■作品紹介・あらすじ
・「読者が選ぶビジネス書大賞2025」イノベーション部門賞受賞
・NewsPicks選「21世紀のビジネス名著」ベスト100[第2位]
・【時代が変わっても読者が増え続ける】累計60万部ロングセラー『イシューからはじめよ』改訂版が発売!
「課題解決の2つの型」「なぜ今『イシューからはじめよ』なのか」などを新たに収録
■『イシューからはじめよ』とは?
2010年の『イシューからはじめよ』(旧版)発売以来、知的生産のバイブルとしてビジネスパーソンを中心に研究者や大学生などから幅広く支持されてきました。14年間一貫して売れ続けて累計60万部に到達(紙と電子版、旧版と改訂版を合算)。ビジネススキルの本として異例のロングセラー、ベストセラーとなっています。
・そしてこのたび、「課題解決の2つの型」「なぜ今『イシューからはじめよ』なのか」など、読者の実践に助けとなる内容を追加した『イシューからはじめよ[改訂版]』を発行いたします。
■イシューとは?
イシューとは、「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすもの。
・世の中で問題だと思われていることのほとんどは、 イシュー(今この局面でケリをつけるべき問題)ではありません。 本当に価値のある仕事は、イシューの設定から始まります。
■なぜ今『イシューからはじめよ』」なのか
・この本は、知的生産の現場において空気、常識、権威で判断することや、努力すればなんとかなるという根性論を終わらせ、本当に向き合うべき課題に取り組む人が増えることを期待して書いた。
・日本はイシューからはじまる社会に近づいているのだろうか。残念ながら、手応えは今ひとつだ。
イシューという言葉自体はずいぶん浸透したが、日本社会で行われているのは、今もなおイシュードリブンではなく空気ドリブンだ。ひとつ断っておくと、僕は「空気を読む力」を否定しているわけではない。重要なのは、空気はあくまでファクトと論理の上にあるべきだということだ。
・では、イシュードリブンな社会に移行するには何が必要なのか。かつて電気や化学が登場し今や当たり前になったように、データやAIがない世界に戻ることはないだろう。価値観の刷新と新しい行動は避けられない。一人ひとりの行動変容が不可欠だ。その一助になればと思い、本書ではあまり詳しく触れていなかったことをお伝えしたい。
■おすすめポイント
・圧倒的に生産性の高い働き方とは、どのようなものだろうか。
・2001年東洋経済新報社より照屋華子氏、岡田恵子氏の『ロジカルシンキング――論理的な思考と構成のスキル』が出版されてから、既に20年以上が経過した。その後、「論理的思考力」に係る書籍が多くの著者から絶え間なく出版され、書店に並んできた。その結果として、「MECE(モレなくダブりない)」という概念や、多種多様なビジネスのフレームワークは、今ではプロフェッショナルファームのみの特殊な武器ではなく、多くのビジネスパーソンの中でコモディティ化した。
・そんななかでも、『イシューからはじめよ』には新しさがある。それは、これまでの書籍ではあまり着目されてこなかった「それは本当に解くべき課題なのか」という論点に対して、明確な解を示していることに理由がある。
・世の中で問題かもしれないと思われているもののなかで、今この瞬間に解を出すべき問題というのは100個のうち2、3個だと著者は語る。
・解くべき問題を見極め(イシュー度を高める)、そして解の質を上げていく(仮説ドリブン→アウトプットドリブン→メッセージドリブン)。
・著者が脳神経科学の研究とマッキンゼーにおけるビジネスの経験から共通して見出したこのアプローチは、まさしく「知的生産のシンプルな本質」に違いない。
■本書の要点
・問題を解く前に、本当にそれが解くべき問題であるか、イシューであるかを見極める必要がある。
・解の質を高めるために、初期の段階で「ストーリーライン」と「絵コンテ」を作成する必要がある。
・いきなり分析や検証の活動をはじめず、粗くてもよいから、肝となるサブイシューが本当に検証可能かどうかを見極める。
■【必読ポイント!】 イシュードリブン
・「なんちゃってイシュー」に惑わされるな。実は、世の中で問題だと言われているもの、調べてみようと思うことの大多数は、今、答えを出す必要がないものだ。そうした「なんちゃってイシュー」に惑わされないことが大切だ。
・ある飲料ブランドが長期的に低迷しており、全社で立て直しを検討しているとする。ここでよくあるイシューは「〈今のブランドで戦い続けるべきか〉もしくは〈新ブランドにリニューアルすべきか〉」というものだ。
・だが、この場合、まずはっきりさせるべきはブランドの低迷要因だろう。「〈市場・セグメントそのものが縮小している〉のか〈競合との競争に負けている〉のか」がわからないと、そもそも「〈ブランドの方向性の修正〉がイシューなのか」という判断がつかない。
■「スタンスをとる」ことが重要
・イシューの見極めについては、「こんな感じのことを決めないとね」といった「テーマの整理」程度で止めてしまう人が多いが、これではまったく不足している。
・強引にでも前倒しで具体的な仮説を立てることが肝心だ。「やってみないとわからないよね」といったことは決して言わない。理由は3つある。
