あらすじ
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ネグレクト(neglect)育児放棄。子供に食事を満足に与えなかったり、病気やけがを放置したり、長期間入浴させないなど保護者としての責任を放棄する行為。2000年12月10日、愛知県名古屋市近郊のベッドタウンで、3歳になったばかりの女の子が段ボールの中に入れられたまま、ほとんど食事も与えられずにミイラのような状態で亡くなった。両親はともに21歳の夫婦だった。なぜ両親は女の子を死に至らしめたのか、女の子はなぜ救い出されなかったのか。3年半を超える取材を通じてその深層に迫った事件ルポルタージュ。第11回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
感情タグBEST3
読むべき本
すごく丁寧な取材でこの事件に関わる人々の背景がこと細かく書かれてあり、読みやすかった。加害者夫婦をありえないとただ切り捨てるだけではこんな事件はまだまだ無くならないのかもしれないです。
Posted by ブクログ
大学では心理学科に進むことが決まった高校3年に
本屋で表紙を見て買った本
読んで衝撃だった
つらい内容が多いけれど
「虐待なんて酷い」と言いつつも
ニュースを見ながら
どこか他人事のように感じてる人に
是非読んで欲しいと思った
Posted by ブクログ
杉山春さんのノンフィクション大賞をとった本。
どんどん痩せていくまなちゃんの描写に目を背けたくなるが、保育士をしている私ですら想像を絶する光景なんだと、、。
亡くなってからの両親の気持ちが分かりやすい文体。7年の刑ってあっという間だろうな。虐待して亡くなった娘の親が今、普通に暮らしているのだと思うと胸が苦しくなる。
親が虐待とも思ってなかったのも、事実なんだろうな。だから、"ネグレクト"。
けど本当、連鎖する、親の親のそのまた親からずっと負の連鎖なのに、妊娠だけは凄い確率でする。
親を救いたい、そんな世の中社会をやっぱりどうにかしないといけないと心から思った。
声の出ない小さな子どもや動物たちを守るのは、正確な判断ができる人間とそれを生み出す環境を整える社会にかかっている。
Posted by ブクログ
育児放棄により女の子が亡くなった事件をとことん調べ尽くし、自らの育児体験と照らし合わせたり、データをいろいろ援用したりして、育児放棄という社会問題を多面的・立体的に浮かび上がらせる。両親やその親たちの育ちや心理といった面にまで取材は及んでいて、実に頭が下がる。読んで数日、子育てという行為の重さが肩にのしかかり、落ち込んだ。子どもを産むことが出来る女性だからこそ書けた本。すごい。
なるほど
こちらも読んで良かった。私の中で色々変わった。色々な環境で育った人がいる。それを再度実感した。
そして子供が発する甘えたいをワガママと取らず、甘えるには理由があるのだと感じた。
ついつい親の立場で、甘やかすと癖になると思い、発せられるサインを深読みする自分がいたことに気がついた。
ありがとうございます。
Posted by ブクログ
虐待の連鎖についてはなんとなくは知識があったけど、児童虐待の末の痛ましい事件を耳にすると、とりあえずはその親の異常性に恐怖し、憤った。
だけど本書を読んで、親も子供時代に虐待を受けることにより心に深い傷を負っていたことによる連鎖ということが詳細な取材によってよく分かった。
そして親の親も虐待を受けていて…という家族の終わらない病理。
読んでいて辛くなるけれど、これ以上子供を死なせないために、虐待のメカニズムを知るために、とても素晴らしいルポタージュだと思った。
Posted by ブクログ
大阪の2児のネグレクトの事件をきっかけに読みました。子育てに不安や悩み、葛藤を抱える親はたくさんいますが、虐待死という越えてはならない一線を越えてしまうのかと疑問に思っていました。普通の感覚では理解し得ないですが、この本を読むことでそれを理解する一助になると思います。悲しいことに虐待の事件は後を絶ちませんが、親子とも不幸になってしまうような事件が二度と起こらないようにと願います。
Posted by ブクログ
育児放棄で死に貶めた背景と経緯、ネグレクトは異次元の事件ではなくもっと身近で深刻な問題です。一歩間違えたら私も当事者になってたかも・・・。妊娠、中絶、出産、育児についてもっと沢山の人に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
児童虐待は、只、冷酷とか可愛そうとか
そんな簡単な言葉で片付けてはいけないと思う。
沢山のことを考えさせられる事件。
これからのことをちゃんと考えなくては。
Posted by ブクログ
子供の虐待の事件を耳にすると、とても心が痛み、憤りを感じます。けれどその背景を知ることで見えてくるものがあります。
それは、愛情への飢餓感であったり貧困であったり、孤独であったり。
しばしば報道では一方的な側面から捉えられがちな事件を多方面から取材し検証されていて、著者の暖かな目線が感じられる素晴らしいノンフィクション。
Posted by ブクログ
読書記録42.
