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歴史・時代 20位
三島屋伊兵衛の姪・おちか一人が聞いては聞き捨てる変わり百物語が始まって一年。幼なじみとの祝言をひかえた娘や田舎から江戸へ来た武士など様々な客から不思議な話を聞く中で、おちかの心の傷も癒えつつあった。ある日、三島屋を骸骨のように痩せた男が訪れ「話が終わったら人を呼んでほしい」と願う。男が語り始めたのは、ある人物の前でだけ泣きやまぬ童子の話。童子に隠された恐ろしき秘密とは―三島屋シリーズ第三弾!
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Posted by ブクログ
シリーズもので怪異譚の数もそこそこになってきたのに、雰囲気がどれも少しずつ違うのがすごいと何度も感じます。
今作はホラージャンルの中でも、いわゆる「洒落怖」みたいな現代ネット都市伝説が好きな人も好みそうな話が多かった気がしました。「くりから御殿」「泣き童子」「まぐる笛」辺りが特に。
個人的に、前作までは登場人物への感情移入はそれなりにしつつも、最終的には作中の怪異にばかり目がいっていました。どの話で語られた怪異が面白いか・好きか、という目線でしか見ていなかったけれど、3作目にもなれば登場人物も増えて、おちかの内面の変化も楽しみになってきました。
「まぐる笛」のラストのおちかの独白が好きです。
バラエティ豊かな物語
本格的な怪談もあり、人がもつ恐ろしさがテーマの話もあり、超常現象のような人智を超えた話もありで、飽きさせない構成になっていると思います。
と思えばおちかさんが不可思議な体験をするなど主人公の物語も進行していったり、そこに語り手の話との関連性があるなど先の展開が気になる内容でした。
Posted by ブクログ
【短評】
語って語り捨て、聞いて聞き捨て――神田三島町の袋物屋・三島屋が「黒白の間」にて語り聞かされる「変わり百物語」の第三弾である。『おそろし』『あんじゅう』を経て、円熟味を増した筆致構成で繰り広げられる六篇の怪異譚。
女の悋気を拾い上げる不思議な池を巡る物語『魂取の池』
地滑りを生き残った少年と死者が現れる屋敷の物語『くりから屋敷』
幽霊のような男が語る特定の人物の前でのみ泣き叫ぶ童子の物語『泣き童子』
粋人・井筒屋七郎右衛門が主催する怪談語りの会『小雪舞う日の怪談語り』
北国の森林に潜む化物と其れを調伏する女人の物語『まぐう笛』
奇怪な商人から不思議な「仕事」を依頼された男の物語『節気顔』
くすりからりとした素敵物語から、どうしようもなく救いのない残酷物語まで、幅広く取り揃えておりますと言った風味の短編集。江戸時代の百物語という屋台骨を共有しつつも、自由な発想で意外な方向に舵を切るお話が揃っており、読んでいて飽きが来なかった。三作目にして「型」が確立しており、安心して読み進めることが出来た。
①魂取の池 ★★★★☆
おちゃっぴぃ娘が語る嫉妬に纏わる教訓話。こと恋愛において相手を試すような行為は厳に慎むべきだと私も思う次第。女二人でくすくすと笑い合うなかに、そっと忍ばせる結びの文の美しさったら無い。ちょっとした時間経過をはっと描写する名文だと思った。
②くりから屋敷 ★★★★☆
ベタなお話だけど、大好き。「彼ら」の姿が直接的には見えない奥ゆかしさが良いんだよね。サバイバーズギルドという言葉を想い出した。「連れて行かれる」様な展開ではなく、静かに心を溶かすような物語も素敵だったと思う。
③泣き童子 ★★★★★
抜群。夏目漱石の『夢十夜』を換骨奪胎したようなお話。ミステリィ的な文脈で描かれており、何故語り手は精気を失っているのか、童子が泣き叫ぶ条件とは何か等、興味を引きつける要素が揃っており、読み手を飽きさせない。全てが明らかになった時、童子が発する言葉の恐ろしさと畳み掛けるように続く絶望的な展開が、大変に甘露で御座いました。
④小雪舞う日の怪談話 ★★★☆☆
短編のなかに四本の怪談話を捩じ込むという乱舞系(?)の作品。怪談話は心の煤払いというのは、本シリーズの根底にある含蓄なのではないかと思った。第三、第四のお話が好きかな。特に第四の話の「あいすいません」辺りの展開が、凡百ではない宮部みゆきらしさが出ていて大変に好みだった。
⑤まぐる笛 ★★★★☆
これはねぇ、長編で読みたい。乱神祟り神の類が荒ぶるお話で、江戸版バイオハザード的な趣があって良かった。収録作のなかでも特に変わり種の実験的な一作だと思う。このシリーズで血風吹き荒ぶ展開にありつけるとは思わなかった。大変に楽しめたのだが、一人称的な臨場感のもとに読んでみたかったという思いもあった。
⑥節気顔 ★★★☆☆
不思議なお話である。顔を変えながら彼岸と志願を行き来する男の行く末を描く一作。面白いことは面白いのだが、必ずしも遺族に会える訳では無いなど、リアリティゆえに盛り上がりを欠いた部分もあったように思う。
ぐいと世界観を拡げてきた感のある第三作である。
今後の展開も実に楽しみだ。ゆっくりじっくり読み進めていきたい。
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