杉山春のレビュー一覧

  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    ひきこもり70万人、子どもを所有感覚・抱え込む親、イエが自分に課す規範から自由になれず、自分を空想上の「他人のまなざし」でチェックし、不十分と評価し、外に出られなくなる。

    ひきこもっていても生活や仕事もできるようになってきているし、それも生き方のひとつとしてノウハウが共有されるようになれば、悪いことじゃなくなるのに。

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    2018年10月13日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

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    虐待死をさせる親たちは、詳しく目を凝らせば、極悪人というよりも、社会の様々な支援から遠ざかった不遇な人たちだ。むしろ、古典的な家族の形しか知らず、新しい家族に関する価値観にアクセスできず、それでも家族にこだわり、閉じこもった人だ。

    満州女塾については、国策の介入など、始めて知りましたが、育てる力の弱い親、近代家族、移民、シングルマザーなどの全体のつながりについては読み切れませんでした。

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    2018年10月13日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    引きこもりにはあまり関心がなかった。
    心のどこかで、親に甘え、自尊心が高く、周囲を見下している人だと思っていたからかも知れない。
    確かにそういう人もいるだろう。
    しかしそれが全てではない。
    狭く、密室である、家族という中で苦しむ人は一定程度いる。
    その苦しみに想いを馳せなければ、思い込みで語ってしまう危険性がある。

    「存在の肯定」が引きこもりからの回復に欠かせないと著者は言う。
    それは口で言うほど簡単なことではない。
    近すぎる関係がもたらしたこの問題は、本人だけでも、家族だけを支援するのも、不十分だからだ。
    双方に適切な方向転換を求めて、助けをもたらさなければ、事態は動かない。

    親の苦悩も

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    2018年06月29日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    家族は人を追い詰める力も大きい。スペースの力を言うけれど、どうやって家族以外につてを求めるかがこの時代ずいぶん大きいのだろうなあ。

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    2017年10月09日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    当事者へのインタビューを通じて、「ひきこもり」の意味を考えた良書。ひきこもる人がはけっして自由気ままな暮らしを謳歌しているわけではなく、既存の価値観を内面化しすぎて自己点検を繰り返し、自分をダメだと決めて「自分自身が社会に漏れ出すことを必死になって防いでいる」など鋭い指摘が多い。一方で、やや近代以降の「家族」観がやや一面的な気も。

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    2017年09月10日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    共同体と呼ばれていたものが形を失う時、家族が孤立すれば、家庭内の規範は偏り、次世代を苦しめる。次世代が生活する社会の在り方が、親世代の規範とは大きくずれる場合もある。次世代に前の世代が与えるべきものは、まず、この社会は自分自身のいための場所だ、という確信だ。そして、命が本来持っている成長する力を尊重すること。ひきこもりとは、自分が生きられない規範で自分をジャッジして自分を切り刻んでしまうこと。家族が基盤になって作られてきた規範がときに子供や若い世代を痛めつける。社会の中にこそ多様な受け皿が作られるべき。

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    2016年09月10日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

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    家族という物語性の軛を巡る、現代の試練の数々。そうした局面に遭遇した時、もう少し肩の力を抜いても良いのだと、少し気が楽になった気がした。もちろんこの本にあるように、家族が担いきれなくなった機能を肩代わりする公的機関の存在が前提だが。経歴を隠さずさらけ出す著者の態度にも共感。

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    2016年05月06日
  • ネグレクト(小学館文庫)

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    両親の育児放棄により餓死に至った「真奈ちゃん事件」。自身も親との関係を上手く築けず、経済的破綻に加え、頼るべき周りの人に恵まれず、次第に我が子への関心を失くす親たち。

    子育てに正解はない、とはよく言われるがやはり一番身近なお手本は自分の親だろう。親やその親までもお手本とは言い難い村田夫妻は、自分の気持ちすら表面に出せず子とも向き合えず、ゲームやネット通販に逃げることしか出来なかった。

    ぞっとする反面、自分もいつか母になり夫や周りに頼れない状況で経済的にも余裕がなく、子の発育についても悩んでいたら、、、子に苛立ちを向けてしまわないとは限らない。

    改めて親になることの責任について思わせられた

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    2015年11月25日
  • ネグレクト(小学館文庫)

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    専門職なのだから、知らない・わからないではすまされない。
    もっとプロ意識を持たねば。

    育児で悩んでたり、辛くなったりしたら、とりあえず誰かに相談してほしい。
    東京都にお住まいでの、子どもに関する相談は、TEL0333664152、夜間・土日祝日の緊急の場合、TEL0359372330。

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    2014年08月22日
  • ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件

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    ネタバレ

    あまりにもむごい。むごすぎる。
    閉め切った部屋で、気温がおそらく40度を超える日もあったろう、もちろん食事も与えず三歳と一歳の乳幼児は、汗もなめ、尿も飲み、便も食べていた形跡があったらしい。(本書には書かれていないが)そして寄り添うようにして変わり果てた姿で発見される…。
    本書はなぜ、このような状況に陥っていったのかを、
    この被告の立場が紐解いていくのである、けれども、
    いくら、生育歴がとか、解離性人格障害だとか、一因はあるかもしれないけど、でも、犬や猫にも自分が産んだ小さくて弱いものを守る保護本能があるのに、
    それ以下としか思えない。
    結婚を機に立ち直るチャンスはあったのに、そのつかの間の幸

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    2019年06月30日
  • ネグレクト(小学館文庫)

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    子供の虐待。時折ニュースになる事件の数々ですが、それは特殊なことではなくて、
    今の日本社会で起こるべくして、起きている事実であるということが、この著書のテーマです。
    確かにこの著書で取り上げられた夫婦が、家族三代、
    満足に子育てが出来ない家庭に育てられた子供という事実はあります。
    しかし、旦那や親などを頼ることが出来ずに、子育てをしなければならない状況にある母親が多数存在することこそが、
    虐待が発生している大きな要因であることを考えさせられました。
    自分自身、男として女性に対しての接し方にも多数の教唆を得た文庫本でした。

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    2011年09月04日
  • ネグレクト(小学館文庫)

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     虐待報道があとをたたない。
     いったいどうなっとるん? 思いつつ、やはりこのあたりに行き着く。
     非常に冷静に、ルポされている。冷静に、公正に、この事件をとらえている。書き手の視点が、好き。
     「慈愛」のカテゴリーにいれてもいいくらい。

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    2011年02月17日