天海社作品一覧
-
4.7大手飲料メーカーに勤める27歳の雛沢小春は、同じ営業部の榎並と交際しつつ、仕事にまい進する日々を送っていた。ある日小春は、NYからやってきた新人の教育係を命じられる。柑橘系の爽やかな香りをまとう、25歳の黒髪イケメン・九条凱。歓迎会の帰り、小春が凱とともに歩いていると、彼氏の榎並がお嬢様風の女性とキスし、ホテルに入るところを目撃してしまう。それは紛れもない浮気現場だった。ショックのあまり酒をあおり、酔いつぶれて寝てしまった小春を凱は自分のマンションで寝かせることに。 翌朝、後輩の凱に迷惑をかけて情けないと落ち込む小春に、凱は真っすぐな瞳で「俺ならあなたを大切にしますよ」と伝える。信じていた榎並に裏切られて悔しいと泣く小春を、静かに受け止めてくれる凱。そして、優しく抱きしめられ、今まで経験したことのないようなキスをされる……。身も心も甘々に愛された小春は……!?
-
1.0目覚めたエマを、美麗な青年が見つめていた。泣きそうな瞳でほほ笑む青年は、エマの幼馴染ジルにとてもよく似ていた。年上のエマにプロポーズをした美少年のジル。彼に夢中な令嬢たちから受けるほのかな重圧と、二人の家格の圧倒的な違いから、恋しい気持ちに蓋をして遠ざけていたあのジルに。年上になったら結婚してあげる。そんな無理を言って、エマはジルの求愛をはぐらかしていた。目の前の青年はジルだと名乗った。君は五年間眠っていたんだ、君より年上になった俺の、プロポーズを受けてくれるね? と聞かされても、俄かには信じることができない。そもそもエマは、自分がジルにふさわしいと考えたことなど一度もない。少しずつ五年前の出来事を思い出しながら、エマは真実に近づいていく——
-
2.0その日の女王フェイリールのお茶会の主賓は、婚約者のケネス王子。なかなか姿を現さない王子を心配したフェイリールは、自ら王子の様子を見にいくことに。だが、その途中フェイリールは、王子と妹のアデリアが睦み合っているところを目撃してしまう。開き直る二人に、女王はケネス王子との婚約破棄を宣言、アデリア王女には修道院行きを命じるのだった。女王を戴くミレンス王国を統べるフェイリールの婚約破棄はこれで二度目。さすがに女性としての自信を失いかけている。自分は結婚には向かない。その呟きを聞いてしまった政務補佐官のエリクは、あきらめるのは早い、世継ぎを産むのは女王の責務とフェイリールを諭そうとする。ならば結婚せずとも子を成せばよい、父親など誰でもよいと言いだす女王に戸惑うエリクだったが、女王の命で計画に手を貸すことになる。だが、計画は暗礁に乗り上げてしまい、フェイリールは手詰りに……と思いきや、フェイリールは目の前のエリクに世継ぎの父親にと指名するのだった——
-
5.0お一人様カフェ巡りだけが趣味の樹里が、新事業部に突然の人事異動。それは社運を賭けた新カフェ開発プロジェクトだった! 直属上司は超イケメンの若きCEO・勝呂澪。キレ者秘書やその取り巻きが厳重にガードしているが、カフェ飯研究のために他店のバイトまでやる研究熱心な彼の真の姿を知るのは樹里だけ。恋にオクテな樹里も、澪と市場調査をするうちにときめきを覚えるのだったが……
-
3.2デビュタントの日。美しい侯爵令嬢エフェリーネ・ベイレフェルトは意識を失いかけ朦朧とする中で、前世の記憶を思い出していた。男性達の好奇の眼差し、自分の下着画像の拡散、SNS騒動の発端となったある男性から向けられる好意…そして求婚。 前世の出来事が影響して、エフェリーネは同年代の男性を前にすると、気分が悪くなり意識を失ってしまうのだった。社交界を離れ静かに暮らすことに決めたエフェリーネだったが、ひとりの求婚者が訪ねてくる。エフェリーネに異様な執着を見せるその男は絵が得意だという。男が描いた絵を見せられたエフェリーネはたちまち気絶。何とそこにはエフェリーネの前世『濱野美紀』の下着姿が描かれていたのだ。 エフェリーネはこの件のせいで屋敷に籠るようになるが、男子禁制のお茶会に参加することに。令嬢ばかりで安心していると、何やら男性の声が! またあのしつこい求婚者が乗り込んできたと思ったエフェリーネは意識を失いかける。ところがその声の主はエフェリーネの美しさに惚れ込んだユストゥス王子だった。そして驚いたことに、エフェリーネは王子に抱き上げられると何とも言えぬ心地よさを感じるのだ。一方、倒れてしまったエフェリーネを見て責任を感じたユストゥス王子は、エフェリーネを妻にすると宣言するのだが——!?
-
3.0大陸南端のマイスタンタン王国は、人口も少なく、外交もほとんどない、平和だが貧しい小国である。昨年の火山の大噴火で国王はじめ多くの重臣を失い、急遽王位を継いだのは、まだ7歳のクレドール。どこかの国と同盟を結ばない限り、とても生き延びていけない。だが、弱小国の幼すぎる王に嫁いでくる姫はなかなか見つからない。そんな王と王国のために名乗り出たのは、クレドールの姉でまもなく18歳を迎えようとするルキア王女だった。だが結婚適齢期のルキア王女の見合い話も難航。いっそよその国に頼らず、特産品や観光資源で国を富ませることができないか思案しはじめたルキアは、ある日王立図書館で古い魔導書を発見。どうやら昔の王族は、魔法が使えたらしい。魔導書に従って試すうちに、ルキアは召喚の術が使えるように。そして何度目かの呪文を唱えると……降ってきたのは、ドラゴンと傷だらけの美青年!?
