ライトノベル - 天海社作品一覧
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4.2精鋭の騎士団で知られる大国アルデーリアに生まれた王女レオーネは、敵国から「金獅子」と恐れられるほどの勇猛な将軍である。幼い頃からドレスを着て淑やかにしているよりも剣の修練に明け暮れる方が性に合っていた彼女は、他の姫たちが煌びやかな夜会へ出かけているときも、鎧をまとって戦地を駆けていた。レオーネ自身もまた、その生涯を剣に捧げるものと思っていた。 ある日レオーネのもとに、熾烈な戦いを続けていた魔法大国ゼルジオスとの停戦の報せが舞い込む。今までさんざん自分を苦しめてきた敵国とはいえ、宿敵が急に目の前から消えてしまったことに戸惑うレオーネ。そんなレオーネが、父王より「結婚せよ」と命じられた相手は、敵将ベルトルドだった。戦場で幾度となく剣を交えた好敵手であり、今や国家存亡の危機にあるゼルジオスをたったひとりで支えている元帥であった。
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5.0「俺のことは忘れてどうか幸せになってくれ」——幼い頃から剣術に励んできたレジーナは、騎士団に入団するため王都へ旅立つ幼馴染のフレデリックと、生まれ育った町を一望する丘で夕日に包まれながら愛を誓い合った……はずだったのに、彼から届いた手紙にはそう綴られていた。たったの一カ月で心変わりするなんて信じられない! 怒りを胸に、レジーナは剣術の修行に没頭し、四年後には町の自警団で最強の剣士となるまで成長を遂げた。ある日、山賊に襲われていたシャーロット王女を救ったことで、レジーナは彼女の護衛として騎士団入団を勧められる。シャーロット王女は反対勢力に狙われており、婚約者も襲撃されて重傷を負ったという。事情を知ったレジーナは二つ返事で引き受け、騎士団入団を決意する。入団式を終え、近衛隊に配属されたレジーナが上官に挨拶にいくと、そこにいたのは——四年前に自分を捨てたフレデリックだった! 心の整理がつかないまま、国王主催の夜会で警備任務に就くと、そこへ現れたのはシャーロット王女の婚約者を演じる、仮面をつけたフレデリックで——
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-エレーナは幼い頃「俺がきみを守るから」と言って助けてくれたユリウスに恋している。今、彼は隣国へ留学中だ。帰国したらこの想いを告げる、と決めている。ユリウスがいないこの五年間、エレーナは女性らしすぎる抜群のスタイルに成長し、多くの男性から迫られるようになっていた。元来気弱で泣き虫だった彼女が男性嫌いにならずにすんだのは、ひとえにユリウスという初恋の人がいたからだ。男性からの誘いをトラブルなくかわすため、あの手この手を使って逃げている間に、女性たちから「手練れている」「男を弄ぶ慣れた女」「誰とでも関係を持つ」というレッテルを張られ、さらにはひどいいじめも受けるようになっていた。そうした日々もユリウスから届く手紙に励まされ、いよいよユリウスが帰国——だが、ユリウスは女性たちに囲まれ、まんざらでもないような表情で楽しげに話をしているではないか。女性慣れをした様子にエレーナの心は凍る。知らない間にユリウスは、遊び人になってしまった!?
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-クライノート王国の王宮に仕える上級侍女・エリノアは掃除の途中、千年もの間、誰も抜くことができなかった聖剣をうっかり抜いてしまう……。聖剣を抜いた者は魔王から王国を守る勇者であると昔から人々によって語り継がれてきた。 でも、エリノアが望むのは穏やかで安定的な生活。もし勇者になれば、上級侍女の仕事を失い、唯一の肉親である病弱な弟・ブラッドリーを守れなくなると慌てるエリノア。さっそく聖剣を元に戻し始めるが、国王をはじめ周囲からの信頼も厚い、クライノート王国の第二王子・ブレアにその現場を目撃されてしまう……。 さらに、エリノアが聖剣を抜いたことで、ブラッドリーの身体で魔王・ダスディンが転生し、ヴォルフガング、グレンという魔物たちも魔界からやって来て……!? 「ちょっぴり間抜けながらも愛らしい上級侍女」と「きまじめイケメン王子」が織りなすラブコメディがシリーズ1巻~7巻の全7巻を1冊にまとめた合本版で遂に登場!
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5.0飢餓と魔物の襲撃から国を守った元大聖女のソフィアは、すべての神聖力を使い果たして失業中。恩賞として生涯困らないほどの金銀は得たものの、働かないと落ち着かないと就職活動に勤しんでいた。だが、国を守った英雄を雇うなんて恐れ多い! と、どこも雇ってくれずに途方に暮れていた。そんな時、彼女が偶然再会したのは、昔馴染みの騎士団長・ウィルフレッド。事情を話すと、騎士団で長く雇ってくれるというではないか——否! 長年、ソフィアに片思いをしていたウィルフレッドは、「永久就職先候補なら、ここにあります」と言ったのだ。プロポーズをしたのである。喜々として騎士団に入団したソフィアは、聖女として培った医療関係の知識や炊事のスキルを存分に発揮し、団員たちの士気は高まった。ウィルフレッドが「好きだ!」と言えば、「私もです!」と元気に返される始末。そんなある日、ウィルフレッドに縁談話が持ち上がり……
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-ランベール王国ブランジェ公爵家の長子であるリリアナは、七度目の婚約破棄を宣告され絶望に打ちひしがれていた。ある日、今後の話をするため父の執務室へと向かったリリアナだが、部屋の中からは言い争う声が。弟であるノエルが聖女との婚約はしないと言って、父と揉めているようだ。思わず扉の外で聞き耳を立てたリリアナだったが、続けて飛び込んできたのは、自身が養子であり、血の繋がりがないという衝撃の事実だった。ショックを受けたリリアナだが、それだけではない。先ほど聞こえた、姉上がいるから聖女と婚約しないと言ったノエルの言葉——。ブランジェ公爵家の後継者であるノエルが、出来の悪い姉のせいで優秀な婚約者を逃してしまうわけにはいかない。そう考えたリリアナは、ブランジェ公爵家から去ることを決めたのだが……!?
