【感想・ネタバレ】死刑執行人サンソン――国王ルイ十六世の首を刎ねた男のレビュー

あらすじ

【荒木飛呂彦帯カラーイラスト付】敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していたシャルル-アンリ・サンソン。彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であった。そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。【目次】序章 呪われた一族/第一章 国王陛下ルイ十六世に拝謁/第二章 ギロチン誕生の物語/第三章 神々は渇く/第四章 前国王ルイ・カペーの処刑/終章 その日は来たらず/あとがき

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Posted by ブクログ

 マンガ化されるのもうなずける。映画化されなかったのが不思議だ。日本女性は『ベルサイユのばら』でフランス革命に詳しくなっているから、少女マンガ化もありだろう。
 立ったまま固定されていない受刑者の首を一刀で斬ったサンソンの腕前は、わが国の首斬り朝右衛門に比肩する。
 わずかな心の動揺で斬首に失敗するというのは、不謹慎だがゴルフのパターを連想してしまう。
 ギロチンの刃を斜めにしたのはルイ16世のアイデア、というのはこれまで散々聞かされていた。その発案の時期は1792年3月というから驚いた。てっきり革命の前だろう、と思い込んでいたもので……。
 サンソン家に生まれた美少女が活躍する山田風太郎『明治断頭台』を再読したくなった。

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2020年09月03日

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フランス革命期に死刑執行人としての仕事を全うし、ルイ16世の首を刎ねた男の物語。

フランスを支配するブルボン王家に忠誠を誓いながらも、その職務を全うすべく自らの手で国王の首を刎ねる心の葛藤・何の罪もない民間人を虐殺して英雄扱いされる軍人に対して、常に罪悪感に苛まれながらも職務を忠実に遂行するだけなのに、国民から蔑まれる死刑執行人の対比・法の正義に則って裁判官は死刑を執行し、また議員は死刑に賛同しているはずなのに執行人は人として扱われない、正義とは一体なんなのかという疑問。これらの要素が死刑執行人サンソンの生涯に大きく関わっている。


激動の時代に翻弄された男の生涯はドラマチックで、そこはかとなく精神の気高さがにじみ出ている。
とてもおすすめの一冊である。

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2019年01月16日

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ジョジョ7部のジャイロが好きなので手に取った
この時代の死刑執行ってこんなに繊細だったんだなとびっくり

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2025年08月23日

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過去に読んだ本
フランス革命時、処刑役を代々行ってきたサンソン家のシャルル・サンソン。
首切りの役目を誇りと使命感を持って執行してきたシャルルだが、革命が勃発すると連日多くの人々を処刑しなければならなくなる。その中には無実だと思われる人、知り合い、若い女性も大勢いた。そしてついに敬愛する国王まで自らの手で処刑しなければならない日がやってくる。
シャルルの心の葛藤は今の私たちには想像も出来ない。
フランス革命の影にサンソンのような人物もいたことはとても興味深く、マリー・アントワネットの物語とともに歴史に刻むべき事実だと思った。

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2024年12月27日

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ギロチンの効率的で人を苦しませない仕組みが、それまでの処刑方法よりも多く容易に人を殺したこと、国王を葬った決断が革命のタガを外してしまったこと、非常に興味深かった。フランス革命は血生臭くて混乱していたようなイメージを持っていて、初期はもっと希望に溢れた旧弊打破の光であったこと、うまく続けば理想だけど、そうはいかないのが現実なのかな。これからの世の中でもその危惧は持っていかなきゃいけないと思いました。

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2024年12月23日

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この作品は処刑人一族という運命を背負ったサンソン家の人間ドラマが描かれています。

処刑人というと、冷酷で血も涙もない野蛮なイメージを持ってしまうかもしれませんが、この本を読めばそのイメージはがらっと変わることになります。

当時、差別され周囲の人々から蔑みの目で見られるこの職業において、それでもなお一人の人間としていかに高潔に生きていくのかを問い続けたサンソン。

フランス革命の激流に巻き込まれながらも懸命に生き、究極の問題を問い続けたこの人物には驚くしかありません。

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2024年08月21日

匿名

購入済み

面白い

読みやすくてあっという間に読んでしまった。
死刑執行人でありながら……まるでドラマのような人がいたんだな、というのが興味を持った切欠です。
彼の言動から、正しく優しい心を持った人というのがすごく伝わってきました。

