【感想・ネタバレ】ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべてのレビュー

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Posted by ブクログ

【選書理由】
News PicsのPEファンド特集にて、おすすめ関連書籍としてアドバンテッジパートナーズの市川氏が紹介しており、購入。

【感想】
期待を超える内容で合った。

前半部分は著者の若き頃のストーリーが載っており、文体としては『ご冗談でしょう、ファインマンさん』に近いなと思った。
私がまだ若いということもあるので、今の自分の歳の時に彼がどういう思考を持ってどういう行動を行っていたのか、といったところを追うような楽しみかたをした。

中盤からは、まあまあしっかりとした金融や実務の話がでてきて、最近そからへんの予備知識がついてきていたため、読み応えがあった。(1年前の私が読んでも楽しめなかったと思う)
後半部分の政治や、中国、奨学金当たりの話はそんなに面白くなった。中国人からしたら面白いかもしれないが。

兎に角、世界的PEファンドを創設する人はどんな人なのかということを、ざっくりと掴むことができたのは大きな収穫。

【印象に残った箇所】
70p
資金調達の経験もなければやりかたもわからなかったが、自分ひとりでなんとか知恵をしぼるようなばかなまねはもうしなかった。わたしは助けを求めた。
77p
ジャック・ウェルチが学びとるつもりになったが最後、脳に掃除機を直接つながれたように知っていることをなにもかも吸いだされてしまう。質問はとどまるところを知らず、矢つぎ早にくりだされる。ジャックは自分にとってまったく目新しいことでもひとつの考えとべつの考えとのつながりを瞬時につかんでしまう。
100p
ウォール街で働きはじめたころにタイプミスや計算ミスなどの失敗を犯しばつの悪い思いをしたおかげで、厳密であること、リスクを排除すること、助けを求めることの重要性を学んだ。今日のウォール街ではコンピュータのキーひとつで終わるような計算も、かつては手計算でおこなわなければならなかった。けれどもそうやって学んだからこそ、取引がいかに入り組んだ構造をとりうるか、どのような細部まで交渉すべきかを理解できた。習熟するには経験と辛抱強さと痛みに耐える力が欠かせない。
104p
リーマンでまだ駆け出しだったころ、どうして資金を借り入れるとき銀行のほうが同規模の一般企業より多く支払わなければならないのかと年上のバンカーに尋ねたことがある。「金融機関は一日で破綻してしまう。だが一般企業が市場での地位を失って破産するまでには何年もかかるからだ」と彼は言った。
122p
簡単なことなら解決してやろうという人はいくらでもいる。しかしほんとうに厄介なこととなると、まわりにはだれもいなくなる。それを解決してやることができれば、いつのまにか希有な人たちの仲間入りを果たしている。
141p
わたしたちは8億5,000万ドルのファンドを調達したが、その資金でできるだけ多くの取引をすることを意図していた。それぞれの取引で使う自己資本が少ないほど、残りを銀行から借りることでより多くの取引を手がけることができる。8億5,000万ドルを使って借入をせずに8億5,000万ドルの資産をひとつ購入することもできるし、85億ドル分の資産に対して10%の頭金ととして8億5,000万ドルを使い、残りを借り入れでまかなうこともできる。節度を持って借り入れをすれば、ふたつ目の選択肢のほうが格段に高い収益を見こめる。リスクをおさえるためにも分散化は欠かせない。

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

巨大投資会社ブラックストーンの創業者の自伝。巨大企業の超有名人ではあるのだが、恥ずかしながら知らなかった。歴代米大統領はもとより、サルコジ仏大統領、習近平、安部首相など各国首脳、フランシスコ教皇、スピルバーグ監督など、数多くの有名人との写真が掲載されており、大物ぶりがよくわかる。短期的な利益を求めるのではなく、買った会社を立て直して利益を得ることを基本として、世の中の動きをよく見て的確に対応しているのがすごい。学ぶべきことが多々書かれており、勉強になった。

