一ノ瀬俊也のレビュー一覧
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米軍の対日心理戦研究
ご先祖様たちのご苦労を知り、米軍報告書の研究の指摘はそのまま今の日本人や私自身にもあまりにも当てはまるので受け止めなくてはいけないと思います。
「日本人の特徴」「日本人の人種的起源」について
「彼らが信じている人種的純血性とは異なり、実際は少なくとも4つの基本的人種の混血である。マレーから来たマレー系、華北から来たモンゴル系、朝鮮から来た満州朝鮮系、そしてアイヌのような日本固有の部族」と述べている。
戦士としての日本兵
規律はおおむね良好であり、特に戦友が周囲にいたり地の利を得ている時には大胆かつ勇敢である。確かに勝っている時は勇敢だが、予想していないことに直面した -
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2020/12/13東條英機
1.戦略なきオペレーション
東條英機に大局から構想する器はなかった。
それは本来は永田軍務局長がその役割を担う
暗殺されて全てが狂ってしまった。
戦略なきオペレーション屋のみの悲劇
2.反知性
東條英機はインテリ層に受けないので大衆層の受けを狙った。
その点では反知性と言える現代の安倍・菅総理に似ている。
3.政治家不信
(1)近衛文麿公は軽挙妄動、面倒になると逃げる
蒋介石問題、大政翼賛会、三国同盟、南部仏印進駐
近衛内閣総辞職は敵前逃亡!
(2)蒋介石を相手にせず
日中戦争が間違いとしても今さら後戻りはできない
中国撤兵はありえない
9月6日御前会議を無効ー -
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A級戦犯か股肱の臣か。知られざる東條英機の実像を探る大作。
独裁者として欧米にも悪名を残す東條英機。東京裁判出A級戦犯として死刑判決を受けた開戦時の首相兼陸軍大臣。
その生涯を非常に多くの文献からイデオロギーを排除した東條英機像を提示する。
特に永田鉄山から引き継いだ総力戦思想の指導者としての役割が多く浮かび上がる。竹槍や戦陣訓など精神論的なイメージがあったが、航空戦力の充実など合理的な一面もあったようだ。
戦争に至る道については多くの書籍があるが、本書ではサイパン島陥落後の東條更迭の動きについてが新鮮であった。
一方的に悪役のイメージの東條英機。実像について探る本書の試みはおおむね -
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「戦艦大和」とは異なり民間企業の製品である「戦艦武蔵」を深い理解するための決定版ともいうべき内容。
同型艦の大和と異なり、武蔵の映画などのメディアに取り上げられない、何故か?という疑問へ1つの回答をくれる。
大量の資料に裏付けられた大和との比較。
ドラマじみた戦場における感動シーンの戦記物に「あり得ない」という鋭い指摘には脱帽せざるを得ない。
本作終盤において、男臭い・ミリタリーとは真逆の美少女・萌えのゲーム「艦これ」にも触れ、現代に生きる我々に、社会比較学者として鋭い指摘を与える。
吉村昭の名作「戦艦武蔵」で納得していた浅はかな自分に、刺激を与えてくれた作品。 -
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1944年に完成、46センチの巨砲を備え、日本海軍の切札として期待された戦艦武蔵。しかし、資源不足の日本で武蔵はその巨体を持て余し、活躍することなく沈没。
武蔵の存在は悲劇なのか、喜劇なのか。本書では武蔵の不幸な運命の原因を探る。
よく比較されるのが戦艦大和。戦果をあげず沈没した点では共通しているのに、武蔵のストーリーはあまり知られていない。その理由は武蔵の沈没が物語性として陰鬱だったからだ。ゆっくりと沈没したため、爆発した大和に比べて生存者は多かったのだが、その生存者が日本へ送還された者と島に残って補充兵となった者に分かれたことで、生存者同志の一体感が失われた。戦後、生き残った者が武蔵の -
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出征時の挨拶、出征先からの手紙、軍隊生活の送り方など、兵士向けに書かれた「マニュアル」本を史料として通史的に読み解いていく、という内容。「マニュアル」本であるだけに史料の内容は陳腐だが、その陳腐な言葉を個々の兵士がいかに「自己のもの」として消化していったか、という視点から読み解かれています。「強圧的な権力に、イヤイヤながら従わされた純朴な国民」という一面的な見方ではなく、「マニュアル」の言説を自分の〈身体〉で消化しながら「納得」していった、というとらえ方は、ある意味でフーコー的権力?みたいなものを思わせます。もうちょっと長い感想文を書きたくなった本。(20070130)
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日本軍といえば玉砕の軍隊、精神論を振りかざし意味の無い攻撃ばかり繰り返した軍隊という印象が強く刷り込まれているが、それだけではない日本軍の姿、しかも日本軍側からではない米軍側から見た姿が分かる。しかし、メインに扱われている資料は戦中に米軍が兵士の向けに作っていた(言ってしまえばプロパガンダ)雑誌をまとめたものなので、「米軍報告書」とは言えない。
前半では、米国の娯楽を好み、相手の出方によっては投降もし、ついつい機密情報を話してしまったりサボる人も文句を言う人も現状に疑問を抱く人もいる今と変わらないごくごく普通の日本人、日本兵の姿が見られる。戦場での葬式の様子や、陣地にできるだけ風呂を作ろうとし