#泣ける #ドキドキハラハラ #カッコいい

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2023年01月21日

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とても面白かったです。
処刑人サンソンの話は、以前テレビでフランス革命が取り上げられたときに知って、敬虔なクリスチャンが処刑人をしているのはなぜだろう?と思い、本書を手に取りました。

当時の処刑人の地位の低さ、にもかかわらず初代サンソンはなぜ処刑人になったのか?
サンソンにとってルイ16世はどんな人物だったのか?などが詳細に描かれていて、当時の空気感やサンソンの考えを知ることができてとても面白かったです。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

6代にわたり国王のもとで死刑執行人を勤めたサンソン家。その4代目シャルル・アンリ・サンソンがこの本の主人公。国王ルイ16世を崇拝していたにも関わらず、その首を断頭台の上で切り落とす役目を果たさなくてはいけなかった男。

 フランスの歴史をよく知らないので、びっくりする話が多かった。
 
 ルイ16世は拷問や残酷な死刑(八つ裂きとか)に反対しており、死刑そのものも極力なくしたい考えをもっていたこと。
 死刑執行人の腕や、罪人が暴れたりすることによって打ち首が一刀のもとにできなかった場合、罪人はのたうちまわる。(斬首は基本的に上流階級、下層階級は吊し首) そんな惨状をなくしたいとの人道的な理由からギロチンが発明されるわけだが、試作品では半月形の形だった刃の角度を、数学的な観点から、それではうまく切り落とせないから斜めにするように、と改良を指示したのはルイ16世だったらしい。

 ルイ16世は最初は革命に賛成で、民衆の多くは国王中心とした自由平等を実現する体制を考えていたが、国王が国外に逃亡しようとしたために王家に対する国民感情が一気に悪化した。(国王の感覚としては国外の親戚の王族に保護を求めるのは当たり前という感じだが、民衆からしたら国を外国に売り渡す行為に映った)

 死刑執行人の家系は、その職業がバレると忌み嫌われるため、家長はなすすべもないが、家族に関してはなるべく身分を隠そうとしていたらしい。子どもも地元の学校には入れないので、遠く離れた学校に身分を偽って通わせた。一応、国王の任命なので給料はだいぶ良かった。だから普段は貴族のような身だしなみで過ごし、サンソン自身はとてもイケメンで頭が良かったのでモテた。

 ある夜に食事をともにした貴族の女性から、身分を隠して同席したことを「穢らわしい!」と訴えられたのだが、執行人という身分のため弁護を引き受けてくれる弁護士を見つけられなかった。仕方なく自分で自分を弁護するのだが、その論旨のまあ見事なこと!

 国王の権威のもとに、あなたがた判事が下した判決によって、私が刑を執行しているだけ。私は国の秩序を守っているだけだ。それを穢らわしいと訴えるとは、法というものをご存知なのか!?
 という感じ(本文はもちろんもっと長い)で訴えを棄却させた。

 このくだり、う~ん、と唸るくらい、面白い。

 サンソン、教養も、信仰心も、人格も申し分ないくらいできた人なんだけど、それ故に、執行人という仕事に苦悩する。

 それでも革命前は、死刑執行自体がそんなに多くなく、多いときでも日に数人、何かしらの犯罪を犯したものを手にかけただけなので、精神的な均衡は保てていたが、革命後の恐怖政治で、明らかに無実の人が処刑台に送られてきた。皮肉にも人道的見地から発明されたギロチンが、一日で4,50人もの死刑執行を可能にしてしまった。
 
 サンソンは英邁な国王ルイ16世を慕っていた。ギロチン台まで送る際、なんとか国王を救い出す手だてがないかと苦悩する姿は痛ましい。(実際に救出しようとする勢力が一部にあったらしい)
 
 ルイ16世は、贅沢三昧で国民の苦痛には目も向けない専制君主というイメージが強いため、サンソンの心情が理解しにくいかもしれないが、実際は下々の者のことも気にかけていて、改革をしようとはしていたようだ。

なんか、フランス革命の見方が変わった。

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2021年10月26日

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処刑人だって血が通っている人間だ。フランス革命に翻弄される処刑人4代目サンソンの数奇なる物語。その時代を生きた人々の日記などに基づいており、史実に忠実だが、小説のようにとても読みやすい。フランス革命の概論も学べた。

