杉山春のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
家族の関係性、トラウマ、女性の貧困、社会とのつながりの希薄化など、多角的に事件を見て、育児への向き合い方を深めるきっかけになりました。
今回は事件になったからこれだけ騒がれて有名になりましたが、同じくらい凄惨な環境で生きている人が他にもいる、全ては当てはまらなくとも同様の苦しみを感じる人がいることに思いを馳せると、複雑な気持ちになります。
本書の途中ではこんなデータも出てきています。
"国立社会保障・人口問題研究所の分析によると、二十歳から六十四歳までの勤労世代で、単身で暮らす女性の三分の一が「貧困」だ。六十五歳以上の単身者では五十二パーセント、十九歳以下の子どもがいる母子家庭で -
Posted by ブクログ
虐待の負の連鎖はこうやって起こるものなのかと...
加害者の生育歴や事件までの詳細な行動を知りながら事件を見つめ直すことで、ただの"ひどい母親"が起こした事件という視点では考えられなくなる。また、センセーショナルに描かずに心理的な推測も交えた分析を行なっていることで、精神病の感覚を掴みやすい。
加害者の周囲の大人は加害者に安心を与えられなかったのか?助けをキャッチする優しさを一瞬でも持てなかったのか?
加害者がなぜ助けを求められず、1人で抱えこみ、子どもという最も弱いものに皺寄せがいってしまったのか
加害者含め、周りの大人たちが責任感と想像する力がなさすぎる
現代社会 -
Posted by ブクログ
「教誨」という本の、参考文献に上がっていたのが気になったので読んでみました。「教誨」同様、犯罪者への理解が、犯罪を減らすのではないかと思った。犯罪者を一方的に悪とみなして罰を与えても、なんの解決にもならないのかもしれない。犯罪者を、犯罪者にしたのは、関わった全ての人や環境に要因があるのだということ。この本の内容に関して言えば、子育てを母親にだけ押し付けて罪に問うのが本当に正しいことなのか?離婚にいたり、子どもをどうするか決める時に、子供のことを第一に考えて、関わる全ての人達でその子を育てて行けるよう考えるべきでは無いのか。確かに母親のしたことは許されないこと、だけど、母親も、元夫や義両親、両親
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Posted by ブクログ
ネタバレ一体どういう気持ちで子供達を放置して遊び回っていたんだろう、どうして衰弱している子供を置いて行くことができたんだろう、どうして悲劇は防げなかったんだろう
色々な疑問の答えを知りたくて読んだ本
母親(芽衣(仮名))の幼少期頃から子供達を死なせてしまうまでのこと、芽衣さんの父親のこと、高校生の時のこと、結婚から離婚までのこと
そして著者が考える事件の真因が書かれている
著者と芽衣さんが1度しか会えてないというのが残念だった
芽衣さん寄りに書かれているなあと思ったけど、虐待死させたという結果だけでなく芽衣さんが抱えていた問題を知ることができたのは、違う角度から虐待問題を考えるきっかけになって良か -
Posted by ブクログ
杉山春さんのノンフィクション大賞をとった本。
どんどん痩せていくまなちゃんの描写に目を背けたくなるが、保育士をしている私ですら想像を絶する光景なんだと、、。
亡くなってからの両親の気持ちが分かりやすい文体。7年の刑ってあっという間だろうな。虐待して亡くなった娘の親が今、普通に暮らしているのだと思うと胸が苦しくなる。
親が虐待とも思ってなかったのも、事実なんだろうな。だから、"ネグレクト"。
けど本当、連鎖する、親の親のそのまた親からずっと負の連鎖なのに、妊娠だけは凄い確率でする。
親を救いたい、そんな世の中社会をやっぱりどうにかしないといけないと心から思った。
声の出ない -
Posted by ブクログ
読みやすく分かりやすい。
ノンフィクション
おしゃれとは、自分をよく見せようとするのではなくて、自分の隠したいことに被せるためのもの。
書き手の口調が良い。
読んで、我が子を死なせてしまった母親はもちろん刑に服すべきだが、背景に奥の奥の物語があり、悲劇が重なって起きたのだと思った。
でも子どもは二度と戻ってこない。本当に苦しく悲しい事件。
教育に携わる職の資格なもつ私は、こうした親御さんもいることは知っておいた方が良いと思った。自分にできることはないか、この様なことにならぬよう親を助けられる社会の仕組みを作ることができないだろうか、虐待をする心理を撲滅させることが命を救うのではないだろう -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本を読むまで、私は虐待する親は単なる卑劣な人間なのだと思っていた。
読みながら母親だけを責めるのはおかしくないか?と思った。
ただただ虐待死させたという点だけを責めるのであれば簡単である。
しかし、この事件が起きたことで、行政だけでなく、周りの一人一人が近しい人に力を貸してあげることが、このような事件を以降招かないために必要なことではないだろうか。
読んでいけば、この母親は最初は子育てを頑張っていた。
身から出た錆とは言えども、専業主婦だった母に子どもを2人押し付け、自分は養育費も払わない、子どもを預かって欲しいと言われても拒否する元夫に対して、なんの糾弾もないのは不思議でしかたがない -
Posted by ブクログ
過去の虐待事件の裁判傍聴や加害者への接見を通して筆者が得た情報を元に、虐待の背景にあるものは何だったのかが考察されている。普段見聞きするニュースではここまで深い情報を知ることができないため、とても勉強になった。
親になって改めて思うが、子育ては周りの助けがなければ絶対にできない。誰からも何の助けも受けず、親だけで育てることは不可能だ。それでも現代では「子育ては親の責任である」とい考え方が根強い。(確かに子どもは親のことをよく見ているなと感じることも多々あるし、子は親の鏡という言葉も間違ってはいないと思う。)
一方で、自身が自立できていない親、子どもをコントロールすることで自分自身を保つ親、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ厚木市のシングルファーザーのネグレクト事件~現代家族の孕む危険性まで
付録として掲載された児童精神科医との対話
「人と関われない不幸を虐待と名付けてバッシングするだけではダメなんですね」
「今は虐待という言葉が一般的になり、一方的に親が悪いというイメージが広がりました。親である以上、子供をしっかりと育てなければという圧力はとても強い。愛情と責任さえあれば、子供は育つという一種の思い込みがあります。うまく育たないと、愛情か責任感が欠けた親だと言って責められる」
社会と繋がれない孤独な親、いろいろ考えさせられる
いつか改めて読み返したい -
Posted by ブクログ
著者は芽衣さんにかなり感情移入しているようで周りの他者に責任を問えないかという視点がいたるところに見受けられるように思います。
ただ本人が重要なタイミングで更生のチャンスが与えられていたにもかかわらず自ら捨て去っている事には病気や生い立ちを理由に責任追及をしていないように感じます。
著者のスタンスとしてあえて追及しないようにしているのかもしれませんが。
再発防止は可能なのかという視点で読み進めましたが個人情報保護が過剰に取り沙汰される現代においては自ずから限界があるのかなと感じました。
仮に自分がこの業務に携わった時果たして何ができるのか。
自分の中で全く答えは出ませんでしたがこの事件は忘れ