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-契約社員として総合商社に勤める沙莉。今夜も残業を終えて馴染みのバーで飲んでいると、男女の別れ話が聞くともなしに聞こえてきた。女性の身勝手とも思える言い分にもやもやしながらも、そんな女性に潔く終わりを告げる男性にどこか心惹かれた沙莉は、一杯ごちそうしようかなどと考えていた。やがて沙莉の隣に移動してきた男性の横顔を見てみれば……なんと同じ会社の営業部のエース・浅染だった。愚痴に付き合ってと言われるままに、沙莉の失恋話も告白することに。以来ふたりは距離を縮めていく。浅染に惹かれていることを自覚する沙莉だったが、引く手あまたの人気者である浅染には噂話や女の影が絶えない。この心地よい関係を失わないよう、沙莉はかつて幼なじみへの恋を封印したように、浅染に芽生えた気持ちも封印すると決意する——
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-出社したら会社が倒産していた。オフィスからは物が消え、社長とは連絡がつかない。ビルのオーナーに倒産したと告げられたが、石川志穂は事実をまるで受け入れられなかった。その上、家賃が払えないなんて、同棲している三歳年上の恋人が不機嫌になるに違いない。沈んだ気持ちでアパートに帰った志穂を待っていたのは、明らかに“事後”だとわかる全裸の男女の姿。ショックと絶望感から怒りが沸き上がり言い合いになるものの、志穂は彼氏と浮気相手の女に侮辱され家を飛び出してしまう。仕事も住む家も失ったまま、カプセルホテルや漫喫を転々とする日々。そんな中、疲れ切った志穂に声をかけてきたのは、高校時代からの親友の一人・宏樹だった……。
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-柚木玲奈はデザイン会社で働く地味な二十六歳。そんな玲奈は大好きな作品のキャラである悪役令嬢・シルヴィに憧れ、ヤンデレ騎士王アルベールとの恋物語を心の支えにしていた。だがある日、玲奈は不幸にも車にはねられてしまう。目覚めた先は中世ヨーロッパ風の世界で、彼女は大勢の人に罵られながら——火刑にされていた!? 火刑により命を落とした玲奈に、謎の女性が語りかけてくる。『私の力を与える。だから、お前はもう一度生きなさい。そして、できる事なら彼を救ってやってくれ』 再度、深い眠りから覚めた時、玲奈は長い黒髪に豊満な胸を持つ美女に生まれ変わっていた。玲奈の目覚めを泣いて喜んだのは、金髪碧眼イケメン。「私、彼を知ってる——」あろう事か、目の前にいるのは憧れの騎士王アルベールその人だった!? なら自分は転生もののテンプレート通りにシルヴィに生まれ変わった!? ……と思いきや、玲奈はシルヴィとアルベールに倒される運命にある、モブ悪女Aであるオルガに生まれ変わっていた! しかもアルベールはオルガを見放したはずなのに、熱い眼差しで見てきて……!?
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-クライノート王国の王宮に仕える上級侍女・エリノアは掃除の途中、千年もの間、誰も抜くことができなかった聖剣をうっかり抜いてしまう……。聖剣を抜いた者は魔王から王国を守る勇者であると昔から人々によって語り継がれてきた。 でも、エリノアが望むのは穏やかで安定的な生活。もし勇者になれば、上級侍女の仕事を失い、唯一の肉親である病弱な弟・ブラッドリーを守れなくなると慌てるエリノア。さっそく聖剣を元に戻し始めるが、国王をはじめ周囲からの信頼も厚い、クライノート王国の第二王子・ブレアにその現場を目撃されてしまう……。 さらに、エリノアが聖剣を抜いたことで、ブラッドリーの身体で魔王・ダスディンが転生し、ヴォルフガング、グレンという魔物たちも魔界からやって来て……!?
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4.3フリーのアクセサリーデザイナー・凛は、売上悪化を理由に取引先のショップから契約を打ち切られてしまう。その足で立ち寄った行きつけのバーで、普段から凛のアクセサリーを愛用してくれているバーテンダーの楓に励まされ、ようやく気持ちを立て直した凛だったが、店を出たところで自転車に接触。「大丈夫?」と声をかけてきたのは、同じバーから出てきた、いかにも社会的地位の高そうな拓真だった。凛のアクセサリーのファンだという拓真に、傷の手当てをするからと連れていかれたのは高級ホテルのスイートルーム。ナンパ目的とは思えず、またホテルの従業員の態度からも、すっかり拓真を信頼した凛は、仕事の話をするうちに少しずつ自信を取り戻していく。やがてどちらからともなく求め合い……だが、翌朝、そこには拓真の姿はなかった。絶望的な気持ちの凛に、やがて妊娠が判明。一人で娘を出産し、アクセサリー制作の仕事も続ける凛のもとに、ある日突然拓真が思い詰めた表情で訪ねてきた。どうして、今さら……?
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-神様達のミスのお詫びで転生し、子爵令嬢として生きるエミーリア。失敗の償いとしてオウムの姿をした守護天使・ルイもいて、まんざら悪くない毎日を送っている。意に沿わない婚約者に頭を痛めていたが、ある時、一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。周囲が心配する中、エミーリアは、これ幸いと女官長を目指そうと考える。王宮内を牛耳る裏ボスを目指すのだ。だがフリーになった娘を案じる父が、妃教育に応募してみてはどうかと言い出した。やっと自由になれたのに、王太子妃なんて窮屈な生活を送るのはまっぴらごめんと断固拒否。すると、従姉妹のクリスティナを王太子妃にできれば女官になることを認める、と父が交換条件を出してきた。何としても、クリスティナを磨き上げなければ……。奮闘するエミーリアに目を付けたのが、なんと第二王子のキース。なにかとかまってこられて大迷惑なんですけど! 本書は、『婚約破棄されたので王宮の裏ボス目指します!』(2017年5月アルファポリス刊)及び『婚約破棄されたので王宮の裏ボス目指します!2』(2017年12月アルファポリス刊)を大幅に加筆修正のうえ、全3巻に再編集しました。各巻書き下ろしSS付き!
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3.3貴族の反乱で荒廃したタルキス王国に、ロンダルシア王国の王女メローネが嫁いできた。反乱を鎮め、再建を誓う若く誠実な国王カレルだが、国土は荒廃し国庫も疲弊したタルキスに、由緒ある国の若い王女が我慢できるわけがない、すぐに帰るに違いないとあきらめ気味。ところがメローネはつねにマイペースの不思議系王女。小鳥や仔馬と語り、大臣たちや王宮の下働きたちともあっという間に打ち解けてしまう。いっぽう王国には反乱貴族たちが残した呪いの爪痕が今なお残り、あちこちで怪異が起きていた。王宮に現れた巨大な白蛇を前にまったく臆せず話すメローネ。それを見てカレルは王国を襲わんとする重大な異変と、この地をメローネが訪れた意味を悟るのだった——
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4.3ただいま。エミィ、今日もかわいいね。愛してるよ——旦那様が帰ってきた。でも、わたしたち、離婚したはずですよね? あなたは今朝、離婚の手続きをすると言って出ていきました。あなたは今朝、「いままでありがとう、どうか元気で」とわたしに別れを告げて出ていきました……よね? わたしたちは本当の夫婦になれなかった。だってあなたの心にはずっとあの聖女様がいて……。清い関係のまま過ぎていったこの2年。兄が出場していた闘技大会で偶然出会った旦那様は、氷の公爵家の跡取りで、騎士団の副長。水の男爵家に生まれたわたしとは家柄も、使える石の能力も違いすぎました。そしてわたしたちは、離婚した……はずなのに、なんなの、旦那様のこの溺愛っぷりは……?
