川添節子のレビュー一覧
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給料を決める四つの要因(権力、模倣、慣性、公平性)
私たちの自意識や価値観は、多くの場合、賃金や給与に包まれている。だから、給与明細を人に見せるのに抵抗があるのだ。この世では1場合によってはあの世に行っても1給与の額が、深いところでその人の価値を表しているという考え方は、アメリカでは昔からあって、脈々と受け継がれてきた。だが、今こそそれに疑問を投げかけるべきだ。給与は、個人の成果や職業の特性によるものではなく、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンが言うように、「単純に需要と供給によるもの」であると同時に「社会的な力と政治的権力によるもの」であると定義しなおせば、自分の能力が足りないと嘆く必要も、自尊心を傷つけることも、幸運にもたくさんもらっている人が優越感を持ってうぬぼれることもなくなるだろう。
さらに重要なのは、給与を理解して、それが権力の力学に根ざすこと、労働者間の公平性の問題の原因となること、給与水準が私たちとその仕事につきまとっていること、そして給与を決定するときに企業が互いに模徴していることを認識することだ。そうすれば、現在の給与分布についていくつか根本的な疑問が生じるだろう。まず、上位層の桁外れの報酬である。大物経営者や一流の資産運用者は、いまや普通の人が10
0回生まれ変わっても使いきれないような金額を稼いでいる。怒りを高額所得者に向ける必要はない。向けるべきは、ごく一部の人に報い、大多数に報いない歪んだシステムだ。それから、必要不可々な仕事に一生怒命に取り組みながら、わずかな賃金しかもらっていない人が大勢いることへの疑問も生じるはずだ。最後に、世界でもっとも豊かな国で働いているにもかかわらず、この数十年待遇が改善されていないアメリカ人労働者は、問いかけずにいられなくなるだろう。なぜだ。なぜ給与が上がらないのか。早急に取り組もう。
私たちはそれを実現できる -
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あのピーター・ティールが「哲学者ルネ・ジラールについて最もわかりやすく解説した本」と大絶賛した本。なぜ彼が哲学者に関心を持っているかというと、ジラールは人間の欲望がどう生まれ、どう行動を変えるかについての研究を行っていたから。欲望の発生や行方をコントロールすることができれば、ビジネスでも非常に有利になるわけだ。最も象徴的なことは、「人は誰かの欲望を見て、自分の欲望が掻き立てられる」ということ。つまり、自分自身が最初から欲しいと思っているのではなく、誰かの欲求行動に影響を受けて初めて「欲しい」と思う、というもの。これは思い当たる節がいくつもある。誰かの行動の意影響を受けるなら、自分の行動でされかに影響を与えることもできる。これは確かに美人っすでも活用できるし、生き方そのものにも関わる大切な視点。
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哲学者ルネ・ジラールによる「模倣の欲望」理論に基づくビジネス書です。人間の欲求に関する理論としてマズローの欲求階層が有名ですが、ジラールによれば、人は基本的な欲求が満たされれば明確な階層のない欲望の世界に進むとしている。欲望には、「薄い欲望」と「濃い欲望」があり、「薄い欲望」は他人が欲しがるものを欲しがることで際限がなく競争の世界になるのに対し、「濃い欲望」は自己の内面から湧き上がるもので、持続的な満足感がもたらされるとのことです。「濃い欲望」を見つけることが人生を豊かにするので、自分も見つけなくては。ビジネスにおいては、独自の価値からなるニッチ市場を開拓できれば、模倣されにくく競争が少ないため、大きく化ける可能性がある。いろいろと参考になる。
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今なお世界経済をけん引するアメリカ。
自由市場で起業家精神にあふれ、日本のように停滞しておらず、
GAFAMを筆頭にどんどん新しい発明があり、発展する経済大国。
総サラリーマン化した日本とは違う、夢の国。
と思っていたらこのタイトル。
読み進めるにつれ、今やアメリカのネット料金はヨーロッパよりはるかに高い。
医療費に至っては最悪、、、
そしてその原因は競争がないから。
さらにそうなる原因はロビイスト。。。
日本も企業献金だの天下りだの補助金だのが問題と思っていたら、
アメリカはそのスケールも大きい。これに加えて選挙のための献金。
使う金額も比べ物にならない。
ダメじゃん、アメリカ。
途中まで読んで思い出したのは、
松嶋×町山 未公開映画を観るTV
東京MXでやってた。町山智浩さんが、未公開映画からアメリカの闇を暴いていた。
