三浦哲郎のレビュー一覧

  • 忍ぶ川

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    奥さんとの馴れ初めは初めて読んだかも。でもこれは事実に近いフィクションなのかな。どこまで本当なんだろう。結婚前、女性が生家へ男性を連れて行って、「これが私のすべて」と見せる場面はよかった。その生家というのが赤線地帯の一角にある場所だから尚更ね。そこで引いて去って行く男ならもちろん今後はないわけだし。男性が自分に留まる可能性は半々だろうに、その勇気ほんとうに感服する。私もこのように強くありたいと思った。最終話は満州からやってきた留学生が主人公。他短編とは趣きがまったく違い新鮮だった。けれど悲しい物語だった。

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    2017年05月24日
  • 木馬の騎手

    購入済み

    子供が招く不幸とひとつの救いの

    落とし穴にストンと落とされるような、うすら恐ろしくもの悲しい話が多かった。子供の無邪気さが不幸を招く。けれど子供は遊びの延長なのでその重大さに気づいていない。『人釣り』という一編。人間の好奇心と浅ましさを餌に「人」を「釣る」。釣られた老婆とその背中の赤ん坊。おそらく結末は…。最後まで書ききらない。読み手の想像力に深く食い込み、その残像を強烈に与える。引き際が見事で、魔力に取りつかれたように読んでしまう。いずれの話も概ねミゼラブル。しかしそんな中での『メリー・ゴー・ラウンド』。明るい光で包まれた救いの一話。

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    2017年03月18日
  • 忍ぶ川

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    作者三浦哲郎の人生を下敷きにした私小説。
    6人兄弟で4人が自殺か失踪をとげてるんだから、どうしたって話は重くなりそうなものだけれど、この作者の文章は、雪の日の朝のように爽やかだ。
    妻との出会いと結婚を主に描いているんだけど、この奥さんがまた良い女なんだな

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    2016年12月21日
  • 忍ぶ川

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    ユタを読んでおもしろかったので、他の作品も読んでみたくて読みました。
    寒い地方での暮らしや奥様との様子が小説の中から窺える感じでした。

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    2015年10月15日
  • 白夜を旅する人々

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    短編を一通り読んでから、この長編を読んだので、じわじわとくる死と閉塞感がより強く味わえたような気がした。

    もう一度、短編を振り返り、この長編の断片を思い出したい。
    20150322

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    2015年03月22日
  • おらんだ帽子

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    以前読んだ短編に出てきた登場人物たちがちらほらいる。
    だから、よけいに距離が近くなるから、死のにおいが強く感じられる。

    最後の短篇に出てきた母親の言葉「皆と暮らしたかった」がものすごく重たくて。これは早く兄弟のことを題材にした本を読まねば。

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    2014年09月22日
  • わくらば 短篇集モザイクIII

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    読んでいて、なんだか泣けてしまう。どうしてだろう。
    人と物をつないで、残る感情を思うと泣けてしまう。

    最後の「なみだつぼ」などは、言葉にならなかった。

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    2014年09月17日
  • ふなうた 短篇集モザイクII

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    ふなうたと同様、読んでいて笑えたり、泣けたり、市井の人々の生活、人生、それは自分のことなんだけれど、これを読むと、いちいちイライラしても仕方ないかなって思える。

    …ちょっとめだかが怖かった…。

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    2014年09月14日
  • みちづれ 短篇集モザイクI

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    さまざまな人の、さまざまな人生が丁寧に描かれていて、のめりこむ。
    普段の生活を大切にしていこうと思えるお話たちだった。

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    2014年09月14日
  • 拳銃と十五の短篇

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    太宰治の後にこれを読み、何かがすんなり入ってきた感じがした。

    何と言うのか、うまく書けないけれど。

    私は普段戦争の本ばかり読んでいて、死にたくない人たちがその意に反し、巨大な力の下で踏みつぶされる様にして死んでいくものばかりに接していたが、この本の死は、ひたひたとくっついてきていて、ふとした瞬間に人を絡め取っていく。
    本人にも気がつかない、これも見えざる何かの力。
    絡めとられず、自らそこにいく、呼ばれても踏みとどまって残った人間の諦めのような空気。
    ひさびさにぞっとする本を読んだ。

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    2014年06月22日
  • 白夜を旅する人々

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    三浦哲郎さんご自身の家族の歴史がモチーフになっています。確か姉二人が自殺、兄二人が失踪だとか。
    新潮文庫の「忍ぶ川」という短編集でご自身の身内の死を「恥」という感覚に結びつけて描かれていて、この感覚こそが想像力では絶対に補えない部分なのだろうなと思い、ショックを受けた。

