熊谷淳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルにひっかかる人がいるかもしれないが、著者は仏教徒ではない。”仏教のすすめ”ではないのでそこはご安心を。
基本は自己意識についてのけっこう最新の認知科学・心理学の観点の紹介で、あわせてそれが仏教から見た人間・生き方についての捉え方と通底していることを、著者自身の瞑想等の体験もからめて解説している。砕いていうと、心安く生きるためにどんな気の持ち方をしたらよいかを、ちゃんと納得したい人のための本、と言えるかもしれない。
僕ももちろん仏教徒ではないし、この本を読んで仏教に入信したりはしないが、いろいろ興味深かった。納得感もけっこうある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ良本です。幸せについて様々な実験を通してまとめてあります。
その中でもお気に入りは。
慣れについて
素晴らしい出来事は最初に起こった時が一番素晴らしく、
繰り返し起こるに連れて、薄れていってしまう。
我が子に「ママ」と呼ばれ、連れ合いの恋人に「愛してる」と言われてた
最初と最後のときを比べればわかるはずだ。
私たちは一つの経験をなんども体験すると、得られる喜びが
減っていってしまう。
これを心理学者は「馴化(慣れ)」と呼び、経済学者は「限界効用の逓減」と呼ぶが
我々一般人は「結婚」と呼ぶ。
この一節はとても面白かったです。直前の限界効用の逓減などは少し難しいですが、
結婚と聞いたときにわかりやすいなと思いました。
やはり慣れないためには、時間を置くことが大事だそうです。
参考になります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハーバード大学の心理学者が、
心理学や行動経済学、社会学などを駆使して、
どうやったら、未来の幸せを的確に予測できるかについて、
多数の実験例を紹介しながら考えていく本です。
個人的に、序盤からもうアツいです。
なぜなら、最近、いつも頭の中で転がしている考えと
おなじ考えを著者が述べて始めたからです。
<人間はコントロールへの情熱を持ってこの世に生まれ、
持ったままこの世から去っていく。>
というわけで、常々ぼくも考えていることですが、
ひとは自分自身にしろ他者にしろ、
支配したい欲求にがんじがらめですよね。
<生まれてから去るまでのあいだにコントロールする能力を失うと、
みじめな気分になり、途方にくれ、絶望し、陰鬱になることがわかっている。>
自律性(自己コントロール性)が他律性にとってかわられると、
生きることに随伴している幸福感が消し去られてしまうんです。
また、他律性を発揮する人も、
そのコントロール性に幸福感や活き活きした感覚を得るようですが、
その他律性を取り上げられるとダメージを受けて生命力も衰えるとのこと。
ならば、はなから他律性については否定的にとらえて生きていた方がよい。
ぼくはそう考えていました。
と、まあ、ここまではさわりの部分であって、
その後、本書の論旨はここから離れ、
いかに人は錯覚し、今現在に引きずられ、
ものごとを合理化してしまうことについて、
語られていきます。
それらがあるために、
人は未来の幸せをちゃんと予測できないのです、と論証していく。
また、ちょっと寄り道になりますが、
こんな金言もありました。
<説明は、経験から感情の衝撃を奪ってしまう。
経験をさもありがちなことに見せ、それ以上考えるのをやめさせるからだ。>
論説書のほうが小説よりも多く読んでいる
---そしてたまに小説を書くという行為をする---
ぼくが自覚していないといけない点でした。
さあ、ここからはいきなりネタバレになってしまうのですが、
結論として、どうやったら一番、未来の幸せを予測できるのか、
その方法として、自分の未来について想像するよりか、
それを経験している他人の話を聞いたほうが、
断然、役に立つと結論づけています。
他者の経験をものにしろ、経験を盗め、ですね。
そういうわけで、コミュニケーションが大事なんだよ、
っていうところに修まってきます。
他人の話や経験談を聞くことなんですよね。
自分が経験できないことを教えてもらう。
大事になってくるのは、
