三浦哲郎のレビュー一覧

  • 忍ぶ川
    表題作の『忍ぶ川』と『初夜』以降の続編も良かったんだけど、最後に読んだ『驢馬』の衝撃が強かった
    張のこと思うとしんどくなっちゃうな
    『恥の譜』も印象的だった
    兄弟たちの自殺を恥ずかしく思ってた主人公が、父親が病気で亡くなっていくことを普通の死と認識して安堵するというような話。自然とそう思ってしまうの...続きを読む
  • はまなす物語
    地方出身の姉弟たちの、ささやかな人生の一模様。あるいは、一つの結婚生活の終焉。はまなすの香りというものがわからず、なんだか核心を掴み損ねているような気分もあるけど、面白く読んだ。
  • 随筆集 下駄の音
    1987年発行。三浦が外国に行っているときの随筆がおおい。同行しているSくんは佐伯一麦のことか...?
    末弟の道がとくによかった。
  • 白夜を旅する人々
    三浦哲郎 「 白夜を旅する人々 」


    どのシーンも「白さ」「静寂さ」が印象に残る。風景の色彩や人物の躍動感を排除することで、生きることの厳しさや人間の内面の悲しみにスポットをあてたいのかもしれない


    私小説だけに、著者が小説を書く原点や決意を 綴った本だと思う。小説を書くことで、医者に治せない病...続きを読む
  • ユタとふしぎな仲間たち
    ユタという少年と座敷童子たちの短い日々を語った小説だった。
    都会から田舎へと下ってきたユタは村の人々となかなか馴染めずにいる。座敷童子たちは過去にとらわれ今を生きることができず、この時代に馴染めずにいる。この共通点が短いながらも彼らが仲間であるために必要だったことなのだろう。しかしユタは人間であり、...続きを読む
  • ユタとふしぎな仲間たち
    座敷わらしの妖怪という存在を、日本の飢餓という歴史に結び付けてうまく体現している。子どもが主人公なので子どもでも読みやすい。田舎という特性もよく現していて、どんどんたくましくなっていく主人公のユタを見るのが楽しい。
    座敷わらしたちが、ユタの役に立つことが出来てよかった。
  • 忍ぶ川
    貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって芥川賞受賞の表題作ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。
  • 愛しい女
    不倫の話なんだが、読んでて深みにはまっていく当事者たちの気持ちが手に取るようにわかる。

    割と男目線なので、わからない部分もあるが、なんともなしに男ってーのはこういて不倫の深みにはまるのか。

    と、何気に思う興味深い一冊です。

    そして、あんまり登場しないのですが、この不倫した男の妻。

    この妻が私...続きを読む
  • おふくろの夜回り
    昭和50年野犬。ニリンソウ・シドケ(モミジガサ)/トリカブト。昭和8年3月3日東北で津波。平成4年上海で竜巻。
  • ユタとふしぎな仲間たち
     『名作文学に見る「家」』という本を読んでいる。 小説の舞台となる家を記述から想像して絵に描き起こすという内容だ。その中に『ユタと不思議な仲間たち』が紹介されていたので、興味をもった。

     夜中の1時から読んで3時には読み終わってしまった。
     
     都会から家庭の事情で田舎に転校してきた小六生の勇太(...続きを読む
  • 忍ぶ川
    第44回(1960年下半期)芥川賞受賞作。この回はなかなかに豊作で、候補作の中には倉橋由美子「夏の終り」や、柴田翔「ロクタル管の話」などもあった。ただし、選考委員のほとんどは本作を推している。作品の文体は私小説風であるが、そのようなタッチを意識して書かれた小説なのだろう。したがって、年代以上に古いタ...続きを読む
  • ユタとふしぎな仲間たち
    父親を亡くし母の故郷である東北の田舎町に引越してきた都会の少年と座敷わらしの風変わりな交流。蒸れたオムツのにおいがする座敷わらし…奇抜な発想だ。日本むかしばなしのエンディングの歌を思い出すような、切なくて心温まる話だった。
  • 百日紅の咲かない夏
    読み終わった、と言うか、途中まで読んで、まどろっこしくなって一飛びに最後数ページまで飛ぶという荒技をしてしまった作品。
    もともと不幸な姉弟が最後まで救われない、と言うかむしろあの方法でしか救われないのが辛い。
    最後の日なんて最早悲壮感が無くて、肩の荷が下りた後の爽快感さえ感じる。
    でも哀しい。こんな...続きを読む
  • 忍ぶ川
    芥川賞受賞の「忍ぶ川」、その続編の4作を含む7作の短編集。忍ぶ川は昭和初期の作者の体験を基にしたお話らしい。好きな女性と出会い、問題を乗り越えながらも幸せに結ばれる。昭和初期という事もあり描写が細かく書かれているが少しイメージしにくい。何でもない日常のお話、という感想で個人的には何かを感じ取れる作品...続きを読む
  • おろおろ草紙
    おろおろ草紙というタイトルが、この作品集全体の内容をとてもよく表している。
    何が悪いわけでもなく、誰かのせいでもなく、かといって虚無感に襲われるというのでもなく。ただ、何かがあって、そういう状況の中で右往左往して、それでも、ただ、生きて。

    流されているというわけではない。ぼんやり生きているというの...続きを読む
  • 忍ぶ川
    教科書に出てくるような本が

    読みたいと、見つけた本。

    短編なんだけど、続編でつながる一冊。

    最初の話が一番よかった。

    エラソーだけど、読み進めるほど、

    しりすぼみ?になってしまった気がする。
  • 忍ぶ川
    恋愛という言葉は世の中にあふれているが、いざ自分がその主人公になったら、その途端に苦しく切なく、そしてひたすらに相手を思い続けるしか出来なくなってしまうのだ。人生の中の奇跡的な時間であり、人生からのプレゼントではないかと思う。初夜を迎える場面は、忘れられないくらいに鮮烈なイメージを与えてくれる。
  • 百日紅の咲かない夏
    2011.04.26. 印象的なタイトル。激しい姉弟です。ついつい読ませる力あり。三浦さんといえば「ユタ」のイメージが強いけど、雰囲気が違います。解説は、石井好子さん。
  • 忍ぶ川
    表題作の、甘ったるさ。端的に嫉妬したくなる。そして貧乏臭さ。出来過ぎに感じるからか。嫌いじゃないんだけど。
  • 師・井伏鱒二の思い出
    今、死語といえる文士という言葉は誰からを、また誰までを言うのだろう。井伏鱒二は確かに文士というにふさわしい。小沼先生の人柄がしのばれる。