安達正勝のレビュー一覧
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死刑執行人という宿命を背負い、人々から忌み嫌われ続けてきたサンソン一族。
国王の命令により職務として罪人の処刑を執り行ってきたが、フランス革命によって、その仕えてきた国王の首を切り落とさなければならないという皮肉的逆転。
そして斬首刑における、罪人の苦痛を和らげるためという、人道的な理由から導入されたギロチンという方法が、逆に刑の執行が容易なり死刑の数が増加してしまうというパラドックス。
そして教養、思想、そして差別など、国は違えど社会の暗部は同じであり、特に革命期は常識を超えた高揚感が市井に蔓延して、コントロール不能に陥ってしまう。
死刑執行人の話から、時代、政治、経済、文化、思想など様々な -
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面白かったが、ややドラマチックに過ぎる気がした。
気になった点は2つ;
1.職業選択の自由について
現代の、私が住む日本では、勤労は選択の自由がある。だから嫌な仕事をした状況で、「いや〜仕事だから仕方なかったんだ」という説明は他人に説得でき得る理由にはならない(仕事辞めれば良かったんでしょ、と言われる)。
サンソンは本当に辞めることはできなかったのか。
2.サンソンが死刑制度の廃止を訴える動機について
サンソンは死刑制度の廃止について何度も訴えている。本書では可憐な罪のない少女や死刑に値しないルイ16世の処刑に際し嘆願したような記述だったが、処刑人であれば信じがたい極悪人も多く目にしていると思 -
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世の中は2%の金持ち所有する財産と98%の残りの人が所有する財産が同じで、2%のうち半分が親からの想像らしい。
革命はどうやったらおこせるのか。知りたかったが、この本では火種には触れていないためわからなかった。
物語、と付いているだけあって、全ての登場人物が魅力的だった。
混迷を終結させたのが、戦争に強いナポレオンというのが(ナポレオンは政治にも強かったが)リアルで、民衆の総意として、平等も大事だが飢えないことがもっと大事なんだと伝わった気がした。
私が理解した内容は以下;
革命に理解のある王様ルイ16世の御代に、なんらかの背景で革命への要望が高まった(度重なる戦禍による財政難と産業革命?)
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18世紀末フランスの革命家は,日本で言えば維新の志士。ということで革命シンパの著者が彼らの人生を綴った列伝。
著者はジャコバン派,中でもロベスピエールを高く評価していて,それを軸に筆が走っているのでとても明快。バイアスに気をつけて読みたい。
第一第二身分から革命に身を投じ,革命初期に大きな役割を果たしたラファイエット,シェイエス,ミラボー。王政倒壊以降に実権を握り,恐怖政治の主役に躍り出たジャコバン派の闘志ダントン,マラー,ロベスピエール。クーデタで恐怖政治を終わらせたテルミドール派のバラス,フーシェ,タレーラン。そして軍事的才能でのし上がり革命に終止符を打ったナポレオン。
社会の大変革期で, -
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☆☆☆2017年12月☆☆☆
近代社会の出発点とも言えるフランス革命。その勃発からナポレオンの登場まで、多くの登場人物のエピソードなどを交えながらわかりやすく語る革命史。
ルイ16世は凡庸な王だと見られがちだが、アメリカ独立戦争への援助や、信教の自由の確保など優れた施策をいくつも実施した。このようにルイ16世を高く評価しているのがこの本の特徴の一つだと思う。自らの首を切断することになる「ギロチン」の発明も、ルイ16世の援助によるものだった(人道的な処刑方法として)。
<主な登場人物>
ルイ16世
マリー・アントワネット
テロワール・ド・メリクール(革命初期の女性活動家)
ロラン夫人(ジロ -
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フランス革命に際して活躍した革命家たちを、革命の進展のなかに位置づけながらその個々人の行動や思想を解説している。ラ=ファイエットやダントン、ロベスピエールといった、名前は有名だがその細かい行状や思想がなかなか問題とされていない人々が、いかに考えその思想を実践したかを軽妙に語ってくれている良書である。革命家として活躍しその遺産が現代世界でもいまなお残っているような人、機を見るに敏ながら思想的一貫性には欠けた人、様々な人間が混在しながら、フランス革命という世界史的事件が進行していったという基本的事実をおさえながらも、革命の進行とともに出来事の意味と個人の主観的意図がずれていき、それが時に恐怖政治の
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ナポレオンと女性というテーマでまとめている。
近代社会に男尊女卑の考えを定着させた張本人は,ナポレオンだという。ナポレオン法典では,夫は妻を保護する義務をもち,妻は夫に服従する義務がある,と定められ,女性の権利はほとんど認められていなかった。この家族観は,法典とともに全ヨーロッパへ弘められ,日本をはじめ,欧州に続いて近代化した諸国もこぞって採用する。男の筋肉がまだ機械に取ってかわる前につくられたこの制度は,現在にも大いに影響し,完全な男女同権は未だ達成されていない。
そんなナポレオンが,どんな女性とどうかかわってきて,彼女たちは彼の女性観にどのような影響を与えたのか。そのあたりを読み解い