「人は一度にひとつのことしか本気で取り組めない」p8
「一流の経営者はつくられるもので、生まれつくものではない。情報を吸収し、経験を分析し、おのれの失敗から学んで成長する」p11
「現在、私のスケジュール帳は想像すらできなかったようなビジネスチャンスで埋まっている。各国の首脳、企業の経営幹部、放送タレント、金融界のリーダー、国会議員、ジャーナリスト、大学の学長、著名な文化団体の理事との面会だ。どうやってここまで来たのか」p12
「ブラックストーンでは、手がけると決めたからにはどんな事業であれ世界一になるという共通の使命のもと、能力にあふれるチームを編成してきた。世界一であるかどうかを基準にすれば、自分たちの位置を常に評価しやすくなる」p14
「私にとって人生に最も大きな見返りをもたらしてくれるのは、新しいもの、意外性があるもの、強い影響力があるものを生み出すことだ。たえず卓越性を追求している。成功の秘訣を尋ねられた時の基本的な答えはいつも変わらない。またとない好機を見出し、全力を尽くしてものにすること。そして決してあきらめないことだ」p15
「人は自分の現実こそが唯一の現実だと考えがちだが、現実は人の数だけ存在する。さまざまな現実を目にする機会が多いほど、その意味も理解しやすくなる」p52
「軍人の献身と犠牲はどんなときも称賛されなければならない」p52
「(モルガン・スタンレーのオファーを取り消してもらおうとした)それはできないとボブ(社長)は言った。モルガン・スタンレーがオファーを出したら、それをどうするかは受け手の問題だという。わが社は決して約束をたがえない、という言葉に感銘を受けた。ボブはこのあと10年かけてモルガン・スタンレーの企業文化を近代化し、多くの古い伝統を捨てて変革を推し進めた」p60
「私がブラックストーンで採用面接をするときは、その人間がわが社の企業文化に合うかどうかを考える。少なくとも「空港テスト」は必ずやる。飛行機が遅れて空港で足止めを食った場合、この志願者とふたりで待つ気になるか、と自分に問うテストだ」p64
「(不確かなものに対処する能力を評価する)金融、とくに投資は新しい情報や人や状況にすばやく順応しなければならない動的な世界だ。会話という限られた範囲内でつながりをもち、積極的にかかわり、方向を変える能力を示さない志願者は、おそらくブラックストーンでうまくやっていけない」p65
「(ハーバード財務担当ジョージ・パトナムへの売り込み)「(こまごまとした説明の後に)では最初から面会をやり直そう。わたしにこう言いなさい。『パトナムさん、あなたはハーバード大学の財務担当です。私はアメリカ最大になる予定の学生ローン貸付事業をはじめます。あなたからは2000万ドルの出資を予定しています』。さあ、言って」。私はそのとおりに言った。「シュワルツマンくん、それはすばらしい考えだ」パトナムは言った。「よし、2000万ドル出資しよう」。パトナムは私が部屋へ足を踏み入れる前にすでにこの会社について調べていた。わたしが何を言ったところで会社の実力についての判断が変わるわけがなかったのだ。「さて、きみはこれから電車に乗り、ニューヘイブンへ行ってイェール大学のなにがし氏に面会してこう言いなさい。『なにがしさん、私は学生ローンマーケッティング協会への出資を募っています。アメリカの学生ローン最大手になる会社です。イェール大学から1500万ドルの出資を予定しています』。ためしてごらん。あとはなるようになる。つぎはまた電車に乗ってプリンストン大学に行く。そこで1000万ドル出してくれとたのんでみるといい」(こうしてあっという間に1億ドル調達できた)」p72
「投資家は常によい投資を求めている。投資家のために簡便にすればするほど、だれにとってもよい結果になる」p73
「仕事上の出会いをもっと個人的な出会いに変えられるようななんらかの接点や共通点、似たような興味や経験を探す。ごくあたりまえのことのようだが、実際にはそれほどあたりまえにはおこなわれていないらしい」p88
「(ブラックストーンの起業)わたしたちの最大の資産はふたりのスキルと経験と名声だ。ピートは最優等の称号「スンマ・クム・ラウデ」を受賞して大学を卒業し、全米優等学生友愛会「ファイ・ベータ・カッパ」の会員でもある。プロセス指向で分析的な人だ。ピートが理屈と論理で突き止められないことはなにもない。ニューヨーク、ワシントン、アメリカ実業界のすべての人と知り合いで、そのだれとでも気楽に気兼ねなくつきあうことができた。いっぽう私はもっと直感的ですばやく人を読み解き理解できると自負している。決断を下して迅速に遂行することができ、いまやM&Aスペシャリストとしてよく知られていた。わたしたちはスキルも個性も異なるが互いを補い合う存在だ。きっと名コンビになり、わたしたちのサービスを人々が望むようになるという自信があった」p103
「自分の構想を繰り返し売り込まなければならない。ほとんどの人は変化を好まないため、こちらの主張とちょっとした魅力で相手を圧倒する必要がある」p127
