【感想・ネタバレ】ルポ 虐待 ――大阪二児置き去り死事件のレビュー

あらすじ

二〇一〇年夏、三歳の女児と一歳九カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでいた。母親は、風俗店のマットヘルス嬢。子どもを放置して男と遊び回り、その様子をSNSで紹介していた……。なぜ幼い二人は命を落とさなければならなかったのか。それは母親一人の罪なのか。事件の経緯を追いかけ、母親の人生をたどることから、幼児虐待のメカニズムを分析する。現代の奈落に落ちた母子の悲劇をとおして、女性の貧困を問う渾身のルポルタージュ。

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Posted by ブクログ

家族の関係性、トラウマ、女性の貧困、社会とのつながりの希薄化など、多角的に事件を見て、育児への向き合い方を深めるきっかけになりました。

今回は事件になったからこれだけ騒がれて有名になりましたが、同じくらい凄惨な環境で生きている人が他にもいる、全ては当てはまらなくとも同様の苦しみを感じる人がいることに思いを馳せると、複雑な気持ちになります。

本書の途中ではこんなデータも出てきています。
"国立社会保障・人口問題研究所の分析によると、二十歳から六十四歳までの勤労世代で、単身で暮らす女性の三分の一が「貧困」だ。六十五歳以上の単身者では五十二パーセント、十九歳以下の子どもがいる母子家庭では、五十七パーセントが貧困層だ。"
(p.201 第四章『離婚』より)

私たちは、こういった人たちをサポートしていかなければならないと思いますが、自己責任の風潮が強まった昨今の社会がそれを許すのでしょうか。非常に問題は根深いと思いました。2013年刊行の本ですが、10年以上経った今もなお、同様の問題は解消しきれていないと思います。

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2025年05月26日

Posted by ブクログ

あまりにも衝撃的だった事件で、ニュースで流れる表層的なところしか知らなかったけど、知れば知るほど救いがなさすぎて辛かった。

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2025年03月10日

Posted by ブクログ

 
虐待の負の連鎖はこうやって起こるものなのかと...
加害者の生育歴や事件までの詳細な行動を知りながら事件を見つめ直すことで、ただの"ひどい母親"が起こした事件という視点では考えられなくなる。また、センセーショナルに描かずに心理的な推測も交えた分析を行なっていることで、精神病の感覚を掴みやすい。

加害者の周囲の大人は加害者に安心を与えられなかったのか?助けをキャッチする優しさを一瞬でも持てなかったのか?
加害者がなぜ助けを求められず、1人で抱えこみ、子どもという最も弱いものに皺寄せがいってしまったのか
加害者含め、周りの大人たちが責任感と想像する力がなさすぎる
現代社会は事件当時よりも人間関係が希薄になり、自己責任論が強く、想像力をもてる大人が少なくなっていると思うが、少なくとも私自身がそうならないように、ふと思い出して生きていきたい

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2024年10月04日

Posted by ブクログ

「教誨」という本の、参考文献に上がっていたのが気になったので読んでみました。「教誨」同様、犯罪者への理解が、犯罪を減らすのではないかと思った。犯罪者を一方的に悪とみなして罰を与えても、なんの解決にもならないのかもしれない。犯罪者を、犯罪者にしたのは、関わった全ての人や環境に要因があるのだということ。この本の内容に関して言えば、子育てを母親にだけ押し付けて罪に問うのが本当に正しいことなのか?離婚にいたり、子どもをどうするか決める時に、子供のことを第一に考えて、関わる全ての人達でその子を育てて行けるよう考えるべきでは無いのか。確かに母親のしたことは許されないこと、だけど、母親も、元夫や義両親、両親、行政に何度も周囲に助けを求めている。残念ながらその全てがうまくいかず、絶望してしまった。それでも、責任は母親だけにあると言えるのだろうか?

