戸部田誠(てれびのスキマ)のレビュー一覧
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日テレ快進撃の要因は、24時間テレビにある、という分析を聞いたことがあります。1日まるごと1つの番組を成立させるために、報道とかドラマとかスポーツとかの縦割りを超えたチームになったことが、それが若い作り手世代によってなされたことが効いてきている、と。まさにその詳細篇。フジテレビコンプレックス世代による逆襲物語でした。ひとつひとつの番組が、どうやって生み出され、どう次の番組に繋がっていくか?番組という点が編成という線になって、それがコンテンツ産業としてのテレビ局の組織文化をどう変えていくのか?ビジネススクールのケースのような話です。今だから、と言えるような結果論にも思えますが、だからこそ、この状況を作り出した氏家齊一郎というリーダーのことが大いに気になりました。しかし、コンテンツを巡るバトルはフジテレビとの三冠王争いというレベルを超えてグローバルなプラットフォーマーや通信会社の大暴れする時代に突入しています。5G時代に向けて、「全部やれ2.0」はもう始まっているのでしょうね。
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笑福亭鶴瓶は粉うかたなきお笑い界の大物にもかかわらず、「もっとおもろなりたい!」と後輩に嘆き、「日本で一番サインしてるんとちゃうか」と涼しい顔で語り、ファンとの関わりに時間を割く。そう今風に言うなら「神対応」を365日してる芸人。その一方で、今でもテレビカメラの前で局部開陳をやりかねないアナーキーさも持ち合わせる。
著者はその鶴瓶の生き方を「貪欲に満ち溢れている」と捉え、それを「スケベ」のフレーズに凝縮する。
本書は京産 落研から6代目笑福亭松鶴への入門、あのアフロヘアーの秘話、ラジオで培われた鶴瓶噺、入試で見初めた人と結婚、東京進出の挫折と復活、齢50を超えてからの古典落語に挑戦…、公私にわたるエピソードを拾い集め、いかに「人との交流にスケベ」であるかを迫った力作。とは言え、本書は鶴瓶自身によるオーラルヒストリーではない。仕事・発言・エピソードを夜空を彩る星と星を結んで星座を作り「アレが鶴瓶座!」と指差し眺めているような掻痒感がつきまとう。
そう、一体何者で、何を考えているのか。無邪気で好人物、M字頭の着ぐるみをまとい、今日も町に出かけ、誰かと出会い、ハプニングに雀躍する。それを肥やしに日々更新し続ける。鶴瓶は呟く。「世間にわかられてたまるか…というのはありますよ。そう簡単にわかられたら、おもろないやん〜」と、細い目をさらに細くしてほくそ笑むのである。 -
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テレビの出演者に対して鋭くも温かな評論を書いている戸部田氏による、雑誌連載で行われた評伝を取りまとめた一冊である。
テレビに出演するあらゆる人物について、テレビ上で発した何気ないコメントからその人物を立体的に想像しようという、氏らしい手法での評伝だ。
ここで取り扱われている人物は多種にわたり、芸人、俳優、ミュージシャン、文化人と本当に幅広い。雑誌連載ということで2P半程度の短いものであるのが惜しいところだが、その視点の鋭さは相変わらずである。
さすがに紙面の関係でやや薄味な内容であることは否めないが、さすがテレビをよく見ておいでの自称「テレビっ子ライター」。意外な人物の意外な発言なども多く採られていて、読んでいて実に楽しい一冊だった。
ここでは星四つと評価している。星一つ落としているのは、やはりどうしてもこの一つ一つ短さが問題であるように思えるためである。氏の「タモリ学」などを思えば、もっと長尺で描くのを得手とする方だろう。 -
