杉山春のレビュー一覧

  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    多くの児童虐待事件を取材してきたルポライターが、これまでの取材をもとに虐待や暴力、家族、社会のかかわりなど考察。以下、備忘。
    ・虐待する親も、人並み以上に「良い子育て」をしようと努力した時期がある。
    ・自らは子ども時代に虐待を受け、あるいは親の精神疾患などで結果的にネグレクトを受け、子育てモデルを持たない。
    ・困難に直面したとき、人は公的支援を含め環境調整をして乗り越えようとするが、子ども時代から暴力を受け、誰にも助けられず育つと、大人になってからも他者に頼ることができず、我慢、逃避、暴力に。
    ・将来を見通して行動する力が弱い。
    ・「満州女塾」の言及も。満州開拓民の花嫁として送られたが、戦局悪

    0
    2018年11月05日
  • ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件

    Posted by ブクログ

    大阪二児置き去り事件死のルポタージュ
    最後まで母親でいようとした芽衣(仮名)さん、著者が言っているように、自身の幼少期と重なるから「自分以外の誰からも見捨てられた」我が子を見ていられなかったのか
    許されることではない、でも、裁判では表面的な要素しか判断してもらえない。

    0
    2018年09月13日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    事例として出てくる事件については、もっと詳しい本も読んでいたが、著者独自の視点でシングルファザーやシングルマザーに大きく心を寄せる。部屋に閉じ込めパンを与えて死なせた父親に対して、家の恥を外に出さなかった家庭環境や一人で仕事と両立しようとした心理状況など、人を陪審するときにはここまで心を寄せなくてはいけないのだと身が引き締まった。
    仕事満州開拓民の話まで相当ページをさいて引き合いに出し、追い込まれる親の心境、国家や社会が子供の成長に責任を持つことの重要さを説く。中盤、著者の子供も長らく不登校だったことがわかる。

    0
    2018年05月22日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    【遅ればせながら読みました】

    虐待をした親、とされた方々に「生真面目さ」がある、というところには強く共感しました。自分の仕事を振り返るいい機会になりました。
    「新しい社会的養育のビジョン」について解説されていました。里親委託の件が波紋を広げているところです。たしかに里親さんもいろいろで、私も病院時代に里親さんの虐待事案に複数接し、通告してきました。それもこれも成功の鍵を握るのは「自治体の正規の職員として、専門職を置けるかどうかが重要だと思います」とあります。全くその通りで、ソーシャルワーカーがきちんと専門職として正規に採用され、きちんと能力を高めつつその力を発揮できる環境が整えば

    0
    2018年01月08日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

    Posted by ブクログ

    著者の生い立ちも書かれているので、本人を知っている身としては不思議な感じだった。
    精神科医が精神病にかかりやすい、ということと共通する部分があるのではないかと思った。
    ひきこもりを病気として捉えているけれども、自分を差し置いて何かに怒ったり、「いけなくな」ったりと、惰弱との線引きはとても難しい。
    今、高校一年生の息子も一つボタンを掛け違えば、ひきこもりとかニートとか、そういう状況になりかねないと思うと少し怖い感じがした。

    0
    2016年03月24日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

    Posted by ブクログ

    ひきこもり に焦点を当てて,数多くインタビューをまとめている.世の中の規範に入り込めないことに不安を感じ,自分の中に閉じこもる事例があふれている.親や周囲の人がどのように対処したらよいのか,模範解答はないだろう.p199の「我が子に他者性を持つことは,実は,現代の新しい規範なのではないか.」は一つの答えかもしれない.著者を知っているので,第3章は複雑な気持ちで読んだ.

    0
    2016年03月15日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    名古屋市郊外で3歳の女の子がダンボールに入れられたまま、ほとんど食事も与えられず餓死した。
    ネグレクト(育児放棄)の典型的な事例が数多くみられるこの事件を3年半に渡って追ったルポルタージュ。

    このような事件があると激しいバッシングが起きるが、
    誰かを叩いて自分の日頃の憂さ晴らしをするのが目的ではないなら、ちょっと一呼吸して同じ様な事件が起こらない為にはどうすれば良いか考えてみるといい。
    バッシングは育児に追いつめられた人が声を挙げにくい社会にしていませんか?

    ・社会と隔絶され家に篭もりっきりで育児に明け暮れる妻
    ・家事は女の仕事と考え、仕事やゲームに没頭する夫
    ・友達のような親子だが、深刻

    0
    2015年04月20日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    私自身が被虐待児で、この本を手に取りました。
    愛知県のとある町で起きた実際の事件で
    内容を読んでいると、フラッシュバックするような感覚に陥る程、
    忠実に書かれていました。
    虐待は決して許されるものではありません。
    子どもの一生を奪うといっても過言ではない残忍な行為です。
    コンビニで某メーカーのバタースティックを見るたびに胸が痛くなります。

    0
    2012年09月12日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    客観的に描かれており事件の内容はわかりやすい。ただ事件そのものについてはなんともやり切れない。

    虐待は良くない、でも虐待する側にもそこまでに至った理由があるのもわかった。ではどうすれば虐待を防げるのか?悲しいことに、これを読んで私なりに出した結論は、虐待されて育った人は子供を持つべきではないのでは…と思ってしまった。真奈ちゃんの死後、なおも子供を持とうとしている親(加害者)の気持ちが理解できない。

    0
    2012年09月13日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    授業で使用。ルポライターの杉田さんが、私情を極力押し殺して書いているのが、読んでいて快感。ドキュメンタリー番組を観ているような感じで、すらすらじわじわキた。