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一体どういう気持ちで子供達を放置して遊び回っていたんだろう、どうして衰弱している子供を置いて行くことができたんだろう、どうして悲劇は防げなかったんだろう
色々な疑問の答えを知りたくて読んだ本

母親(芽衣(仮名))の幼少期頃から子供達を死なせてしまうまでのこと、芽衣さんの父親のこと、高校生の時のこと、結婚から離婚までのこと
そして著者が考える事件の真因が書かれている

著者と芽衣さんが1度しか会えてないというのが残念だった
芽衣さん寄りに書かれているなあと思ったけど、虐待死させたという結果だけでなく芽衣さんが抱えていた問題を知ることができたのは、違う角度から虐待問題を考えるきっかけになって良かったと思った

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2023年05月16日

購入済み

忘れてはいけない

どんな事件にも背景があること、善悪だけでは決められないことがあることを感じた。また、母親になる上での責任感を考えさせられたり。

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2022年10月06日

Posted by ブクログ

なぜこのような事件が起きたのか
疑問でした。
そして背景を知ることで、答えが見つかるのではと思いました。

こどもは社会が守るべきだと強く思いました。
sosに敏感になること
心配しすぎることは余計なお世話ではないと言うことです。
余計なお世話をする人がいたら
救えた命だったかもしれない。

余計なお世話を焼く人でありたい。

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2022年03月01日

Posted by ブクログ

山田詠美さんの「つみびと」を読んで、実際どういうことだったのかとこの本を手に取りました。
置き去りにしたことは信じられないこと。
でも子供たちの父親の無責任さ、義父母の冷たさ、被告人の実父の勘違いな教育?に驚きました。実の子であり可愛い孫なら被告人のことは抜きで保護するんじゃないかと思いました。
回りな家族。
想像力に欠け、慈しみのない人たちとしか思えなかった。
そういう大人たちの犠牲になったということなんだろうな。

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2022年02月26日

Posted by ブクログ

読みやすく分かりやすい。
ノンフィクション

おしゃれとは、自分をよく見せようとするのではなくて、自分の隠したいことに被せるためのもの。

書き手の口調が良い。

読んで、我が子を死なせてしまった母親はもちろん刑に服すべきだが、背景に奥の奥の物語があり、悲劇が重なって起きたのだと思った。
でも子どもは二度と戻ってこない。本当に苦しく悲しい事件。
教育に携わる職の資格なもつ私は、こうした親御さんもいることは知っておいた方が良いと思った。自分にできることはないか、この様なことにならぬよう親を助けられる社会の仕組みを作ることができないだろうか、虐待をする心理を撲滅させることが命を救うのではないだろうか、など浅はかな素人の私は実直に思いました

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2021年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本を読むまで、私は虐待する親は単なる卑劣な人間なのだと思っていた。
読みながら母親だけを責めるのはおかしくないか?と思った。

ただただ虐待死させたという点だけを責めるのであれば簡単である。
しかし、この事件が起きたことで、行政だけでなく、周りの一人一人が近しい人に力を貸してあげることが、このような事件を以降招かないために必要なことではないだろうか。

読んでいけば、この母親は最初は子育てを頑張っていた。
身から出た錆とは言えども、専業主婦だった母に子どもを2人押し付け、自分は養育費も払わない、子どもを預かって欲しいと言われても拒否する元夫に対して、なんの糾弾もないのは不思議でしかたがない。

私からすれば、元夫が一切の援助をしなかったために起きたことと言っても過言ではない。

監禁にせよ、置き去りにせよ、元夫や父親が手を差し伸べていれば起きなかったのではないだろうか。
また、マンションで子どもが1日中泣いていて、通報したのが女性一人というのも、中々考えられない出来事である。
しかしながら、私も「よそはよそ。うちはうち」と育てられたし、ご近所トラブルは御免という認識がマンション住民にもあったのだろうと思う。

手当の申請に関しても、周りは簡単に言うけれど、離婚して子供二人を育てながら役所に言ってあれこれ書かされる。
収入がないことに関しても証明書を出せと。
そこに気力もいるし、理解力もいる。
いろんなことが重なっている中で、母親が優先順位を間違うのは当然のこと。

気持ちの整理もつかず、仕事はなく、途方に暮れるのは当然ではないだろうか。

張り詰めた糸が切れた結果、二児置き去り事件が起きた。
母親の行動には常識的には理解できないものも多くある。
しかし、自分が追い詰められたとき、果たしてこの母親と同じことをしないと言い切れるだろうか?
思いとどまれるだけの知識や教養、家族関係がある人なら別だが、この母親と同じ知識と教養、家族関係であっても「私はそんなことしない」と断言できる人はどれほどいるだろうか。