    今作で描かれている家庭は、東北の田舎町に住んでいる6人兄妹と父母に女中や乳母というわりかし裕福な家庭。三浦さんのご兄妹が実際どうだったのかはわからないけれど、今作では、るい、れん、ゆう、という姉妹がいて、そのうちるいとゆうは昔では白子とよばれた先天性の病気を抱えている。(アルビノというやつです)
    無遠慮な視線にさらされて縮こ

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    2014年04月03日
  • ふなうた 短篇集モザイクII

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    なんて恐ろしい作家だろう・・・ここまで人間の孤独や悲しみの淵を巧みに描ける人に出会ったのは初めてかもしれない。
    時に東北の農村、また時には繁華街の街角を舞台に織り成されるどこか後味の悪い人間模様。
    深深とした沈黙の中で読みたくなる短編たち。
    中でも特に最後の『みのむし』はわずか10ページにも関わらず救いようのない鬱っぷりで独特の存在感を放っている。
    今まで読んだ短編の中でも5本の指に入るかも。

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    2013年11月14日
  • 忍ぶ川

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    表題作「忍ぶ川」を含む7つの短編集である。「驢馬」の1編だけ満州人の留学生の差別を描いた作品で、他の6編は「忍ぶ川」に連なる作品と捉えてもいいのではないだろうか。

    「忍ぶ川」は昭和初期の恋愛小説。不幸な過去を互いに持ちながらも出会い、果てに結ばれるという目新しいストーリーではないが、情景や心情が読み手に見事に投影されきて、胸が熱くなる。改めて微妙な加減を表す日本語の凄さと平明な言葉でここまで読み手に迫ってくる、三浦氏の文筆の素晴らしさを感じることができた作品だった。

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    2012年12月17日
  • わくらば 短篇集モザイクIII

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    2回目を読んでいます。
    (2012年11月27日)

    読み終えました。
    (2012年12月24日)

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    2012年12月25日
  • 白夜を旅する人々

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    「琴引き給う君よ……か。それでいい。おまえたちはそうしていつまでも琴を弾いててけれ。おらは……おらは、もう、駄目(わかんんね)。」
    2012/07/12-09/20

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    2012年09月22日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    もとはケース入りハードカバーの初版本を父が持っていて、小2の頃読んでその後何度も読み返した。今年の1月には劇団四季のミュージカルを観て、主役たちと握手もしてもらった。
    座敷わらしとの友情、飢饉と間引きを繰り返した農村の歴史、都会っ子の少年が田舎に引っ越して成長してゆくさま、・・・人生の早い時期に出会えたことに感謝。

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    2012年09月03日
  • 白夜を旅する人々

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    六人兄弟の、末の弟が描く、家族の物語。先天性色素欠乏の娘が2人生まれたことで、遺伝的な不安が家族を覆う。その不吉さや生きにくさの中で、2人が自殺、1人が失踪してしまう。
    背負った運命に抗えずに流され、命を落とす者と、残された家族の悲しみが胸に迫る。

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    2012年09月03日
  • 白夜を旅する人々

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    完読後、著者の私小説であることを知って納得。読み応えかなりあり。長男と次女の目線で本編は進みますが、著者自身は末っ子だったのですね。その後の著者を書いたものがあればぜひ読んでみたい。

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    2012年02月20日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    「人間、なんでも、気の持ちようだぜ。」と座敷わらしたちが読む者に語りかける。どんな者の中にも,自分が思っている以上の可能性と勇気があるのだと思う。それを私たち自身が引き出そうとせず、諦めモードで過ごしてはいないだろうか? そのようにも問いかけてくる。
    「あなたの中に、可能性が眠っているよ。」って、背中を後押ししてくれる仲間が側にいるのだ。目に見えずともいるのだ…。
    一歩踏み出す力をくれる一冊です。

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    2012年01月04日
  • 木馬の騎手

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    もともと短編が好きなこともあるが、つくづく『上手いなぁ』と感嘆の声が洩れてしまう。
    子どもを主人公とした短編ばかりが集められているのだが、三浦さんはことに子ども目線での話の描き方が素晴らしいのだ。
    こどもの目線。こどもの目に映る世界。こどもが気づいていない出来事。読者は、それらから背後にある大人の世界の複雑な事情を読み取ることができる。
    簡潔で美しい文体のなかに詩情が溢れている。
    それでいて、どれも切なく物悲しい。

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    2011年10月23日