-
-リシィ島には蘇生の力で私腹を肥やしている聖女がいるという。聖女が自国を脅かす存在であると認識したイデリア国のランベルト王子は、聖女殺害のためリシィ島へ赴くのだが……。そこには、華奢で肌の白い女性が塔の最上階に閉じ込められていた。彼女の名はクラリーチェ。どう見ても蘇生の力で金儲けをしているようには見えない。堅物で正義感の強いランベルトはクラリーチェをそのままイデリア国へ連れて帰ることに。やがて側近から、聖女の力を奪うためにはクラリーチェを女にすること、つまり処女を散らすことが必要だと知らされたランベルト。冷酷になりきれない自分に気付きつつも、彼女を抱くと決めたランベルトはクラリーチェの部屋へ行くのだが……!?
-
3.8男爵家の元令嬢だったクリームヒルトは、ライニンゲン公爵家にメイドとして仕えている。彼女には誰もが認める料理の才能があった。晩餐会の料理の手伝いでクリームヒルトは今宵も大忙しだ。ようやく休憩できると思っていると、ライニンゲン公爵家の嫡男であるオスカー坊ちゃまが泣いていることに気付く。聞けば意地の悪いアルフレートに体型のことで悪口を言われたのだという。オスカーは美しい金色の髪、琥珀色の瞳、整った顔立ちをしていたが、体型だけぽっちゃり気味だったのだ。この一件をきっかけに、クリームヒルトはオスカーのダイエットをサポートすることに。だがダイエットも順調に進んでいた矢先、クリームヒルトはオスカーの元を去ることになってしまう……。——それから時は経ち、王都の人気レストラン「黒猫軒」の料理人としてクリームヒルトは今日も忙しく働いていた。そしてある日、金色の髪の美しい青年が店に通ってくれていることに気付くのだが……。
-
-「係長。バラされたくなければ、私の要求をのんでください」 大手電機メーカー・大東産業(通称DTI)総務部総務課備品管理係勤務の中村やよいはコンサバなファッションをモットーとする地味子であり、モブ子であることを自認している。プライベートではモード系でスーツフェチでもあるやよいは、自分好みのスーツを着た男性をモデルに、自分好みの写真を撮り、製本して自分だけのための写真集を作りたいという密かな願望を持っている。そんなやよいが脅す相手は、直属の上司である宮崎和仁。ある日、やよいは宮崎の着ているスーツが人気覆面歌手のWAJIN Kが着ているものと同じものであることに気がつく。やがて宮崎がWAJIN Kであることを確信したやよいは、かねてからの願望を満たすため、宮崎をラブホに誘い出すのだった——
-
3.3シングルマザーの紗和は、「葵」という源氏名を名乗る銀座のクラブの人気ホステス。かつての恋人・蒼生との間にできた子どもを育てている。海外に赴任し、多忙な蒼生と連絡が途絶えがちになったころに発覚した妊娠。すれ違ったまま紗和は自分から別れを切り出した。あれから四年。OLを辞めて夜の世界に飛び込んだ紗和だったが、寸暇を惜しんでわが子・佑都に愛情を注いできた。そんなある夜、常連客とともに店にやってきたのは——蒼生! 紗和が彼の子を産んだことを、蒼生は知らない。海外赴任中にいきなり別れを突き付けられたと思い込んでいる蒼生に他人行儀な挨拶をされた「葵」は、ちょっぴり傷つくのだった……
-
5.0
-
2.0相手の思うとおりに自分の姿を見せる能力を持つイルセは、リッセン王国の王女アマンダの替え玉を務めていた。両親の形見である指輪を付けている時、イルセは本来の姿を留めておくことができる。その昔イルセは、妹を亡くしたことに悲嘆するカイザルトという騎士と出会い、王女専属の護衛騎士になるよう勧める。彼に前向きに生きて欲しかったからだ。お互いを想い、心の距離を縮める2人だったがいつしかイルセは姿を見せなくなってしまう…。やがてカイザルトは晴れて王女専属の護衛騎士に。だがイルセがアマンダの替え玉だとは知らないのだった。いつものように王女アマンダに扮したイルセは、王女の婚約者が待つエンゲルフトに赴いた際、媚薬を盛られてしまう! 助けを呼びに行こうとするカイザルトを引き留めたイルセは、カイザルトの手で快楽に導いて欲しいと頼む……。王女の命令としてこれを引き受けたカイザルトだが、ずっと忘れることのできなかったイルセの面影を感じてしまい……。
-
-仕事に情熱を注ぎ、主任への昇進も間近に控えたブライダルコーディネーターの大谷加乃。今日も何気ない1日が待っていると思っていた……クライアントの花嫁が挙式当日に失踪したと知らされるまでは……!! 花婿はIT会社のCEOである蔦原正真。突然の花嫁失踪に周囲が慌てふためくなか、彼だけは平然としており「祖母のために式は挙げる」と淡々と言い放つ。しかも肝心の花嫁の代役として浮上したのが加乃で……!? 大きな不安を抱えつつも、覚悟を決めて花嫁役を引き受けた加乃。厄日としか思えない珍事に巻き込まれながらも、披露宴は終盤に。正真と長く時間を過ごすことで、クールで冷徹という印象とは正反対の彼の隠された一面を知り、自分のなかで正真の存在が大きくなっていく加乃。それは正真も同じだったようで……!?
-
4.0婚約破棄したばかりの美女は男性たちと愉快に談笑していた…。彼女の名はアネット。コンラート伯爵家の令嬢だ。教養も兼ね備えたアネットに求婚者は絶えないが、彼女の自由な振る舞いに冷ややかな視線を向ける者も。そんなアネットには密かに誓っていることがあった——。それは大事な友人であるソフィアよりも先に結婚して幸せにならない、ということ。アネットはわざと周囲から批判されるよう振る舞い、ソフィアを引き立たせようとするも上手くいかない。とある晩、ソフィアの魅力が分からない男ばかりと、独りつぶやいていると、アルブレヒトという美しい男性に声を掛けられる。手の甲へキスされた瞬間、今まで抱いたことのない感情に気づくアネット。この出会いの後、アネットは王妃の侍女として宮廷に出仕するよう命じられる。宮廷に赴くとそこにはアルブレヒトの姿が! 混乱するアネットだが、彼が次期国王であると知らされる。さらに突然キスまでされてしまい…。次期国王アルブレヒトは相当な遊び人と噂されていたのだが……!?
