安達正勝のレビュー一覧
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購入済み
フランス革命たるや
フランス革命・ギロチンとなればサンソンである。死刑執行人という独特な響き。これを家業とする者。その背景。
単なるサイドストーリーではない -
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かねてよりフランス革命は、世界にもっとも大きな影響を与えた史実という認識を持っていた。それゆえに関心もあったが、通史的な本を読んでも、他の史実と似たような濃度で書かれてしまう。だから、いつかフランス革命のみに言及した本を読みたいと思っていた。
随分と時間がかかったが、その間フランス革命の本は常に渉猟していた。そして、ついに本書を手にした。タイトルに「物語」の冠がついている。加えて新書版なので、量的にも読みやすい。物語の仕立てで書かれているので、革命に関わった人々の息遣いや怒号やため息まで聞こえてくるようである。だから、本書はまず読んでいて楽しかった。楽しみながら、フランス革命という世界的かつ -
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マンガ化されるのもうなずける。映画化されなかったのが不思議だ。日本女性は『ベルサイユのばら』でフランス革命に詳しくなっているから、少女マンガ化もありだろう。
立ったまま固定されていない受刑者の首を一刀で斬ったサンソンの腕前は、わが国の首斬り朝右衛門に比肩する。
わずかな心の動揺で斬首に失敗するというのは、不謹慎だがゴルフのパターを連想してしまう。
ギロチンの刃を斜めにしたのはルイ16世のアイデア、というのはこれまで散々聞かされていた。その発案の時期は1792年3月というから驚いた。てっきり革命の前だろう、と思い込んでいたもので……。
サンソン家に生まれた美少女が活躍する山田風太郎『明 -
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#一度読んだら絶対に忘れない世界史 を読んだ中で、一番興味を持った出来事、#フランス革命 。
「物語」というだけあって、人物に焦点を当て、非常にその時代を生々しく描いているのが素晴らしいと思う。教科書では革命の象徴的に記載されるバスチーユ陥落も、よくよく見たらただのノリしゃねえか!と思ってしまう。そういう意味では、今、SNSでいろいろ盛り上がるのと大差なく、人間も進歩しねえなと思ってしまう。
この革命の右往左往ぶりは凄まじく、これだけ国内が混乱している中で、旧体制との戦いとしてヨーロッパの周辺国をほぼ敵に回して戦争しているのだから国民はたまったもんではなかっただろう。
著者の大前提《フラ -
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しっかりした評伝。ツヴァイクの名著『マリーアントワネット』の誤りも正していて有益。ベルばらとか好きな人は楽しいのでは。
革命勃発のころ,マリーアントワネットは王太子であった長男を7歳で亡くし,悲歎に暮れていた。そして,それに国民が無関心であることにも深く傷ついた。
国民はそれどころではなかったから当然だが,彼らが全く違う世界に生きていたことをよく示すエピソードだと思う。パンがないなら云々よりも。
ヴェルサイユ行進,パン不足を訴える女達が国王夫妻に掛け合ってパリに連れ帰ったって何となく良さげな話だけど,もっと血なまぐさいのな。
掛け合うというより宮殿内になだれ込んでの実力行使による強要で,近衛兵 -
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1789年、パリ民衆が国王に愛想を尽かし、バスティーユ監獄を襲撃したことからはじまり、1804年皇帝ナポレオン誕生によって完結したとするフランス革命。その15年をコンパクトにまとめたフランス革命入門書。
革命側は、主権を持った国民は生まれたときから平等であると主張し、その主張を自国だけではなく、世界中に広めようとした点でフランス革命は画期的だ。加えて、ルイ16世、マリー・アントワネット、ロベスピエール、ナポレオンなどの魅力的なキャラクターが登場。
しかし、この革命が世界史で注目されるのは、登場する有名なキャラクターのほとんどがギロチンで殺られてしまうってことだろう。
明治維新もそうだが、 -
Posted by ブクログ
マリーアントワネットファンとして関連本は何冊か読んではいたけど、この本は大好きな花總まりさんが帝劇舞台1789でアントワネット役を演じるにあたり読んでいるとブログで知り、(1789観に行く身としても)絶対読みたい!!と思って購入してみたものだったが、想像以上の良書で、読んでよかった。
今までのアントワネットとフェルゼンの関係性や、特にルイ16世像の捉え方が違っていて興味深く面白かった。
マリーアントワネットという人は、あの時代のフランス王家にさえ嫁がなければどんなに幸せで愛された一生を送れたか、、、と思うと胸が痛む。母性、愛情に溢れ、一女性としては本当に魅力的な人物。ただ、賢さが少し足りなか -
Posted by ブクログ
フランス革命に関する人物伝を数多く発表している著者によるマリー・アントワネット伝。著者は歴史学者ではなく、フランス文学者。おそらく、本書にも独自の想像が含まれているのだろうが、読み物として割り切れば、歴史の世界に没頭させてくれる良書だ。
本書のマリー・アントワネット評は、あまりに王妃のプライドを持ちすぎ、フランスを統治するのはフランス王室以外にあり得ないという観念に縛られた悲劇のヒロイン。そんな頑固な姿勢が、夫ルイ16世をフランス脱出に駆り立ててしまった。その失敗が理由で、夫妻は革命政府によって監禁され、その後処刑される。
しかし、当時の社会では人が生まれながらの身分を持っていることは当然 -
Posted by ブクログ
歴史的にも著名な王妃であるマリー-アントワネットの伝記です。彼女を読めば、そのままフランス革命を知ることができるという位に、フランス王室そのものだったのだなと思いました。王政が倒される過程において、国王と王妃は確かにいくつか間違いを犯し、そのために滅んでしまったのですが、国王にも正しいところもありました。それを滅ぼしてしまった、血を流してしまったところに、フランス国民もまた間違いを犯してしまったのだと思います。その後、第五共和制になった現代も、フランスは栄光というものには届いていないように感じます。それはこの歴史の転換点での選択に原因があったのだとわかりました。
王妃として優雅に生きた前半と、