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2021年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際にあった児童虐待ケースについて母の生育歴から詳細に辿っており事件が起こった経過がよく理解できた。
西澤哲先生の解釈も記されており、児童虐待に携わる人にとってはとても深い学びが得られるだろう。

一方で、母の妹たちについての記述が少なく、母との姉妹の関係性についてはどのように考察されているのだろうかと気になった。

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2020年04月19日

Posted by ブクログ

やりきれない。
彼女の弱さは自分にもある弱さだと身につまされる。
親をあてにはできないと子どもの頃に刷り込まれると、周囲に助けを求める方法がわからなくなる。

亡くなった幼い子ども達が可哀想なのは勿論だが、彼女自身もネグレクトの被害者なのに、彼女の父親にその意識は薄く感じた。

虐待の連鎖の発端は、親自身自覚せずに始まる。
だが、一度堕ちてしまうとそこから抜け出すこと(抜けさせること)がいかに困難であることか。

彼女が自分自身の価値を見いだせるようになることを望む。

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2019年08月06日

Posted by ブクログ

鬼親のせいと個人の問題に閉じ込められがちな虐待の問題について、豊富な取材に依拠しつつ、トラウマ体験や事故率の問題と結びつけながら描いている。

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2019年03月28日

Posted by ブクログ

著者は芽衣さんにかなり感情移入しているようで周りの他者に責任を問えないかという視点がいたるところに見受けられるように思います。
ただ本人が重要なタイミングで更生のチャンスが与えられていたにもかかわらず自ら捨て去っている事には病気や生い立ちを理由に責任追及をしていないように感じます。
著者のスタンスとしてあえて追及しないようにしているのかもしれませんが。

再発防止は可能なのかという視点で読み進めましたが個人情報保護が過剰に取り沙汰される現代においては自ずから限界があるのかなと感じました。
仮に自分がこの業務に携わった時果たして何ができるのか。
自分の中で全く答えは出ませんでしたがこの事件は忘れないようにしないといけないと強く感じました。

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2018年02月15日

購入済み

母親も元はひとりの子

母性は枯れない泉でも、女なら誰しもが生まれ持つ能力でもない。
子どもを、ひとりの人間を正しくベストに育てることは並大抵の努力では成し得ないし、ましてやたった一人でそれをやり遂げることは不可能に近い。
この若い母親のしてしまったことは確かに間違っているけれど、彼女の周りには見て見ぬフリをした沢山の無責任者がいたことを忘れたくない。
亡くなった命は尊い。でもそれと同様に母親の失われた20年、失われる30年も尊い。

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2017年05月06日

匿名

購入済み

読むべき。

ニュースでは知ることの出来ないリアルが事細かく書いていて引き込まれていきました。
ずっとこの事件が気になっていいたので本当に読んで良かったです。
ただ私は母親です。
だからこそ言えるのが生い立ちがこの殺人を招いたと言うわけではないと思う。
育児は孤独に陥る。
そして疲れから現実逃避もしたくなる。
誘惑もたくさんある。
だけど子供を放置したり殺したりは絶対にしない。
どんな理由や原因を並べたところでそれは後付けにすぎない。
私も人に驚かれるような凄まじ過去を経験しているが自分と向き合って必死で愛情を注いで育児をしている。
この母親は自分が可愛くて仕方ないんだろう。
自分本意でしか考えることのできない人間。
同情する気持ちは湧いてこなかった。
男にだらしない女が現実逃避し金、酒、男、さまざまな誘惑に勝てなかった行く末にしか感じられない。
極刑でもおかしくない。
2人の幼い命の重さをもっともっと深く考えていくことが重要だと思う。
周りを気にしてる余裕がないこの世の中のせいでもある。
自分に余裕のない人達が言い訳をして生きる世の中。弱者にきたはしよせなのだと思う。

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2016年11月18日

購入済み

なるほど

読む前→こんなことする母親は、頭がおかしいし、人間じゃない。あり得ない!
読み終わった後→自分もこんな環境だったらしてしまうのかも。色んなものが重なりすぎてこっちまで辛くなる。
いろいろ考えさせられる。読んでよかった。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

