【感想・ネタバレ】全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年02月21日

日テレ快進撃の裏側を描いた本。今のテレビ業界にはない勢いが詰まっている。
時代の違いを感じながらも、自分が本の登場人物のように情熱を持って仕事できてるか考え、恥ずかしくなった。
時代を言い訳にしたくないと思う。

以下、気になった部分の備忘録。

・日本テレビのディレクターは代々仲がいい。24時間テ...続きを読むレビであつまり、作り方の共有と差別化ができる。

・細野邦彦いわく「ハイブローなことよりも人間誰しも関心があるローブローのことを、そのままストレートにみせるのではなく、綺麗にパッケージすることが大事」

・五味一男はクイズ番組を立ち上げるため、クイズの出題傾向や司会者、回答者、セットや番組構成、画面の写真を撮り視聴率と照らし合わせ、それらを書き込んだ7冊のノートを作った。→考える気が起こる、誤答が膨らむ、聞いた後になるほどと納得する、という三原則にいきつく。

・自分の好きなことなんてどーでもいい。大勢の人が興味をもつものにいかに焦点をあてるかが大事。個性的なものより誰にでも好かれるものを作る方が難しい。

・ありそうでなかったものを徹底的に考える。ありそう=人間の本能に根ざしたニーズがある、なかった=市場の隙間をついている

・視聴率を参考にするのはもちろん、1200人がどういう風に見てるかっていう映像を1200パターン頭でイメージしてプロファイリングする。

・飽きさせない、わかりやすさ、を徹底的に追求。
マジカルバナナでは分かりにくい単語が出たらストップ。テロップには必ずイラストを添える。視聴率が下がれば躊躇せずそのクイズをやめて、新しいクイズに。100種類以上考えた。

・最近よく見るワイプは1番いい場面でいれているけど、あれは間違い。邪魔にならない、ダレてくるところで入れる。

・土屋敏男は、制作部にいくため、企画書を1年間で50本作った。それを3年続け、ようやく声がかかった。

・伊藤輝夫(テリー伊藤)にでてくる企画案を面白いか面白くないか瞬時に判断していた。
「作家なんて会議前に1時間考える程度。俺は毎日8時間考えてる。すると作家が出してくる企画は自分が一度考えたことがあるもの。」

・土屋敏男は佐藤孝吉の試写の時には必ず駆けつけた。試写が開かれる情報をどこからか聞きつけていた。

・佐藤孝吉いわく、「なんかがある」の「なんか」は、日本の事だった。大家族もの、行列の出来る店、取材拒否の店など情報番組の定番となるヒット企画を次々と生み出した。

・日本テレビとフジテレビ両局、48時間分を見て、方眼用紙に一分ごとに何が放送され何を感じたか、どんなテロップが出ていたか、番組PRの方法などあらゆることを書かせた。

・自分達の番組枠内で自分達の番組をPRするのを辞めた。→ターゲットが散らばる。

・はじめてのおつかいは、1000本とって6本が採用になる。

・国民生活基礎調査で歯を磨く、トイレに行くなど3分ごとに行われてることが分かった。→ズームインは1つの項目を3分毎に作ろうと考えた。7時からの30分は学生、その後の30分はサラリーマン、その後は母親をターゲットにした。

・萩原敏雄は「刑務所の塀の上を歩くような番組を作れ」と言っていた。法に触れてはいけないが、塀の外の安住した日常のような番組ではだめ。

・五味一男いわく「僕の先生はサイレントマジョリティである視聴者。声をあげない視聴者は厳しい。見ないという判断をする。視聴者はなにも声をかけてくれないし、見ないで終わり」

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Posted by ブクログ 2018年07月26日

電波少年、ガキの使いなど、90年代の日テレの躍進の舞台裏で何が行われていたのかがわかる本。当時を思い出しながら面白く読めた。90年代の番組が好きだった人にはおすすめ。

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Posted by ブクログ 2018年07月09日

‪これぞサラリーマン青春群像劇!ドラマを制作・放送しているテレビ局の舞台裏が最もドラマチックってありそうでなさそうで本当にあるのかwまずドラマとして抜群に面白く、組織論として勉強になり、なりふり構わず全身全霊で戦う姿に勇気を貰う。逆襲は敗者だけに許された特権。何て素敵な言葉だろう。‬

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Posted by ブクログ 2018年06月10日

この本の舞台となっている日本テレビにこの時代、仕事で毎週通っていた。この本にも登場する番組のプレビューや収録の立ち会いだった。この本に登場する何人かには実際にお会いしている。現場にいて日本テレビの変化には気が付いていたが、内部の人ではないので、こんなことが起こっていたとは。テレビの見方がちょっと変わ...続きを読むる一冊。

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Posted by ブクログ 2018年05月13日

戸部田さんの本は毎回楽しく読ませてもらっています。

日テレのバラエティのイメージは「強い」という感じ。その中に「面白い」も入っているのだろうけど、それよりも「強い」。それで、僕が感じるこの「強さ」ってなんだろうとずっと思っていた。

視聴率を取りに行くという執念の強さか。サブタイトルの「えげつない...続きを読む」というのが、執念に通じる。しかしそれだけではない、別の「強さ」が全編で語られている。最終章の小杉善信さんの、視聴率に対する言葉に痺れた。

また日テレの逆襲劇を題材とした優れた組織論、リーダー論としても読める。僕のようなテレビっ子のサラリーマンは特に刺さる本だと思う。日テレはなんかいけすかねぇと思ってるような。

