろうじて関連性は理解できる。そして細部は理解できなくとも、食べたものが分解され、血液中に取り込まれ、脳の受容体に到達し、脳内で新たに生成された物質同士が作用し合う構図は、今後、体内物質の流れを勉強する上での基礎となるだろう。加えて脳機能のフェールセーフ性、肥満を解消するための胃バイパス手術、食欲を制御するための脳手術などの驚きも多数楽しめる。
食欲に興味がない人以外には安心してオススメできる一冊。 -
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睡眠は時間も食うし無防備になるし明らかに不利なのに、なぜ動物は眠らないですむように進化しなかったのか?
それは睡眠が欠かせない重要な役割を担っているから。
睡眠は記憶の固定に深く関わっており、眠ると新しい記憶が定着する。とくに手続き記憶(技巧や運動技能)に睡眠が重要。
ノンレム睡眠は脳の急速と老廃物の洗浄、レム睡眠は入出力はカットされた状態で脳は活発に活動。体は動かないが夢を見る。夢の特徴は論理的判断はできなくなっているが感情と運動が関わること。
レム睡眠は単なる浅い眠りではなくノンレム睡眠とは異なる役割を担っているらしい。通常はレム睡眠は睡眠時間の1/4だがレム睡眠だけ邪魔すると入眠後すぐレム睡眠に入るようになる。
モノアミン(覚醒)・コリン(レム睡眠)の脳内でのブロードキャストにより覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の3状態が引き起こされる。覚醒はモノアミンもコリンも活動、レム睡眠はコリンのみ活動、ノンレム睡眠では双方抑制。
覚醒とオレキシンとナルコレプシーは関係している。
オレキシンは覚醒と摂食に関係する。
筆者の仮説: ノンレム睡眠はシナプス結合の正則化(よけいな結合を弱める)っぽいことをやっており、レム睡眠は記憶の重み付けと整理をし取り出しやすくしている。
結局なんで眠らないといけないのかはまだよくわかっていないが眠らないと死ぬ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレよい睡眠の評価=30分以内に入眠、レム睡眠が20~25%、合計7~9時間。睡眠効率(ベッドにいる時間と睡眠時間の比)が85%以上であればよく眠れている。
あくびは、退屈が原因。血中酸素を補うため、深呼吸と同じ。
入眠から数時間後に最も低くなる。午前2時ごろ足先が冷える。
瞑想とヨガは安眠を助ける。深い呼吸を整える。意識的に深い呼吸をすると、一番長い脳と胃をつなぐ迷走神経を刺激して、副交感神経に作用して緊張を和らげ過覚醒をおさえ、リラックスする効果がある。
少しずつリラックスさせる=斬新的筋弛緩法。
左を下にして眠るほうが臓器にはメリットがある。
疲れと眠気はまったく別のもの。疲れていても睡眠圧が高いとは限らない。忙しいとアドレナリンとコルチゾールが分泌される=寝るまでに心身をリラックスさせる。
ASMR(自律感覚絶頂反応)
夜中に目覚めて20分たっても眠れない場合は、起きて気分転換する。明るい照明はつけない。
呼吸に意識を集中して、幸せな気分、場所をイメージする。
昼寝は短いほうがいい。
睡眠負債は土日の寝だめ1~2時間では取り戻せない。
脳の主時計は、気温、食事、日光、運動でコントロールされる。
シフト勤務は、睡眠サイクルを伸ばす方向で組む。夜勤の前は軽い運動をする。夜明け後に帰るときはサングラスをして日光を遮る。
体内時計は4週間かけて少しずつ調整する。
アルコールは初期の睡眠は深くなるが、分解が終わるとレム睡眠が増える。
ぼうっとすると脳波は穏やかになり、寝つきがよくなる。
時差ぼけは東に向かって飛ぶと時差ボケがひどくなる。遅らせるほうが調整しやすい。
冬でも毎日10分は外に出て散歩する。
窓を開けて寝る=涼しいほうが寝つきがいい、空気がよどみやすい、二酸化炭素がこもる。花粉症には窓を閉めたほうがいい。
体温が上がると眠るサインが出にくい。下着はゆったりしたもの。靴下をはいて寝ると血圧が下がるため、睡眠モードに入りやすい。室温18度の涼しい部屋で靴下をはいて寝ると睡眠によい影響があった。
寝る前に読書を6分間愉しむ。
目覚ましは、体内時計が理想的。音の代わりに光で起こす光目覚まし時計。起きる時間の30~60分前から徐々に明るくする。
眠い時に運転すると思った以上に危険。コーヒーを飲んで30分仮眠してから運転する。