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4.2今やこの屋敷に、エメロードが主の実娘であることを知る者はいない。エメロードは、使用人同様——いや、さらにひどい扱いを受けている。サルファス男爵家を仕切るのは、エメロードの継母サビーヌと連れ子のラニエ。母を亡くしてからわずか三か月、父はサビーヌと再婚した。その父も、心の病で遠い州端の教会病院に入院させられている。あれから四年半。サビーヌが意に反する者を次々と解雇するため、使用人たちの顔ぶれもすっかり入れ替わってしまった。いじめ抜かれて心も麻痺してしまったエメロードのもとに、ある日、国王の側妃として迎えたいとのお触れが届く。王妃に子ができないためだというが、一度も面会したこともないエメロードは戸惑い、継母と義姉はヒステリックに喚き立てる。誰もが現実を受け入れられないまま、翌日エメロードを迎えに来たのは、国王の異母弟ジルベスト。政争を避けるため臣籍降下したジルベストは、エメロードに代わってラニエを側妃にと抗議するサビーヌに冷徹に対応し、エメロードを城へと導いた。国王一家と対面を果たしたものの、お渡りがまったくない日々、エメロードを気にかけてくれるジルベストに、エメロードは少しずつ心を開いていく——
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4.0エルド王国のディトン伯爵家の長女・レイリアは、嫁ぐ義妹を前に奥歯をギリギリと噛みしめていた。事あるごとに張り合ってきた義妹アンジェラが、小国の第三王子とはいえ玉の輿婚を果たしたのだ。悔しさに唇を噛むレイリアは、義妹を超える「王妃」の座を目指すことを誓う。そんなある日、王立銀行の使者が彼女を訪ねてくる。首を傾げるレイリアに銀行員が告げたのは、彼女の祖母が、生前、身寄りもなく仕事を失った青年に船を与え、その青年が今や海運王と呼ばれるほど財を築いたという話だった。その恩返しとして、レイリアに財産の半分を相続させたいという。一夜にして大富豪となったレイリアだが、義母の広めた噂によって、財産目当ての求婚者が押し寄せる。追い詰められた彼女の前に現れたのは、第二王子アシュレイン。彼はレイリアを救い、「俺と結婚するのはどうだろう?」と提案する。王子の求婚は断れない、しかし第二王子では「王妃」にはなれない。悩むレイリアは、親友アリスのアドバイスで「夫選びの競技会」を開催することに。果たしてレイリアは、目指す「王妃」の座を手に入れることができるのか!?
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4.0フランは大魔女ウルリーカの生まれ変わり。その偉大な魔法の力を欲深い人々に利用され続けてきた彼女は疲れ切ってしまい、今世ではその力を封印して平凡な村娘として静かに暮らしていくと心に誓った——はずだったのだが。甘いもの好きなフランは、それが高じて菓子作りに没入するようになり、ついにはこっそり魔法まで使う始末。やがてフランが作る“この世のものとは思えないほどおいしい”菓子の評判を聞きつけた第二王子カレヴィがフランを訪ねてくるまでに。試食したフランの菓子の味に魅了されたカレヴィは、フランを専属の菓子職人として自分の城に迎え入れる。菓子作りのことだけを考えていればいい生活に幸せを感じながら、フランは少しずつカレヴィに惹かれていく。カレヴィは「君さえよければ、ずっとここにいてほしい」というが、それは菓子作りの腕を見込まれているからにすぎない。その菓子作りに魔法を使っていることに、フランは心を痛めるようになって……
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4.0DTIの本社ビルに勤務する樺島ルミは、総務課催事係の係長。出張もあれば、休日出勤もある。イベントの際は立ちっぱなしだし、あちこち走り回るが、体力には自信がある。大きなイベントを控えたある日、腰に激痛が走って息苦しさまで覚えたルミが医務室へ行くと、産業医の涌井からは貧血および尿路結石との見立て。このまま病院へ行くこと、水分補給、トイレ、食事の内容、休息……と事細かく指示してくる。あげく、「仕事禁止!」とまで宣告されてしまった。勝手なことを言わないで、こっちは忙しいのよ!と無視を決め込むルミだったが、涌井は所かまわず出没してルミにつきまとう。ある日食事に誘われたルミは、すっかり涌井の巧みな会話に乗せられ、つい年下彼氏に振られた時の話をしてしまった。そう、あの時のことが、ルミにとっての仕事の起爆剤だったのに——
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-午前七時。栄えあるハートフィールド王立騎士団に所属するリアンヌの一日は、寝起きの悪さで有名な第二王子のクライヴを叩き起こすことから始まる。クライブからは何度となく「俺と結婚してくれよ」と告げられてはいるが、リアンヌは真に受けていない。身分差を考えてだけのことではない。リアンヌにはひそかに恋心を抱いている人がいるのだ。まもなく、クライブの二十一歳の誕生日を迎える。成人を祝って開かれる盛大な舞踏会に向け、クライブにダンスの相手を買って出るリアンヌに、クライブはまたもやプロポーズ。だがリアンヌの想い人は……第一王子のアーノルド? 三年前、リアンヌを王立騎士団に導いてくれたその人は仮面を付けていた。本当に“彼”がアーノルドかどうかも自信がない。自信はないが、クライブの求婚を受けるわけにはいかない。そして舞踏会当日、クライブは国王から王位承継者はお前だと指名されて……
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4.5馬車の事故で前世が32歳の会社員であることを思い出したカンデル子爵の娘、10歳のコゼット。実母マリーンからは虐待に近い扱いを受けていたのだが、事故の後、そんな母親の様子がおかしい。「コゼットたーん!」と突如溺愛してくる母に戸惑いしかない。不審に思い母のベッド下にあった日記を見ると、なんと母も転生者で同じ事故で記憶を取り戻したのだと知る。しかもマリーンの前世は17歳の女子高校生だった! 日記によると、ここは彼女が愛読する漫画に描かれた世界。聖女コゼットがヤンデレ王太子クリスと結婚すると、悪役母マリーンは処刑されてしまうらしい。「死にたくない!」とコゼットを溺愛してくるマリーンだが、やることなすことポンコツすぎて、何度もコゼットに死亡フラグが立ちまくる! 「だめだ、この母親、ポンコツすぎる……!」 ポンコツ母としっかり娘、そして時々ヤンデレ王太子の、溺愛・執着ラブコメディ。
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-フリーライターの中川理世は、女性ファッション雑誌『オルグイユ』の企画記事の依頼を受けた。テーマは「スーツ」。理世はその中の『街で見かけた素敵スーツ男子』を探し出して記事にするため、取材を受けてくれるサラリーマンの発掘作業をすることに。 何日経っても声をかけたいと思える人に会えずにいたある日、諦めかた理世の前に、ずっと求め続けていた素敵スーツ男子のお手本のような人が現れた。 咄嗟に追いかけて取材を申し込み、説得を試みる理世だったが、返ってくるのは拒否の言葉と鋭くて冷たい視線。 威圧的な彼の空気に呑み込まれそうになる理世だったが……
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4.2貧乏伯爵令嬢のリリスには、王都で治安を守る警吏騎士として働く兄・レックスがいる。レックスが暮らす騎士寮の寮母が腰を痛めてしまい、不足人員を補う為にしばらく寮で食事係として働くことに。しかし寮母の娘であるアメリアは、リリスに対してよく思っていないようだ。伯爵令息だが騎士団で働くグランヴィルは、口数は少ないながらも優しくリリスに接してくれる。しかしアメリアから「グランヴィル様は誰に対してもお優しいの」と釘を刺されてしまう。だが、めげずに前向きに頑張るリリス。次第に周りに良い影響を与えていき――。
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3.6トゼーフ侯爵家の長女ベアトリクスは好奇心旺盛で純粋無垢な17歳。淡いピンク色の髪はふわふわとした綿毛のようだし、煌めく瞳は鮮やかなエメラルドグリーンで夏の海を思い出させ、妖精のような姫だと言われている。だが実際のベアトリクスは、「“良いこと”を思いついたの」と言うたびに珍妙ことを口にする、変な姫君でもある。そんなベアトリクスが目をキラキラさせながら、侍女に打ち明ける。クゼオンダ国の教育分野に造詣の深い天才第二王子シモンとの婚約を、よりにもよって破棄することを思いついたというのだ。「私も悪役令嬢になろうと思うの!」。ベアトリクスの計画はシモンに誰か別の令嬢に恋をさせ、自分との婚約を破棄させようというのだ。折しも転入してきたばかりのカラベルト男爵家の令嬢セシリアの存在を知ったベアトリクスは、さっそくセシリアに近づくのだが……