#ネグレクト
第11回小学館ノンフィクション大賞受賞のルポルタージュ作品
2000年12月愛知県武豊町で段ボール箱に入った3歳の女の子が餓死した事件
当時初めての子供、同じ女児を産んで半年ほどの時期だったのでこのニュースはよく覚えていた
両親は21歳、19歳の時に生まれた子供
女児の祖父母ともに子供との関わり方が根本的に無関心で、女児の母親もネグレクト的に育ってきた背景
女児の父親は母親からの過干渉もあり、コミュニケーションが歪んだ家族達が起こした事件だと感じる
どんなにひもじく、どんなに淋しく悲しみに満ちた3年の生涯だったかと想像するたびに涙が滲む
真奈ちゃん
どうぞ安らかに…
Posted by ブクログ
小学館ノンフィクション大賞を受賞した本書は、2000年12月に起きた愛知県武豊町女児餓死事件のルポルタージュである。若い両親には2004年に殺人罪で懲役7年の判決が下った。
2000年の当時はまだ虐待への対応が確立されていなかった。試行錯誤を重ねてきた児童相談所の職員や意識の高い小児科医もわずかにいたが、まだまだ虐待への適切な対応は浸透していなかった。
武豊保健センターの職員は母親と関わろうとした。母親との関係が築けない彼女を助ける上司はいなかった。奮闘する職員が孤独だった。母親はさらに孤独だった。親も頼れない。夫は無関心。子育ての悩みを抱えて孤独だった。誰も彼もが孤独の中で幼子が命を落とした本事件は、現代の孤独病と言えまいか。
親から子へと引き継がれてしまう虐待の連鎖。それが痛ましい事件になる理由は、地域力や家族力が低下したためである。そしてそれは、大きな時代の変化と無関係ではない。
Posted by ブクログ
辛いなぁ。
事件を知った時は「鬼畜!」と思ったけれど、日常が続いていくうちに箱の中にいるのが普通になってしまったんだな。
妊娠して産んだからって上手く育てられるわけじゃない。
簡単に子どもを手放せるようになったらいいのに。
子どものため。
匿名
手が掛からなければ真奈ちゃんは普通に愛され生きていけたのか?
子どもは親の所有物でなくひとりの人間なのに、自分の思い通りにならないと力で思い通りにしようとしたり放棄したりする。
自分と同じように大切に思えれば、と思うがこの人達は自分も大切と思えないのだろう。悲しい…
Posted by ブクログ
名古屋市郊外で3歳の女の子がダンボールに入れられたまま、ほとんど食事も与えられず餓死した。
ネグレクト(育児放棄)の典型的な事例が数多くみられるこの事件を3年半に渡って追ったルポルタージュ。
このような事件があると激しいバッシングが起きるが、
誰かを叩いて自分の日頃の憂さ晴らしをするのが目的ではないなら、ちょっと一呼吸して同じ様な事件が起こらない為にはどうすれば良いか考えてみるといい。
バッシングは育児に追いつめられた人が声を挙げにくい社会にしていませんか?
