谷川浩司のレビュー一覧
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谷川十七世名人は、プロ棋士としての実績が一流なのは言うまでもないが、詰将棋でも非常に有名である。本書は、『光速の詰将棋』、『月下推敲』に続く谷川九段の3冊目の詰将棋作品集である。
どの作品も抜かりなく収束がキチッと決まっており、解いていて、そして自力で解けなくても手順を盤に並べているだけで、とても気持ち良い。また、ほとんどの作品で配置駒10枚以下という思わず食指が動く初形の簡素さ(とはいえ持ち駒はやや多いが)と、華麗な手順が見事に両立されていることに驚かされる。一冊を通して、特に角や馬の使い方の巧さが印象に残った。
9手詰3作、11手詰29作、13手詰37作、15手詰23作、17手詰5作 -
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ネタバレ藤井聡太の存在を抜きにして、現在の将棋を語ることはできない。谷川浩司九段が藤井聡太四冠の魅力について語った書です。「藤井聡太論 将棋の未来」、2021.5発行。1935年の実力名人戦開始以来、80数年間にタイトルを獲得した棋士は50人に満たない。タイトル獲得は棋士の夢。平成の羽生、令和の藤井。羽生の手が震えた時、藤井聡太の前後の身体の動きが止まった時、対戦相手は観念しなけければならないw。羽生との違いはライバルの有無。藤井将棋の魅力は、圧倒的な強さに加え、将棋自体が面白く、華と新鮮味に溢れていること。
2016年10月に14歳2ヶ月でプロ棋士に。いきなり29連勝。デビュー以来、想像を絶する -
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ネタバレ藤井聡太さんが強いとか、勝率が高いとか、詰将棋が得意とかそういう話はもう周知の事実ですが、その中で谷川九段がどんな内容の本を書かれるのか興味がありました。
一部の内容はWebで先に読んでいたものもありましたが文章がわかりやすく読みやすかったです。
将棋の世界にはAIが早くから導入されプロ棋士の多くが現在研究のために利用されていますが、強い棋士がAIだけによるものかというとそうではないと考えられている点がとても興味深い点です。確かに対局が終わった後、棋譜をAIにかけて評価値の上限を確認し、いい手だったか悪い手だったか、またその後の流れはどのようなものが考えられたか、研究を助けるものにはな -
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藤井聡太君フィーバー(この言い方って古い?)の後、関連本がどっと出たが、考察の深さという点ではこれがピカイチではなかろうか。自らも中学生でプロ棋士になった谷川九段が、才能というものについて考えを述べているのだが、これが非常に説得力がある。藤井君みたいな「天才」って生まれつきなのかと思いがちだけど、著者は、はっきりそうではないと言う。
「才能というと、何かキラキラと輝くイメージがあるが、むしろ、どろどろとした情念的なものだという気もする。
情念や熱意に支えられ、継続的な鍛練を重ねたことで結実したものを、私たちは才能という言葉で説明しているのではないか。人間の才能を論じるときは、単に人には『向