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4.5ポンコツすぎる悪役令嬢・ベアトリクスと、そんな彼女を“鳥かご”に閉じ込めようとする第二王子・シモン。すったもんだの末、いよいよ結婚式を迎えることに。国中が祝賀ムードに沸く中、突如として現れたリテルシア辺境伯から結婚の異議申し立てを受けたベアトリクス。なんと、いじめと殺人未遂の容疑がかけられていると告発されたのである。そして証言者であり当事者でもあるという辺境伯の娘・フレールの涙ながらの訴えを受け、ベアトリクスはとうとう王城の奥の塔に幽閉されてしまう。ハラハラしながら事態を見守る侍女・マーガレットを傍目に、相変わらず“良いこと”を思いつくベアトリクス。今度の“良いこと”とは、国外追放。そこに駆けつけたのは、ベアトリクスの専属秘書官・セシリアだった——。ベアトリクスとセシリア+αの旅が始まる……
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-ようやく結婚し、初夜を迎えたベアトリクスとシモン。だが、父から一年は清い関係であるようにと言い渡されたベアトリクスから、同じベッドで休むのは週に一度という宣言を受けたシモン。キスさえも禁止? いやいや、ベアトのためなら添い寝でも……と理性でわが身を抑えるシモンに、 “良いこと”を思いついたベアトリクスは、「こうして毎日一緒に眠れる機会を作るために新婚旅行に行きましょう!」と提案。折しも隣国のチジル王国から第二王子の結婚セレモニーに招待された二人は、表敬訪問を兼ねて新婚旅行に出かけることになった。もちろん大親友のセシリアも一緒だ。旅を満喫する三人は、道中で子爵であるトリスタンと、その妻アンネリーヌと出会う。この二人は自転車を開発したり、植物の改良を行ったりと、なかなか素晴らしい才能を有した夫婦で、ベアトリクスの心を鷲掴みにする。さらにアンネリーヌはかの有名な“悪役令嬢”でもあったのだ——
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4.2ミシュリーヌは結婚願望ゼロの伯爵令嬢。それでも婚活はしている。時々〝おいた〟をする美形の家族に囲まれ、〝美形は恋愛にだらしない〟との想いから、イケてない容姿の男性に声をかけまくっては撃沈――を繰り返す連戦連敗の日々。 そんなミシュリーヌに王妃仲介による縁談が持ちあがる。相手はなんと第二王子のティエルだ。貴婦人たちに絶大な人気を誇るイケメン王子ティエルと事実上婚約することになったミシュリーヌは、なんとかこの縁談を破談すべく王宮で逆奮闘するのだが、頑張れば頑張るほどなぜかティエルはグイグイ迫ってきて――って、いったいどういうこと!?
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4.8大手電気機器メーカー大東産業株式会社(通称DTI)に入社してそろそろ1年。藤崎真由は、約一ヶ月ぶりに恋人と会った。二人とも仕事が忙しく真由は、この日、思い切って同棲の提案をするつもりだった。雰囲気のいい居酒屋のカップルシート。ところが、着席間もなく彼から告白されたのは、他に好きな人ができたということ——。ひとり残って食事をする真由に声をかけてきたのは、取引先社員の渡瀬睦実。さきほど連れの女性に出て行かれたばかりの渡瀬。よくよく話を聞いてみると、その原因は真由に。カップルシートでひとり泣きながら食事をする真由を見つめる渡瀬に彼女は怒って帰ってしまったというのだ。同じテーブルについて二人は飲みはじめた。その夜、真由は渡瀬を誘った。そして二週間。仕事を通じて二人は再会。今度は渡瀬が真由に提案した。俺と、遊びの恋愛をしよう、と。
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-すべての記憶を失ったマリアンヌは、保護された修道院を突然訪れたアーサー・ルイ王子によって王宮に連れていかれる。麗しく凛々しいアーサー・ルイに恋心を抱きつつ、王子の庇護のもとで記憶を取り戻そうとするマリアンヌだったが、まったく思い出す気配はない。わかっているのは、隣国ノルガイル国の民であるということくらい。一方、アーサー・ルイは長く対立してきたノルガイル国の王女が行方知れずになったという情報を得、マリアンヌこそ、その王女ではないかと考えるようになっていた。何か思い出せるのではと、アーサー・ルイは、彼女を初めて見たシルヴィアの森に連れていく。両国の争いの火種となってきたその森には、妖精たちが住むと言われている。そしてあやかしの力に触れたとき、マリアンヌは真実を知らされ――
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4.0同期――仲間でありライバルである存在。だけど愛梨沙にとって猪狩は心ときめく存在だった。 内定者研修の時に一目惚れ。班が一緒で近づくことができるかと期待したのに、愛梨沙のことを「そういう意味では無しかな」と同僚に告げているのを聞いてしまう。無し。とてつもない否定の言葉。女としてダメってこと。だから愛梨沙は「ケンカ友達」のポジションを獲得することにする。これなら常に楽しく共に過ごせるから。 そんな時、歓迎会が開かれ、愛梨沙はかなり飲んで酔ってしまう。そんな愛梨沙を猪狩が部屋まで運んでくれたのだが、どさくさまぎれ?でキスをされる。心が期待で舞い上がる。愛梨沙はこのシチュエーションと酒の力を借りて「もっとする?」と誘い、二人は特別な関係になったものの――
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-少尉として騎兵隊に配属されたカッセル伯爵家の長女エルヴィーラは、任官に際して「愛を結ぶ」薔薇輝石を与えられ、『薔薇輝石の少尉』と称することとなった。その叙任式で出会った第三王子・クリスティアンは、忌まわしいとされる『焔の瞳』の主であり、エルヴィーラは彼とのただならぬ縁を感じた。すれ違うだけで、体の芯にまで響くようなびりりとした凄まじい衝撃に襲われたのだ。『騎士姫』と呼ばれるエルヴィーラに、クリスティアンもまた興味を抱いていた。この国には『龍の民』と呼ばれる民族がおり、地方の鉱山付近で龍の民の子どもが殺されたとのこと。そこは、半年もの間行方知れずとなっているエルヴィーラの妹・レーナが姿を消した場所でもあった。エルヴィーラとクリスティアンは、龍の民たちとの縁から、この世には【魂のつがい(クィンツィー)】と呼ばれる、生まれついての、人の力ではどうしようもない運命の相手がいることを知る。【主(メスタヴ)】と【僕(コーヴァツ)】。 【魂のつがい(クィンツィー)】たる運命によって結びつけられたふたりの抗えない関係性は、エルヴィーラを変えていく——
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4.0気がつけばなぜか深い森の中にいた美容師の珠南。仕事帰りのはずなのに、なぜ? 珠南を拾ったのはユーグライトという名の、この聖域の『総長』だという。彼の説明では、ここは珠南から見れば異世界で、世界と世界が影響することによって起こる大波の力でこちらの世界に『漂流』してしまったらしい。なにを言っているのかさっぱり理解できないが、とにかく元の世界に帰りたい。その力をつけるため、珠南はユーグライトの指導の下で訓練を受けることになった。アッシュグレーの髪に赤い瞳、大柄で、筋肉質で、獣を思わせる姿。だが珠南が髪を切って整えてあげるとなかなかのイケメンで、けっこう人懐っこい。ふたりきりの時間が増えるほど、なんだかいい感じになっているような気がする。そんな時、彼が呪われているという話を聞いてしまって――
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-27歳の誕生日を迎え、そろそろ結婚をと考えながらカレシの家に向かった愛衣。そして、そこで見たのは、なんと浮気の現場! よりにもよって、なぜ誕生日に浮気をされなければいけないのか。だが、開き直ったカレシから告げられたのは、隣の女こそが本命で自分はスペアだったこと……。はらわたが煮えくり返るような思いの愛衣を励ましてくれるのは14歳のゴールデンレトリバー、凜太郎だけ。だが数日後、その凛太郎すら、天国へと旅立ってしまった。悲しみに暮れる愛衣は会社でミスをしでかし、帰宅の途中には元カレに遭遇し嘲笑され、絶望のどん底に。そこに現れたのは王子様衣装を身に纏ったイケメン青年カイン。異世界バーニア、コーリエント王国の王子だという彼は、愛衣の足もとに跪いた。「あなたは私にとって『運命の姫』であり、国を守る『聖女』なのです」──なにを言ってるんだろう、この人。そう訝しむ愛衣を、カインは半ば強引に馬に乗せ、天高く舞い上がり、異世界へと連れていく。果たしてカインの正体は何者なのか? そして愛衣は本当にカインの運命の姫、王国を守る聖女なのだろうか?
