三浦哲郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
おろおろ草紙というタイトルが、この作品集全体の内容をとてもよく表している。
何が悪いわけでもなく、誰かのせいでもなく、かといって虚無感に襲われるというのでもなく。ただ、何かがあって、そういう状況の中で右往左往して、それでも、ただ、生きて。
流されているというわけではない。ぼんやり生きているというのとも違う。
状況は壮絶だ。ばたばたと人が倒れていき、「死」がごろごろしている状況だったり、一歩違えば生死の狭間であったり、そして、他人を喰わないと自分が死ぬ状況だったり。
とても日常的とは言えない。むしろ、地獄のような状況だ。しかし、それなのに、人はどこまでも人で、それ以上には決してならない。また、世界が奇跡を起こすこともない。時間の流れも人の能力も、どこまでも変わらないまま、ただ、淡々と季節はめぐり、冬が終われば春が来る。
人は生きる、しかしそれと同じくらい人はどこまでも死ぬ。
そんな状況を静かな筆致で描写するこの本の作者、三浦哲郎さんは、6人兄弟の末っ子だそうだが、この5人の兄・姉たちのうち、なんと4人が自死、あるいは失踪しているそうである。
人は死ぬ、しかしそれと同じくらいどこまでも人は生きる。
少々読み通すのは辛い本だったものの、そんな生い立ちを持つ作者のあとがきが印象的だったので、読む際はぜひあとがきまで。 -
Posted by ブクログ
飢饉の話が一番印象に残りました。今でこそ、お金で食べ物がどんどん輸入されていますが、冷静に世界のニュースを見渡してみると、いつまたこの日本を飢饉のようなものが襲っても不思議でない時代になったような気がします。
カロリーベースで40%そこそこの食料自給率に加え、諸外国の資源の取り合いは骨肉の争いであり、手近なところでは、中国のガス田開発など、
今までのアメリカの軍事力を背景にした日本の繁栄は、もはや通じないものになりつつあるようです。
20年ほど前は、テレビのニュースを見ても、「日本人か?」と問われるシーンを見ることが多かったのに、最近は「中国人か? それとも韓国人か?」と聞いてくるニュース番組が殆どです。国内の揚げ足取りに終始して疲弊している間に、世界から置いてけぼりを喰らうのではないでしょうか。