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2021年10月04日

購入済み

フランス革命たるや

フランス革命・ギロチンとなればサンソンである。死刑執行人という独特な響き。これを家業とする者。その背景。
単なるサイドストーリーではない

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2021年05月23日

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稲垣吾郎さんが舞台でサンソンを演じるので、観劇前の予習として読みました。代々死刑執行人の家系で、国の命令で死刑執行をしているのに本人はもちろん一族差別対象。自分に関係ないところに存在しているのは良くても、自分に関わるのはごめん、人間の身勝手さの犠牲ですね。サンソンの生涯を読み、彼の心情に触れると死刑制度について改めて考えるきっかけになりました。ルイ16世は私の中ではベルばらの王様、好きなキャラでした。時代さえ違えばもっと評価が高かったろうに、残念です。

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2021年03月25日

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死刑執行人を務めたサンソン家4代目のシャルル・アンリ・サンソンが生きた激動の時代。サンソンの苦悩をフランス革命の裏面史と共に書かれていて圧倒された。
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”世間の悪意を戦ってきたシャルル・アンリだが自分たちに対する人々の嫌悪感を人間の自然の感情として認めようという気になっていた。(略)人間の自然の感情ほど強いものはない。”
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サンソンはハンサムで伊達男という記述や、女囚人に対する心遣いから自分の頭の中ですごく美男子に置き換えて読んだ。歴史物?こういう人物に関するものを読むとそのひとにやるせない愛おしさや哀愁を覚えずにはいられない。

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2018年11月08日

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「はじめに恋があった」

こんなロマンチックな書き出しで始まる物語が、すべて史実の死刑執行人の家系の話だという。
この数奇な人生はどの小説よりも魅力的に感じた。

そして私はサンソンやフリードリヒⅡ世みたいに、自分の本質と職務の間で苦悩しながらも国のために職務をやり遂げる人物の話が好きなんだなぁ。と自覚

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2014年12月21日

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中世のフランスでは、世襲の死刑執行人一族がいた。パリの死刑執行人一族の4代目シャルル・サンソンは、フランス革命の最中、尊敬するルイ16世・マリーアントワネットを自らの手で死刑執行することとなる。それに続くフランス革命のよる恐怖政治により二千数百人の死刑も執行することとなる。一方で死刑廃止を訴え、ルイ16世を悼むミサを毎晩欠かさない半生をおくる。シャルル・サンソンの孫が書いた回想録、バルザックが書いた回想録を基に書かれた一作です。

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2025年08月21日

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フランス革命で国王ルイ16世の処刑を担当したサンソンの話。記号としてしか知らなかった時はサディストの死神のようなイメージだったが、被差別身分であり、死刑廃止論者だであり、葛藤する人間であったと知り、新鮮な驚きがあった。

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2025年08月14日

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なんか文体が古いな、と思ったら2003年に執筆された実際古い本だった。とはいえシャルル・アンリ・サンソンの評伝として非常に読みやすく、良かった。ナポレオンと話をするシーンなんかは長谷川哲也の漫画「ナポレオン」でも取り上げられてたね。印象に残るものの史実か?と疑わしいエピソード。元はバルザックの著作あたりから持ってきたのだろうか。
ちなみに表紙の左上のセリフは作中で出てくるものの、シャルル・アンリ・サンソンが放ったものではない。彼の立場では言えるわけがない。なぜピックアップしたのか理解に苦しむ。読後に嫌な気分にさせないでほしい。

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2025年05月06日

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怖面白い。
死刑執行人としてのサンソンの責任感と苦悩、ルイ16世の人柄、革命のある意味狂気のような空気。
いろんなドラマが盛り込まれた濃い一冊でした。
表紙もカッコいい。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

パリの死刑執行人サンソン家6代のうち4代目シャルル・アンリを中心に見ていく。フランス革命以前から恐怖政治頃までの激動の時期に処刑任務を全うしたわけだが、まさに凄まじい人生で想像するだけでも心が暗くなってしまった。処刑した何千もの人々の中には敬愛する国王も、無罪の人も、元カノも、少女も含まれていたわけで、相当な精神力や心の拠り所があったと思われる。シャルル・アンリ自身は死刑制度廃止を執行人自身が公言できる時代ではなかったようだが、6代目アンリ・クレマン・サンソンは廃止を訴えていたそうだ。フランスでの死刑制度廃止は1981年とのこと。EU圏内以外でも死刑制度が広まっていく風潮は現代でもないようだ。人類はより文明的で進歩的な道のりを歩んでいるのだろうか、といろいろ考えられた。