「市場の天井は比較的見分けやすい。買い手はたいてい自信過剰になり、ほとんどの場合「今回はちがう」と考える。通常それはまちがっている」p159
「市場が下落し経済が低迷するなかで市場の底を見極めるのはむずかしい。ほとんどの公的投資家や民間投資家は早すぎるタイミングで買い、景気後退の深刻さを過小評価する。あまり急いで反応しないことが大切だ。ほとんどの投資家には完全に景気の底を打つまで待つ自信や自制心がない」p160
「このような状況を避ける方法は、価値が最低水準から少なくとも10%回復するのを待ってから投資することだ。安全策を取って市場回復の最初の10%から15%をあきらめ、確実に適切なタイミングで買うほうがいい」p161
「FRBの元議長が、だれもバブルを見抜くことはできないと表明したが、断じてそれはちがう」p161
「どんな組織でも失敗は最高の教師であることが多い。失敗を葬り去るのではなく、包み隠さずに話してなにがうまくいかなかったのかを分析し、意思決定の新しいルールを身につけなければならない。失敗は大きな贈り物になりうる」p164
「ピートと私は、10点満点の人材を雇うことに決めていた」p176
「2018年期生のジュニア投資アナリストには、86人の求人に対して1万4906件の応募があった。採用率は0.6%で、世界トップクラスの超難関大学の合格率よりもはるかに低い」p176
「知らない人との会話では、共通の土俵に立てる場所が見つかるまで常に辛抱強く質問し続ける必要がある」p189
「私は結論を出す前に、取引について本人から直接説明を聞く。声の微妙な調子を聞きボディランゲージを見れば、その人がことばにしていることと同じくらい多くを読み取ることができる」p192
「私は完璧といえないオフィスは絶対に選ばないと決めていた。最高の人材をひきつけ、わたしたちの実力に対する顧客の確信が深まるような美しい空間をもつことは、契約を結ぶために少しばかり余分にかかる費用をはるかにしのぐ価値がある」p196
「ぬくもり、気品、簡素さ、調和、そして大きな窓から差し込む自然光。ブラックストーンのオフィスに出勤する人や会議のために来社する人が、私と同じくらいこの体験に心を震わせてくれればうれしい」p197
「常に自分の会社は小さいと本気で思っている必要がある。会社が大きくなり成功しはじめたとたん、挑戦者が現れ、顧客を奪い、きみを打ち負かそうとあらゆる手を打ってくる。成功したと思った瞬間ほどあやういときはない」p215
「(中国への出資依頼)合意には中国国務院と首相の承認が必要だったが、驚いたことにどちらもわずか数日で回答が届いた。アメリカやヨーロッパなら、数か月かかっていたかもしれない。中国政府の行動の速さは、この決定がたんなる金銭的なものではないことを示していた。これは政治的にも外交的にも重大な影響をあたえるものだ」p243
「困っているとき助けに来てくれた友人のことは決して忘れないものだ」p279
「人は自分の失敗から学び、最悪の事態が起きた時に学ぶものだ」p284
「与えることは人生の一部であり、幸運に恵まれたおかげで私もその習慣を続けている」p298
「学生がなにを学ぶかがすべてではない。肝心なのは学びながら築く人間関係だ」p312
「国家主席から、副首相、文化部部長、党書記、大学の学長へと権力が行使されていくのを目の当たりにした。このすべてが味方してくれていれば中国そのものを味方につけているということであり、だれも邪魔したり拒絶したりできない」p314
「1985年に40万ドルだった当初の資本金を、2019年には5000億ドル以上の運用資産にすることができた。創業からの一年あたりの成長率は約50%だ」p360
「(卒業生に向けて)どんなふうにキャリアをはじめるにしても、人生は必ずしも一直線には進まないと覚悟しておくことが大切です。世界は予測できない場所だということを知っておいてください。ときには、みなさんのような才能のある人たちでも、愕然とささられることがあるでしょう。生きていれば多くの困難や苦難に直面することは避けられません。逆風にぶつかったら、覚悟を決めて自分自身を前進させなければなりません。逆境そのものではなく、逆境に直面したときに立ちなおる力こそ、あなたがどういう人間かを決めるのです」p362
「一流の経営者は生まれつくのではなくつくられる。彼らは決して学ぶことをやめない。大きな成功をおさめている人や組織に出くわしたら、くわしく研究しよう。向上の助けになる現実世界からの無料の授業のようなものだ」p364
「新しいインプットに対して常に心を開いておこう。これは人にも経験にも知識にも言える」p365
「自己満足してはいけない。なにごとにも永遠はない。個人であろうと企業であろうと、自分自身をつくりなおし、改善する方法をたえず模索しなければ、競争相手に負けてしまう。とくに組織は意外なほどぜい弱だ」p366
「いい人だと思う相手のためなら、ほかの人たちが立ち去ってしまっても、そばにいてあげよう。だれでも厳しい状況に陥ることはある。相手が必要としているときになにげなく親切にふるまうことは、人生の流れを変え、予期しない友情や絆を生み出すことがある」p368