-
-
-
3.0ブランシェ家のサラと彼女の義兄であるジェイドは、かつてお互いを深く想い合っていた——。ブルーサファイアのような瞳、誰もが振り返る美しい顔、品格と聡明さを兼ね備え、誰に対しても気さくに振る舞うジェイドは社交界の注目の的だ。ところがサラに対してだけは例外だった。いつからかジェイドは冷淡な性格に変わってしまったのだ…。すべてはサラを国王の側妃にさせ家を繁栄させるため。「すぐに達せられる体になるよう、明日からも訓練しよう。その方が、陛下もお喜びになる」——側妃になるための教育には、閨で国王を悦ばせるための淫らな指導も含まれており、サラは身体ごと躾けられてしまう…。想い合っていた頃を懐かしむサラ。やがてある事がきっかけでジェイドの性格を変えてしまった秘密が明らかになるのだが——。
-
2.3
-
3.0
-
4.0何という運命のいたずらだろう? 美知は戸惑っていた。就職したその日に紹介されたのは、血のつながりのない、“兄”だった男性、秀一。だが、当の秀一から出た言葉は「はじめまして」。まるで家族だった日々を否定されたようで、美知はもやっとした気持ちを抑えきれない。秀一は、母の再婚相手の息子だった。思春期に迎えた義父も秀一も、イケメンすぎて、美知からちょっと距離を置いてしまったのは事実だった。家族だったころから眩しい彼。だが、よりにもよって入社した先で再会するなんて。彼の会社は、美知の会社の兄弟会社にあたるらしい。入社二か月半が過ぎても、秀一は他人行儀のまま。なのに、いきなり些細なことで説教までされて……。
-
5.0背が高くスレンダーでクール系のメアは、おしゃれや化粧に余念がない。あれは6年ほど前、社交界デビューの日。かわいいだけで自分とは不釣り合いなドレスを着せられたメアは、人々が自分を見て陰で笑われ、社交界で大恥をかいた。それ以来、メアは自分に似合うものを追究している。今や親友から舞踏会のコーディネイトを頼られる一方で、かつての自分を知る人々からあまりの変わりように『魔女』と呼ばれるほど。運命の出会いを夢見て思い切って参加してみた舞踏会だったが、心ない人々の噂話にメアは意気消沈気味。やがて主宰者でもある王子・アーストが登場。これまで挨拶を交わしたこともなかったアーストだったが、一瞬目が合った……? 気をとられていると、純朴そうな青年からダンスに誘われる。初めての経験に応じたものの、ステップが合わず派手に転んでしまい、結局恥をかくはめに。逃げるように外廊下に出たメアに声をかけてきたのは……アースト殿下!?
-
3.3
-
4.0孤児のココリナは、幼いころ学院長のギルフォード公爵に拾われて以来、全寮制のイースバーン王立学院で使用人として働いている。イースバーンは魔術が存在する国。魔力を糧に、不思議な術を操ることができる一部の人々を『魔術師』と呼び、この学院で魔術を修めた者は『魔導師』の資格を得る。魔導師は真の精鋭。この国では貴族であれ平民であれ、魔力持ちは優遇されている。だが、そんな話は魔力のないココリナとは無縁の話。何かにつけて動作が緩やかでおっとりしたココリナは、生徒たちから邪険にされ、疎まれている。そんなココリナにも、先月から古代語の講師として赴任してきたラングスだけはやさしく接してくれていた。ココリナと同じく魔力を持たず穏やかな雰囲気のラングスは、生徒たちからは「昼行灯先生」などと呼ばれているが、古代語の知識に関しては魔道省幹部からも一目置かれている。ラングスを尊敬している学院首席のアリシアは、ラングスがココリナを構うのを快く思わず、魔力を使ってココリナを子猫に変えてしまう。屋外に放り出され、冷たい雨に打たれて生きる望みも失いかけたひとりぼっちのココリナ。だがそんな彼女を拾い上げたのは、ラングス先生!? 猫嫌いだとばかり思っていた彼の溺愛ぶりに戸惑うココリナだったが、やがてラングスのあたたかい膝の上ですやすやと眠るようになっていく……
-
3.9童話『青髭』をモチーフにした少女向けゴシックホラー恋愛小説の世界に転生してしまった侯爵令嬢のシャルロット。物語通りに進めば、青髭公爵の最初の妻となる自分は殺されてしまう。まだ本格的にストーリーがはじまる前に気づいたシャルロットは、非業の死から逃れようと画策をはじめる。姉に駆け落ちを焚きつけ、婚約相手の公爵から引き離す。姉が恋焦がれる田舎騎士と結婚してくれれば、姉もシャルロットも助かるのだ。だが、本作のヒーローであり、公爵と姉との婚姻を何としてでも成し遂げたいアンリ王子が登場すると、事態はシャルロットの望むシナリオとズレが生じていく。姉の行方を追うため、アンリ王子の馬車に同乗させられるシャルロット。途中、気分が悪くなったシャルロットは、自分だけ下車して王子を先に行かせようとするが、王子はシャルロットを一人で放っておくわけにはいかないと、一行ともども休憩させることに。宿をとり、「気分が悪いなら、呼吸を楽にしなければいけない」とシャルロットのコルセットを緩めていき……
-
-ある日の午後、勤務中の由衣のもとに管理人からアパートが火事という連絡が入る。出火元は由衣の住む部屋と同じ階。由衣の部屋は無事だったが、共有部分は水浸し。焦げた匂いに不安が募り、この日、由衣はホテルに宿泊。その翌日、追い打ちをかけるように隣室に空き巣が入ったとの連絡が! 幸い由衣の部屋は今度も被害を逃れたが、犯人がまだ捕まっていないことに怖くなり、この日もホテルに泊まることに。そんな由衣に同情して「うちにこない?」と誘ってくれたのは——気になる同僚・晴人の姉だった。それはつまり、当の晴人とも同居することで……。戸惑いながらも広い一軒家でのこと、晴人の家には大好きな猫のロンもいる。心のどこかでそれを言い訳にはじまった三人+猫の同居生活では、会社で見せることのなかったお互いの意外な素顔を少しずつ知りはじめて……