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2024年10月04日

Posted by ブクログ

 ルイ16世を処刑した事で知られるシャルル=アンリ・サンソンの半生と苦悩を描いた伝記。半ば創作めいた部分があるが、それは著者が参照したバルザックとサンソンの孫による伝記の影響だろう。ただ、著者としても明らかに創作の部分は省いたり、様々な文献からの検証も行なった上で著したらしいので、内容の信憑性は高いだろう。
 伝記としてだけでなく、フランス革命に纏わる歴史書としての価値も十分にある。世界史の勉強をする際に、フランス革命の部分は年号に加えて月日を覚えさせられるレベルで細かいので、この本は内容の理解の一助となると思う。バスティーユ襲撃からルイ16世の処刑まではとても細かく描写されており、記号として理解していた歴史の内容に厚みが出来た。
 ギロチンの製作過程もとても面白い。死刑囚を苦しませずに処刑する為の人道的装置として発明されたギロチンが、ロベスピエールの敷いた恐怖政治を加速させ、1日で50人も処刑されるような事態を招いた事を考えると、とんでもない皮肉だと言える。

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2024年07月13日

Posted by ブクログ

死刑執行人の心情がリアルに書かれている。フランス革命の残酷な背景が衝撃だった。人が人を拷問し処刑する。並の精神ではありえない。

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

革命のころのフランスを題材にしたフィクションで好きなものが多いためか、描写の巧さも相まってどんどん読み進む。
(とはいえ、八つ裂きの詳細頁をランチタイムに読んだのは良い判断ではなかったが)

立派に仕事として「処刑業」を代々こなすも、忌み嫌われてしまう葛藤や、生半可に処刑自体に手を出すと、そのプレッシャーから大変なことになってしまうエピソード、多様な処刑スタイルの残虐さなどなど、どれも想像の上を行っていて、現代の社会に生きていてよかったと思わざるを得ない(現代は現代なりの酷さがあるが、それはまた別の話)。
また、処刑人であるが故に医学に精通するというのも表裏一体で面白い。

それにしてもフランス革命あたりって、なぜにこうもドラマチックなのかしら。

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2023年05月16日

Posted by ブクログ

読み応え十分だった。
ギロチンは、処刑される側のことも考えて発明されたとのこと、確かに納得した。
しかしそれが何年後かには、何人もの人を安易に処刑できるマシンと化してしまったのは、皮肉であり悲しい結果だ。
吉川トリコの「マリー・アントワネットの日記」で読んだように、ランバル公妃の虐殺のされ方はやはり凄まじかった。
こうまでしてしまう人々の衝動って何なのだろう。

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2023年05月04日

Posted by ブクログ

パリの死刑執行人を務めたサンソン家。その四代目当主シャルル・アンリ・サンソンを中心に、その半生とフランス革命という激動の時代を描いた一冊。

シャルル‐アンリ・サンソン。おそらく恐らく死刑執行人としては1・2を争うくらいに有名な方なのではないでしょうか。国王であったルイ十六世の死刑を執行した人物。近年では、いくつかのゲームや漫画のキャラクターとしても有名です。
ですが、そういったキャラ化や偶像化された姿ではなく、革命時代を生きた一人の死刑執行人としての彼はどんな人物だったのか。それを様々な文献やサンソン家六代目当主にあたるアンリークレマン・サンソンの回想録などから読み解いた本。

敬虔なカトリック教徒であったというシャルル‐アンリ・サンソンは、死刑執行人に対する差別と闘いながらも人道的配慮を忘れず、死刑制度は間違っていると訴え続けたと言います。
敬愛していた国王を自らの手で処刑しなくてはならなかったその苦悩、葛藤はとても悲劇的で、胸が締め付けられます。
残念なことに、彼が死去するまでにフランスでは死刑制度が廃止されることはありませんでしたが、とても近代的な感性を持った方だったんだなと思いました。

現代でも、死に近しい職業に就く人は偏見や差別に晒されることがあると聞きます。死は厭わしいもの。血は穢れ。誰かがしなくてはいけないとわかっているけれど、必要な行為だとはわかっているけれど、自分とは一線を引きたい。宗教的なミームなのか本能なのかはわかりませんが、大衆に浸透しているこういった考えを変えてゆくことは一筋縄ではいかないのだと思い知ります。

伝記やフランス革命史としてはあまりない観点で興味深かったです。
また、文章も学術書や歴史本というより小説に近いので、わりと読みやすいかと思います。

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2023年03月07日

Posted by ブクログ

SMAPの吾郎ちゃんが舞台で演じるとの事でどんなもんかと軽い気持ちで読んでみたら凄い話だった。フランスの激動の時代に、処刑方法や王と市民の有様に対してのシャルル-アンリ-サンソンの心情が小説のように描かれていた。サンソンも人の子。