・一つ目は、仮説が単なる設問をイシューにするということだ。例えば「○○の市場規模はどうか?」という単なる設問ではなく、「○○の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」と仮説を立てることで、答えを出し得るイシューとなる。
・二つ目は、仮説を立てて、はじめて本当に必要な情報や必要な分析がわかるということだ。
・三つ目は、答えを出すべきイシューを仮説を含めて明確にすることで、分析結果の解釈が明確になり、無駄な作業が大きく減ることだ。
・ちなみに、良い仮説というのは答えを出す必要があること、つまり本質的な選択肢であり、深い仮説があること。また答えを出すことができることである。ありふれた問題に見えても、それを解く方法がいまだにはっきりしない、手を付けないほうがよい問題が大量にある、ということを忘れてはならない。
■「考えるための材料」を入手する
・「よいイシューとは何か」と「(強引にでも)仮説を立てることの重要性」がわかったところで、次にそれを発見するための「材料」をどのように仕入れるか、情報収集のコツのようなものはあるのだろうか。
・第一のコツは、「一次情報」に触れることだ。一次情報というのは、誰のフィルターも通っていない情報のことで、具体的には、モノづくりの場合は生産ライン、商品開発の場合は商品が使われている現場に出向く、データの場合は加工されていない生データに触れるということだ。
・現場で何が起こっているのかを見て、肌で感じない限り理解できないことは多い。よって、数日間は集中的に一次情報に触れることをお薦めしたい。
・第二のコツは、一次情報から得た感覚をもちつつ、世の中の常識・基本的なことをある程度の固まりとしてダブりもモレもなく、そして素早くスキャンする(調べる)ことだ。
・通常、ビジネスでの事業環境を検討する場合であれば、①業界内部における競争関係、②新規参入者、③代替品、④事業の下流(顧客・買い手)、⑤事業の上流(サプライヤー・供給企業)、⑥技術・イノベーション、⑦法制・規制の7つのひろがりについて、それぞれの数字、問題意識、考え方のフレームワークをスキャンすればよいだろう。
・第三のコツは、意図的にざっくりとやる、つまり「やり過ぎない」ということだ。情報収集にかけた努力・手間とその結果得られる情報量にはあるところまでは正の相関があるが、そこを過ぎると途端に新しい取り込みのスピードが鈍ってくる。これが「集め過ぎ」だ。「知り過ぎ」はもっと深刻な問題だ。ある量を超すと急速に生み出される知恵が減り、もっとも大切な「自分ならではの観点」がゼロに近づいていくのだ。
■仮説ドリブン
・イシューを分解する
・多くの場合、イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えの出せるサイズ」まで分解していく。分解したイシューを「サブイシュー」という。
・イシューを分解するときは「ダブりもモレもなく」砕くこと、そして「本質的に意味のある固まりで」砕くことが大切だ。例えば、「新規事業コンセプトの有望なアイデアを検討する」というプロジェクトの場合、「事業コンセプト」自体が非常に大きな概念なので、このまま仮説を出してイシューを磨こうとしてもあいまいな仮説しかたてられない。
・「事業コンセプトとは何か」と言うと、さまざまな考え方があると思うが、ひとつの考え方として、狙うべき市場ニーズ、事業モデルに分解することができるだろう。前者はどのような市場の固まり・ニーズを狙うのか、後者はどのような事業の仕組みで価値提供を行い、事業を継続的に成り立たせるのかといったことがサブイシューとなる。
・「ダブりもモレもなく」という考えのことをMECEという。そして、この考え方を生かした汎用性の高い「考え方の枠組み」のことをフレームワークと呼んでいる。フレームワークは、イシュー見極めの場面では網羅的な情報収集に役立ち、イシュー分解の場面では汎用性をもった「イシューを砕く型」としてつかうことができる。
・ただし、危険なのは、目の前のイシューを無理やりそのフレームにはめ込んで本質的なポイントを見失ってしまう、あるいは自分なりの洞察や視点を生かせなくなってしまうことだ。「カナヅチをもっていればすべてのものがクギに見える」という状況になってしまっては本末転倒であり、このような状態になるくらいならフレームワークなど知らないほうがよい。
■ストーリーラインを組み立てる
・イシューを分解し、そのサブイシューに仮説が見えれば、自分が最終的に何を言わんとするのかが明確になる。ここまでくればあと一歩だ。
・次のステップは分解したイシューに基づいて、ストーリーラインを組み立てることだ。人に何かを理解してもらおうとすれば、必ずストーリーが必要となる。それが研究であれば論文の流れであり、ビジネスであればプレゼンの流れだ。
・できる限り前倒しでストーリーラインをつくると言うと、「決め打ちですか、ここでたいしたアイデアが浮かばなければ終わりということですね」という人がいる。だがこれは大きな誤解だ。ストーリーラインは検討が進み、サブイシューに答えが出るたびに、あるいは新しい気づき・洞察が得られるたびに、書き換えて磨き上げるものだ。問題を検討するすべての過程に伴走する最大の友人、それがストーリーラインなのだ。
・ストーリーラインには2つの型がある。一つ目は「WHYの並び立て」、二つ目は「空・雨・傘」というものだ。前者に関してはシンプルな方法だ。最終的に言いたいメッセージについて、理由や具体的なやり方を「並列的に立てる」ことでメッセージをサポートする。「第一に、第二に、第三に、というタイプの説明」と言えば理解しやすいかもしれない。
