三浦哲郎のレビュー一覧

  • 点滴 釣鐘の音 現代日本のエッセイ

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    三浦哲郎編集、随筆47編所収。
    「歳末非常警戒」、「フジンタの滝」、「点滴」、「猫」が特に好きです。

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    2011年09月19日
  • みちづれ 短篇集モザイクI

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    宝石のような短篇を百篇綴り、壮麗なモザイクに組上げる、著者独創の連作シリーズ第一巻。――文庫裏より

    大学の授業でこの本を取り上げるというので、授業中に二篇読んだところ、その上手さにしみじみ感動した一冊。
    その授業とは、生徒がそれぞれ文章を書いてきて、授業中に読みあうというものである。当然素人の作品が研ぎ澄まされた文章であるはずがなく(でも一人だけ、きらっとしたものを感じる人がいました)、少々「授業だから」と読んでいるようなところがあった。
    そのあとにこの本である。比べ物にならない。というか、比べてはならない。そのあまりの実力差に、私はむしろ感動してしまった。

    私の感想を書くより、この文庫は

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    2011年07月31日
  • 肉体について

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    さて、これを「小説」とカテゴライズしたが、果たしてふさわしかったか。

    昨年夏に急逝するまで「群像」に連載されていた、痛風の痛みに悩む老いた夫とその妻のやり取りを書いた表題作(無論未完)と、表題作のヒントにしたと思われるメモ「老いてゆく自分に好奇心を。」、「文学的自叙伝」はその名の通り著者の半生記で、こちらは40年ほど前に書かれたもの、著者が師事した井伏鱒二について書かれた3編「亡き師を偲びつつ」「好悪をこえるもの」「鱒二論語のことなど」(いずれも20年から10年ほど前の、おそらく井伏氏の文庫作品に寄せた解説と思われる)、合計6編が収録されている。

    恥ずかしながら三浦氏の本は初めて読んだのだ

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    2011年07月06日
  • 忍ぶ川

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    「忍ぶ川」のみの感想
    大好きすぎて何度読んだかわかりません。
    特にラストが好き。スケールが大きいわけでも長編ってわけでもないのに、読んだ後は壮大な気持ちになる。ピュアで胸が打たれる小説。

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    2013年03月05日
  • みちづれ 短篇集モザイクI

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    1回目は、2011年2月4日に読み終えました。

    2回目、読み終えました。
    (2012年10月2日)

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    2012年10月03日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    劇団四季の舞台を見たのは小学生の頃だった。奇しくも本屋で手に取ったのは三浦哲郎氏の追悼記念フェアで、『ユタと不思議な仲間たち』の文字を見て、この作品は彼のだったのかと初めて知った。あの舞台を見て演劇をやりたいと思い、声楽を深めていきたいと思った私にとっては心に残る作品の一つである。
    児童小説によくある不思議なものとの出会い、私は今でもこの類の児童小説が好きだ。しかし、一つ苦手なものがある。どの小説にも必ず別れがあるのだ。あれがどうも好きになれない。しかしながら、この『ユタと不思議な仲間たち』の別れはあっさりと後味が良いものになっている。物語りも小気味良く淡々と進んでいくのがとても印象が良い。

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    2011年01月02日
  • 忍ぶ川

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    この本には「忍ぶ川」を含む7つの短編がおさめられている。
    「忍ぶ川」は昭和初期の男女の愛情の在り方、また、家族愛
    などが悲しく、切なく、雄々しく、書き連ねられており、胸をうつ
    素晴しい作品だった。まだ若い主人公の人生に胸が熱くなるほどの
    感動を覚えた。
    他の6作品もそれぞれに勉強させられたが、内容が重複するもの
    が多く、私小説としての難点も感じられたのは私だけだろうか..。
    ただ「驢馬」は私小説とは異なる。満州人の留学生の差別を描いた
    作品で読者の気持ちまでもが重く苦しくなるほどの作品だった。
    評価は「忍ぶ川」に対してのみ考えた。

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    2010年10月24日
  • 白夜を旅する人々

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    末の娘、れんの最終的な決断の引き金はありきたりな事だ。
    ありきたりだがそれ以上の絶望はそうそう無いのだ。
    その絶望が美しかった。

    ゆっくりゆっくり確実に、希望が閉ざされていったと感じたのだろう。
    若いときは世界が狭すぎる。
    羊吉に最後に語りかける会話が素晴らしい。

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    2010年05月29日
  • ふなうた 短篇集モザイクII

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    2008.10.07. よい、よいよ。なんだか心に染み入って、読み終わってしばらぼうっとなる。切なくなるものあり、可笑しみのあるものあり。どの短編も日本の味がする。方言がまた、いいなぁ。

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    2009年10月07日
  • 白夜を旅する人々

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    私の通った高校の国語には、「課題図書」とよばれる制度があり、3年間の在校中に100冊を読み切るというものがありました。しかも、読んだ本の内容は中間・期末の試験で問題にでるのだから、読まないなんて点数を捨てる無謀な行為だと思われたのです。

    そんな強制力の働く読書が楽しかったどうかはべつにしても、100冊の中で出会えてよかったなと呼べる本がありました。この『白夜を旅する人々』が高校時代の中でも一番強烈な印象を残している傑作なのです。