世間を大きく騒がせた大阪で起きた幼児の置き去り事件。
起きてしまった結果は悲惨極まりなく、当事者である母親がその罪を償わなければならないことは自明の理だ。だが、母親を責めるだけではこの事件の本質は決して解決しない。

母子家庭、貧困、虐待、児童相談所、行政の関わり、人と人との関わり、親子関係、生育環境、あらゆる事が少しずつ噛み合わない方へ噛み合わない方へと転がっていってしまった。もしかしたらどこかで救えていたのではないかと、今から見ればそう思えるが、その時はそこになかなか辿りつけなかった事が、この事件をここまで悲惨なものにしてしまった。

懲役30年が確定したというが、果たしてそれは妥当な量刑なのか。
彼女だけの責任なのだろうか。
判決には、虐待の負の病理の検証が不足しているように思えてならない。

行政であれ、家族や友人であれ、適切な援助で救える命がある。でも、家族や親子というごくごく個人的な関係下での事案なだけに、援助が難しくなる側面が確かにある。
困難を抱えた人をどうやったら救い出せるか、助けを求める余裕すらない、細い細い隙間へ落ち込んでしまった親子をどうしたら見つけ出せるか。
今この瞬間にも、ギリギリのところで持ち堪えている親子がいるかもしれない。
どうやったら彼らを救えるのか。
できうる限りの手立てを尽くし、なんとか助け出してほしい。
もう二度、こんな辛い事件は起きてほしくない。

「助けを必要とする人たちが孤立し、自分に向き合えず、助けを求められなくなることがネグレクトの本質だ」

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2021年08月09日

Posted by ブクログ

子どもが大きくなるにつれ、子どもとは本当に手のかかるものであるということを実感している。

乳幼児期の大変さは言わずもがなであるが、その後の気の使い様、また別の手のかかり具合を考えると、単身親が1人でで育てることの困難さは簡単に想像できる。

子育ては大変で難しい。これは誰にでも当てはまることだと思う。だからこそ、育てている人を孤立させず、沢山の大人が守っていくことの大事さを痛感した。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

この事件を知った当時は、衝撃だった。
このようなことが何故起きたのか?
何故、誰も気づけなかったのか?

あまりにも酷い事件に真正面から見ることはできなかった。
時が経ち、しばらく前にTVで放送されているのを見てこの事件を思い返した。

2010年夏、3歳女児と1歳9ヶ月の男児の死体が大阪市内のマンションで発見された。
母親は、懲役30年の判決が確定している。

このルポは、事件の詳細とこの母の生い立ちから高校時代や結婚、離婚を経て子ども2人と暮らすまでを書いている。
彼女が子どもと暮らすことが可能だと元夫や義母や実父は思っていたのだろうか。
行政はどこまで知り、対応ができたのか?
こうなった後にいろんなことを考えてしまう。
もしかすると今も彼女と同じようにひとりで子どもを抱え苦しんでいる人がいるのでは…と思うと苦しい。



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2025年01月30日

Posted by ブクログ

本当に痛ましい事件。この母親は、非常に自分勝手で最低な母親だとテレビやマスコミを通して伝えられている。でも、このルポを読み、丁寧にこの事件が何故起きてしまったのかを紐解いていくと、この母親の生い立ちや取り巻く環境の冷酷さに愕然とする。この母親は確かに問題があるしやったことは決して許されることではないのだが、家族や社会から見捨てられて、全てを背負わされた悲劇の人でもあると思う。子どもは一番の被害者。元夫や親たちにも責任はある。SOSは出ていた。見てみぬふりをして切り捨てた罪はないのか?