-
3.0舟橋純奈は祖父の設立した制作会社ミセルで働いているが、その祖父が病に倒れてしまい社長の座を降りることに。そんな折、純奈の上司である緒方郁人が社長候補として名乗り出たのだが、家族にしか経営権を渡したくないと渋る祖父。元々郁人に恋心を抱いていた純奈にある考えが浮かぶ。社長になってもらうことを口実に郁人と家族になってしまえばいいのだ——。「緒方さん。私と結婚しませんか」と、病院で郁人にそう告げると、なんと承諾してもらえて…!? こうして郁人との日々が始まったが、そこには意外な事実が隠れていた——。
-
3.5
-
2.0深窓の令嬢として育てられたルチア・ホーレンは、18歳にしてようやく社交界デビュー。その日は幸運にも、その美しさゆえに『紅椿』と謳われる憧れのカミーユ・カロ—ジオの姿を目にするのだが、引っ込み思案なルチアは声をかける勇気もなく、遠くからただ眺めているだけ。するとカミーユの方からルチアに話しかけてくれて、二人は急速に親しくなる。カミーユからカロ—ジオ家の領地に遊びに来ないかとまで言われて、両親に許可を求めることに。だが、なぜか母は顔面蒼白に。対して父は快諾。ただし、「体臭には気をつけるように」と、いつもの注意も忘れない。そう、ルチアは幼いころから甘い匂いを放ち、父は昔からそれを不快と感じているのだった。出発の日、新しい友人・カミーユとの楽しい日々に想いを馳せるルチアをよそに、母はまるで今生の別れのような様子を見せる。旅立つ先は椿が咲き乱れるカロ—ジオ辺境伯の領地に浮かぶカメリア島。そこに立ちこめるのは、ルチアと同じ香り……? この島には、秘密がある。
-
1.0侯爵令嬢レイチェルは、愛犬のクウマとともに侯爵領の外れまで散歩に出かけた。王宮が見えるくらいだから、随分と遠くまで来てしまったようだ。ところが天候が急変、空は真っ黒な雲に覆われ、頬にぽつりと雨粒が落ちて、レイチェルはクウマとともに慌てて近くの木へ走った。大きな枝葉のおかげで雨を凌げたものの、傘を持たないレイチェルは、どうか晴れますようにと祈りながら空を見ていた。背後の足音に振り返ってみると、腰に剣を提げ、脇にはポメラニアンを抱えた美丈夫が。雨に濡れた姿にレイチェルは自分のハンカチを差し出す。やがて雨は止み、空には虹が。走り出したクウマを追いかけ、名前も聞けずに別れてしまったその男性をレイチェルは忘れることができない。だが3日後、その男性がハンカチを返すためにレイチェルのもとを訪れる。ヴィンセントと名乗る彼は、それからしばしばレイチェルを訪ねるように。お互いに惹かれ、ヴィンセントはレイチェルに結婚を申し込むのだが、レイチェルは素直にそれを受け入れられない。なぜならレイチェルの父親はバカラで借金を重ね、破産しそうなのだ。釣り合うわけがない。だがヴィンセントは納得せず……
-
4.5
-
3.0
-
3.0孤児院育ちエメはまもなく十六を迎えようとしている。ある夜院長から呼ばれ、仕事を紹介してもらうことに。独立心旺盛なエメはすぐにその申し入れを受けたのだが、その実態は人身売買であり、エメは奴隷として売り飛ばされてしまったのだ。やがて妹の不在に気づいた兄のマルクがエメを追って港で再会を果たすも、マルクまでもが奴隷商人に捕らえられてしまう。船に揺られること数日、目的地であるエリンケア国に到着すると、二人は下船した一瞬の隙をついて逃亡することに成功。そんな二人の前に現れたのは騎士団の若武者ジェイド。エメはジェイドに助けられるが、かわりにマルクが行方不明となってしまう。そんなエメをジェイドは自宅に匿い、マルクを探すうち、運命の糸に導かれて人身売買組織の黒幕と対決する——
-
4.2
-
-ニャオン国の皇女・モモはヒト科の青年・ショウマのことがひそかに好き。ヒト科の入国を禁じているニャオン国では、密入国者は猫人の奴隷になるのが通例である。なにせ猫人族は他の種族を使うことに長けている。喉や背中、肉球を撫でさせてやれば、それがヒト科にとって金銀財宝なんかよりも至高のご褒美になる。わざわざ猫人族の奴隷になりたくて密入国してくる輩もいるくらいなのだ。ショウマがそのためにわざと密入国したかどうかまではモモはわからないが、二年前、たまたまショウマを見たモモは彼を引き取り、今は侍従として自分に仕えさせている。だが、素直になれないモモは、ショウマにわがまま放題。ある日モモは、父王から買うことを禁止されたハイヒールを手に入れるために、花嫁修業でもある刺繍や裁縫の内職をしていることを打ち明けて、ショウマに協力を仰ぐ。モモの健気なまでの心意気に感動したショウマは、快く応じただけでなく、鰹節を削る内職まで! 二人でためたヘソクリで念願の桃色のハイヒールをようやく手にしたモモに、ショウマはさらにハイヒールと同じ色の可愛いチョーカーをプレゼントしてくれたのだった。だがそのチョーカーを身に着けたモモは――なんとヒトの姿に⁉ 今までモモに忠実だったショウマの態度が一変、実はショウマは、ヒト科が建国したハボン国の王子の一人だったのだ。ショウマの手によってヒトに変身させられたモモは、ニャオン国の座敷牢に閉じ込められてしまい……
-
3.3
-
3.0短大卒業後、高校時代からバイトをしていたカフェ“セゾン”にそのまま正社員として採用されることになった森結実は、実は大人気乙女ゲーム『隠れ家カフェは恋模様』のサポートキャラでありゲームマスターでもある。カフェではイケメンたちに囲まれながら働いているが、正社員として初出社したその日、オーナーの黒川からもう一人ホールを手伝ってくれる子を採用することになったと告げられる。履歴書に書かれた名前は——桃瀬春花。『ヒロイン』登場だ! そして春花の初出勤日、春花が挨拶をしただけで、事務所の中にはハートが次々と飛ぶ。ただひとり、クールなバリスタの紫藤を除いて。1か月経っても紫藤の春花に対する好感度は上がらず、さすがに結実もあせりはじめる。春花はどうやら紫藤を気に入っているらしいというのに。イベントを発動させても紫藤は思うように動いてくれず、それどころか人の気も知らずに紫藤は結実につっかかってくる始末で……