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松尾スズキの『大人失格』や宮沢章夫の『牛への道』等のエッセイを夢中になって読み 日本民族舞踊部からの誘いだった 当時俳優になるかどうか迷っていた河合優実は いきなり優れたテレビ番組を顕彰するギャラクシー賞の月間賞及び奨励賞を受賞した 書籍化された際の謳い文句は「音痴な人でも、音知になれる!」 クレージーキャッツとタモリは日本の芸能史に脈々と連なる「ジャズマン」の系譜 まさに文化の継承と更新に 〈和かに中指を〉立てるように 自分のネイバーフッド(近所)を広げていくみたいな感覚で音楽をやりたい 完成した気持ち良さや共感が人を救う事もあるが、同じ速度で人を壊す事も知っている。だからこそ、気持ち良くしてしまう事に、無意識にブレーキがかかる。これは、ある種の生存本能に近いとも言えよう。 多くの表現者が「型に回収されるか、そこから逸脱するか」という二者択一を迫られるなかで、彼は常に、型を使いながら、使い切られないという第三の位置を選び続けてきたのである。 型が表現を動かすエンジンだとすれば、意味とは、その運動が社会と接触した時に必然的に生じる摩擦熱のようなものだ。摩擦熱は、人を温める事もあれば、扱いを誤って火傷を負わせる事もある。 意味が追いつく前に身体が揺れてしまう瞬間。言葉になる前の余白。その遅れの中にこそ、私達は未だ生き存える事が出来るから。 批判と炎上の道徳ゲームが始まった
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なんか期待したものと違った。
いや、内容はある意味想定していたものなんだけど、
広がりすぎた。
タモリ倶楽部とアド街ック天国だけでよかった。
フルハウスという番組制作の会社のトップ、菅原正豊さんの頭の中を解きほぐす本のようで、
様々な番組の紹介、制作秘話に多くのページが費やされた。
自分が見たことがあったのはタモリとアド街とチューボーですよ!くらい。
チューボーですよ秘話は意外だった。
あの器用なマチャアキが、料理はこの番組が初めてだったと。
いや、テレビ用の料理が、ではなく、おぼっちゃまの彼は、生まれてこの方料理などしたことがなかった。
しかしこの番組のために、ちゃんと料理ができるようになった。
しかししかし、時には完成しなかったり、落っことしたり。
でもそれを撮りなおすことなく、「ほし、ゼロです!」もあったとか。
これは楽しかったな。
見てない番組は、ねえ。
それにしても昔の深夜番組はエッチだったなあ。なつかし
第1章:「王道」はできない、なら「脇道」を行けばいい――『タモリ倶楽部』
「タモリで深夜をやりたい」/正体不明の芸人だったタモリ/景山民夫が脚本を担当/〝お尻評論家〞だった山田五郎 /「空耳アワー」誕生 /電話帳みたいな台本 /タモリが面白がってくれることを考える/いかに〝脇道〞で面白いことをやるか
第2章:作り手には「照れ」がないと。――『メリー・クリスマス・ショー』
一斉に社員がやめた/桑田佳祐と組んだ、伝説の音楽特番/「美術セットを裏返しちゃおうか」 /一夜限りの豪華アーティストたち/本番中に練習した『Kissin' Christmas』/二度目の会社崩壊/『タモリ倶楽部』演出・山田謙司インタビュー
第3章:「バカですね」は最高のオシャレ、「くだらねー」は最高のホメ言葉――『いかすバンド天国』
「たま」は圧倒的だった/「バンド合戦なんてどうですか?」/バンド経験者が築いた芸能界/2時間半、ぜんぶ生放送だから面白い/ハウフルス流美術セット
第4章:番組は商品ではなく「作品」です――『S H O W by ショーバイ‼』『夜も一生けんめい。』『24時間テレビ』『夜もヒッパレ』
日テレ復活を支えた『ショーバイ』と『マジカル』/スガワラ印の発明「10面マルチ」/エンドロールは喜びであり責任/逸見政孝との再タッグ『夜も一生けんめい。』/三波春夫にヒップホップ、和田アキ子にアイドルメドレー/『サライ』、24時間マラソンが生まれた『24時間テレビ』/往年の歌手が今のヒット曲を歌う『夜もヒッパレ』
第5章:クリエイターは「オシャレ」で「粋」でありたい、な。――『出没! アド街ック天国』
街自体を広告にした『アド街ック天国』/『アド街』新司会者にイノッチを起用/都会的センスを培われた幼少時代/伝説のプロデューサー・後藤達彦/テレビマンは、オシャレでいてほしい/後藤達彦に捧げた第1回
第6章:作り手には「美学」がないと。――『探検レストラン』
