三浦哲郎のレビュー一覧

  • おふくろの夜回り

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    丁寧に、丁寧に、短い文章、他愛もない日常のことが綴られていて、おそらく自分の身の周りでも起こっているであろうに、こうして読まないと気がつかない。
    幼い頃、今を大切に思い、これからをゆったりとした目で見ていきたいと思う。

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    2014年10月27日
  • 忍ぶ川

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    【本の内容】
    貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって芥川賞受賞の表題作ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    8月末、79歳で死去した作家の三浦哲郎さんには伝説がある。

    30年ほど前、小説の原稿を編集者がなくしてしまい、再度書いた。

    間もなくして元の原稿が出てきて、編集者が照らし合わせたところ一字一句同じだった――。

    真相は、書き直す直前、元の原稿は見つかっていた。

    クビを切られることを覚悟して謝りにいった編集者に、「見つかったのは残念。句読点すら同じに復元する自信もあったのになあ」と語った三浦さんの言葉が誤伝され

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    2014年09月21日
  • 白夜を旅する人々

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    再読。服毒自殺を遂げた姉るいの心のことば、暮れるでもなく 暮れぬでもなく 眠れるでもなく 眠れぬでもなく ただ深い井戸の静寂に包まれて 寝返りを打つばかりの白々とした夜 …が印象にのこる。雪国をはしる馬橇の鈴の音が耳の奥から消えない。

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    2013年10月22日
  • 白夜を旅する人々

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    ネタバレ

    三浦哲郎さんの著書を初めて読みました。平積みにされた書店でたまたま手に取った。
    重い内容で最後のあとがきを読むと、自伝だったのでなるほどなー。さらに次男も行方不明になっていたとは!
    でも、すらすら読めた。残った羊吉の無邪気さがなんともいえない。一番かわいそうなのはお母さんだな。

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    2013年09月04日
  • 木馬の騎手

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    ネタバレ

    2012年のセンター試験の追試問題で「メリー・ゴー・ラウンド」に出会いました。
    その話の悲しさに驚き、思わず周囲の友達に読ませたのを覚えています。

    特にそういった描写がないのにぞっとさせられる文章に出会ったのは、小野不由美の「くらのかみ」以来です。
    こちらの文章のほうがより洗練されている気もしますが。。

    この短編集の中では、メリー・ゴー・ラウンドの次に「睡蓮」が好きです。
    真っ暗な背景に、足まで泥に使った子供と、ぽっかり浮かぶ睡蓮の花。そのような情景がありありと思い浮かび、背筋が寒くなります。

    子供の無邪気さ故の恐ろしさが丁寧にかつ簡潔に書かれています。
    ただかわいいだけの存在ではなく、

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    2013年07月29日
  • わくらば 短篇集モザイクIII

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    わくらば(病葉)、めちろ(目露)、なみだつぼ(涙壺)。あ~使われなくなる奥ゆかしい日本語たち。教科書に載せたい!
    「眠りに見放される」なんて好きな表現。 
    打ち釣り。尾籠(びろう:不潔、、猥褻)。甘茶っ子(みそっかす)

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    2012年11月22日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    見たことはないけれど、ミュージカル化してたなぁ〜と
    手に取って見ました。

    東京から東北に引越してきた「もやしっ子」のユタ。
    座敷童達と出会い、冒険したり、身体を鍛えたりして、
    村の子供達とも溶け込んでいく。

    座敷童の出生の秘密は、飢饉による間引きの化身。
    煙草をすい、オムツを濡らし、少々臭いのキツイ彼らですが、
    顔も知らない母親を恋しがる場面では胸がつまりました。

    ユタと座敷童との別れはあっさりしていて、
    私には寂しく感じました。
    でも、それでいいのかな。

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    2012年11月13日
  • 白夜を旅する人々

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    久々に夢中になった本。物語全体に漂う上品さ。
    個々のキャラクターが強いわけでもないのに、しっかり把握できる。
    みんなどこか自意識過剰。
    物語全体に漂う上品さ。

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    2012年10月07日
  • 忍ぶ川

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    戦後間もない東京を舞台にお互い暗い過去を背負った二人が貧乏生活の中で生きていく、最後は普通の夫婦になって行くハッピー・エンド的に終わる。
    主人公は青森の昔資産家の6人兄弟の末っ子。兄二人は失踪、姉二人は自殺、残る姉も目が不自由。暗い血を背負う。相手の女性志乃は父親の事業の失敗から家族は栃木の田舎で神社の廃屋で暮らしているという極貧の生活者であった。
    志乃はしっかり者で明るく、主人公も相手の気持ちを思いやる優しさを持っていた。しかしその暗い血故、最初の子供は堕ろさざるを得なかった。

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    2012年01月24日
  • 肉体について

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    兄弟のほとんどが失踪したり自殺をしてしまっているこの著者だからこそ描ける死生観が詰まっています。