-
4.2よりにもよって、クリスマスイブに火事だなんて! 残業後、帰路についた櫛川海鈴は、自室が燃えている現場を目の当たりにする。出火原因はシェアハウスで同居中の大河原櫻子による火の不始末だった。櫻子は会員制リゾートホテルグループの創業家出身で、社長の孫娘。火事で住む家を失くした海鈴の前に現れたのは櫻子の兄で、存在するだけで罪であるとも言える超美形の大河原望だった。望は海鈴に妹の不始末を心から詫び、「うちにご案内します。どうかゆっくり休んでください」と提案する。クリスマスイブだからホテルに空室もない。こうして海鈴は大河原家の豪邸に望と櫻子と一緒に住むことになる。さらに実家で無理やり結婚させられそうな海鈴の恋人役まで買って出てくれることになり……
-
3.8
-
-
-
2.3
-
2.0
-
3.0満開の桜の季節、一陣の風とともにリンの恋人・徳洋は忽然と消えてしまった。あれから一年。あの日と同じような桜吹雪の中、リンは徳洋の声に誘われ、気がつくと純和風の部屋に寝かされていた。起き上がって徳洋を捜そうと、時代劇のセットのようなその屋敷を歩き回るリンの前に現れたのは、怖い顔をした着物姿の女性と……お姫さま? ここは前坂加賀守の江戸上屋敷の奥。まさかトリップしちゃったとか? だが何としてでも徳洋を見つけ出さねばと、リンは奥向きの女中として働くことに。大奥生活でも自由闊達にものを言うリンは、やがて表の武士たちにも知られるところとなり、表と奥と行き来できる身になって、徳洋の姿を捜しつづける。一方の徳洋といえば……一年ほど前に前坂家の一大事に召喚の術で呼び出され、図らずもリン同じ屋敷に住み暮らしているのだった——
-
3.5リベラリア王国には、美しい双子の王子王女がいる。兄のアレッシオ王子、妹のフランチェスカ王女。その双子の伴侶を探す催しと噂されるパーティ。令嬢たちがアレッシオ王子に見初められようとそわそわする中、伯爵令嬢のキーラだけはフランチェスカへの挨拶を前に緊張している。童顔で実年齢より幼く見られるキーラにとって、美人であるうえに賢く物腰穏やかな淑女と誉の高いフランチェスカは憧れの存在なのだ。だが、謁見の際に聞こえたのは、麗しい姿とは不釣り合いな低い声。その不自然な空気にどぎまぎするキーラを側近が別室に案内する。そしてそこに現れたのは——女装王子フランチェスコ! 王国の分裂と派閥争いを避けるため、国王が「双子は男と女」と嘘をついたのが、すべてのはじまり。そしてそのフランチェスコに一目ぼれされ、訊ねもしないのに王室の秘密を知らされてしまったキーラは……
-
-
-
4.1
-
-
-
3.7
-
4.0
-
3.5叙爵式。王座に上がる隣人であり幼なじみでもあるケネスの姿を、侯爵令嬢シェリルは目に焼き付けていた。彼は今日からバートレット公爵を名乗る。シェリルは、いつしかケネスに恋心を抱いている。彼の英姿を留めるため私室でスケッチブックに向かったシェリルが気晴らしに庭に出ると、そこにはケネスの姿が。献上するために詠んだ詩の感想を聞かせてほしいと渡された羊皮紙をうっかり風で飛ばしてしまっても、ケネスは彼女を決して叱らない。天然だとか、そそっかしいとか言われるシェリルに対し、ケネスは不愛想なうえに無口。だが、転びそうになれば助けてくれるし、散歩するときは歩調を合わせてくれる。そう、ケネスは優しいのだ。言葉少なで穏やかな日をこれまで過ごしてきた二人。だが、爵位授与を祝う夜会でケネスのそばにいるのは、シェリルと同い年の公爵令嬢サンドラ。せっかく大人っぽいドレスを着てきたのに、褒めてくれるのはエスコート役の従弟アンソニーくらい。肝心のケネスからは子ども扱いされ、翌日庭で会えば「ああいうデザインはきみにはまだ早い」と言われ、邸に遊びにきたアンソニーにからかわれているうちにせっかく会えたケネスに踵を返され、少しずつすれ違ってきているような……。一方ケネスは——
-
3.3貴族の反乱で荒廃したタルキス王国に、ロンダルシア王国の王女メローネが嫁いできた。反乱を鎮め、再建を誓う若く誠実な国王カレルだが、国土は荒廃し国庫も疲弊したタルキスに、由緒ある国の若い王女が我慢できるわけがない、すぐに帰るに違いないとあきらめ気味。ところがメローネはつねにマイペースの不思議系王女。小鳥や仔馬と語り、大臣たちや王宮の下働きたちともあっという間に打ち解けてしまう。いっぽう王国には反乱貴族たちが残した呪いの爪痕が今なお残り、あちこちで怪異が起きていた。王宮に現れた巨大な白蛇を前にまったく臆せず話すメローネ。それを見てカレルは王国を襲わんとする重大な異変と、この地をメローネが訪れた意味を悟るのだった——
-
3.5駒野杏菜、29歳。大手電機メーカー・大東産業(通称DTI)勤務、ビジネスソリューション部ビジネスソリューション4課主任。独身。初めての婚活パーティーに参加するため定時で仕事を切り上げ、颯爽とヒールを鳴らしながらオフィスを後にする。学生時代までモテたが、今は彼氏なし。実は上司の課長・望月恭平に二度も振られている。望月を諦めたいが気持ちが消えず今日に至ってしまったが、いい加減他の男性に目を向けて、三十路を迎える前に彼への気持ちを断ち切りたかった。初めてのパーティーの感触は悪くなかった。だが、どこかで望月と比べてしまって、カップル不成立。そんな杏菜に主催会社の女性社長から「シークレットパーティー」の招待状が手渡される。そしてその席に現れたのは……望月さん?