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2021年06月14日

Posted by ブクログ

当社成功の理由は企業文化だと言いきる。傲慢な能力者達の競争社会においてナイスな能力者達だけを集めた10点満点の人材を見極める眼力が強みだと感じた。出身母体のリーマンを業績がよくても不毛な内部抗争で崩壊する組織と予言。反面教師。
利害関係の前提に信頼関係を築く人格者でもあるのかもしれない。レバレッジで大きなリターンを得続けてきたという点でリスク管理の面でも優れているのだろう。25のルールもだが66ページの面接の心得も読んでおく価値がある。

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2021年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

基本はどうやってブラックストーンをつくったかの伝記の本です。

本からの学びは、巻末の仕事や人生に役立つ25のルール。
伝記はそれの論拠というイメージの本。

1, 大きなことをするのは、小さなことをするのと同じくらい簡単だ。努力に見合う報酬を得られ、追いかけることに値する空想を追求しよう。

2, 一流の経営者は生まれつくのではなく作られる。彼らは決して学ぶことを辞めない。大きな成功をおさめている人や組織に出くわしたら、くわしく研究しよう。向上の助けになる現実世界からの無料の授業のようなものだ。

3,尊敬する人に手紙を書くなり電話をかけるなりして、助言や面会を求めよう。どんな人が会う気になってくれるかわからない。重要なことを学んだり、生涯にわたって切り札となるつながりができたりすることもある。人生の早い時期の出会いは、ほかにはない結びつきを生む。

4, 人間にとって自分の問題ほど興味深いものはない。他の人が何に取り組んでいるかを考え、助けになるアイデアを提案できるように心がけよう。どんな目上の人もどんなに重要な人も、考え抜かれた内容であればたいていは新しいアイデアにも耳を貸すものだ。

5, どんなビジネスも、相互に関連する個別の部分からなる閉じた統合システムだ。優れた経営者は、各部分が単独でどう機能するか、ほかのすべての部分とどうかかわって機能するか理解している。

6, 情報はビジネスにおいてもっとも重要な資産だ。知識が増えれば増えるほど、より多くの視点をもてるようになり、競合より先にパターンや異常を発見する可能性が高くなる。新しいインプットに対して常に心を開いておこう。これは人にも経験にも知識にも言える。

7, 若いうちは、学べることが多くてしっかり研修させてもらえる仕事につこう。最初の仕事が基礎になる。立派そうに見えるというりゅうで就職するのはよくない。

8, 自己紹介をするときは、印象が重要なことを覚えておこう。全体として筋が通っていなければならない。きみが何者かを示すあらゆる手がかりを相手は探してる。時間厳守。等身大で臨む。準備する。

9,どんなに聡明な人でも、ひとりであらゆる問題を解決することはできない。しかし、頭のいい人が大勢で素直に話し合えば問題を解決できる。

10, 困難な立場にある人は自分の問題にばかり目を向けがちだが、その答えはたいてい他人の問題を解決することにある。

11, 自分自身のニーズよりも大きいものを大切にしよう。会社でも、国でも、兵役でもかまわない。自分の信念や価値観に突き動かされて挑戦することは、成功しても失敗しても価値がある。

12, 自分の善悪の感覚から逸脱してはいけない。清廉潔白をつらぬく。小切手を書いたり自分の懐が痛んだりしない状況で正しいことをするのは簡単だ。なにかをあきらめなければならない状況で正しいことをするほうが難しい。常に有言実行を心がけ、自分の利益のために人を惑わしてはいけない。