    物語は昭和初期の東北。ある一家の兄弟が先天的にかかえる身体的障害から差別に苦しみながらも生きていこうとする著者自身の家族を題材にした魂の告白とも言える物語です。

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    2009年10月07日
  • 忍ぶ川

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    著者が青森県八戸出身の芥川賞作家ということで買ってみました。調べてみると、歴代の同賞受賞作の中でも上位にランクインしてました。ほぼ実話だそうで、それだけに胸に詰まる切なさがあった。

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    2009年10月04日
  • みちづれ 短篇集モザイクI

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    この人の話は奥が深い。
    単語をひとつとって、それがこの話とどうつながってくるのか考えるのが楽しい。
    短編だから読みやすいし、とてもおススメです。

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    2009年10月04日
  • 忍ぶ川

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    「忍ぶ川」は三浦哲郎の出世作であり、1960年に芥川賞を受けた。私小説は形を変容させつつ21世紀の現代も日本の文学界にしぶとく生き残っているが、昭和中期頃まではそれが文学の「主流」とみなされていた。青森県八戸に生まれた三浦も、妻との出会いや兄弟姉妹の不幸な死と失踪を題材に、保守本流の「私小説」で作家デビューを果たしたと言ってよい。

    新潮文庫で昭和40年以来現在も版を重ねているこの本は、芥川賞受賞前後の初期作品7作を集めている。後年「短篇の名手」と呼ばれるようになってからは、文庫本にして20ページ前後のコンパクトな作品が増えるが、このころはまだ中編ともいえる長さのものが多い(ただし作家として安

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    2025年10月01日
  • 忍ぶ川

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    「忍ぶ川」に続いて「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈畫集」と短編が続き、最後それらとは別の話「驢馬」が収録されている。
    この小説は作者の体験に基づいた私小説らしい。料亭で働いていた志乃という女に惚れて結婚した主人公。その馴れ初めから物語は始まる。「初夜」では主人公の兄弟姉妹が自殺や失踪を遂げていことが明かされ、その家族の血を引き継いでしまっていることを悩む主人公は志乃に子供は作りたくないと言う。そこに主人公の父が危篤となり父の死を目の当たりにしてそれをきっかけに子供を作ろうという話。「帰郷」は大学卒業後主人公は作家として活動するもの全く売れず妻が内職でアイスクリーム容器を作りそれで生活し

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    2025年01月01日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    ネタバレ

    劇団四季の映像から入ったので、登場人物や風景は映像として浮かびやすかった。
    児童文学ということですいすい読み進めることができたが、ふとした描写の表現などは大人が読んでもいいなぁと思うものもたくさんある。
    座敷童子との別れが突然かつ案外あっさりしたところも、児童文学らしい感じがする。だからといって幼稚だとかそういうわけではない。
    なんだか自分も座敷童子に会ってみたくなる。

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    2024年03月24日
  • モーツァルト荘

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    snowdropで買った。三浦哲郎のこんな本まであるなんてすごいや。さすが。

    解説で進藤が言っていた通り、なぜ「病舎まで」の時期にこれを書いたかは気になる。三浦は寝る前によくモーツァルトを聴きながらミステリを読んでいたというから、その影響なのだろうなとは思いつつもね。

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    2024年02月29日
  • 拳銃と十五の短篇

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    三浦哲郎はとても好きな作家の1人。
    正直特筆する様な文学表現も持たず、刺激のある物語を創る訳でもないが、どの作品も滲み出る様な喜びや哀しみがあり感情豊か。
    たまにゾッとする怖い話もあり飽きない短編集。

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    2023年08月16日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    のんびりした話と思いきや、いちいちディティールが妙な設定というか、座敷わらしの生い立ちやら生き方やら、なんだか一筋縄ではいかないわけですよ。これが子ども向けと思いきや、大人の方がじんわりくるんじゃないか。
    しかし座敷わらしのおかげで一気にスターダムに成り上がるわ努力も欠かさないわで、やっぱそこらへんはチビッコ向けよのう。ちょっと甘いんちゃうかと穿った見方をするまでが大人よ。

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    2023年02月09日
  • 忍ぶ川

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    芥川賞受賞作品を読みたかったので購入した。表題作は話の筋こそありふれているが、丁寧な文体と情景描写によって何倍にも魅力ある作品になっている。特に、故郷に戻った「私」が車窓に映る雪景色を眺めるシーンは印象的である。

    すべての収録作品が「死」を扱っている点も見逃せない。これは作者の育った家庭環境、特に姉たちの自死という体験を色濃く反映しているものだろう。このような作者自身のリアルな経験に拠った思想が表れていることも、これらの作品の価値を高めていると思われる。

    もう一度読むとしたら、「團欒」を読みたい。

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    2022年08月30日
  • おふくろの夜回り

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    ネタバレ

    ひさしぶりに読んだ三浦哲郎。最後に掲載されている姉についての話「地唄〈黒髪〉の想い出」がとてもよかった。八十六歳の姉、その会話がゆっくりとしていて、愛情にみちあふれている。さりげない一つ一つの言葉にこの姉弟が歩んできた道程、そしてつよい絆というものをひしひしと感じた。この一編があるだけで、ああよかったという気持ちになった。

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    2022年05月20日