睡眠不足とアルツハイマーの関係。タウを睡眠で除去する。一つの要素になりうる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレレム睡眠のときは、起きているとき以上に脳が活動している。レム睡眠が5%経ると、死亡率が13%アップする。
休日の寝溜めは、就寝から起床までの中央値が3時間以上ずれないようにする。
ポリソムノグラフィー=睡眠を客観的に観察できる装置。自己評価は当てにならない。脳波を調べないとわからない。
最初の深い睡眠は、成長ホルモンが大量に出る。
深部体温が下がると眠くなる=寝る1.5時間前に40度の風呂に15分浸かると、寝るときに深部体温が下がる。
手足を冷やすと眠気が消える=血圧が上がって交感神経が優位になる。
就寝前90分にストレッチをする。
二度寝は1回、30分まで。 -
Posted by ブクログ
感情がたかぶって耐えられないことがあったので手に取った(笑)。
ブルーバックスで中高生向けに、脳科学の観点から感情=情動のメカニズムに迫る。
へー。そうなんだ、あ、コレは知ってる、コレは知らない、とパラパラ読んだ。
個人的にとても印象に残ったのが、報酬系の働きについて。報酬を得た瞬間ではなく、そこに至るプロセスに快感を得る、だとか、なるほどと納得してしまう。
さらに個人的にショックだったのは、p149から始まる扁桃体の説明。
身近なひとの様子にそっくり。
そんなわけで、またもラインの文字認識能力を使って引用メモさせてください。めちゃ長いです。
p151の心理的距離と物理的距離の図解にも思い当たるフシが有りすぎて、ギョエーと思った…。
p149
扁桃体の構造と機能
扁桃体は海馬体とならぶ大脳辺縁系の重要なコンボーネントである。また、記憶にも重要な役割をしている。ここで扁桃体の構造と機能を確認しておこう。
感覚系を通して知覚された情報が、生体にとって意味があることなのか、つまり危険や脅威をもたらすのか、あるいは逆に報酬をもたらすのかを評価するのが扁桃体の役目である。この機能は環境に適応し、生き残っていくために欠かせない。扁桃体は海馬のすぐ前方に存在し、中心核、内側核、皮質核、基底内側核、基底外側核から構成される。
海馬の機能については、それを失ったヘンリー・モレゾン(H.M)の話をしたが、扁桃体に関しては、ウルバッハ・ヴィーデ症候群(Urbach-Wiethe症候群)と呼ばれる稀な疾患によって両側の扁桃体が石灰化し、機能を失ってしまったS.Mという女性が、過去20年間にわたりさまざまな調査に協力している。
ソーク研究所のダマシオらは、SMを含む3名の扁桃体に障害をもつ人たちを被験者として、彼らが人の顔から「恐怖」の感情を示す表情を識別できないことを示した。通常、健常な人は、「怒り」の表情と「恐怖」の表情を容易に識別することができるが、扁桃体に障害がある人はその区別ができないのだ。
SMが42歳のときに、カリフォルニア工科大学のグループは彼女が「パーソナルスペース」の概念をもっていないことを報告している。パーソナルスペースとは、見知らぬ他人がいるときに不快と感じる物理的な「近さ」のことだ(図5-4)。ある程度以上に他人が近づくと、通常の人は不快と感じる。このとき、機能的MRIで調べると、両側の扁桃体が活動しているわかっている。しかし、扁桃体が機能しないSMは、まったく見知らぬ他人が
ても不快と感じないのだ。
アイオワ大学のグループは、SMが44歳のとき、彼女にヘビやクモなどの動物を見せたりしたが、彼女は事前に「クモやヘビは嫌いでいつも避けるようにしている」と語っていたにもかかわらず、まったく恐怖を感じている様子を見せず、躊躇なく触ったと報告している。
なぜ触ったのかとの質問には、「好奇心に勝てなかった」と答えたという。
さらに彼女は、あらゆる種類の「恐怖」を感じる様子をまったく見せなかったという。
第3章でお話ししたように、サルや齧歯類を使った動物実験で扁桃体と恐怖の関係は示されていたが、SMの実験によって、ヒトでも同様に扁桃体は「恐怖」という情動と密接な関係があることが明らかになった。
また、「死への恐怖」といった概念的な恐怖や「公衆の前で話すことへの恐怖」などの社会的な恐怖も同様に、扁桃体で制御されていることも示された。SMはこれらに対しても恐怖を感じている様子がまったくなかったからだ。恐怖にはさまざまなタイプのものが存在すると思われがちだが、実は、根本的には同一の機構によるものだったのだ。
恐怖はしばしば「ネガティブ」な感情としてとらえられる。では、恐怖を感じないことはよいことなのだろうか?