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-孤児のリゼットは、天才呪術師エルネストに見込まれて声をかけられたものの、15年経った今も才能を開花させることができず、弟弟子、妹弟子たちにも先を越されて、雑用を言いつけられても黙って従うしかない日々を送っている。使い魔くらいなら召喚できるのでは、と陣から出てきたのは……悪魔! そこに現れたエルネストは、リゼットを助けるどころか彼女をそしるのみ。悪魔に立ち向かうも全く歯が立たず、それどころか、悪魔はリゼットを「主」と呼び、彼女を傷つけようとするエルネストを死の寸前にまで追いやってしまったのだ。もうここにはいられない。リゼットと絶対服従を誓う悪魔オリアスとの逃避行がはじまった――
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3.2伯爵家の愛人の子として別邸で母と静かに暮らすはずだったミランダ。正妻からの苛めはエスカレートしていき、母の死後はとうとう修道院に追いやられてしまった。修道院でも院長や修道女からは奴隷のような扱いを受けるうちに、感情を表に出さない娘になる。修道女としての最後の試練は俗世への未練を断ち切ること。そのため、一時期元の生活に戻るという修行を迎え、五年ぶりに修道院の門をくぐるのだった。行くあてがあるわけでもないミランダを出迎えたのは、見知らぬ美丈夫の抱擁。「おまえは五年前の約束通り、責任を取っておれと結婚するんだ」と言われる。身に覚えのない言葉に驚くミランダだが、ヴィクターと名乗るこの青年は問答無用でミランダを自邸に連れていき、気前よくドレスや風呂、豪華な食事を振る舞うのだった。この人はいったい誰? なぜわたしのことを知っているの?
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4.0私のことを覚えていますか? その頃、私は高校生でした——莉央の上司として着任したのは、かつて憧れていた保科彰斗その人。親友のまりかとお揃いで買った大切なフォトフレームを割ってしまった高校時代。同じものを求めた店舗で働いていたのは、まだ「研修中」のネームプレートを付けていた彼だった。すでに販売が終了している商品だというのに、あの手この手で親身に探し出してくれた彰斗は、莉央にとっての救世主。笑顔が素敵な彼に会うために、莉央はその後もたびたび店に通っていたものだった。やがて、彰斗の突然の異動で淡い恋は終止符を打つことに。あれから十年。これは運命の出会い!? だが、彰斗のほうは莉央のことをまるで覚えていなかった。せっかくの再会、チャンスとばかりに底抜けの明るさで日々彰斗に接する莉央。二人は少しずつ距離を縮めていくのだが……
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5.0保育士の仕事から離れ、文具メーカーで働き出した真智。週末、リフレッシュしようと訪れた公園で3歳の康平くんと出会う。転んでしまった康平くんの面倒を見ていると、ひとりの男性がこちらにやって来た。よく見ればその男性は秋月課長だった……! しばらくの間、甥っ子の康平くんを預からなければならないという。「やだ……。ぼく、まちちゃんがいいもん……」いつものシッターさんより真智が良いと駄々をこねる康平くんを見た真智は、毎週日曜日の数時間だけ康平くんの面倒を見ることに。秋月課長の自宅を訪れるのは緊張するものの、康平くんと接したことで、保育士時代の楽しさも蘇っていた。 毎週日曜日、会社では見ることのない秋月課長の柔和な表情、彼が纏う大人の雰囲気に接するたびに、どぎまぎしてしまう真智。一方の秋月も真智の素顔を知るにつれ、激しく心惹かれていき……!?
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-司法修習生の美紀の指導担当・友則は、およそ弁護士らしからぬファッショナブルなスーツに身を包んだイケメン。同期からうらやましがられたものの、遊びもおしゃれも排除し、ひたすら優秀な弁護士になるため頑張ってきた美紀の目には、軽薄に映っていた。しかし、日々友則と接していくうちに、美紀の心は彼の気遣いや心構えなどによって塗り替えられてゆく。そして尊敬すべき存在だと自覚した時、自分の未熟さを痛感。自信が音を立てて崩れ落ち、友則の腕の中で泣きじゃくってしまう。そんな美紀を友則はそっと抱きしめ、そして額にキスを――え? キス? だが美紀は、そのキスの意味を励ましだと言い聞かせる。なぜなら友則にとって自分は単なる修習生でしかないはずだから。恋心を押し込めようとする美紀の前に現れたのは――
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-海と山に囲まれ、小さいながらも豊かで美しい、穏やかな立憲君主制のクレーメンス国。この国の最高学府コルネリウス学院に日本から交換留学生としてリンが来て一年になる。夏休み最後の日、寮で隣室のハンナから誘われたホテルのレストランで、リンは華やかな三人のイケメンと遭遇する。これが同じ学院の上級生、アルフォンス王子と護衛の双子アーレ兄弟だ、と興奮気味のハンナに言われても、リンにとっては王子さまなど別世界の存在。事情通のハンナからあれこれ噂話を聞かされた帰り、ハンナがひったくりに遭い、勇敢に立ち向かったリンは怪我をしてしまう。そんなリンに手を差し伸べたのが、アーレ兄弟と……アルフォンス王子だった。ひとときの幸運なアクシデント、と思っていたリンのもとに、王子からお茶会の誘いが届く。だがそれは、リンを悪意と嫉妬の渦巻く貴族社会に巻き込む運命の招待状なのだった。
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4.0海と山に囲まれ、小さいながらも豊かで美しい、穏やかな立憲君主制のクレーメンス国。この国の最高学府コルネリウス学院に日本から交換留学生としてリンが来て一年になる。夏休み最後の日、寮で隣室のハンナから誘われたホテルのレストランで、リンは華やかな三人のイケメンと遭遇する。これが同じ学院の上級生、アルフォンス王子と護衛の双子アーレ兄弟だ、と興奮気味のハンナに言われても、リンにとっては王子さまなど別世界の存在。事情通のハンナからあれこれ噂話を聞かされた帰り、ハンナがひったくりに遭い、勇敢に立ち向かったリンは怪我をしてしまう。そんなリンに手を差し伸べたのが、アーレ兄弟と……アルフォンス王子だった。ひとときの幸運なアクシデント、と思っていたリンのもとに、王子からお茶会の誘いが届く。だがそれは、リンを悪意と嫉妬の渦巻く貴族社会に巻き込む運命の招待状なのだった。
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3.0満開の桜の季節、一陣の風とともにリンの恋人・徳洋は忽然と消えてしまった。あれから一年。あの日と同じような桜吹雪の中、リンは徳洋の声に誘われ、気がつくと純和風の部屋に寝かされていた。起き上がって徳洋を捜そうと、時代劇のセットのようなその屋敷を歩き回るリンの前に現れたのは、怖い顔をした着物姿の女性と……お姫さま? ここは前坂加賀守の江戸上屋敷の奥。まさかトリップしちゃったとか? だが何としてでも徳洋を見つけ出さねばと、リンは奥向きの女中として働くことに。大奥生活でも自由闊達にものを言うリンは、やがて表の武士たちにも知られるところとなり、表と奥と行き来できる身になって、徳洋の姿を捜しつづける。一方の徳洋といえば……一年ほど前に前坂家の一大事に召喚の術で呼び出され、図らずもリン同じ屋敷に住み暮らしているのだった——