-
2.8
-
3.5
-
4.2
-
4.0フランは大魔女ウルリーカの生まれ変わり。その偉大な魔法の力を欲深い人々に利用され続けてきた彼女は疲れ切ってしまい、今世ではその力を封印して平凡な村娘として静かに暮らしていくと心に誓った——はずだったのだが。甘いもの好きなフランは、それが高じて菓子作りに没入するようになり、ついにはこっそり魔法まで使う始末。やがてフランが作る“この世のものとは思えないほどおいしい”菓子の評判を聞きつけた第二王子カレヴィがフランを訪ねてくるまでに。試食したフランの菓子の味に魅了されたカレヴィは、フランを専属の菓子職人として自分の城に迎え入れる。菓子作りのことだけを考えていればいい生活に幸せを感じながら、フランは少しずつカレヴィに惹かれていく。カレヴィは「君さえよければ、ずっとここにいてほしい」というが、それは菓子作りの腕を見込まれているからにすぎない。その菓子作りに魔法を使っていることに、フランは心を痛めるようになって……
-
4.5専門商社勤務の加藤冴子は残業をしない。絶対にしない。表向き親の介護を理由にしているので、職場の仲間が冴子に何か言うことはないものの、どれほど同僚たちのきっつい視線を浴びようとも、心を鬼にして定時で帰る。実は、冴子は親の作った1000万円もの借金を返すためにハウスキーピングの副業で稼いでいる。副業禁止の会社の同僚たちに、そんなことを話せるわけがない。EUで経験を積んできた仕事に厳しい鬼部長こと森川雪広から、たまには協力してほしいと言われても振り切って帰る。だが、その週末に派遣されたのは——信じられない! 信じられない! 信じられない! 派遣先が鬼部長の部屋だなんてっ! どうしよう……
-
3.9
-
3.3
-
5.0
-
-
-
3.5隣国に留学していたベルシュランド王国の王太子イアンの帰国祝いのパーティー。イアンは留学先の王女と婚約していたが破談、今夜のパーティーは新たに結婚相手を探すためでもある。いつも以上に着飾ってそわそわする令嬢たちを尻目に、まだ結婚には関心のない伯爵令嬢のアイリーンはパーティーを抜け出して一休み。すると、空になったテーブルの脇に人が落ちてきた! 大丈夫ですか?とアイリーンが声をかけたその人こそ、今夜の主賓、王太子ではないか。しかも媚薬を盛られたと呻いている。いったい誰がこんなことを……。伯爵令嬢らしからぬ冷静なアイリーンの対応により、大事に至らず何とかやりすごすことのできたイアンは、その翌日アイリーンの屋敷を訪ね、武芸家で知られるアイリーンの兄たちとともに犯人捜しの協力を要請。アイリーンはイアンに近づく怪しい人間を見張るため、イアンと行動を共にするように。そしてその見返りに結婚相手を紹介されるのだが……
-
3.6トゼーフ侯爵家の長女ベアトリクスは好奇心旺盛で純粋無垢な17歳。淡いピンク色の髪はふわふわとした綿毛のようだし、煌めく瞳は鮮やかなエメラルドグリーンで夏の海を思い出させ、妖精のような姫だと言われている。だが実際のベアトリクスは、「“良いこと”を思いついたの」と言うたびに珍妙ことを口にする、変な姫君でもある。そんなベアトリクスが目をキラキラさせながら、侍女に打ち明ける。クゼオンダ国の教育分野に造詣の深い天才第二王子シモンとの婚約を、よりにもよって破棄することを思いついたというのだ。「私も悪役令嬢になろうと思うの!」。ベアトリクスの計画はシモンに誰か別の令嬢に恋をさせ、自分との婚約を破棄させようというのだ。折しも転入してきたばかりのカラベルト男爵家の令嬢セシリアの存在を知ったベアトリクスは、さっそくセシリアに近づくのだが……
-
4.8大手電気機器メーカー大東産業株式会社(通称DTI)に入社してそろそろ1年。藤崎真由は、約一ヶ月ぶりに恋人と会った。二人とも仕事が忙しく真由は、この日、思い切って同棲の提案をするつもりだった。雰囲気のいい居酒屋のカップルシート。ところが、着席間もなく彼から告白されたのは、他に好きな人ができたということ——。ひとり残って食事をする真由に声をかけてきたのは、取引先社員の渡瀬睦実。さきほど連れの女性に出て行かれたばかりの渡瀬。よくよく話を聞いてみると、その原因は真由に。カップルシートでひとり泣きながら食事をする真由を見つめる渡瀬に彼女は怒って帰ってしまったというのだ。同じテーブルについて二人は飲みはじめた。その夜、真由は渡瀬を誘った。そして二週間。仕事を通じて二人は再会。今度は渡瀬が真由に提案した。俺と、遊びの恋愛をしよう、と。
-
2.7
-
-
-
3.0
-
4.0
-
3.7婚約者がいることを知りながら、想い人に告白した瑠美。答えはわかっていた。諦めるために必要だった。思わず掴まれた右手を振りほどいて、恋を終わらせた瑠美。だが直後に交通事故に遭って命を落としてしまう——。その後転生し、公爵令嬢ミルヤとして二度目の人生を送りはじめる。前世の記憶を持つ者を狙う組織がある世界、箱入り娘として両親に大事に育てられてきたミルヤも18歳。結婚相手を見つけるため、いよいよ社交界デビューをすることに。そんな彼女の前に現われたのは、偶然にも前世人を狙う闇の組織を追う守護魔法団のアロルドとマリウス。そしてマリウスは夢に何度も見た“彼”によく似ていた。時を忘れて見つめ合うミルヤとマリウス。やがてマリウスがミルヤに正式に求婚したことを父から知らされるのだが……