・ここでも「あの論点はどうなっているんだ」と意思決定者や評価者から攻撃されることを防ぐために、重要な要素を「ダブりもモレもなく」選ぶようにする。
・後者の考えは多くの人にとって馴染みやすいのではないかと思う。「西の空が良く晴れているな(空)。今の空の様子では、当面雨は降ることはなさそうだ(雨)。だとすると、今日傘を持っていく必要はない(傘)。」という流れだ。多くは、「雨」の部分で見えてきた課題の深掘りがどこまでできるかが勝負どころとなる。
■ストーリーを絵コンテにする
・イシューが見え、それを検証するためのストーリーラインもできれば、次は分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をデザインしていく。ここでも「分析結果が出ないと考えようがない」とは言わない。
・基本はいつでも、「最終的に伝えるべきメッセージ(=イシューの仮説が証明されたもの)」を考えたとき、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、そして相手を納得させられるかと考えることだ。そこから想定されるものをストーリーラインに沿って前倒しでつくる。
・著者はこの分析イメージづくりの作業を「絵コンテ」づくりと呼んでいる。絵コンテづくりで大切な心構えは「大胆に思い切って描く」ということだ。「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。ここでも「イシューからはじめる」思想で分析の設計を行うことが大切だ。「これなら取れそうだ」と思われるデータから分析を設計するのは本末転倒であり、これをやってしまうと、ここまでやってきたイシューの見極めもストーリーラインづくりもムダになってしまう。
・「どんなデータがあれば、ストーリーラインの個々の仮説=サブイシューを検証できるのか」という視点で大胆にデザインする。もちろん、現実にそのデータが取れなければ意味はないが、そのデータを取ろうと思ったらどのような仕込みがいるのか、そこまでを考えることが絵コンテづくりの意味でもある。場合によっては既存の手法ではやりようがないこともあるだろうし、大胆な工夫をする必要も出るだろう。
・このようにイシューの視点からデータの取り方や分析手法にストレッチ(背伸び)が生まれるのはよいサインだ。正しくイシューをベースに絵コンテづくりをしている証拠でもある。
■アウトプットドリブン
・いきなり飛び込まない
・イシューが見え、ストーリーラインができ、それに合わせて絵コンテができれば、あとはその絵コンテを本物の分析に変えていく。
・そこで大切なことは「いきなり分析や検証の活動をはじめない」ことだ。最終的に同じイシューを検証するための分析であっても、それぞれには軽重がある。もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う。ストーリーラインと絵コンテに沿って並ぶサブイシューのなかには、必ず最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ部分がある。そこから手を付け、粗くてもよいから、本当にそれが検証できるのかについての答えを出してしまうわけだ。
・重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた場合に手が付けられなくなる。ここはストーリーラインのなかで絶対に崩れてはいけない部分、あるいは崩れた瞬間にストーリーの組み換えが必要となる部分であり、具体的にはカギとなる「前提」と「洞察」の部分になるだろう。その他のバリューが同じくらいのサブイシューは早く終わるものから手を付けるのが、アウトプットを出す段階における正しい注力だ。
■メッセージドリブン
・あいまいなものはすべて排除する
・イシューに沿ったメッセージを人に力強く伝わるかたちでまとめる。これが、「メッセージドリブン」だ。仮説ドリブン、アウトプットドリブンに続く、イシューに対する解の質をグッと高める「三段ロケット」の最後にあたる。ここの踏ん張りで、同じネタでも見違えるほど力強いアウトプットになる。
・検討報告の最終アウトプットは、ビジネスではプレゼンテーション、研究では論文というかたちをとることが多いだろう。これを聞き終わったとき、あるいは読み終わったとき、受け手が語り手と同じように問題意識をもち、同じように納得し、同じように興奮してくれるのが理想だ。
・「イシューからはじめる」という当初から貫いてきたポリシーそのままに、「何に答えを出すのか」という意識をプレゼンの前面に満たす。シンプルに無駄をなくすことで、受け手の問題意識は高まり、理解度は大きく向上する。「本当にこれは面白い」「本当にこれは大切だ」というイシューだけがあればよい。まずは「ストーリーラインを磨き」そして「チャートを磨きこむ」必要がある。
■一読のすすめ
・本書ではイシューベースの各アプローチに対するさらに深い思考方法や、それに基づくビジネスケースが多く提示されている。上記の紹介の中では、コンセプトを中心にまとめており、具体例の多くはカバーしきれていない。すべてのビジネスパーソン、そしてこれから社会に出ようとする内定者に、本書を一読することを強く薦めたい。