    0
    2010年04月29日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    ネグレクト(育児放棄)によって
    なぜ、死に至らせてしまったのかという、大きな問題提起の本。
    本当にあった出来事の当事者達の話や、著者の意見?をとりまとめたもの。
    おこるべくして、おこった。というような感じの内容。家庭環境の劣悪さの連鎖
    はたして、それだけで容疑者をゆるしていいものなのか?それとも、ゆがんだ家庭で育ってきたその末の結果としてしまっていいのか?
    アタシにはわからない。
    なぜ、こういう本を好んで読んでしまうのか、自分でも分からない。

    0
    2009年10月04日
  • ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件

    Posted by ブクログ

    誤字が多いのが気になります。「(ママ)」の引用部分ではなくて地の文です。こんなに誤字だらけで取材依頼文とかよこされたとしたら私なら断ってしまうと思います。
    たとえ教員本人が熱望したとしても、部活動による長時間労働はネグレクトや虐待の原因や遠因となりうるということを改めて考えさせられました。周囲は「シングルファーザーに花園目指して猛特訓なんてさせられない」と思っても、代わりがいないから口出せなかっただろうと思います。

    0
    2025年04月07日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    当時5歳の男の子を置き去りにして餓死させた、ネグレクトの事件。冒頭に出てきた報道の文章は記憶していた。そんなことがありうるのか、と胸が傷み、父親に対して強く憤ったことも覚えている。その報道がウソ、とはいわないまでも、事実はいくぶん違っていたのではないか、といわれると「え?」となる。父親には知的な障害があり、系列だてた証言ができなかったことによる誤解だったというのだ。生きたまま閉じ込められたというのも、果たして事実だったのか。男の子が亡くなった後、父親はしばらくいっしょに過ごしていたという証言もあるという。う~ん、なんとも考えさせられる。IQ69で、運転免許をとり運送の仕事ができるのかなぁ、とい

    0
    2021年01月31日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

    Posted by ブクログ

    なんというか全体にまとまりがない。1〜3章までで個別のひきこもり事例から家族の価値観に問題を見出しつつ、自分の親との体験、親としての体験を綴ったとこまではとても良かったけど、それ以降また個別の事例の紹介に戻っていて、散漫な構成になっていて残念。朝ドラの後の番組でコロナ後の虐待について話してて面白そうな人だったから読んでみた。

    0
    2020年06月25日
  • ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件

    Posted by ブクログ

    事件当時、ちょうど同じ年の子供達が自分の家にもいたので、暫くすごくショックを受けたのを覚えています。今一度、気持ちの整理をと思い手にとって見ましたが、やはり母親の気持ちは理解しかねます。

    0
    2019年05月18日
  • ネグレクト(小学館文庫)

    Posted by ブクログ

    実際にあった虐待についてのルポ。
    虐待の多くはネグレクトではないかという投げかけが心に残る。
    情報過多の社会でありながら、支援を求めることすら思いつかなかった両親。それが、病理だと言ってしまえば、おしまい。病理であれなんであれ、虐待はなくならない事実がある。
    専門職を増やして支援を地域のつながりで早期発見をというが、そもそも、子育てができない人(自分も含む)が増えている事がこの国の教育(人としての)貧弱さを物語っているような気がする。

    0
    2019年05月05日
  • 家族幻想 ――「ひきこもり」から問う

    Posted by ブクログ

    家族やイエ制度とは何か?を考えさせられる本。
    個別の事例が紹介されているが、明確な解決策がないため解決するための指南書として読まれる方は物足りないかも。
    問題の本質を考えるための本。

    0
    2019年05月05日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    知的な水準が障害かそうでないかのボーダーライン上にあると思われる親たちは、その意図はなくても、支援を求められないため、結果的に子供を虐待してしまう。他方、こういう人たちは、職場では遅刻もなく高い評価を得ている。コツコツ積み重ねていくことは得意なのに、抽象的な思考や見通しを持つことに難があり、時系列で説明するのも苦手。普通の大人なら人に助けを求めるのに社会にSOSを出せず孤立感を抱えている。昔であれば地域や社会がそんな人たちの面倒をみてきた。
    精神遅滞と呼ばれる人たちは生物学上では2%程度と言われる。日本には270万人いる計算になるが、障害者手帳を取得している人は全国に74万人。
    社会の中で孤立

    0
    2019年02月10日
  • ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件

    Posted by ブクログ

    「虐待」と聞くと親を責めたくなるし、私も本作を読むまではそうでした。

    しかし、本作を読むと親の周りの環境が、こういった残酷な事件に繋がることもあると考えさせられました。

    もちろん「虐待」(今回の場合はネグレクト)はいけないものだと私は考えます。
    ただ、親ばかりが悪いのでは無い。では他の悪はなんなのか?
    こういったことを考えさせられるものになっています。

    0
    2019年01月11日
  • 児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか

    Posted by ブクログ

    数々の児童虐待事件を取材した著者が、その背景にある日本社会の家族規範の変容を追いながら、悲劇を防ぐ手だてを模索する。
    厚木男児遺体放置事件などの事例を分析することで、児童虐待について、加害者である個人に責任を帰すことに疑問を呈し、児童虐待の背景には、父親は仕事で家族を支えるものであり、母なるものは子どもを育てなければならないという近代家族の家族規範や、家族を支えない社会、家族を従属させようとする国家があると指摘する。
    著者が指摘するような児童虐待を生む社会的背景があるという側面はあると思うし、社会による家族支援が必要という主張にも共感はするのだが、本書全体を通じて、児童虐待の原因を社会に求める

    0
    2018年11月01日