酉島伝法のレビュー一覧
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早川書房さん公式Xの紹介を見て予約購入したものの、しばらく積んでしまっていた一冊(全然珍しくもない!)。ようやく崩すことに。
初・酉島伝法ということで、どんな作風かも全く知らずに読み始めたのだが・・・これはなかなかにクセが強い。難解・独特な世界観、それを補強するために多用される造語や難読漢字・・・もう読み進めるのだけでも一苦労よ。(ハードSF等の難解テキスト・設定に耐性がないとギブアップ請け合いかと。)
一番目に収録されている表題作「金星の蟲」。一見普通の日常。しかし、「金星サナダムシ」という謎の単語が登場してから、徐々に明らかになっていく吐き気を催すような異常な世界。それを"常 -
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ネタバレ集英社文庫で酉島伝法作品出すのね・・・という感想はさておき、うーん、これはレビューが難しいなぁ。
鴨は氏のデビュー作「皆勤の徒」が大好きで、何度も読んで、その度に感動しています。あの独特な造語の本流、軽く流し読みするだけでは全く理解できない分厚く不可解な世界観、作品全体に漂う切切とした哀感、そして不穏な空気・・・唯一無二の作風だと、鴨は思っています。
他方、本作「るん(笑)」は、科学とスピリチュアリズムが逆転した日本(おそらく現代とほぼ変わらないでしょう)を舞台に、38度を「平熱」としたりホメオパシーで病気を治そうとしたり、猫が人を誑かす害獣と見做されて殺された死骸の山が存在していたりと、価 -
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高山羽根子、酉島伝法、倉田タカシの三人の作家が、架空の国を旅しながら(どうやってかはともかく)手紙を送り合うという設定の「旅書簡集」。そして巻末エッセイ(あとがきのようなもの)は宮内悠介。お、東京創元社のSFアンソロジーシリーズ『GENESIS』で見かけるような作家たちだぞ、と思って手に取った。
読んでみると、GENESISを読むときに似た幻想浮遊感に見舞われる。そして、時折り「わかる」地平に降り立つのだが、そこもどこかしらなにかしらずれている。私が「わかる」と思っていることなんて世界の中のほんの一部なのだなあなどと思っていると、突然、人生哲学とか人間の本質みたいなことを考えさせるようなフ -
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SF作家3名がそれぞれの旅行先で見聞きしたことを報告しあうという設定で書かれた、書簡体のリレー小説。世界のどこかにあるかもしれない不思議な土地をめぐる空想旅行記。
東アジアを思わせる日常的な風景が徐々におかしな方向へズレていく高山さん、旅行先の土地にとって旅人は常に"異分子"であることをホラー的に演出する酉島さん、一番純粋に観念的な幻想の国を組み立てる倉田さん、三者三様の作風の違いが楽しい。そんな三人の旅を、カニ頭の謎の人物と郵便局員シュヴァルが繋いでいく。
酉島さんはどれも不条理小説のようでゾクッとする面白さがあったけど、特に"外国人がイメージするニッポン& -