三浦哲郎のレビュー一覧
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晩年に描かれた短篇集。家族を題材にしたものから物語風のものなど様々だが、どの作品にも三浦哲郎作品に今までも登場した要素が散りばめられている。山麓の小屋、座敷童、中るなど、半生のなかで触れてきたものがちゃんと作者の一部になっているのだとおもった。三浦哲郎だから書ける山麓の小屋だし、座敷童であると。
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三浦哲郎の描く児童文学。
いままで読んだ彼の作品とちがうと思ったのは、喩えの言葉のセレクトで、いくつか目に付いた。
p41 ぼくは、ちょうど閉店時間を迎えた銀行の玄関の自動シャッターのように、どうしようもない重たさで垂れさがってくる瞼を支えようとしながら、心のなかでそう叫んだ。
またぼくは主要...続きを読むPosted by ブクログ -
東京育ちの少年・勇太は、父を事故で亡くし、母に連れられ東北の山あいにある湯ノ花村に移ってきた。村の子供たちになかなか馴染めず退屈な毎日を送っていたが、ひょんなことから不思議な座敷わらしたちと出会った。彼らとの交友のなかで、いつか勇太はたくましい少年へと成長していく――。
息子が保育園の卒園式で「...続きを読むPosted by ブクログ -
昭和の香りのする短編集。
一つ一つ、短いながらも登場人物たちの人生の一端が精緻に描かれることで、それ以前、それ以降に思いを馳せることができる。
昼食時の読み聞かせ放送にどうかな…と思ったのだが、中1~中3、900人以上いる生徒に向けてとなると、情景を思い浮かべられる生徒がどれくらいいるか、難しいか...続きを読むPosted by ブクログ -
父親を不慮の事故で失い、母とともに東北の田舎に引っ越してきたの勇太。村の子どもたちにはモヤシっこといじめられ友達もいなく、日々眠気と戦う日々だった。
母が働く旅館で薪わりを担当するおじいさんに座敷童の話を聞き、彼らに会うため旅館の離れで一人眠ることにした勇太。彼のもとに現れたのは?
ユタと呼ばれ...続きを読むPosted by ブクログ -
ネタバレ かな?
少年の成長物語。日本の過去の飢餓によって亡くなった幼い命への愛しさ、哀しみ、鎮魂、供養を織り込んで描いている。作者三浦哲郎自身の、母親が産むか否かで迷った経験に基づいているそうだ。Posted by ブクログ -
三浦哲郎の本をどんどん読みたくて。
舞台で内容は知っていたけど、原作での座敷わらしは9人もいたとは!
座敷わらしが愛しい。
もっと彼ら一人ひとりの物語を読みたいと思ってしまう。Posted by ブクログ -
東京から東北の村へ転向してきたユタ(勇太)は周囲になじめず他の子供たちからはモヤシと呼ばれていた。
そんなユタに旅館で働く寅吉じいさんは満月の晩に大黒柱のある部屋に一人で泊まると座敷わらしと出会えると話すのだった。
ユタが意を決してその部屋に泊まると・・・。
先日行ってきた金田一温泉を舞台にした三...続きを読むPosted by ブクログ -
18話からなる短編集。
短い話がばかりだけど、深みを感じる。ときに落とし穴に突き落とされたような気持ちにさえなる。
多種多様なの人生の一部が切り取られていて、まったく飽きがこない。
「みのむし」は哀しい衝撃で、「メダカ」は予想外の衝撃だった。どちらも恐ろしい。Posted by ブクログ -
勇太(ユタ)は父を事故で亡くし、母と二人東北の山間の村に越してきました。
彼は東京もんとしてなかなか受け入れて貰えず、寂しい日々を送っていました。
そんな時仲良しの釜焚きの寅吉爺さんから、座敷童の話を聞き母の働く宿の一室に一人で泊まる事にしました。
すると座敷童のペドロ達が現れ、彼を仲間として受け入...続きを読むPosted by ブクログ -
死に縁どられた、あたたかいファンタジー。
お父さんが海難事故で死んだという設定は、ああ、三浦作品だな、と思ってしまう。
お寺の鐘の乗り合いバスとか、エンツコのエレベーターとか、子どものころ読んだら、きっとわくわくしただろう。
悲しさとおかしさが、絶妙なバランスでまじりあっているのも、この作品なら...続きを読むPosted by ブクログ