本田由紀の作品一覧
「本田由紀」の「軋む社会」「教育の職業的意義 ――若者、学校、社会をつなぐ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
"男性は働き、女性は専業主婦となり、子どもは学校で教育を受けて卒業と同時に企業に就職"という戦後日本の社会がどのようにして成立したのか、他の先進諸国とどのような違いがあるのかがわかりやすく説明されている。他国との違いは、日本より進んでいるくらいかと思っていたので、人口、国際関係、エネルギー、自然災害などの偶発的で複合的な要因が絡んで日本の社会が独特なものとなっているということを初めて知って興味深かった。ほころびが出て維持することができなくなっている日本型社会から、どのような社会を目指すべきかという新しい社会モデルも提示されている。実現は簡単ではないものの、多くの人に参加してほしいと呼びかけられている。それは、社会は少数の人たちが都合のいいように作るものではなく、みんなにとってより良くなるようにみんなで作るものと著者が考えているからだろう。2014年に出版されているのに古さを感じないことに暗い気持ちになるが、私も参加したいと思った。
Posted by ブクログ
本書は、出口治明さんの著書で触れられていたこともあり、興味をそそられたので手に取ってみました。
著者は、日本の教育の原理的な特性を、「垂直的序列化」と「水平的画一化」という2つのキーワードで表現しています。
「垂直的序列化」とは、相対的で一元的な「能力」に基づく選抜や格付けを意味し、「水平的画一化」とは、特定のふるまい方や考え方を全体的に要請する圧力で、「態度」と「資質」がそれと不可分の言葉だと指摘します。
特に「能力」について、明治以降の書籍の丹念な調査により、その意味の変遷をたどっていく過程はとても興味深いものでした。
かつては、単に様々な力を表現するだけの言葉であった「能力」が、徐々に優劣を決める測定可能なものに変化し、特に1960年代以降、学生の増加により普通科の高校が急増することもあって、「学力」(偏差値)による垂直的序列化が進んでいきました。
しかし80年代以降は、学力偏重の反省もあり、「生きる力」や「人間力」といったものが「能力」を構成する要素として重要性を増してきたということです。
この現象について、著者は、「学力」による垂直的序列化に対処しようとした政策が、皮肉にも「人間力」というもう一本の垂直的序列化の物差しを立ち上げたと指摘する一方、今世紀に入り法律や学習指導要領による「水平的画一化」の圧力も再浮上したとして、選抜と同調圧力が教室に充満する今、「水平的多様性」というベクトルを教育に張り巡らしていくことが必要だと主張します。
著者曰く、「水平的多様性」とは、一元的な上下(垂直的序列化)とも均質性(水平的画一化)とも異なり、互いに質的に異なる様々な存在が、顕著な優劣なく併存している状態のことで、異質であることの価値を認め、排除を可能な限り抑制することにある、と定義しており、そのために必要な施策について、高校に焦点を当てた提言を行っています。
この点についても、日本の教育制度の際立った特徴として、高校における普通科の比率の高さと専門学科の比率の少なさ(かつ序列内での低い位置づけ)を著者はその論拠として挙げており、高卒者の比率は過去から大幅に減少しているにも関わらず、(普通科が多いことで)高校には垂直的序列化が凝縮して生じていると論じています。
本書における著者の主張については、表現的なものも含め全面的に首肯するものではありませんが、教育のあり方を考える上で大いに示唆に富む一冊でした。
著者が解説を寄せる「実力も運のうち 能力主義は正義か?」(マイケル・サンデル)も読んでみたいと思います。