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Posted by ブクログ 2020年06月21日

奇しくも「平成」が終わる。まさに平成のテレビ史と言える本だ。
確かに日テレは今も強い。
視聴率三冠王以外にも、デジタル方面への攻めも他局と比較して積極的。
とにかく新しい事象に対して飛びつくのが早く、迷いがない。
そんな企業文化はいかにして生まれたのか?
日テレにとって、1980年代は負けの時代だっ...続きを読むた。
それを逆転させたのが1990年代。
まさに時代は平成。
「勝ちグセ」がついたと言えるだろうが、「えげつない勝ち方」をしてからの日テレは確かに強いのだ。
ただこの本を読めば読むほど、「特別なことをやった」という事実がないことが分かる。
当たり前のことを、当たり前に速やかに実行しただけ。
現場で思っている「正しい」事を、上が認めてやらせただけなのだ。
ただし「中途半端」でなく「徹底的に」やらせたのがポイントだ。
「徹底的にやる」これは絶対にトップの覚悟がないと実現しない。
今では普通になったが「またぎ編成」だって、当時前例がない事をやることは相当な抵抗があったハズだった。
説得&調整する先は多岐に渡り、その中のどこか一箇所でもNGが出れば実現不可。
そんな状況の中で「視聴率で勝ちたいのだ」「今のままでは負けなのだ」という強力な「現場の気持ち。トップの気持ち」が、すべてを打開して突き進んでいく。
結局は、社員含めて現場スタッフも関係者全員の気持ちが「日テレを視聴率で勝たせたい」ということで一丸になれたことが勝利の要因。
当たり前に聞こえるが、これがなかなかできないのだ。
どこかで「自分の利益」とか「自部署の利益」とか「スポンサーの利益」とか「タレントの利益」とかを優先させたら達成は出来なかった。
「視聴率を上げるのだ。そのためには、前例にない事も、覚悟を持ってやるのだ」
全員が一つの目標に向かって徹底的に行動することは本当に難しい。
しかしその先にしか勝利が無いとしたら?
言い訳はいくらでも出来る。
でもあえて言うとしたら「敗者に言う資格はない」なのだ。
我々は本気で勝とうとしているのか?
勝利へのこだわりを持つことの重要性を、今更ながらに説いている秀逸本だった。

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Posted by ブクログ 2020年01月07日

冒頭の「苦手」が秀逸。
「嫌い」や「ダサい」とかだと角が立つけど、「苦手」なら、まだ知らない部分にきちんと向き合うことで克服できそう、前向きだ。そういうシーンがあったら「苦手」って言おう。
でも、やっぱり嘘はつけないようで、そこはかとなく違和感を匂わす書きっぷりも感じられましたよ。(実際どうかはわか...続きを読むりませんが)
しかし、現在のテレビが凋落した原因は日テレが天下を取ったからなんじゃないかと思い始める。フジは軽佻浮薄ではあったものの、深奥には知性と教養があった、ような。日テレはマスな人間の欲望を最大公約数で叶えてくれるので、ある層の視聴者にとってはテレビは単なる娯楽に落ちぶれてしまった。だから、もっと単純に刺激的な娯楽に移行しちゃうんじゃないだろうか。

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Posted by ブクログ 2018年08月15日

テレビが、最も輝いていた時代の息詰まる舞台裏。
ワイプや雛壇など、今のテレビの「常識」が、ひょんなことから
生まれてきたエピソードも興味深い。

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Posted by ブクログ 2018年06月18日

日テレ快進撃の要因は、24時間テレビにある、という分析を聞いたことがあります。1日まるごと1つの番組を成立させるために、報道とかドラマとかスポーツとかの縦割りを超えたチームになったことが、それが若い作り手世代によってなされたことが効いてきている、と。まさにその詳細篇。フジテレビコンプレックス世代によ...続きを読むる逆襲物語でした。ひとつひとつの番組が、どうやって生み出され、どう次の番組に繋がっていくか?番組という点が編成という線になって、それがコンテンツ産業としてのテレビ局の組織文化をどう変えていくのか?ビジネススクールのケースのような話です。今だから、と言えるような結果論にも思えますが、だからこそ、この状況を作り出した氏家齊一郎というリーダーのことが大いに気になりました。しかし、コンテンツを巡るバトルはフジテレビとの三冠王争いというレベルを超えてグローバルなプラットフォーマーや通信会社の大暴れする時代に突入しています。5G時代に向けて、「全部やれ2.0」はもう始まっているのでしょうね。

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Posted by ブクログ 2019年12月10日

面白かったのだけど、話があっち行ったりこっち行ったりしていた感が否めない。人物、出来事、番組、どれ的にも。週刊誌の連載ものを本にしているからこその宿命とは言え、せっかく本にするんだから、もう少し整理できなかったのかなと。ちょっと残念でした。

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Posted by ブクログ 2019年12月01日

1994年当時絶対王者と言われたフジテレビを視聴率で逆転した日本テレビの関係者の奮闘と番組づくりの裏側を書いた一冊。

マジカル頭脳パワーやクイズ世界はSHOWbyショーバイなど人気番組を輩出し、テレビ業界でトップに立つことになる日本テレビの氏家社長以下プロデューサー陣の番組作りにかける情熱を感じる...続きを読むことができました。
今のテレビに普及しているワイプやアポなし、ひな壇などの原型ができたり、24時間テレビのマラソンなどもこの時期にできており、テレビ界を大きな変革をたくさん起こしてきていることも感じました。
日曜7時の枠の改革や巨人戦に頼らない番組作りなど次々とそれまで常識とされてきたことを壊した施策とそれを決断したリーダー、期待に応えた製作陣の連携が生み出した結果だと感じました。

テレビという大衆を代表するメディアにここまでの命を懸けた想いで番組が制作されていることと局同士の熾烈な争いが繰り広げられていることを知り、テレビに対する想いが変わる一冊でした。

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