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2022年08月23日

Posted by ブクログ

坂本眞一イノサンの主人公、先祖代々フランス・パリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目、シャルル・アンリ・サンソンの記録。
フランス革命という激動の時代を死刑執行人という社会の裏側、負の側面から見続けた一族の物語り。
坂本眞一著イノサンと併せて読むと良い。

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2021年11月08日

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死刑執行人サンソンの数奇な生涯。
ルイ十六世の首を刎ねた男だが、王室を崇拝しており、死刑制度の廃止も主張。

ギロチンの発明によって処刑は簡単になったが、それに値しない人々まで処刑することになった。

坂本眞一のイノサンを先に読んでたけど、マリー=ジョセフはマンガ用のフィクションだったのね。

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2021年09月30日

Posted by ブクログ

死刑執行人という宿命を背負い、人々から忌み嫌われ続けてきたサンソン一族。
国王の命令により職務として罪人の処刑を執り行ってきたが、フランス革命によって、その仕えてきた国王の首を切り落とさなければならないという皮肉的逆転。
そして斬首刑における、罪人の苦痛を和らげるためという、人道的な理由から導入されたギロチンという方法が、逆に刑の執行が容易なり死刑の数が増加してしまうというパラドックス。
そして教養、思想、そして差別など、国は違えど社会の暗部は同じであり、特に革命期は常識を超えた高揚感が市井に蔓延して、コントロール不能に陥ってしまう。
死刑執行人の話から、時代、政治、経済、文化、思想など様々な事について考えさせられた。

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2021年01月17日

Posted by ブクログ

主にシャルル=アンリ・サンソンの目線から物語のように書かれているのでかなり読みやすく小説感覚で読めます。その分どのあたりまでが主な出典である回顧録からでどこからが筆者によって読みやすく書かれた創作の部分なのかがわからない部分はありますが、それは原文でもない限り仕方ないことでもあり、出典についても解説が書かれているため気にすることでもないと思います。

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2020年02月15日

購入済み

大変興味深かった

一読の価値あり

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2020年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大学の西洋史(ドイツメインだったが)の講義で、車裂き・八つ裂きの刑と衝撃的な死刑の執行方法があったことを知って、他国はどうだったのか興味が湧いていた。+荒木飛呂彦先生の帯で、購入を決意。

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2019年11月13日

Posted by ブクログ

面白かったが、ややドラマチックに過ぎる気がした。
気になった点は2つ;
1.職業選択の自由について
現代の、私が住む日本では、勤労は選択の自由がある。だから嫌な仕事をした状況で、「いや〜仕事だから仕方なかったんだ」という説明は他人に説得でき得る理由にはならない(仕事辞めれば良かったんでしょ、と言われる)。
サンソンは本当に辞めることはできなかったのか。
2.サンソンが死刑制度の廃止を訴える動機について
サンソンは死刑制度の廃止について何度も訴えている。本書では可憐な罪のない少女や死刑に値しないルイ16世の処刑に際し嘆願したような記述だったが、処刑人であれば信じがたい極悪人も多く目にしていると思われるのに、なぜ死刑廃止側に傾くのか。

軍人は偉大で、革命で流れる血は自由のためで、でも処刑人は嫌われるのは、理解ができない。

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2019年07月11日

Posted by ブクログ

ムッシュ・ド・パリと呼ばれたサンソン一族四代目、シャルル・アンリを軸に、フランス革命前後のフランス社会を解説する作品。物語のスタイルをとっていて、一部作者の創作のようにも思えるが、参考文献を見る限り、大部分は史実に基づいている。

紙幣偽造により死刑となったコローという男の処刑の場面は、生々しく強く印象に残った。死刑執行人ではない素人が死刑を行うとどうなるのか。執行後にそのまま脳卒中になった素人の若者のように、ものすごいプレッシャーをいつも感じながら死刑を行なっていたのかと、死刑執行人の精神の強さに驚いた。
死刑執行人は社会的に差別されていたが、それが死刑は良くないという感情の証明であり、それを肯定することは先祖を否定するというシャルル・アンリの苦悩は一度本を閉じて考え込んでしまった。

「死刑制度は間違っている!処刑を実行する人間を必要とし、その人間に法と正義の名において殺人という罪を犯させるものだから。
このような視点はあまり考えたことがなく、死刑制度について今後考えていく視点の一つとしたい。

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2021年01月24日

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