扁桃体が機能しなければ、命が危険にさらされるような強烈な体験をしても、恐怖を感じることはなく、また情動記憶も成立しないためPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような後遺症に悩むこともないだろう。
しかし、扁桃体が機能しなければ、危険を避けることもできなくなり、生き残っていく能力は著しく損なわれてしまうだろう。好奇心に勝てず恐怖に近づいていたら、生命を脅かす危険にたえず身をさらすことになってしまう。「恐怖を感じない」というと、何にも怖気づかない勇猛果敢な戦士のようなイメージを抱くかもしれない。しかし、危険を感じないということというのは、危険に対処できないということであり、生存能力に問題が生じてしまうのだ。 -
Posted by ブクログ
仕事がら、生活習慣病の治療に関するあれこれが多いため、その原因の1つである肥満をもたらす”食欲”に関する科学的な研究をクイックに把握したいと思いセレクトした講談社ブルーバックスシリーズの1冊。
様々な欲望の中でも”食欲”に関して、ここまで膨大な研究労力が費やされていた(もちろん、まだそのすべてが解明できているわけではないにせよ)という点に率直に驚いたのが率直な感想。
食欲に関連するホルモンであるレプチンを発見するまでの40年にも渡る先行研究の軌跡や、脳の働きを分析することで食欲発生のメカニズムに働きかける研究など、長年の科学研究の成果をコンパクトに知ることができた。 -
ネタバレ 購入済み
こころを科学的に理解できる本
「こころ」を科学的に解析した本。
最も興味深かったのは、感覚系から入った情報が2つの違った経路、理性と情動に分かれて伝達するということ。
一次視覚野を切除したサルは目が見えていないのにヘビを怖がるという。
子育て中なので、子供が感情を抑えられずに爆発させたりするのは理性に結び付く経路の未成熟が原因だったりするのかな、と想像したり。
専門的な事も多く取っ付きにくかったが、自分で興味深いと思う部分だけでも、自分なりに要約すると面白い。
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Posted by ブクログ
睡眠は、まだまだ分かっていないことが多い。
このように覚醒は、食物などの報酬を探索する行動や、恐怖や不安などの情動に深く関係している。つまり「食っていくため」、そして「食われないため」に、覚醒が必要なのだ。
逆に満腹で、しかも安全な状態であれば、脳や身体を休めるために睡眠をとるチャンスである。睡眠は、安全と適切な温度が確保された環境で行われる。睡眠をとるために適した時間は動物の生活環境によって異なるため、概日リズムによっても制御されている。つまり、昼行性の動物では昼間に摂食行動を行い、夜間に休息期が多くなり、夜行性の動物では逆に夜間に主に摂食行動を行い、昼間に睡眠が多くなる。
…ニューロン(神経細胞)は情報処理素子である。樹状突起という部分でさまざまな入力を受けて、軸索という部分でほかのニューロンに出力している。樹状突起が他のニューロンの軸索から情報を受ける部分はシナプスと呼ばれる。軸索の末端からは神経伝達物質という化学物質が分泌され、他のニューロンの樹状突起にある受容体という分子に結合することによってその神経を興奮させたり、抑制したりするわけだ。1つのニューロンは数万ものシナプスを介して情報を受けている。
まずは食事である。オレキシン作動性ニューロンは血糖値の影響を受けることは前に説明した。あまりに空腹になると、オレキシン作動性ニューロンの活動が高まり、眠りにくくなってしまう。かといって、寝る前に食べる習慣がついてしまうと、「食餌同期性リズム」が発動するようになり、その時間の覚醒レベルが上がってかえって眠れなくなる。そこで、食事は適切な量を、就寝の4~5時間前くらいに摂るようにすることが、より眠りをとるためのコツになる。
…
実は、もともと体温、とくに脳を含めた深部の体温と睡眠には強い関係がある。睡眠に入るとき、深部体温は少し下がった状態になっているのだ。ヒトが眠りにつく前、一時的に手足の温度が上がるが、これは手や足の血管を拡張させて、体温を外に放散させることによって深部体温を下げているのだ。こうして脳の温度が少し下がることによって睡眠が開始するのである。…
逆に体温があまり高い状態だと、入眠しにくいこともわかっている。つまり眠る直前にあまり熱いお風呂に入るのは避けたほうがよいかもしれない、ということだ。しかし、手足が冷えていると、血管が収縮してしまい、深部体温の放散が難しくなる。あまり体温を上げず、しかし、暖かくして眠ることが大切だ。
…
眠気を払いたいときは、体温の話を逆に考えて、手足を冷やすとよい。カフェインを含むお茶やコーヒーなども効果があるが、早く眠気を解消したいときはホットで飲むほうが望ましい。アイスコーヒーなどは、消化管粘膜の血管が冷たさで収縮してしまうため吸収が遅れるからだ。