-
3.8
-
4.0
-
3.8
-
4.3母を三年前に病気で亡くしてからひとりぼっちになったラナは、デイン王城で下働きのメイドとして細々と暮らしていた。城内では明後日からの出征を控えて盛大な壮行会が開かれ、ラナも朝から大忙し。意地の悪い侍従長とメイド頭の企みによって、ラナは、街の娼婦たちとともに兵士たちを接待する役回りを押し付けられる。軍人王と恐れられている国王ダリウスを前に、ラナは緊張からワインボトルを手から滑り落として、王のマントに染みを作ってしまう。あまりの恐れ多さに打ち震えるラナだったが、ダリウスに「気に入った」と私室に連れていかれるのだった。娼婦として抱かれたラナは、ダリウスの出征を見送ることもできず、その三ヶ月後には妊娠がわかって、バイロンから城を追い出されてしまうのだった――
-
-孤児のリゼットは、天才呪術師エルネストに見込まれて声をかけられたものの、15年経った今も才能を開花させることができず、弟弟子、妹弟子たちにも先を越されて、雑用を言いつけられても黙って従うしかない日々を送っている。使い魔くらいなら召喚できるのでは、と陣から出てきたのは……悪魔! そこに現れたエルネストは、リゼットを助けるどころか彼女をそしるのみ。悪魔に立ち向かうも全く歯が立たず、それどころか、悪魔はリゼットを「主」と呼び、彼女を傷つけようとするエルネストを死の寸前にまで追いやってしまったのだ。もうここにはいられない。リゼットと絶対服従を誓う悪魔オリアスとの逃避行がはじまった――
-
3.0
-
3.0
-
4.2貧乏伯爵令嬢のリリスには、王都で治安を守る警吏騎士として働く兄・レックスがいる。レックスが暮らす騎士寮の寮母が腰を痛めてしまい、不足人員を補う為にしばらく寮で食事係として働くことに。しかし寮母の娘であるアメリアは、リリスに対してよく思っていないようだ。伯爵令息だが騎士団で働くグランヴィルは、口数は少ないながらも優しくリリスに接してくれる。しかしアメリアから「グランヴィル様は誰に対してもお優しいの」と釘を刺されてしまう。だが、めげずに前向きに頑張るリリス。次第に周りに良い影響を与えていき――。
-
3.2伯爵家の愛人の子として別邸で母と静かに暮らすはずだったミランダ。正妻からの苛めはエスカレートしていき、母の死後はとうとう修道院に追いやられてしまった。修道院でも院長や修道女からは奴隷のような扱いを受けるうちに、感情を表に出さない娘になる。修道女としての最後の試練は俗世への未練を断ち切ること。そのため、一時期元の生活に戻るという修行を迎え、五年ぶりに修道院の門をくぐるのだった。行くあてがあるわけでもないミランダを出迎えたのは、見知らぬ美丈夫の抱擁。「おまえは五年前の約束通り、責任を取っておれと結婚するんだ」と言われる。身に覚えのない言葉に驚くミランダだが、ヴィクターと名乗るこの青年は問答無用でミランダを自邸に連れていき、気前よくドレスや風呂、豪華な食事を振る舞うのだった。この人はいったい誰? なぜわたしのことを知っているの?
-
3.0侯爵であり騎士団長のカルヴィンを慕っている伯爵令嬢のジェシカ。父の親友である彼から受ける子ども扱いに不満を抱いている。想いを伝える方法はないだろうか。ジェシカの気持ちが空回りしている様子に、メイドのボニーは、「誘惑なさっては?」とアドバイス。あでやかなナイトドレスを身に着け、ボニーの手引きで、ジェシカは彼が滞在している部屋へ夜這いを仕かけることに! 彼は「閨事の勉強でもしにきたというのか?」と問い、今まで見たこともないような怖い顔をする。そしてジェシカに覆いかぶさり――翌朝、カルヴィンは一夜の責任をとろうと、ジェシカの父に婚姻の許可を取りに向かうが、裏切られたと激怒する父に邸から追い出されてしまうのだった。
-
-
-
4.3
-
3.8
-
4.0
-
3.4王宮侍女のロシータは、仕事一筋のあまり侍女仲間から変わり者扱いされている。コンプレックスの赤毛を揶揄されるばかりか、時には嫌がらせを受けることも。だが、侍女室長とは深い信頼関係で結ばれていて、周囲の声は気にならない。ある日、侍女室長から騎士団棟の会議の準備を頼まれる。そこで三年ほど前に助けてもらったことのある、憧れの騎士団長・レオンシオと再会したロシータは、母の形見のペンダントを一緒に探したことから、レオンシオと急速に接近していく。やがて、二人は愛し合うように。だが、それを知らない王太子がレオンシオに縁談を持ちかけたと聞き、ロシータはレオンシオの将来を思えば身を引くことを決意するのだった……
-
4.7同期入社の雛子と湊。互いを認め合い、競い合い、愛し合った。だが時が経つにつれ、お互い気持ちに余裕がなくなり、衝突する日々に。疲れきった二人は、湊の海外転勤を機に別れを選んだのだった。それから三年。湊は帰国、雛子の所属する課に異動となった。戸惑う雛子だが、優秀な営業マンの湊は打てば響くように雛子の仕事をサポートしてくれる。再びあの頃のように……というわけにはいかない。ちょっとしたすれ違いから喧嘩勃発。先に幸せになるなんて、許せない!! 二人は競うように相手の幸せの片鱗を見つけては毒を吐き合い、ますます関係を悪くしていく。嫌いで別れたわけじゃないのに――素直になれない二人の拗らせ愛の行方は!?