ウォルマートの回が印象的だった。
小規模店舗や消費者のことなど考えず、自らの利益の極大化だけのために動く大企業
って図式だった。(ほかのねたもたくさんあったけど)
GAFAMがろくに税金も払わずデカくなっているのも、
経営者がプライベートジェットに乗っているのも、
アメリカなのだ。
最近は日本もそのまねをして、
日産を滅ぼす直前まで放っておいた前社長が報酬を6億円もらってたり、
一部の奴だけが美味しい思いをして、庶民がどんどん干上がっていく。
私が書くと情緒的、というか、感情的だが、
この本は、これらをデータを基にエビデンスをもって実証している。
やはり日本はアメリカの真似をしてはだめだ。
まして今のトランプに追従していってもろくなことはない。
自分で考えにゃ。
はじめに
序論
I アメリカにおける市場支配力の高まり
1 経済学者はなぜ競争が好きなのか……なぜあなたもそうあるべきなのか
2 悪い集中、良い集中
3 市場支配力の増加
4 投資と生産性の低下
5 自由参入の失敗
II ヨーロッパの状況
6 一方、ヨーロッパではどうか
7 アメリカの物価は高すぎるのか
8 ヨーロッパ市場はどのように自由化したのか
III 政治経済学
9 ロビー活動
10 カネと政治
IV いくつかの産業を掘り下げる
11 バンカーの報酬はなぜ高いのか
12 アメリカの医療──自ら招いた禍
13 星を見上げて──トップ企業は本当に違うのか
14 規制すべきか否か、それが問題だ
15 買い手独占力と格差
結論
補足資料/用語集/謝辞
参考文献/索引 -
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500頁超の大作ながら、何とかGW中に読み終えた。名著「マネー・ボール」に登場する野球データ分析アルゴリズムの開発者が、シグナルとノイズを見分けながら如何にしてより精度の高い予測を行うか、についての方法論と考え方を解くもの。
不確実性が高い世の中を生き抜く上でとても知的で楽しい内容だった。原著2012年、日本語版2013年発行、と年数は経っているものの、不朽の名作と言えるのではないだろうか。
本書全編を通じて、「ベイズの定理」に対する信頼が非常に高く、あらゆる可能性を検討した上で、新たな事象が起きるたびに見積情報を絶えず更新していくことで、真実に近付くことができる、という点が主張の骨子。
ベイズの定理が機能するには、初期見積(事前確率)が0%や100%であってはならず、その場合には如何に重要な新事実に行き当たっても見積の修正がなされ得ない、という点が示唆に富む。
以下は13章の事例(9.11の航空機テロ)を8章、12章の計算例に照らしてみたもの。
事前確率が低くとも可能性として検討さえしていれば、新事実に出会うに伴って確率見積が適切に修正され得ることが分かる。要は、(事後評論ではなく、その時に実際に)9.11 は止めることが出来たかもしれない、ということだ。あるいは、その後、見事に次の大規模テロを止めることが出来ている、ということかもしれない。
〈ベイズの定理の計算例〉
事前確率
航空機による自爆テロの初期的見積 x 10%
新たな事象が起こる ー 飛行訓練時間50時間の訓練生がB747のフライトシミュレータ訓練を希望する(2001.8.16. にこの訓練生は逮捕された)
航空機による自爆テロが計画されていた場合に、飛行訓練時間が極端に短い訓練生が大型旅客機のシミュレータ訓練を希望する確率 y 70%
航空機による自爆テロが計画されていない場合に、飛行訓練時間が極端に短い訓練生が大型旅客機のシミュレータ訓練を希望する確率 z 5%
事後確率
飛行訓練時間が極端に短い訓練生が大型旅客機のシミュレータ訓練を希望した場合に、航空機による自爆テロが計画されている確率の修正見積
xy / (xy + z(1-x)) = 61%
事前確率10% は、新事実の認知に伴い
事後確率61% に更新された。
航空機テロは十分に起こり得る。
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ネタバレおもしろい〜
読み終わって、数字は嘘をつかないけど、嘘をつく人は数字を使うって言葉を思い出した。
意味のないパターンでも、何かの効果の根拠であると言われればすぐに意味があるものと受け止めてしまう。人間の弱点は、世界を理解したいという欲求から生じている。
認知ミス1.パターンとそれを説明する理屈の魅力にかんたんに屈してしまうこと。
認知ミス2.自分の考えを裏付けるデータにとびつき、矛盾する証拠を無視すること。
データ•グラビング
有意性を示すために、公表する結果を選別したり、データを強引に探し出したりするやり方
自己選択バイアス、たまごとにわとり。
生存者バイアス、データから理論を引き出す危険性。ビジョナリーカンパニーの無意味さ。目に見えないデータの方が重要な意味を持つこともある。
