桜井美奈のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
刑務所の中にある美容室で働く受刑者と、そこを訪れた人たちの物語です。
とある刑務所の中には、美容室がある。塀の中とは思えないような、そこだけ切り取ってしまえばシンプルで小洒落た様子すらある白い外観。扉をくぐれば空の中にいるような青い壁と、そこに浮かぶ雲のような白い椅子。美容師として働くのは国家資格を取った受刑者で、もちろん普通の美容室とは異なることも多い。様々なきっかけからその美容室を訪れた人々が、何を思って、何を見て、何を感じて帰っていくのか。受刑者である美容師のその後の人生にも思いを寄せる、オムニバス短編集となっている。
今作は、短編の一作ごとに主人公の変わるオムニバス形式の短編集の形で少しずつ物語が進んでいく一冊でした。
今作に触れるまで、女子刑務所の中に美容室があるなんて考えたこともありませんでしたが、そういう物があるのだと知って驚きました。研修を受けて、資格を取って、美容師として仕事ができるだけの時間分の刑期がある人でないと、その美容室に美容師として立てないということもまた、驚きの一つでした。刑法に詳しくない私は、どれだけの罪でどれだけの刑期が要求されるものなのか今一ピンとこないのですが、軽犯罪ではないことが確実だと思うと、なんとも特殊な場所のように感じてしまいます。
今作の主人公たちも、塀の中の美容室に訪れる理由は様々でした。偏見や下世話な興味や、その他色々な思いからそこを訪れる人々は、ある意味当然の反応なのかもしれないなとも思います。自分たちの普段の生活で、縁のない場所だと思っている刑務所の中。今まで存在を知らなかったものを知れたという意味で、とても新鮮な物語でした。できれば、それぞれの短編の主人公たちがその後どう感じてどう日常に戻っていったのかを、もう少し知りたかったです。
物語の中の美容室はフィクションでも、実際にある美容室で働く受刑者の方は、出所後にまだまだ厳しい現実が待っているのだろうと思うと、世知辛いです。一口に『犯罪者』と線を引くだけでなく、何かよい仕組みはないものかと思わずにはいられません。
世の中の問題も含めて考えさせられる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
看護師の真野七海が婚約者の高辻真吾と結婚をするために東京の病院を辞めて、彼が住む札幌に引っ越してくる。
夜勤を終えてそのまま婚姻届を提出する予定で帰宅すると真吾がベッドの上で冷たくなっていた。
彼女は、真吾の友人・光輝に死亡の事実を明らかにするのを待ってほしいと言う。
その間にひとりで婚姻届を出した彼女は何を明らかにしたのか?
どういう意味でこのタイトルなのか?と興味をもって読んだが、七海の過去のあることが原因で真吾のことを調べていたのがわかる。
この2人がもし一緒にならなければ、わからなかったことであり、真吾も命を落とすことがなかったのだろうか…