・社会と隔絶され家に篭もりっきりで育児に明け暮れる妻
・家事は女の仕事と考え、仕事やゲームに没頭する夫
・友達のような親子だが、深刻な問題に気づいても踏み込んで解決しない
・子供の発達の遅れが恥ずかしく世間に知られたくないと考える
・支払いを考えずストレスを通販で発散する
・児童相談所などの現場のマンパワー不足
・DVと違い外部からネグレクトと判断する際の難しさ
ネグレクトは特別に自分たちと遠く離れた環境で起きるわけではないのがわかるはず。
三代続けて同じような養育環境でありながら、
家を建てる援助、できた借金を肩代わりする余力、家族が支え合う力が失われていき、悲惨な事件がおきたという点もなるほどなと思う。
Posted by ブクログ
私自身が被虐待児で、この本を手に取りました。
愛知県のとある町で起きた実際の事件で
内容を読んでいると、フラッシュバックするような感覚に陥る程、
忠実に書かれていました。
虐待は決して許されるものではありません。
子どもの一生を奪うといっても過言ではない残忍な行為です。
コンビニで某メーカーのバタースティックを見るたびに胸が痛くなります。
Posted by ブクログ
客観的に描かれており事件の内容はわかりやすい。ただ事件そのものについてはなんともやり切れない。
虐待は良くない、でも虐待する側にもそこまでに至った理由があるのもわかった。ではどうすれば虐待を防げるのか?悲しいことに、これを読んで私なりに出した結論は、虐待されて育った人は子供を持つべきではないのでは…と思ってしまった。真奈ちゃんの死後、なおも子供を持とうとしている親(加害者)の気持ちが理解できない。
Posted by ブクログ
授業で使用。ルポライターの杉田さんが、私情を極力押し殺して書いているのが、読んでいて快感。ドキュメンタリー番組を観ているような感じで、すらすらじわじわキた。
Posted by ブクログ
ネグレクト(育児放棄)によって
なぜ、死に至らせてしまったのかという、大きな問題提起の本。
本当にあった出来事の当事者達の話や、著者の意見?をとりまとめたもの。
おこるべくして、おこった。というような感じの内容。家庭環境の劣悪さの連鎖
はたして、それだけで容疑者をゆるしていいものなのか?それとも、ゆがんだ家庭で育ってきたその末の結果としてしまっていいのか?
アタシにはわからない。
なぜ、こういう本を好んで読んでしまうのか、自分でも分からない。
Posted by ブクログ
実際にあった虐待についてのルポ。
虐待の多くはネグレクトではないかという投げかけが心に残る。
情報過多の社会でありながら、支援を求めることすら思いつかなかった両親。それが、病理だと言ってしまえば、おしまい。病理であれなんであれ、虐待はなくならない事実がある。
専門職を増やして支援を地域のつながりで早期発見をというが、そもそも、子育てができない人(自分も含む)が増えている事がこの国の教育(人としての)貧弱さを物語っているような気がする。
Posted by ブクログ
両親の育児放棄により餓死に至った「真奈ちゃん事件」。自身も親との関係を上手く築けず、経済的破綻に加え、頼るべき周りの人に恵まれず、次第に我が子への関心を失くす親たち。
子育てに正解はない、とはよく言われるがやはり一番身近なお手本は自分の親だろう。親やその親までもお手本とは言い難い村田夫妻は、自分の気持ちすら表面に出せず子とも向き合えず、ゲームやネット通販に逃げることしか出来なかった。
ぞっとする反面、自分もいつか母になり夫や周りに頼れない状況で経済的にも余裕がなく、子の発育についても悩んでいたら、、、子に苛立ちを向けてしまわないとは限らない。
改めて親になることの責任について思わせられた。
Posted by ブクログ
専門職なのだから、知らない・わからないではすまされない。
もっとプロ意識を持たねば。
育児で悩んでたり、辛くなったりしたら、とりあえず誰かに相談してほしい。
東京都にお住まいでの、子どもに関する相談は、TEL0333664152、夜間・土日祝日の緊急の場合、TEL0359372330。
Posted by ブクログ
子供の虐待。時折ニュースになる事件の数々ですが、それは特殊なことではなくて、
今の日本社会で起こるべくして、起きている事実であるということが、この著書のテーマです。
確かにこの著書で取り上げられた夫婦が、家族三代、
満足に子育てが出来ない家庭に育てられた子供という事実はあります。
しかし、旦那や親などを頼ることが出来ずに、子育てをしなければならない状況にある母親が多数存在することこそが、
虐待が発生している大きな要因であることを考えさせられました。
自分自身、男として女性に対しての接し方にも多数の教唆を得た文庫本でした。