13, 大胆に。成功する起業家、経営者、個人は、今がその時だと思えばすぐに行動する自信と勇気を持っている。他の人が慎重な時にリスクを受け入れ、他の人が動けずにいる時に行動を起こすが、それを賢く行う。この特徴はリーダーの印だ。

14, 自己満足してはいけない。なにごとにも永遠はない。個人であろうと企業であろうと、自分自身をつくりなおし、改善する方法をたえず模索しなければ、競争相手に負けてしまう。とくに組織は意外なほど脆弱だ。

15, 最初の売り込みで商談が成立することはめったにない。自分が何かを信じているからと言って、他の人も信じてくれるとは限らない。繰り返し説得力のある言葉で売り込む必要がある。ほとんどの人は変化を好まないため、なぜ変化を受け入れるべきかを納得させる必要がある。自分が欲しい物を求めることを恐れてはいけない。

16, 大きな変革の機会を見たら、誰もそれを追いかけていないからといって心配する必要はない。他の人には見えないものを自分だけが見ているのかもしれない。問題が困難であればあるほど競争は限られ、解決できる人への報酬は大きくなる。

17, 成功はまれな機会を活かせるかどうかが全てだ。心を開き、よく注意して、いつでもチャンスをたえずつかめるようにしておこう。ふさわしい人材と資源を集め、専念する。そのような努力をする準備ができていないのであれば、そのチャンスは思ったほど魅力的でないか、自分がそれを追求するのにふさわしい人間ではないかのどちらかだ。

18, 時間はどんな取引も傷つけ、時には台無しにすることさえある。待てば待つほど、待ち受ける不意打ちも増える。特に厳しい交渉では、合意に達するまで全員をテーブルに縛り付けておこう。

19, 決して損失を出すな!あらゆるチャンスについてリスクを客観的に評価しよう。

20, 意思決定は準備ができたときにしよう。追い詰められた状態で意思決定をしてはいけない。周りの人は自分たちの目的や内部の政治など第三者的な必要性から決断を迫ってくるだろう。しかしほとんどの場合、「もう少し考える時間が必要だ。また連絡する」と言えばいい。この戦術は最も困難で不快な状況でさえやわらげるのに非常に有効だ。

21, 心配することは、能動的に心を解放する働きだ。適切な方向に向けられていれば、どんな状況でもマイナス面を明確にし、それを避ける行動につなげることができる。

22, 失敗は、組織にとって最高の教師だ。失敗について率直かつ客観的に話そう。なにが悪かったのか分析しよう。意思決定屋組織行動について新しいルールを学ぶことができる。しっかり評価すれば、失敗は組織のたどる方向を変え、将来的にさらなる成功につながる可能性を秘めている。

23, 可能な場合はいつも10点満点の人材を採用しよう。10点の人材は、問題を見つけ出し、解決策を立案し、事業を新しい方向へ向かわせることに積極的だ。彼らは他の10点満点の人材も惹きつけて雇う。10点の人材がいれば必ず何かを作り上げることができる。

24, いい人だと思う相手のためなら、他の人が立ち去ってしまっても、そばにいてやろう。誰でも厳しい状況に陥ることはある。相手が必要としている時になにげなく親切に振る舞うことは、人生の流れを変え、予期しない友情や絆を生み出すことがある。

25, 誰にでも夢がある。他の人が目標を達成するのを助けるためにできることをしよう。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界的なファンド会社ブラックストーンについて。


メモ
・企業文化。能力主義を信じ、卓越すること、開かれていること、誠実であること。リスクを管理し、損失を出さない。
・景気の波を見極める方法
 市場の天井を見極めるには。買い手が自信過剰になるタイミング。
 貸し手が利払いを求めない状況。
 戦略を持たない個人が偶然金を稼ぐような状況。
・底に投資するタイミング。価値が最低水準から10%ほど回復してから投資する。

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

凡人にはもはやまったく参考にならないレベルで傑出した人物の自伝(であり自社の宣伝)。

プライベートエクイティという分野は金融の中でもとくにややこしい。まずレバレッジ、とか、オルタナティブ投資とかいった言葉のイメージが湧かないと前に進めない。
が、だから読まないというのもいささか勿体無い。