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5.0お一人様カフェ巡りだけが趣味の樹里が、新事業部に突然の人事異動。それは社運を賭けた新カフェ開発プロジェクトだった! 直属上司は超イケメンの若きCEO・勝呂澪。キレ者秘書やその取り巻きが厳重にガードしているが、カフェ飯研究のために他店のバイトまでやる研究熱心な彼の真の姿を知るのは樹里だけ。恋にオクテな樹里も、澪と市場調査をするうちにときめきを覚えるのだったが……
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2.5レオノーラは王女らしからぬ家事を好み、特に料理や裁縫が得意。だが、周囲は誰もそれを歓迎せず、眉を潜めるばかり。城の中でレオノーラは窮屈な毎日を送っていた。ある日、お忍びで出かけた街でラディという四歳の少年出会い、ひとりぼっちの彼にクッキーを焼くことに。やがて帰宅した父親であり医者であるヴィンセントと出会い、多忙そうな彼の話を聞いて十日間だけ彼らの身の回りを世話することに。レオノーラを気遣うだけでなく、料理をおいしいと言い、解れたボタンを直せば喜んでくれるヴィンセントを前に、自分が役に立っていることが嬉しく思うレオノーラ。だがそれを兄王夫妻に知られ、強制的に縁談を決められてしまう。ヴィンセントへの募る想いを抱きつつ、レオノーラは縁談先の国へと嫁いでいくのだが――
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2.0その日の女王フェイリールのお茶会の主賓は、婚約者のケネス王子。なかなか姿を現さない王子を心配したフェイリールは、自ら王子の様子を見にいくことに。だが、その途中フェイリールは、王子と妹のアデリアが睦み合っているところを目撃してしまう。開き直る二人に、女王はケネス王子との婚約破棄を宣言、アデリア王女には修道院行きを命じるのだった。女王を戴くミレンス王国を統べるフェイリールの婚約破棄はこれで二度目。さすがに女性としての自信を失いかけている。自分は結婚には向かない。その呟きを聞いてしまった政務補佐官のエリクは、あきらめるのは早い、世継ぎを産むのは女王の責務とフェイリールを諭そうとする。ならば結婚せずとも子を成せばよい、父親など誰でもよいと言いだす女王に戸惑うエリクだったが、女王の命で計画に手を貸すことになる。だが、計画は暗礁に乗り上げてしまい、フェイリールは手詰りに……と思いきや、フェイリールは目の前のエリクに世継ぎの父親にと指名するのだった——
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3.0短大卒業後、高校時代からバイトをしていたカフェ“セゾン”にそのまま正社員として採用されることになった森結実は、実は大人気乙女ゲーム『隠れ家カフェは恋模様』のサポートキャラでありゲームマスターでもある。カフェではイケメンたちに囲まれながら働いているが、正社員として初出社したその日、オーナーの黒川からもう一人ホールを手伝ってくれる子を採用することになったと告げられる。履歴書に書かれた名前は——桃瀬春花。『ヒロイン』登場だ! そして春花の初出勤日、春花が挨拶をしただけで、事務所の中にはハートが次々と飛ぶ。ただひとり、クールなバリスタの紫藤を除いて。1か月経っても紫藤の春花に対する好感度は上がらず、さすがに結実もあせりはじめる。春花はどうやら紫藤を気に入っているらしいというのに。イベントを発動させても紫藤は思うように動いてくれず、それどころか人の気も知らずに紫藤は結実につっかかってくる始末で……
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-失恋するたびにピアスの穴を開けてきた沙樹。六つ目を開けようと思っている——合コンで他愛ない話をしていると、たまたま隣に座った櫂海から、やめさせてやりたくなるね、と言われた。その夜、二人はホテルへ。いい感じに盛り上がってきたと思いきや、櫂海は酔いつぶれて眠ってしまった。なにごともなく朝を迎えたが、二人の恋はすでにはじまっていた。だが、櫂海が沙樹にどれだけやさしく接し、沙樹をどれだけ激しく求めても、過去の失恋経験から、沙樹は櫂海を心から信じることができない。元カノの気配に不満を募らせ、同僚女性の影に苛立ちを覚える。ある日とうとう爆発してしまった沙樹は、櫂海の部屋から飛び出し、SNSで知り合ったまだ大学生の青年となりゆきでホテルに行ってしまう。部屋に入ると、青年の態度が豹変。カッターナイフを取りし、沙樹に「俺を、切って」と言い出したのだ。青年の首には、たくさんのためらい傷。全力で拒む沙樹だったが……
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-虹子は両親が経営する和洋菓子店“ももせ”で働く看板娘。ある日、店に現われたイケメン客に試供品をサービスすると、素敵な笑顔が帰ってきた。綺麗な顔立ち、丁寧な言葉使い、綺麗な立ち居振る舞いのその男性にときめいてしまった虹子。なにかいいことが起こりそうな予感……なんて思っていたのに、父から見合い話を持ち掛けられた。相手は“ももせ”に店舗を貸す不動産会社の社長の息子。虹子が結婚したら、“ももせ”の経営に協力すると言っているらしい。“ももせ”の経営が芳しくないことは、虹子にもわかっている。だが、好きでもない相手と結婚するは嫌だ。泣きながら店を飛び出し、あの時のイケメンとばったり出くわした虹子の話を、彼は「この前のお菓子のお礼」だと、親身に聞いてくれた。彼は、コンサルタント会社を経営している雨野宮諒と名乗り、店の経営を見直せるかもしれないと、虹子に希望を与えてくれた。少しずつ距離を縮めていく二人だったが、父親に押し切られるように虹子の見合い話が進んでいき——
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4.5下級神官のリーンは霊感が強く、霊が見えるだけではなく会話もできる。そのためやたらと霊が寄ってくる。ある時面倒な悪霊に狙われていることがわかり、先輩神官に相談したところ、若き大神官のエドアルドを紹介される。能力だけではなく、容姿までも神に愛された天才だと噂では聞いていたが、あまりに顔の良さに、霊感の強いリーンには拝顔即昇天する霊たちがはっきりと見えるほど。しかしそんなエドアルドには、まるで霊感がない。リーンはエドアルドに守ってもらう代わりに彼の仕事を補佐することになるが、なんとエドアルドの部屋をルームシェアすることになった。恐れ多いと恐縮するリーンと女嫌いのエドアルド、それでも若い男女なのに、二人の生活はなんとも健全極まりない。だが、王宮から新たな依頼が舞い込み、そのためなんと二人で疑似恋愛をすることになってしまって!?
