斉藤淳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「教養」とは単なる物知りになることではないと、以前から感じていた違和感を言語化してくれた一冊。知識を得ること自体が目的化しがちな現代において、知識はあくまで「理想とする未来を実現するための手段」であると断言する姿勢に救われた。自分の目指す未来に向けて知識を活用しようとするとき、物事の解像度が上がり、はじめてそれが自分にとっての「教養」へと昇華されるのだと思う。
特に、学ぶことを通じて「何ができて、何ができないか」を言語化し、俯瞰して選択する能力を養うことの重要性が説かれている。これは日々の仕事においても直感に頼らずに意思決定をするための不可欠な力だ。政治的な活動家にならずとも、自分の大切にしたい価値観を社会の中でどう体現していくか。そのために「学ぶ、考える、発信する」というサイクルを回し続けることの意味を改めて考えさせられた。
(所感)
自分の琴線に触れるものを見つけるには、ある程度の自由や余白が必要だ。すべてを効率化して最適解だけを求めるのではなく、一見無駄に見えるようなプロセスの中にこそ、自分だけの教養を育むためのヒントがあるのだろう。自分なりの未来を切り拓くために、知識をどう「活用」していくか。 -
Posted by ブクログ
動画メディアで著者が「早期英語教育で母語を英語にするなら、自分の臨終の時にかけられる言葉は英語になる。」と言っていたのを観て衝撃を受けた。著者は米イェール大学の元助教授、現在は英語教育に携わる。著者の子供もインターナショナルスクールで英語ネイティブに育てたという。そんな経歴から興味が湧き手に乗った本書は、習い事として英語学習を始めるにあたり、大変参考になった。
子どもに英語を学ばせる目的を親が見つめ直した上で、子どもに過度の負担をかけるような焦りは禁物。英語嫌いにしないことを目標に、まずはフォニックスから始めると良さそう。この辺りは英語学習のロードマップに詳しい。我が家は英語ネイティブまでは目指さず、英語・海外に関心を持って学生生活を過ごしてくれたらありがたいというスタンス。とは言え、『6歳限界説』を聞いてインターナショナルスクールに入れたほうがいいかしら、と心動かされた時期もあった。この説についてもあくまで英語を「母語」にしたいなら別だが「日系アメリカ人でなく、バイリンガルな日本人にしたいなら中学生以降でも全く遅くない。」と断言してくれていて頭が冷えた。むしろ、「年齢による脳の特性を理解した上で適切な学習方法や目標設定をすれば何歳でもOK」ということなので、子どもと一緒に親も学び直せる。
また、英語の早期教育による日本語への弊害について、「英語漬けなら当然、日本語への影響は出るが、それを『弊害』と捉えるかは親御さん次第」とのこと。言語のスキルは経験にひもづくため、まだら模様になる。聞く・話す・書く・読むの4技能についても「この技能はこの言語が得意」といった凹凸もある。確かに何語であれ言語能力が伸びる時期に学習時間を奪い合うわけだから、そうなるよな…と納得。本書と並行して読んでいた『英語ヒエラルキー~グローバル人材教育を受けた学生はなぜ不安なのか~』によれば、大学4年間を英語漬けで過ごすと英語力で自身の価値を測ってしまい自信を失うだけでなく、日本語が上手く出ない場面に不安を抱く学生も一定数いるそう。日本語であれ英語であれ知的鍛錬には相応の時間がかかり、大学卒業後社会人数年までは段階に応じた語学力が必要となるということを分かった上で選択が必要なのだろう。知的鍛錬については、家庭内で意見交換をする、書籍や雑誌、新聞などの活字を手の届く所に置いておく、英語の歌を流す等、親が意識的に環境を作れるアドバイスがありがたい。
最後に、英語に限らず習い事が上手くいくパターンは子どもの数だけあれど、失敗事例は似通ってくるという。親の過干渉、過度な期待、恐怖による支配が原因で、失敗事例を頭に入れておくのが最も確実に成功率を上げる方法だそう。育児全般で気をつけるべき『毒親になってないか?」という振り返りは、習い事でも有効だ。英語教育はあくまで子どもとの持続的で良好な関係性の上に立脚するものという意識は常に持っておきたい。 -
Posted by ブクログ
やはり読書は楽しい。
最初はタイトルに惹かれて買って、1年ほど積読にしていて、なんかちょっと浅そうなタイトルだなと思って読んでいい意味で予想を裏切られた。
教養とは何か。というのを自分もかれこれ考えてきてた。生きてきた中で、教養とは知識を指すのではなく人格そのものではないかと考え始めていた。
“本質的には「自分の中心」を構成する何か”。
ようやく結論が出た中で同じようなことを言ってくれたので少し自信が持てた。
私は30も半ばになり、若いのかは分からんけれども未熟であることは知っている。だから本をたくさん読もう。まだまだ出会える世界はたくさんある。 -
Posted by ブクログ
0歳から幼児教育を実践中の父親です。本書は科学的理論の裏付けと具体的な実践方法まで惜しげもなく紹介されていて、こどもに英語教育をしたいけど何をしたらいいかわからないだったり、本当に早期から英語を教えていいの?と迷っている親御さんの背中を押してくれる1冊だと思います。幼児英語教育の導入本としても良本だと思いました。
前半のパート1は著者の実体験と第二言語習得の理論に絡めて、子どもにとって英語学習をすることがなぜ良いのか、学校科目の他の科目への影響、将来的な展望が述べられていてわかりやすかったし、科学的知見やデータの根拠も示されていて説得力がありました。前半だけでも読む価値があると思いました。
後半のパート2は実際の3〜18歳までの学習ロードマップ(見開き1ページのマトリックス)が公開されていて、自分も子どもの成長の目安として参考にしていきたいと思う内容でした。また、具体的なおすすめ無料学習教材の情報も紹介されていて助かりました。
賛否両論あると思いますが、この本の読者は自分の子どもに将来、英語はもちろんだけど、変化が激しく、何が正解だかわからない時代を生き抜くための力をつけて逞しく生きてほしい、そのために親に何かできることはないかと思っている親だと思います。そんな方々に一つの指針を示してくれると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ要はフォニックスやりましょうね、カタカナ表記はやめましょうね、年齢とその子どもの興味や関心に合致した映像素材や音声教材をうまく使って英語に親しみましょうね、というのが著者の主張。前半は、このあたりの話を手を変え品を変え、諄々と説いている。
頭の中で思考をまとめるための言語として、母語(日本語)での論理的な考え方ができるようになることが大事、という話も出ていて、まぁそうだよなぁと思いつつ、そこらへん無視して早期から英語教育を詰め込まれている子が(いまだに)もしいるとしたら、それはやっぱり可哀相だなぁ、という印象を持った。
後半は、3歳から18歳までを細かくステージに分けて、各年齢でどういった形で英語に触れさせればいいのか、というヒントと、各ステージで使える本やウェブサイト、音声テキストなどが紹介されている。この部分はいろいろ参考になりそうなところも多く、Picture dictionaryとかは大人がパラパラ見てても楽しそう。
自分が受験勉強をしてきた時代と、今の英語教育とは質も目的も全く違ってきていることは、この本を読んでよくわかった。子どもに適切な英語環境を整えてあげたい、と思うなら、一度さらっと読んでみると良いと思う。