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

山田詠美さんの「つみびと」を読み、こちらも拝読。
育児放棄した母親が幼子を餓死させた、と聞くと残忍な事件ですが、その母親の生い立ちや背景を遡っていくことで、問題の本質が見えてくるのだと思います。身近な大人たちがなぜか手を差し伸べない。
元夫からの養育費がもらえない。母親だけが悪者なのだろうか。色々考えさせられます。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

みんながみんな本書のような親ではないと思うが、虐待する親の人物像を垣間見ることができた。少なくとも本書を読めば、幼い子どもの死はこの親だけの責任とは言えないだろう。かと言って、この母親の夫や両親や友人、行政の職員、近所の人など、特定の誰かに責任を擦りつけられるほど単純な話でもない。
母親に「罪を償え」というのは簡単だが、そうした態度は母親に酷い仕打ちをして、さらなる孤立を招いてはいないだろうか。「私はこんな母親にはならない」という声もあろうが、それは色んな意味で恵まれた人だと思う。虐待はなくしていかねばならないが、それは特定の誰かを罰することで実現するものではなく、虐待が起こる状況にもっと目を向けるべきではないかと思った。

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2024年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む前からニュース記事を読んで事件の概要は知っていたので、犯人はとても残酷な方だと他人事のように思っていた。でも本を読んでいくとどこか自分にも重なる点があって他人事には思えなくなっていった。
また物事の捉え方、思考の仕方などが未熟な点や幼少期の不安定な家族関係が今回の事件に関係していて、それは本人だけの問題ではないと思った。
母親から助けて欲しいと周囲に言う努力も大事だけど、それと同じくらい周囲の人の助けが必要か声をかける努力は大事だと感じた。
この事件には母子家庭の貧困、子育て支援、核家族化、近所付き合いが疎遠になるとか色々な時代背景が関連してて簡単には理解できないなと思った。
犯人は残酷な結果を残してるけど、それは本人だけが起こした事ではなかったのかなと考え直す機会になる本だった。

さくさくと読めたので星4つ

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

2022/3/17

有名な虐待死事件。
著者がだいぶ母親寄りになっているな、と読み進めていくと、その理由もわかる。
誰もこの母親の味方となる人はいない。

ただ、仮名で書かれているのに本名が出てしまっている部分があって校正が。。

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2022年03月17日

Posted by ブクログ

最初の章は、子ども二人が餓死するまでのお母さんの動きを追いかけたもので。もう、なんとも言えない怒りが込み上げるものでした。

が。

次章からのそのお母さんの生い立ちを追って行くにつれ、、、、
このお母さんの悲鳴が本から聞こえてくるんじゃないか、、、と、思うほどに、追い詰められていく声が聞こえてきました。

誰かホント、気がついてあげて!
助けてあげて!
手を差し伸べてあげて!!!

っていう。

子ども二人を餓死させたことはホントに痛ましく、、、自分の子どもを思うと信じられないと思うけれど、、、このお母さんの気持ちを考えると、、、このお母さんもとても救われなかったと、、、、もしかしたら、死んでたのはこのお母さん自身だったのかもしれない。とも思えた。

世にまだまだいるお母さん達の悲鳴。

少しでも多くのお母さんを救って、子どもたちが救われますように。。。

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2021年04月03日

Posted by ブクログ

逃げることが癖になっている。
思考は停止して、現実に誠実に向き合えない。
嘘をつき、見栄を張る。
それは、自分にもうそをつくことだ。

これが病気なのか?
ただの愚かさではないのか?

もちろん、育った環境は悪い。
父親も、愛情をかけたつもりになっているだけ。
母親も、ろくでもない。
それでも、結婚して幸せだった状態を壊したのは、本人だ。
みんな、ささやかな幸せを、必死で守って生活しているのだ。
大切なものを守るために、己を律して、生活を正して、気をつけて生きているのだ。

嘘つきは泥棒の始まり。
この言葉は、本当だと思う。
自分には甘いけれど、周りを大切にすることはできない。
差し伸べられた手を、恩を、あだで返す。
はっきり言って、早苗さんのような人とは関わりたくない。
だから、離婚した時も、誰もが彼女に背中を向けたのだろう。
誰もが、彼女とは関わりたくなかったのだろう。
私は当然だと思う。
嘘をつき、周りを傷つけ、借金をし、不倫をし、自分はすぐに逃げ出して、コミュニケーションもとれない。
そんな人の世話なんて、したくない。

可愛そうな環境で育った。
人間として不安定で、未熟で、安心の欠けたまま大人になってしまった。
良き母親のモデルを知らないまま、子供を産んでしまった。
だから、犯罪を犯すのは、仕方がない。
のか??

