あらすじ
複式簿記が先か?
資本主義が先か?
14世紀のヴェネツィアで広まった複式簿記は、「富を測定したい」という人間の欲望を実現し、資本主義の飛躍的な膨張をもたらした――。気鋭のジャーナリストが切り拓く、資本論の新境地。
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Posted by ブクログ
複式簿記の発明から国民経済計算に至る会計の歴史を、数学の発展ともからめて非常に詳しく、でもわかりやすく述べてくれており、実に勉強になりました。
今日本では、官庁の非効率性は会計制度に複式簿記を導入していないことも大きいという議論から、公会計にも財務諸表を取り入れようという動きが活発ですが、この本の最終章には、世の中の価値というものは必ずしも会計数値で十全に表現できるものではないこと、会計とともに会計以外の価値の計測方法をいろいろ工夫しなければならないことが書かれており、非常に示唆に富みます。
公務員として、実に有意義な本でした。
Posted by ブクログ
ややタイトル詐欺、バランシートそのものはあまり出てこないし歴史と言われるとちょっと。
会計から考える資本主義のこれからといった内容。
構成としては簿記(会計)が発生した発端ともいえる人物の活動に焦点を当てる前半と、会計では解決しない現代経済の問題提起の二つに大きく分かれていて、
前半部分は会計制度の根本部分は大昔から変わらずに今でも使用できている凄いモノだって話の補強でしかないのだけれど、後半部分は会計史が書かれたモノの中でより経済(学)について軸足が置かれてるのがこの本の特徴だと思う。
経済指標などと言ったものは会計の知識が強く影響して生まれ利用されるようになったと思われる としながらも、経済指標は経済を正確に表していないので問題があるって話なのだが、現代の会計は会計が生まれた時とは違った形になっていることには触れられず、現代も昔も変わらず会計不祥事は続いてるとだけしか記述が無かったりと、なぜ?に応えるでもなく、流れを解説してるでもないので、そのあたりは他の書籍を参考にする必要があるのがちょっともったいないなと感じた。
Posted by ブクログ
歴史が好きなので面白く読めた。
特に興味深いのが、最初期の帳簿には十字架が記されていたということ。これはクリスチャンである彼らからすると神に誓って不正はしないということである。つまり会計をするものにとって重要な要素は誠実であることだったのだ。
僕も会計を生業とするものの1人として大事にしたい。
Posted by ブクログ
前半の複式簿記の発祥と歴史に関するところは面白く読ませてもらったが、後半のGDPや会計不祥事、グリーン経済のくだりはいかにもちょっと調べて書きましたといった感じで牽強付会にも見えてしまい蛇足気味。しかし原著刊行が2011年で、アカウンタントがグリーン経済への転換において中心的な役割を果たすことができると言っているのは、2023年現在の状況と照らし合わせると時代の流れを正しく読んでいた。
いまやすっかり電子化された複式簿記だが、もともと紙の帳簿に手で記帳する技術として開発されたことに改めて思いを馳せた。また、アカウンティングとはすなわちアカウンタビリティとも。もともとは神様というか教会・世間向けの利益追求の言い訳(?)的な説明だったとは。
Posted by ブクログ
題名が違う。会計の歴史。が正しい。
インドやアラビアに起源を持つ会計(複式簿記)、数学がベネチアで再発見されてヨーロッパに広まり、それが株式市場や製造業の発展共に精緻化された。
一方エンロンやワールドコムにある不正会計のいたちごっこはつづく。
GDPはケインズなどが戦時の国家統制のために作ったものがその後も使われ続けている。
最後に自然環境はオンバランスされず、使用された時のみGDPに計上される。つまり減耗すればするほどGDPは上がるが、長期的な生産能力は下がっていると思われるため、自然環境、教育、家庭内労働の再生産コストを考慮した指標が求められる。
Posted by ブクログ
歴史を扱っている部分は面白い。終盤の会計スキャンダルや世界をよくするために会計にできることは何かを問う、みたいな部分は退屈だった。
ルカパチョーリとダビンチのつながり、複式簿記とウェッジウッドとダーウィンのつながり