というのも、本書はイメージ的にはざっくり3部にわかれていて、具体的には
1 若いときの挫折や苦労
2 バンカー、あるいはファンド創業期の活躍
3圧倒的な政治的影響力(トランプ政権のブレーン、米中交渉のキーパーソン)
がそれぞれ主題であり、金融がわからないと退屈なのは第二部に当たる部分だけ、とも言えるからだ。

「成功するには、本来なら身をおく資格のない状況や場所に身をおかなければならない。おのれの愚かさに首を振り、そこから学べばいい。」
こんな金言が散りばめられているから、とくに我こそは社会を背負って立つ者なり、と前を向いている若者は読んでみる価値はある。

さて、ここにある数々のビックディールの記述に興奮しつつ、そして踏ん張るべきときに踏ん張り倒すその胆力に心から尊敬の念を覚えつつ、しかし読み終えてなお思うのは、「国家の役に立ちたい」という著者の気持ちはまちがいなく本物として、一説には年収(毎年!)800億円、という収入の多くがごく限定的な税率でしか課税されないこと、そして本人がその気になればその税制に影響を与えられることへの抑えきれない疑問だ。

努力して富と名声を得ることは全くもって正しい。ファンドは世の中で思われているようなアンフェアな稼ぎ方(ばかり)をしているわけではない。
とは言え、では労働の対価である所得税よりはるかに安いというアメリカの証券税制ははたして本当に正しいのか。

奇しくも日本の新しい首相が、就任早々に資産への課税の議論を撤回したとの新聞記事を読みながら暫し沈思黙考するのであった。

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2021年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界屈指のPEファンドの創業者の自伝。

感想。凄く刺激的でした。

備忘録。
・金融業界で働き始めたとき、著者は仕事のストレスに対処できなかった。どの交渉も激しい感情のぶつかり合い。著者は呼吸法で対応した。先ずは呼吸を落ち着かせる。会話の合間にゆっくり間を置いて大丈夫。

・採用面接のコツ、空港テスト。飛行機が遅れて空港で足止めを食った場合、この志望者と2人で待つ気になるか。それくらい相互理解が必要。

・実はブラックストーン1号ファンドに当時の日興証券が投資していて、それをきっかけに日本でまとまった資金が集まったという。

・実績がない状況では手頃なやりやすい案件など集まってこない(そんなのは他の会社に仕事が回る)。難しくて他社ができない案件しか回ってこない。設立当初のブラックストーンはそれをやり遂げる必要があった。

・投資家には大きく二つのタイプがいる。少しでも高値掴みを避けたいタイプと、落札に必要な額を出せずにまたとない機会を逃すことが最大のリスクと考えるタイプ。著者は後者だと。落札できた後のあらゆるオプションやその価値を考えるべしだと。

・景気の波は見分けられる。市場の天井は比較的にわかりやすく、買い手は自信過剰で「今回はバブルではない」と考えている。周囲の何人かが金持ちになり始めたらそれもアラーム。好調な市場での儲けは長くは続かない。

・ブラックストーンの投資委員会のルール。全員発言、投資案件のマイナス面に注目、決して個人攻撃はしない。また数人の実権者だけで話をせず、末端でExcelを回しているものにも聞いてみる。

・ブラックストーンの新人には、「卓越」と「誠実」を求めている。卓越とは、あらゆることにおいて100%であり、ミスをしないこと。そのためにはタスクが多ければ減らす(他の人に任せる)、積極的に周囲の助けを得る。

・困難な立場にある人、自分の問題ばかりに目を向けがちだが、その答えはたいてい他人の問題を解決することにある。

・時間はどんな取引も傷付ける。待てば待つほど不意打ちが増える。

・意思決定は準備できた時にする。速やかな意思決定を求めるものは、たいてい自分本位だ。堂々と「もう少し考える時間が必要だ」と言おう。

・いい人だと思う人のためには最後までそばにいてあげよう。

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2021年05月02日

Posted by ブクログ

社名を知っている程度で読み始め、正直、この企業にも著者にも強い関心を持てませんでしたが_
末尾の【仕事や人生に役立つ25のルール】は凄く言えている仕事の極意❕必読‼️

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2021年04月22日

Posted by ブクログ

世界屈指の投資会社を作った経営者の自伝。人生の要所要所で普通で話し得ないことをさらっと成し遂げてる。

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2021年02月15日

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