-
3.0
-
3.5
-
4.3
-
4.0
-
4.2三人姉妹の末っ子である清香は、一生結婚しない、と決めている。高校生のころ、長姉の恋人であった晴人。清香が唯一心を開き兄のように慕っていたその晴人は、二人きりの時にキスばかりかそれ以上のことまで迫って、清香の心を深く傷つけた。両親の離婚が元で男性に対して根強い不信感を抱いていた清香にとって、それは今でも許せない出来事だった。あれから七年。二十五歳になった清香は変わらず男性不信でカレシができたことはない。そんなある日、見かねた次姉から半ば強制的に勧められた合コンに参加すると、よりにもよって晴人が現れたのだ! なぜここに? 苛立ちを抱きつつ早々に店を出る清香だが、追いかけてきた晴人に、謝りたかった、ずっと好きだったといきなり告白されて――
-
3.0この春、総合商社に入社ばかりの奈子。ゴールデンウィークも終わりのころ、一人で入った近所の割烹『さち吉』で隣席の客と親しくなる。彼の名は西浦瑛介。先日ニューヨークから日本に帰ってきたばかりの紳士的な西浦とすっかり打ち解け、奈子は来週もこの『さち吉』で西浦と会う約束する。連休明けに出社すると、なんとそこに西浦が!? 彼は部長として奈子の配属部署に着任したのだった。こんな偶然ってある!? 驚く奈子を、西村は自分のアシスタントとして配置し、自ら指導するように。二人きりになれば、緊張する奈子に西浦は甘い言葉をささやいてくる。「こんな偶然ってある? 俺と付き合わない?」――付き合う? 部長と?
-
-可南子には大学時代からつきあってるカレシがいるが、今は破綻状態。別れたほうがいいと思いつつも、一人になるのが嫌で惰性で交際を続けている。そんなある日、会社に常駐しているIT会社のエンジニアである白石に飲みに誘われる。イケメンで社内でも女性ファンの多い白石だが、左手の薬指には結婚指輪が。このお誘いはよくないことでは? 混乱している可南子に白石は言う。「俺、独身なんだ」 どういうこと!? 聞けば、常駐先の会社で女性関係のトラブルに遭わないよう、カムフラージュの指輪をしているとのこと。「二人だけの秘密」と言われるが、このお誘いはなに? カレシがいるのに誘ってくるなんて!?
-
4.5
-
4.7下級神官のリーンは霊感が強く、霊が見えるだけではなく会話もできる。そのためやたらと霊が寄ってくる。ある時面倒な悪霊に狙われていることがわかり、先輩神官に相談したところ、若き大神官のエドアルドを紹介される。能力だけではなく、容姿までも神に愛された天才だと噂では聞いていたが、あまりに顔の良さに、霊感の強いリーンには拝顔即昇天する霊たちがはっきりと見えるほど。しかしそんなエドアルドには、まるで霊感がない。リーンはエドアルドに守ってもらう代わりに彼の仕事を補佐することになるが、なんとエドアルドの部屋をルームシェアすることになった。恐れ多いと恐縮するリーンと女嫌いのエドアルド、それでも若い男女なのに、二人の生活はなんとも健全極まりない。だが、王宮から新たな依頼が舞い込み、そのためなんと二人で疑似恋愛をすることになってしまって!?
-
3.0
-
3.0
-
4.3
-
-
-
3.3
-
3.5
-
3.3グレイスはガナイシュ帝国の南東に位置する小さな国、アリーフェン王国の王女。帝国の皇太子フェリクスに秘かに恋心を抱いている。皇帝の在位三十年を記念する舞踏会に出席したグレイスは、そこで媚薬を盛られて苦しむフェリクスと遭遇。なんとかしなければ――その一心から身を挺してフェリクスを救おうとする。翌朝、フェリクスから“責任を取るため”求婚すると言われ、傷つくグレイス。フェリクスを愛しているからこそ、責任を果たすための愛のない結婚をするなんて――。皇太子妃となったグレイスに、小国の王女如きと周囲の目は冷たい。特に公爵家の令嬢ベラドナはグレイスがあらぬ嫌がらせをするとフェリクスに訴えて……
-
2.5レオノーラは王女らしからぬ家事を好み、特に料理や裁縫が得意。だが、周囲は誰もそれを歓迎せず、眉を潜めるばかり。城の中でレオノーラは窮屈な毎日を送っていた。ある日、お忍びで出かけた街でラディという四歳の少年出会い、ひとりぼっちの彼にクッキーを焼くことに。やがて帰宅した父親であり医者であるヴィンセントと出会い、多忙そうな彼の話を聞いて十日間だけ彼らの身の回りを世話することに。レオノーラを気遣うだけでなく、料理をおいしいと言い、解れたボタンを直せば喜んでくれるヴィンセントを前に、自分が役に立っていることが嬉しく思うレオノーラ。だがそれを兄王夫妻に知られ、強制的に縁談を決められてしまう。ヴィンセントへの募る想いを抱きつつ、レオノーラは縁談先の国へと嫁いでいくのだが――
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。