映画『タンポポ』のモデル「ラーメン大戦争」/多彩な才能が集まった『11PM』/番組の名物「駅弁プロジェクト」 /現在も販売される名物弁当に/料理で遊ぶ/戦友・愛川欽也
第7章:カッコいいものは、カッコ悪いんです ――『出没‼おもしろMAP』
本質がつまったデビュー作/やればやるほど大赤字/情報バラエティのはしりだった『おもしろMAP』/番組の象徴的キャラクター、ムキムキマン
第8章:エンタメの基本はアナログ&エッチです ――深夜番組の隠れた名作たち
本質は〝深夜番組〞にある/鬼才・藤田敏八監督ビデオ作品を企画/超低予算歌番組『ENKA TV』/講演をエンタメにした『講演大王』/日本で一番寝ない男/効果音、テロップまで徹底してこだわる/テロップはできるだけ入れない/ナレーションは制作者のメッセージ
第9章:会議は戦場です。一番面白いことを考える奴が偉いのです――『チューボーですよ! 』『どっちの料理ショー』『秘密のケンミンS H O W 』
司会は堺正章でやりたい/包丁を握ったこともなかった/料理は1回分、一発勝負/企画はコンセプトから考える/会議は戦場です/『ケンミンSHOW』が生まれた会議/「関口さんとは仕事したくないんです」/打ち合わせに電車で来た男
第10章:テレビ番組は「夢」の沢山つまったエンターテイメントです ――『ボキャブラ天国』
数々の芸人を生んだ『ボキャ天』」/ボキャブラ・マトリックス」/若手芸人ブームを生み出す」/会議そのものをコーナーにした」/編集は凶器である」/〝みんな〞がつくった番組は面白くないですよ
巻末対談:対談責任があるからテレるんです。 山田五郎× 菅原正豊
付録:ハウフルス タイトルデザイン コレクション -
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金曜日の深夜「タモリ倶楽部」を観ることがウイークデイとウイークエンドの切替スイッチでした。もちろんリアルタイムで視聴出来ないこともありましたがそれでも土曜日の朝に録画で観ることが生活習慣でした。きっと仕事頑張らなきゃという生産的なモードを解除してくれる番組だったのだと思います。2023年3月31日終了した時マジに「これからどうするんだ?」状態になってしまい今だにハードディスクレコーダーの録画設定には休止まま放置してあります。もし再開したらすぐまた録画できるように…この本を読みながらハウフルスの番組を思い出すのと同時に蘇るのはその番組をどの時間で誰と観たか、という記憶です。例えば「探検レストラン」の「荻窪ラーメン戦争」の回は先輩の家にお呼ばれして奥様の手作りの料理とともにお酒を飲みながらみんなでゲラゲラ笑いながら観たことを突然思い出しました。今、番組はコンテンツという呼び方で時間性、場所性を外してスマホやPCで一人で楽しむものになっていますが、そうじゃなかった時代が蘇りました。もちろんタイムシフトで集中して観るのもいいですが、家にいてリビングでたまたまついていたテレビの面白かった時の喜び。独自性と普遍性、脱力とオシャレ、緻密さとドキュメント感、そういう面白さに最近、巡り合っていない気になりました。もちろんYou Tubeやサブスクにもそういうコンテンツは埋まっているのでしょうが…デジタルの進展はテクノロジーに疎い情弱を作っているかもしれませんが、エンターティメントのラガード、エン弱(?)も作っているのかもしれません。
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ネタバレ林と藤本タツキが出会ったのは「SQ.」の月例新人漫画賞「クラウン新人漫画賞」への投稿がきっかけだった。藤本の父親は「SQ.」やその前身の「月刊ジャンプ」の愛読者。その影響で藤本にはマンガ雑誌といえば「SQ。」という思いがあった。林は藤本の投稿作を読んで、その若々しさとトガりに惹かれた。描きたいという初期衝動をそのままぶつけたような作品だったのだ。
「最終候補になったときに、担当に就きました。絵は結構粗かったけど、面白い人間も描く。構成も言語感覚もなんか独特で不思議な感じがしました。でも、電話したら、めっちゃ常識的だったし、作品に対する創作意欲がすごく強い方でした。出会えて運が良かったですね」
