獅子文六の作品一覧
「獅子文六」の「海軍随筆」「金色青春譜 ――獅子文六初期小説集」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
もとは毎日新聞に1948年1月21日から49年4月14日にかけて連載。単行本は49年7月刊。50年には映画化。
当時の「時代の風」が感じられるエンタメ小説。まだテレビなどなかった時代、次はどう展開するか、新聞が届くのが待ち遠しかったに違いない。
物語は1945年12月に湘南に始まり、1年後の12月21日、四国の伊予で終わる。まさかの終りが昭和南海地震。
登場人物は、犬丸順吉、花輪兵子、鬼塚玄三、玉松勘左衛門、田鍋民兵、越智善助、平城アヤメ……人名にも作品の雰囲気が出ている。全体に、暗さはなく、どこか明るい。伊予の田舎の自然や風習の描写がみごと。でも、主人公がopportunist過ぎるかな。
(p.s. 往年の漫才コンビ、獅子てんや・瀬戸わんやを思い出した。そういえば、彼らの名前は、大当たりしたこの作品にあやかっていた(無断借用)。「獅子てんや」って、そのままやん。)
Posted by ブクログ
650ページ、一気に読ませる。
獅子文六のいわば私小説。もとは「主婦の友」に、1953年1月号から56年5月号まで連載。61年にはNHK朝の連続ドラマの第一作になった。
獅子文六、留学先のパリでマリー・ショウミイと恋に落ち、妊娠した彼女を伴い帰国。生まれた女児は巴絵と名づけられた。しかし巴絵が7歳の時に、マリーが病死。文六は男手ひとつで巴絵を育てなければならなくなる。小説は、1925年の巴絵の誕生に始まり、51年の巴絵の結婚で終わる。戦前・戦中・戦後という時代の移り変わりもそこに描かれている。
読みどころは父子家庭の大変さ。とくに印象的だったのは、麻里が小学校の寄宿舎で重い肺炎になってしまう場面。でもやがて、救世主が現れる。文六は静子という女性と再婚し、静子は麻里を育て上げる。文六は仕事をしながら、ふたりをただ傍観するのみ。後半の主題は「娘と静子」。
小説中の人名や学校名は実名ではない。たとえば、ミッションスクールの白百合は白薔薇、マリーはエレーヌになっている。巴絵も、母親マリーの名をとって麻里。後妻の静子は千鶴子として登場する。残念なことに、静子は巴絵の結婚の前年に亡くなった。本書は「亡き静子に」捧げられている。
(タイトルは、有名なミュージカル『王様と私』のもじりなのかも。ミュージカルの初演は1951年。連載の直前だし、文六は演劇人でもあったので。)