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-厄病神としては格式の高い北枕一族なのに、ドジで落ちこぼれで綺麗好きで、まったく厄病神らしくない沙羅叉。あまりのダメっぷりに、父に修行するよう言い渡されて、結界の外には出られない身の上だ。「一日一厄」の目標も虚しく、綺麗好きに磨きがかかり、一度も人や動物たちに厄を与えられない毎日を送っていた。そんなある日、人間には見えないはずの沙羅叉に話しかけてきた少年と出会う。彼の名は風真。母はすでに亡くなり、父は遠いところにいて、祖母と二人で暮らしているという。風真は沙羅叉の「一日一厄」の手伝いをすると申し出た。そんなのダメに決まっていると諭す沙羅叉の前に現れたのは、ルカエルと名乗る風真の守護天使。ルカエルがついている限り、風真に厄が及ぶことはないのだそうだ。やがて沙羅叉と風真との間には絆が生まれるが、祖母が亡くなり、風真は半年後には親戚に引き取られることに。悲しむ風真に、沙羅叉は思わず、都会へ行くまでの間、ルカエルと三人で家族になろうと提案するのだった——
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5.0売れっ子イラストレーター小花咲良は、事実無根のトレパク疑惑で、匿名掲示板で誹謗中傷にさらされた。気を失うほど心に深い傷を負った咲良は、そのひと月後、怪我をした祖母に代わって山の管理をするために祖母の実家を訪れる。森と湖に恵まれた豊かな山を歩きながら、咲良は癒されていく。だが、私有地に踏み込んでくるマナー無視のキャンプ初心者を注意すると、逆ギレされ、水をぶち撒けられてしまった。そこに偶然通りかかった山の見回り団に救ってもらった咲良だったが、ずぶ濡れの咲良を祖母の実家まで送ってくれたのはイケメン・イケボの一人の青年。家でもいろいろ世話を焼く咲良に、青年は自分のことを覚えていないかと訊ねる。だが咲良に記憶はなく……
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3.4王宮侍女のロシータは、仕事一筋のあまり侍女仲間から変わり者扱いされている。コンプレックスの赤毛を揶揄されるばかりか、時には嫌がらせを受けることも。だが、侍女室長とは深い信頼関係で結ばれていて、周囲の声は気にならない。ある日、侍女室長から騎士団棟の会議の準備を頼まれる。そこで三年ほど前に助けてもらったことのある、憧れの騎士団長・レオンシオと再会したロシータは、母の形見のペンダントを一緒に探したことから、レオンシオと急速に接近していく。やがて、二人は愛し合うように。だが、それを知らない王太子がレオンシオに縁談を持ちかけたと聞き、ロシータはレオンシオの将来を思えば身を引くことを決意するのだった……
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3.6隣国の王弟ラーシュとの政略結婚が決まった――はずの姉。しかしこの結婚に乗り気でない姉は、王子から送られてくる手紙を読みもせず、妹のチェチーリアの方がやきもきして、代筆を行っていた。このままではいけないと考えた父王にお前が嫁がないかと尋ねられ、チェチーリアは即決する。行間から読み取れるラーシュの人柄を信頼し、ラーシュがしたためる異国の風景に憧れもしたからだ。姉の身代わりとして嫁いだチェチーリアを隣国の国王夫妻は歓迎してくれるが、当のラーシェはなぜだか冷たい。「私は身代わりだから?」傷つくチェチーリアだが、ある日、記名のない手紙が届けられる。誰からか気になるものの、追及はせず純粋に手紙の交換をはじめる。だが、王妃から思わぬヒントを与えられ、チェチーリアの身を案じてくれる手紙の主が誰だかわかって――
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-フィッシェルとマリーは、王国初の魔術科設置校である聖ヴァルド学院に通う幼馴染。ある日、ふとした誤解からマリーは婚約者と大喧嘩の挙句、婚約破棄を宣言。本当は彼のことが好きだったのだと後悔を口にするマリー。そんな折り、彼女を迎えにきた兄のレイに学院がにわかに色めき立った。王国屈指の魔力の強さから「氷の魔術師」といわれる彼もまた、フィッシェルにとっては幼馴染である。それと同時に、恋心を抱く相手でもあった。しょせん叶わぬ想いと自分の気持ちに蓋をしているフィッシェルだったが、そんな想いは親友であるマリーには見抜かれていた。後日招待されたお茶会で、いつかは義理の姉妹になりたいと告げられた後、フィッシェルはマリーの代わりとしてやってきたレイとお茶をすることになる。穏やかな時間が流れる中、森の方から魔物の気配が!? そして、駆けつけた二人が見たのは……変わり果てたマリーの姿だった。絶望するフィッシェルの前で、レイは強力な氷の魔術で魔物を死に追いやる。だが、この事件をきっかけに時間の歯車が狂い始める──なぜマリーの死は繰り返されるのか? そして、なかなか一歩が踏み出せないフィッシェルは悲劇のループからレイとマリーを守ることができるのか?
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-ある日の午後、勤務中の由衣のもとに管理人からアパートが火事という連絡が入る。出火元は由衣の住む部屋と同じ階。由衣の部屋は無事だったが、共有部分は水浸し。焦げた匂いに不安が募り、この日、由衣はホテルに宿泊。その翌日、追い打ちをかけるように隣室に空き巣が入ったとの連絡が! 幸い由衣の部屋は今度も被害を逃れたが、犯人がまだ捕まっていないことに怖くなり、この日もホテルに泊まることに。そんな由衣に同情して「うちにこない?」と誘ってくれたのは——気になる同僚・晴人の姉だった。それはつまり、当の晴人とも同居することで……。戸惑いながらも広い一軒家でのこと、晴人の家には大好きな猫のロンもいる。心のどこかでそれを言い訳にはじまった三人+猫の同居生活では、会社で見せることのなかったお互いの意外な素顔を少しずつ知りはじめて……
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3.5疫病で両親を失い、天涯孤独となったリリー。生きていくために牧場を手放し、思い出のつまった村を離れて働く決意をするそばからエヴァレット伯爵家令嬢の忘れ形見だったことが判明。政略結婚の駒として祖父伯爵に呼び戻されたリリーは、わずか一ヶ月で礼儀作法と教養を叩き込まれ、“血まみれ将軍”“首狩り将軍”の異名をとる侯爵シルヴェスターにめあわされることに。噂以上の顰め面とあまりにも鋭い眼光に委縮してしまうリリーだったが、シルヴェスターから結婚相手が自分で本当にいいのかと念押しされ、相手を慮る態度に縁談を受け入れた。不安と緊張でいっぱいの挙式。永遠の愛を誓うキス。新婚生活がはじまり、リリーはシルヴェスターのやさしさひとつひとつに触れながら、少しずつ心を開き、穏やかな愛を育んでいく。ところが社交界でリリーは令嬢たちから歓迎されず……
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3.5駒野杏菜、29歳。大手電機メーカー・大東産業(通称DTI)勤務、ビジネスソリューション部ビジネスソリューション4課主任。独身。初めての婚活パーティーに参加するため定時で仕事を切り上げ、颯爽とヒールを鳴らしながらオフィスを後にする。学生時代までモテたが、今は彼氏なし。実は上司の課長・望月恭平に二度も振られている。望月を諦めたいが気持ちが消えず今日に至ってしまったが、いい加減他の男性に目を向けて、三十路を迎える前に彼への気持ちを断ち切りたかった。初めてのパーティーの感触は悪くなかった。だが、どこかで望月と比べてしまって、カップル不成立。そんな杏菜に主催会社の女性社長から「シークレットパーティー」の招待状が手渡される。そしてその席に現れたのは……望月さん?
