谷川浩司のレビュー一覧
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ネタバレ天才は天才を知る。
では、規格外の超天才が現れたら?
その超天才の一人が、藤井聡太である。
戦後の新聞将棋掲載普及によって、棋士たちのキャラ立ちも明確になり、読者を二分する様な好敵手が出現した。古くは、大山康晴と升田幸三、中原誠と米長邦雄、谷川浩司と羽生善治など…
そして、タイトル全冠制覇者は、時代によってタイトル数も違うが、升田幸三(全三冠)、大山康晴(全三冠、全四冠、全五冠は4回)、羽生善治(全七冠)、藤井聡太(全八冠)のみ。この4人は、規格外の超天才と言っていいでしょう。
もちろん著者の「光速の寄せ」谷川浩司も中原時代に終止符を打った天才棋士です。
本書は、天才が超天才を論じたもの。
以下は、私の備忘録。
・渡辺明の藤井聡太評「谷川浩司と羽生善治のいいところを両方持っている」
・谷川浩司の自宅研究会メンバー。菅井竜也、斎藤慎太郎、都成竜馬、福間香奈
・藤井聡太「以前は駒の損得が重要だったのが、最近では駒の損得よりも駒の利きなど局面に応じた駒の価値の方が上に見られている」
・藤井聡太の強さはAIとは無関係
羽生「AIは他の棋士も使っていますから」
渡辺「将棋は最終盤の力が大きい。彼は中終盤の力で勝っているわけですから」
・AIのおかげで絶滅戦法が復活
雁木、土居矢倉、エルモ囲い(大山康晴vs中原誠戦で類型登場)
本書が書かれた2021年4月、藤井聡太の二冠獲得直後でした。巻末で、当時のタイトル序列が記されています。
1位は渡辺明(名人、棋王、王将)、2位は豊島将之(竜王、叡王)、3位が藤井聡太(王位、棋聖)、4位が永瀬王座。
その後、藤井聡太がストレートで8冠達成するとは、やはり怪物です。野球の大谷翔平、ボクシングの井上尚弥と並ぶ現役大スターですね。 -
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藤井聡太七冠(2025/3現在)の話だけでなく、というよりもそれは一部で、多くは将棋界全体のこと、歴史、名人戦の重みや騎士の取り組みについて書かれていた。それはそれで大変に興味深い内容だった。
谷川浩司・永世名人も超一流であるのだけれど、それは控えめな筆致である。しかし、ときおり抑えきれずに見せる自負も面白い。
藤井七冠の異星人のような棋力を改めて感じられた。
また、本人の努力と才能の大きさはもちろんであるが、周りのサポートも助けとなっている。とくにトヨタのそれは、体力面だけでなく気力・棋力向上の麺でも大きい。移動はとかく時間が取られ、将棋の勉強の効率にも影響するだろう。
現在の将棋がトータル・フットボールのような趣になってきている話も面白かった。ずっと昔から研究されている将棋といえども、進化し続けるのだなあ。 -
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天才谷川の苦悩が見える本。史上最年少名人にして、羽生さんに心を乱され、ここまでスランプに陥ってしまうのかと、驚くばかりである。開き直って、いかに、自分のペースを守ることが大切か、よく分かった。自分を見失わずに、自分の一番いいところを出していけるようにしたいと思った。
しかし、近年の将棋の状況については、羽生さんの「決断力」とほとんど同じことが書いてある。これがトッププロの認識というものなのだろう。直感を大事に、新手は一局しか有効ではない。同じ時期の本だからか、取り上げているネタも似ている。升田先生の新手一生、森下卓先生の若手カーナビ論など。現場で空気を吸う大切さなども、羽生さんと谷川さんに共通している。 -
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若くして将棋界のトップに立ち、50代になっても現役棋士を続けながら、将棋連盟の会長に就任した谷川浩司が語る将棋界の現在。
将棋の戦術は常に進化を続けるものであり、昨日の常識が今日の常識外になるらしい。とはいえ、それは常識を無視するのではなく、常識を十分に理解したうえで、わざと常識から外れて試行錯誤してみる。その結果、常識外の一手は、常識になる。そんな考えで常識外の一手を研究し続けた著者が、今度は将棋連盟のトップとして将棋界に新たな一手を考える。
と、この話の流れなら将棋連盟にさぞ革新的な風を吹かせているのだろうと期待するが、連盟の経営について、特に目新しい物はなし。棋士対コンピュータの電王戦プロデュースも、前会長の置き土産だし。
棋士のピークの時代なら、常識外の一手を連発していた著者だが、管理職や経営者となると、勝手が違うということか。
しかし、自らを含めた個性的な棋士たちを、自身がまとめるという二役を両立させるのは本書だけではうかがい知れない葛藤や困難があると思う。プロ野球で例えるなら、選手とコミッショナーを兼ねるようなものだから。