元になる数字が小さいとき、比較のために規模を調整するがその調整のせいでおかしなことになることもある。時間の経過以外に共通点のないものを比べるときは、りんごとプルーンを比べるようなものだ。
チャートジャンク、テキストジャンク
ジョン•メイナード•ケインズ
長期的には、われわれはみんな死んでいる。嵐吹き荒れる季節に経済学者たちが言えるのが、いずれあらしは過ぎ去って時間がたてば海はふたたび静かになります、というだけなら、それはあまりにも仕事として簡単すぎるし役立たずすぎるだろう。
アインシュタインが即答した最も重要な概念は複利。
第19章の総まとめはすごく助かった。
パターンは理にかなった説明がなければただのパターン。理にかなった理論は新しいデータで検証しなければならない。
交絡因子、自己選択バイアス、
チャートジャンク、
考えずに計算、比較する、サイズ、時間の経過による意味、無関係なデータ比較。
見えないデータに意味がある
平均への回帰
大数の法則
テキサスの狙撃兵、これはおもしろかった!適当に打って集中的に当たったところに的を書く!不自然なグルーピング、
除外されたデータ
信じたいものを信じる人がいる
理論なきデータ、宝くじをあてるコツ、スーパーボウルの結果による株価の行方、
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邦訳されたすぐ後に買っていたのだが1/3くらい読んだところで放りだしていた。分厚いながらも別に読みにくい本ではないのに。このたび、家ですごす連休のお供として引っぱり出したのだが、これがまたコロナの時代にピッタリの内容であった。いま世界中が、きわめて不確実な状況に置かれながら少しずつ明らかになるウイルス/疾病の情報をもとに今後の見通しを更新していく、まさにベイズ的な過程のただなかにいる。私たちが「知っていること」と「知っていると思っていること」の違いを識別しなければならないと教えてくれる本だ。
ネイト・シルバーの文章には論理的な明晰さがあって読みやすい。少し斜に構えたユーモアとあわせて、なんとなく余白がない感じがアメリカ的な薄っぺらさとも言えるのかもしれないが、読んでいるこちらまで少しアタマが良くなったような気がしてくる。
本領である選挙やスポーツの予測にはじまり、金融、経済、気候、地震、テロリズムなどなど意欲的に幅広い分野の予測をテーマとしている。個人的には、シルバーの個人的な体験であるオンライン・ポーカーのくだりを特に興味深く読んだ。彼の実践的なスタイルは鉄火場で培われたのではないかと思わせる。
まさにタイムリーにインフルエンザなどの感染症の予測、疫学モデルにも1章を割いている。SIRモデルはシンプルすぎる(多様な行動をとる異なる人々のグループを捨象してしまっている)として批判しているが、ワタクシの最近の付け焼き刃知見では、そこらへんの多様性を導入したモデルもすでにあるようだ。これについては、この数年間での疫学の進歩なのか、単に著者のリサーチ不足なのかは不明。 -
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自分が興味ある分野だけに、500ページのボリュームでしたが、かなり興味深く読みました。
リーマンショックや巨大地震、インフルエンザなどの予測に関する失敗のエピソードは、参考になりました。
著者は、最近のビックデータ分析で用いられているベイズ統計の重要性と推奨をしてます。
ある事象を分析する上で、その事象が起こる前の事前確率を見積もり、現実の事実を組み合わせて、確率的に予測する理論です。
ベイズ的アプローチは、問題解決のための観察・仮説形成・検証というアプローチと、概ね同じプロセス・思考法であるという切り口は、圧巻でした。
また、ベイズ統計が批判されている部分である、事前確率に主観性が入ることについても、大まかですが人間が思考して行動する以上は主観性は避けられず、またベイズ統計の、日々変化している世の中の事実に対応出来る柔軟性があれば、問題を最小限に抑えることができるという論には、なるほどと感じました。
いままで自分は、多変量解析など頻度論での統計解析を経験してきましたが、解析対象と実際の頻度理論が乖離しており、解析後に再解釈するという場面が多く、馴染みにくいというのが現実です。それ故、なかなか統計学が世の中に浸透しない一因かと思います。
一方、ベイズ統計の場合、自分の思考そのものをベイズ的に変えることができれば、解析対象そのものの思考がベイズ的思考で考えるので、合理的であると思います。
ぜひ自分の身の回りに適用していきたい考え方だなと、あらためて感じ入りました。
ちなみに、他の予測に関するエピソードとして、ポーカー勝負、地球温暖化、テロ防止のための国家インテリジェンスなど、多様です。
この様な予測に関する学習ができる本を探していた自分としては、大ラッキーでした。