ストレスの少ない、円滑なコミュニケーションの雰囲気作りですかねえ。
システムづくりといってもいいですが、
もっとふわんとしたものなんじゃないかなぁ。
人は、グループに溶け込みすぎないことを好むことも、
本書で述べられているところなのですが、
だからといって、孤独を好みすぎると、幸せを掴みづらくなりそうです。
まあ、ここでいう孤独は、完全に内に閉じちゃうことで、
ネットの中でも、他者の書いたものを読まないだとか、
ほんとうに遮断してしまう人のことをいいます。
本書を読み解いてみて、
そして、自分なりの観点をまじえると、
ひとりでいること、つまり他者との距離をとりつつも、
本だとかネットだとかが中心だとしたって、
他人の経験は役に立つんだろうね、
とそのように要点をとらえました。
例えると、競馬でですね、
厩舎のコメントやJRA-VANっていうソフトから得られるデータ
(京都競馬場の芝1200mはどの枠のどんな脚質の馬が有利)
を摂取して馬券を買うことって、
レースでどれが一着二着三着になるかという未来を、
他者の経験や事実から予測することです。
そういうのを信用したほうが、
個人的には的中率は上がるなと感じていますから、
本書の論旨も間違っていなそうだな、なんて
現実的に腑にも落ちました。
そんな理由かい、と思われそうですけども。
さてさて、
久しぶりに星を五つ満点でつけたい本でした。
おもしろかったですよー。 -
Posted by ブクログ
「こうなれば満足する」と思っていたが実際は満足しなかった未来の自分
「こうなったら幸せだろうな」と思って実際にそうなるように努力した、
でもそこにいる未来の自分は「幸せでない自分」という現象
自己啓発本かと思い敬遠していましたが、
内容は心理学の観点から見た「幸せ」について
(たくさんのジョークを交えつつ)書かれていました。
未来の自分を予想することがなぜ困難なのかを
丁寧に解き明かして、幸せとはなにかを理解できる良書でした。
とくに「実在論」(物事は心に現れるままの姿で現実に存在するという考え)と、
「現在主義」(過去や未来を見る観点が、現在の経験に影響される傾向)について
説明されている3章4章はためになった。
買うときにチラ見したところ、
最終章の第6章のタイトルが「こうして幸せを手にいれよう」とか
「幸せになるための十ヶ条」ではなく、
「正しい予想をするために」となっていて、
「あれ?」と違和感を感じはしたのですが、
実際に最後まで読んでみると納得でした。 -
Posted by ブクログ
行動経済学について、たくさんのユーモラスなテストで検証していて読みやすい。
あるものを選択させたい時は似ているが少し魅力が劣るものを並べると選ばせたいものを選びやすくなる。
人に何かを欲しがらせるには、それが簡単には手に入らないようにすればいい。
無料には強力な力がある。何かを無料にするのは強力なアピールになる。
プレゼントは社会規範の領域(善意)だが、値段の話が出ると市場規範の領域に移る。人間関係が社会規範から市場規範に移ると、なかなか戻らない。人をやる気にさせるには社会規範の方が安上がりで効果的なことが多い。社会規範が支配する状況で金銭による支払いを申し出ると、そのせいで相手の意欲が減る可能性がある。値段が0で社会規範が問題になっている時、人々は世界を共同体のものとしてとらえる。
知識が先か後かで経験が変わる。前もって美味しそうと思ったものはやはり美味しいとなり、まずそうと思った時はやはりまずいとなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・1円とゼロ円には大きな違いがある。ゼロはただの値引きではなく、特別な力がある。助成ではなく無料を。
・市場規範と社会規範は共存できない。
プレゼントであれば社会規範が適用されるが、お金が絡むと市場規範が適用される。社会的な関係は一度市場規範を持ち込むと元の関係には戻れない。
愛、忠誠心、向学心はお金では買えない。
プレゼントは合理的には経済効率が悪いが、関係を築くためには大切。
・期待があるからこそ、食事や芸術を存分に楽しめる。期待がなければ、失望もしないが感動も生まれない。意図的に期待させることで相手を感動させることができる。プライミングにより、その人はそのように成果を上げる。