藤井太洋の作品一覧
「藤井太洋」の「マン・カインド」「銀河英雄伝説列伝1」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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国際基督教大学中途退学。『Gene Mapper -full build-』などの作品を手がける。
小説・文芸
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Posted by ブクログ
熱い。とてつもなく熱く、そして尊かった。
サフィール3の異常な機動から、国際宇宙ステーションを
狙う軌道兵器であるという噂が広まりつつあった。
北米航空宇宙防衛司令部のダレル・フリーマン軍曹は事態の調査を開始。
一方、著名な起業家ロニー・スマークは民間宇宙ツアーPRのため、
娘のジュディと共に軌道ホテルに滞在しようとしていた。
調査を続ける木村和海は、
全ての原因が新型の宇宙機スペース・テザーにあるという情報を
イランの科学者ジャムシェド・ジャハンシャ博士より得る。
迫り来るスペーステロの脅威。それに立ち向かう下巻。
スペース・テザーを使ったテロの全貌が和海たちの手によって
段々と解明されていく。北朝鮮と手を組んだ白石蝶羽の計画。
けっこうズシッと来るものがあった。
全てが全て、この小説で描かれた通りではないだろうが、
それでも持たざる者たちになるしかなかった彼らの無念さは伝わった。
そしてそれが、歪んだ感情にすり替わってしまうのもまたわかる。
白石やジャハンシャ博士の思いはかなりの重さだった。
だからこそ、簡単に止められる代物ではないという構図。
それに対し、和海や明利の元に国境や立場を越え集結する仲間たち。
チームとなりテロを食い止めるべく奔走する姿はとても眩しかった。
ただの金持ちだと思っていたロニー・スマークやオジー・カニンガムも
ちゃんとした役割と熱い言葉が用意されていて、胸アツな展開が続いていく。
下巻はハラハラドキドキ、そして王道のストーリーが待っていた。
確かに穿った見方をすれば都合が良い展開で片付けられてしまうが、
本来エンタメとはそういうもの。読む人を熱くできるかどうか。
そういった意味でも、この作品は間違いなく自分の胸を熱くさせてくれた。
よくもまぁこの複雑怪奇な設定と事象を、ここまでエンタメに昇華できるものだ。
ラストに描かれる展開は、是非とも実写で観たいと思ってしまった。
とても実写化に向いている作品だということは間違いない。
ちゃんとお金と時間を掛ければ、とんでもない傑作になりそう。
時代よ、早くこの作品に追いついてくれ。
Posted by ブクログ
まさに新時代の警察小説だった。
京都府警サイバー犯罪対策課の万田は、
ITエンジニア誘拐事件の捜査を命じられた。
協力者として現れたのは冤罪で汚名を着せられたハッカー・武岱修。
二人の捜査は進歩的市長の主導するプロジェクトの闇へと。
行政サービスの民間委託計画の陰に何が?_
冤罪により全てを失った武岱修のモデルは
ウィニー事件の金子氏なのだろうか?
少なくともウィニー事件も含めてどこか取り入れてるような気も少しした。
専門用語がバンバン飛び交うのでIT関連に疎いとチンプンカンプンなのだが、
物語の筋としてはとても良くできている。
むしろ、現代における情報社会の闇を見ているようだった。
背筋が凍る。現実でもこのように個人情報というものは
そこら中にバラ撒かれ、そして監視されているのだろうか。
そんなことあるわけないと鼻で笑えないのが、怖いところだ。
後半にかけての真相が明るみになっていく流れは読んでいて胸が熱くなった。
スカッとする展開、そして何とも胸が詰まるエピローグ含めて
エンタメとしても完璧な流れであった。
まさに埋もれた傑作と言える一冊。もっと世に広まってほしい。
Posted by ブクログ
圧倒的な密度だった。圧巻の一作。
「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」
原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。
爆発は3月11日午前零時。
福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの
その真意を政府は見抜けない。
だが、IAEAの技術官・館埜と警視庁公安部外事二課の刑事・早瀬の執念は、
互いを欺きながら正義の瞬間に向けて疾走するテロリスト
イブラヒムと但馬樹の歪んだ理想を捉えていた。
戒厳令の東京、110時間のサスペンス。
核に対する知識が無いに等しいので、細かい設定や描写に
画を思い浮かべるのに苦労はするのだが、緊迫感は十二分に伝わる。
作中でも触れられていたが、自分自身もあの震災、そして原発事故に対し
正面から向き合ってきたかと問われれば、とても向き合ったとは言えない。
そんな無自覚かつ無知な自分が読んでいて情けなくなる。
決して、思想的な何かを押しつけるような作品ではないので
ちゃんとエンタメとしても機能している。
こういった類いの作品は希有であり、重要である。
東京のど真ん中、象徴的な場所で原子爆弾を爆発させるという
あまりにも想像の斜め上を行くとんでもない設定自体も
何故か荒唐無稽とは言えず、あり得そうなことだと思ってしまうのが
何ともこの先の未来に不安を覚えてしまう部分である。
早瀬が但馬樹に見せたラストの振る舞いで思わず涙してしまった。
人間描写もキチンと描かれているので、感情移入もスムーズにできる。
偶然にも今作を手にしてとてもラッキーだった。この幸運に感謝。
Posted by ブクログ
伊藤計劃を追悼する8篇。どれも短編としては濃密な設定で、長編小説としても読んでみたいと思わせるものばかりだった。以下は特に面白かったものを示す。
藤井大洋「公正的戦闘規範」
伊藤計劃、「虐殺器官」を彷彿とさせるような重厚な戦闘シーンが魅力。偵判打というゲームが、実際の戦闘ドローンの操縦になっていた、という設定に恐怖した。
吉上亮「未明の晩餐」
孤高のシェフと孤児二人、死刑囚の最後の晩餐専門シェフというなんともいいキャラ設定。感動。
伴名練「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」
切り裂きジャックの独白。ナイチンゲールがフランケンシュタイン博士に改造された屍者で、なんやらこうやら歴史が交錯するスペクタクル。一番面白かった。
長谷敏司「怠惰の大罪」
キューバの麻薬カルテルでのしあがるカルロス・エステベスの半生。クライム・ノベルとしての魅力が沢山でワクワクさせられた。
非常に楽しめた。