    自分の中に流れる血や、老いや病気により自由にならない肉体を抱えているからこそ見える日常の風景がコミカルで悲しいです。

    決して手に汗握る読み物ではないけれど僕はこの種の少し暗い話も好きです。

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    2012年01月03日
  • ふなうた 短篇集モザイクII

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    ネタバレ

    おじいさんが聞きたかったというロシアの「ふなうた」を調べてみた。おそらくはチャイコフスキー作のふなうた、のことだったのだろう。聞いてみた。
    あぁ、そうかと思った。
    おじいさんが、人生の最後の歌になるかもしれないと思って遠い昔、ロシア兵が歌うのを聞いたのは、この音だったかと。
    どこかで聞いたことのある音色であった。
    あぁ、そうか。
    このように優しく切ない音色であったか。

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    2011年10月24日
  • 白夜を旅する人々

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    昨年(2010年)逝去された三浦さんの長編小説です。自伝的小説のようです。 昨年の夏頃にそれまで病気がちだった三浦さんが創作への意欲を見せ書きたいと思っている題材について語っている記事を読んだのをきっかけにそれまで手にとってみたことのない、三浦さんの小説を読んでみようと思ったのでした。それがこの小説です。 しかし、その創作への思いも叶わず昨年のうちに逝去されたのでした。 本の帯には”読者リクエスト多数につき緊急復刊”とあります。 平成元年が初版なので今回の増刷がなかったら、確かに本屋さんで探してもみつからないものなのでした。
    時代は昭和の初め、青森を舞台にして呉服店を営む山科家が背負った宿命

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    2011年09月04日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    三浦哲郎の小説を読みました。主人公は小学校の6年生のユタこと勇太です。 東北地方でも北にある山間の村に転校してきたばかりでまだその土地になじめません。そのため、友だちもできず退屈で寂しい思いをしています。 村の温泉宿、銀林荘で風呂焚き用の薪割りをしている寅吉じいさんに悩みを打ち明けると、寅吉じいさんは思いがけないことをユタに告げます」。 座敷わらしに仲間になってもらえというのです。座敷わらしを知らないユタでしたが妖怪だと説明されると、いると信じて会いたくなったのでした。お母さんに意気地なしだと思われているので、それを利用して胆だめしだといって満月の夜にひとりで銀林荘のはなれに行ってみると・・・

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    2011年08月28日
  • 白夜を旅する人々

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    戦時中の東北地方を背景に、色素欠乏症の子を含む6人兄弟の成長を描いた長編小説。
    ハンディキャップのある兄弟をもつことの影響が、長い年月をかけてゆっくりと表面化していく。
    家族の位置づけや、家族への愛のかたちを深く考えさせられる作品でした。

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    2011年03月06日
  • 師・井伏鱒二の思い出

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    井伏鱒二に師事した三浦哲郎が語る思い出。
    写真も多く2人の交流が偲ばれる。
    文章を通じて味わいの深い井伏像が浮かび上がってくる。

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    2011年02月03日
  • みちづれ 短篇集モザイクI

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    一度、読んだ本をはからずも再び購入して再読してしまった。
    作者のつれづれを綴った掌編ばかりだが、勉強のつもりで
    読んだ。感動することはなかったが、ただ、静かな日常の
    生活など、各所に学ぶことが多かった。

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    2010年12月06日
  • 夜の哀しみ(下)

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    男の不倫なんてよく耳にする話だが、これは二人の子供のいる不倫の話。そしてある時をきっかけに、家族に亀裂が入り、子供があるがまじき行為、親を強請り始めることになった。家族崩壊という深刻な状況、そして登世の衰弱をよく見ることができる。誰が悪いとかそういうのを問いたいのではない。人間の誰もが持つ欲望と渇望そしてそれへの葛藤。改心するのを最後まで願った親の姿には感動した。この本を通して女性の「欲」またはその「心」みたいなものを垣間見て、ためになった

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    2010年11月27日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    2009.11.17. 座敷童は、実は昔、飢饉の時代なんかに間引かれてしまった幼子だったという設定が良いです。幼子だったけど、ずーっと座敷童しているからおじさんみたいなのね、タバコ吸ったりして。でも、おむつしてるの。物語全体に、なんだか味があるんだなあ。

    2009.10. 劇団四季の「ユタ」に原作があったとは。しかも作者が三浦さん。読まねば。

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    2009年12月27日
  • 白夜を旅する人々

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    けっこうな分量のある本だけど、一気に読める。
    物語に出てくる長女と三女の身体的特徴を持った人と
    身近に接していたこともあり、個人的には長女に感情移入して読んでしまったが、
    本人だけではなく周りの家族も同じように悩んだり考えたりするんだなと、この本を
    読んであらためて家族というものについて、考えた。
    2008年の東京であれば、この家族もまた違った人生を歩めたような気もする。

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    2009年10月04日
  • ユタとふしぎな仲間たち

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    2008/10/22購入。表紙からは予想できないくらいファンタジー。少年の成長ものがたり。読書感想文なんかによさそうなお話・・・

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    2009年10月04日