三浦哲郎のレビュー一覧
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【本の内容】
貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって芥川賞受賞の表題作ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。
[ 目次 ]
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8月末、79歳で死去した作家の三浦哲郎さんには伝説がある。
30年ほど前、小説の原稿を編集者がなくしてしまい、再度書いた。
間もなくして元の原稿が出てきて、編集者が照らし合わせたところ一字一句同じだった――。
真相は、書き直す直前、元の原稿は見つかっていた。
クビを切られることを覚悟して謝りにいった編集者に、「見つかったのは残念。句読点すら同じに復元する自信もあったのになあ」と語った三浦さんの言葉が誤伝され -
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ネタバレ2012年のセンター試験の追試問題で「メリー・ゴー・ラウンド」に出会いました。
その話の悲しさに驚き、思わず周囲の友達に読ませたのを覚えています。
特にそういった描写がないのにぞっとさせられる文章に出会ったのは、小野不由美の「くらのかみ」以来です。
こちらの文章のほうがより洗練されている気もしますが。。
この短編集の中では、メリー・ゴー・ラウンドの次に「睡蓮」が好きです。
真っ暗な背景に、足まで泥に使った子供と、ぽっかり浮かぶ睡蓮の花。そのような情景がありありと思い浮かび、背筋が寒くなります。
子供の無邪気さ故の恐ろしさが丁寧にかつ簡潔に書かれています。
ただかわいいだけの存在ではなく、 -
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昨年(2010年)逝去された三浦さんの長編小説です。自伝的小説のようです。 昨年の夏頃にそれまで病気がちだった三浦さんが創作への意欲を見せ書きたいと思っている題材について語っている記事を読んだのをきっかけにそれまで手にとってみたことのない、三浦さんの小説を読んでみようと思ったのでした。それがこの小説です。 しかし、その創作への思いも叶わず昨年のうちに逝去されたのでした。 本の帯には”読者リクエスト多数につき緊急復刊”とあります。 平成元年が初版なので今回の増刷がなかったら、確かに本屋さんで探してもみつからないものなのでした。
時代は昭和の初め、青森を舞台にして呉服店を営む山科家が背負った宿命 -
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三浦哲郎の小説を読みました。主人公は小学校の6年生のユタこと勇太です。 東北地方でも北にある山間の村に転校してきたばかりでまだその土地になじめません。そのため、友だちもできず退屈で寂しい思いをしています。 村の温泉宿、銀林荘で風呂焚き用の薪割りをしている寅吉じいさんに悩みを打ち明けると、寅吉じいさんは思いがけないことをユタに告げます」。 座敷わらしに仲間になってもらえというのです。座敷わらしを知らないユタでしたが妖怪だと説明されると、いると信じて会いたくなったのでした。お母さんに意気地なしだと思われているので、それを利用して胆だめしだといって満月の夜にひとりで銀林荘のはなれに行ってみると・・・