その頃、藤本は秋田に住む17歳の高校生だった。しばらく電話やメールでやりとりをして、1年ほど経った頃、初めて対面した。〝情報〟として年齢は知っていたが実際に会ってみると改めて「若いな」と実感した。
「とにかく画力を上げてほしい」
林は藤本にそんな要求を繰り返した。加えて物語をつくる脳を鍛えるため、オススメのマンガやDVDを段ボールに詰め込んで送り、感想を求めた。しっかりそれを言語化することがアイデアを生むために大事だという考えからだった。藤本はデッサンやクロッキーを集中しておこない、同時に何かを思いついたらすぐにネームを描いた。多いときは毎日のように林にネームを送り意見を求めたという。林もそれに根気強く応えた。ボツが続いた頃、林は直接会って話したいと思い上京してもらったことがあった。久々に会った藤本は奇妙なことを口走った。
「連載が終わりました」
もちろんまだ実際にはどこの媒体にも連載はしていない。藤本は常に自分の頭のなかだけで〝連載〟しているのだという。そのうちのひとつが〝完結〟したというのだ。あふれるようにアイデアが湧き出てくるタイプの作家だった。
「SQ.」で何本か読み切りを掲載し、いよいよ連載ができるネームが仕上がった。それが『ファイアパンチ』だった。『ファイアパンチ』は「祝福者」と呼ばれる能力者が存在する世界を舞台にしたダークファンタジー。主人公は消えない炎に身を包まれており、飢餓に苦しむ村人のため、自身の肉体を食料として提供している。やなせたかしの「アンパンマン」に着想を得て生まれたものだという。
「林さんは天才だから」
そんな声が若い編集者からあがることがあるという。つまり、林は特別だから、彼と同じようにはできないというのだ。けれど、そうではないと、細野は言う。
「林のスゴさは、誰にも真似できない部分ではないんです。たとえば『まめに連絡を取る』ということをルーティンにしている。連絡するって一見当たり前で簡単そうですが、ちゃんとできなかったり、先方から返事がないとやらなくなったりするんですよね。自分の仕事を完全に理解しているんです。そして試行回数が全然違う。僕が知る限り一番たくさん読み切りを載せ、新連載を立ち上げています。編集者としての能力もスゴいんですが、たくさんマンガをつくって、作家さんとより良いものをつくっていく、それがスゴさだと思います」
紙の雑誌は厳格にページ数が決まっている。そこがウェブマンガとは大きく違う。実は紙の編集者の最大の腕の見せどころのひとつが「削る」作業なのだ。長く「ジャンプ」でキャリアを積んだ中路は言う。
「『ジャンプ』の場合、1話19ページと、ページ数が限られています。だから、その回の中で、目立たせる部分、山場と次回への引きをつくるために、余分なところを削る作業が必要で、自然と取捨選択する技術が身についていきます。逆に『ジャンプ+』だと、ページ数の制限がないので、いいアイデアを残したいと思うとどんどんページ数は長くなり、一つひとつのネタは面白いけど、全部足した結果、ぼやけてしまう可能性がある。だから後輩たちにはそこを注意するように口酸っぱく言っています。読者に受け取ってもらえるものには限りがある。『ここがこのマンガのいいいところですよ』というものを絞って出さないと、理解されないし、なかなか広がっていかないですから」 -
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タモリの生き方は刹那的。
思慮深く物事を観察し、分析できるからこそ何事にも執着しない。軽やかに自由に生きていく。
「バカなものにある、開放的というか、日常からはみでた突飛性という得体のしれない力を楽しむ、これは知性がなければできない。どんなものでも面白がり、どんなものでも楽しめる、これには知性が絶対必要」
な、なるほど。さんまともたけしとも違う特徴はここか。いいともも、昼の笑いに知性を求めたプロデューサーが夜の顔だったタモリを抜擢したらしい。
刹那的だからこそ、どこから読んでも大丈夫。いい意味で、一貫したまとまりがない。それがタモリの懐の深さなのかも。
いいともリアルタイムで観てた世代でよかったー!