私はこういった弱者に厳しいのかもしれない。
それでも、身近に早苗さんのような人がいたら、私は避けると思う。
関わりたくない。
彼女には他に選択肢がなかったかのような書き方だけれど、違うと思う。
子供のいる部屋に足を向けるポイントは、きっといっぱいあったはずなのだ。
せめて、毎日、パンだけでもあたえてやっていれば。
そう思うのは、やはり、早苗さんに寄り添う気になれないから、だろうな。

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2021年03月18日

Posted by ブクログ

4.5
熱心な取材に基づき、母の背景から原因を探っていった本書。母の生い立ちや周りの者たちのことなど、よく書かれていると思う。
母とは一度の面接だけ、元夫からは取材を得られなかった分、母の友人や母方祖父母、当時の勤務先の店長、マンション住民などから細かく聞き出して姿を描き出せていたと思う。
とても興味深い一冊。

簡単に「母」を降りられるように、そして子育てを母に押し付けてない世の中になるように願うばかり。

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2019年07月01日

Posted by ブクログ

事件から結構時間が経ったけどなぜか頭に残り続けていて、どっかがまとめてたりしないのかな〜と探してたらちょうどちくまが新書を出していた!一気に読んでしまった。被告人の周囲の人たちの証言や事件までの経緯の陳述で、少しでも理解できたのではと思うけど、果たして

報道されてたときはとにかく子供ふたり置き去りにして遊びまくって挙句死なせたってことがめちゃ衝撃で、そんなん平気でやっちまうとか悪魔の所業だな…と単純に思ってたけど事態はそう簡単ではないというか、その人の歴史を遡ってはじてて見えてくる病理の存在を知れてよかった。後味と歯切れは悪いが

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2018年11月27日

Posted by ブクログ

大阪二児置き去り事件死のルポタージュ
最後まで母親でいようとした芽衣(仮名)さん、著者が言っているように、自身の幼少期と重なるから「自分以外の誰からも見捨てられた」我が子を見ていられなかったのか
許されることではない、でも、裁判では表面的な要素しか判断してもらえない。

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2018年09月13日

Posted by ブクログ

誤字が多いのが気になります。「(ママ)」の引用部分ではなくて地の文です。こんなに誤字だらけで取材依頼文とかよこされたとしたら私なら断ってしまうと思います。
たとえ教員本人が熱望したとしても、部活動による長時間労働はネグレクトや虐待の原因や遠因となりうるということを改めて考えさせられました。周囲は「シングルファーザーに花園目指して猛特訓なんてさせられない」と思っても、代わりがいないから口出せなかっただろうと思います。

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

事件当時、ちょうど同じ年の子供達が自分の家にもいたので、暫くすごくショックを受けたのを覚えています。今一度、気持ちの整理をと思い手にとって見ましたが、やはり母親の気持ちは理解しかねます。

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2019年05月18日

Posted by ブクログ

「虐待」と聞くと親を責めたくなるし、私も本作を読むまではそうでした。

しかし、本作を読むと親の周りの環境が、こういった残酷な事件に繋がることもあると考えさせられました。

もちろん「虐待」(今回の場合はネグレクト)はいけないものだと私は考えます。
ただ、親ばかりが悪いのでは無い。では他の悪はなんなのか?
こういったことを考えさせられるものになっています。

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2019年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あまりにもむごい。むごすぎる。
閉め切った部屋で、気温がおそらく40度を超える日もあったろう、もちろん食事も与えず三歳と一歳の乳幼児は、汗もなめ、尿も飲み、便も食べていた形跡があったらしい。(本書には書かれていないが)そして寄り添うようにして変わり果てた姿で発見される…。
本書はなぜ、このような状況に陥っていったのかを、
この被告の立場が紐解いていくのである、けれども、
いくら、生育歴がとか、解離性人格障害だとか、一因はあるかもしれないけど、でも、犬や猫にも自分が産んだ小さくて弱いものを守る保護本能があるのに、
それ以下としか思えない。
結婚を機に立ち直るチャンスはあったのに、そのつかの間の幸せさえも、自らの浮気で壊してしまうのである。
果たしてこの被告は塀の中で、自分の犯した罪の重さを
、いまだ認識できていないのではないかと疑問になった。
(殺意はなかったと言ってるらしい。)

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2019年06月30日

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