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4.6今宵も主任の式島からの誘いを受ける真冬。それは送別会の夜から始まった―― あの日、酔いつぶれた式島を介抱した真冬は、家に帰りたくないと子どものように駄々をこねる彼を、やむなくホテルで休ませることに。何事もなく朝を迎えたが、事情を聞けば不倫していた元同級生にフラれたとのこと。聞くほどに相手の女性への怒りが湧くものの、目の前の式島があまりに痛々しくて、慰めの言葉も見つからない。つい式島を誘ってしまった真冬だが、思いがけず自らの心と体の空洞を埋める癒やしとなって返ってきた。 真冬はこのぬくもりを失いたくないと思うあまり、好きになってはいけないと自分の心に縛りつけてしまう。やがて、膠着する心に追い打ちをかけるように式島が見合いをすると聞いて……。 恋に臆病で踏み出せない真冬、すれ違う二人。大人の恋の行方は――
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4.5専門商社勤務の加藤冴子は残業をしない。絶対にしない。表向き親の介護を理由にしているので、職場の仲間が冴子に何か言うことはないものの、どれほど同僚たちのきっつい視線を浴びようとも、心を鬼にして定時で帰る。実は、冴子は親の作った1000万円もの借金を返すためにハウスキーピングの副業で稼いでいる。副業禁止の会社の同僚たちに、そんなことを話せるわけがない。EUで経験を積んできた仕事に厳しい鬼部長こと森川雪広から、たまには協力してほしいと言われても振り切って帰る。だが、その週末に派遣されたのは——信じられない! 信じられない! 信じられない! 派遣先が鬼部長の部屋だなんてっ! どうしよう……
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3.0大陸南端のマイスタンタン王国は、人口も少なく、外交もほとんどない、平和だが貧しい小国である。昨年の火山の大噴火で国王はじめ多くの重臣を失い、急遽王位を継いだのは、まだ7歳のクレドール。どこかの国と同盟を結ばない限り、とても生き延びていけない。だが、弱小国の幼すぎる王に嫁いでくる姫はなかなか見つからない。そんな王と王国のために名乗り出たのは、クレドールの姉でまもなく18歳を迎えようとするルキア王女だった。だが結婚適齢期のルキア王女の見合い話も難航。いっそよその国に頼らず、特産品や観光資源で国を富ませることができないか思案しはじめたルキアは、ある日王立図書館で古い魔導書を発見。どうやら昔の王族は、魔法が使えたらしい。魔導書に従って試すうちに、ルキアは召喚の術が使えるように。そして何度目かの呪文を唱えると……降ってきたのは、ドラゴンと傷だらけの美青年!?
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-可南子には大学時代からつきあってるカレシがいるが、今は破綻状態。別れたほうがいいと思いつつも、一人になるのが嫌で惰性で交際を続けている。そんなある日、会社に常駐しているIT会社のエンジニアである白石に飲みに誘われる。イケメンで社内でも女性ファンの多い白石だが、左手の薬指には結婚指輪が。このお誘いはよくないことでは? 混乱している可南子に白石は言う。「俺、独身なんだ」 どういうこと!? 聞けば、常駐先の会社で女性関係のトラブルに遭わないよう、カムフラージュの指輪をしているとのこと。「二人だけの秘密」と言われるが、このお誘いはなに? カレシがいるのに誘ってくるなんて!?
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4.0神様達のミスのお詫びで転生し、子爵令嬢として生きるエミーリア。失敗の償いとしてオウムの姿をした守護天使・ルイもいて、まんざら悪くない毎日を送っている。意に沿わない婚約者に頭を痛めていたが、ある時、一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。周囲が心配する中、エミーリアは、これ幸いと女官長を目指そうと考える。王宮内を牛耳る裏ボスを目指すのだ。だがフリーになった娘を案じる父が、妃教育に応募してみてはどうかと言い出した。やっと自由になれたのに、王太子妃なんて窮屈な生活を送るのはまっぴらごめんと断固拒否。すると、従姉妹のクリスティナを王太子妃にできれば女官になることを認める、と父が交換条件を出してきた。何としても、クリスティナを磨き上げなければ……。奮闘するエミーリアに目を付けたのが、なんと第二王子のキース。なにかとかまってこられて大迷惑なんですけど! 本書は、『婚約破棄されたので王宮の裏ボス目指します!』(2017年5月アルファポリス刊)及び『婚約破棄されたので王宮の裏ボス目指します!2』(2017年12月アルファポリス刊)を大幅に加筆修正のうえ、再編集しました。各巻書き下ろしSS付き!
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5.0クライノート王国の王宮に仕える上級侍女・エリノアは掃除の途中、千年もの間、誰も抜くことができなかった聖剣をうっかり抜いてしまう……。聖剣を抜いた者は魔王から王国を守る勇者であると昔から人々によって語り継がれてきた。 でも、エリノアが望むのは穏やかで安定的な生活。もし勇者になれば、上級侍女の仕事を失い、唯一の肉親である病弱な弟・ブラッドリーを守れなくなると慌てるエリノア。さっそく聖剣を元に戻し始めるが、国王をはじめ周囲からの信頼も厚い、クライノート王国の第二王子・ブレアにその現場を目撃されてしまう……。 さらに、エリノアが聖剣を抜いたことで、ブラッドリーの身体で魔王・ダスディンが転生し、ヴォルフガング、グレンという魔物たちも魔界からやって来て……!?
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4.8同期入社の雛子と湊。互いを認め合い、競い合い、愛し合った。だが時が経つにつれ、お互い気持ちに余裕がなくなり、衝突する日々に。疲れきった二人は、湊の海外転勤を機に別れを選んだのだった。それから三年。湊は帰国、雛子の所属する課に異動となった。戸惑う雛子だが、優秀な営業マンの湊は打てば響くように雛子の仕事をサポートしてくれる。再びあの頃のように……というわけにはいかない。ちょっとしたすれ違いから喧嘩勃発。先に幸せになるなんて、許せない!! 二人は競うように相手の幸せの片鱗を見つけては毒を吐き合い、ますます関係を悪くしていく。嫌いで別れたわけじゃないのに――素直になれない二人の拗らせ愛の行方は!?
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3.0孤児院育ちエメはまもなく十六を迎えようとしている。ある夜院長から呼ばれ、仕事を紹介してもらうことに。独立心旺盛なエメはすぐにその申し入れを受けたのだが、その実態は人身売買であり、エメは奴隷として売り飛ばされてしまったのだ。やがて妹の不在に気づいた兄のマルクがエメを追って港で再会を果たすも、マルクまでもが奴隷商人に捕らえられてしまう。船に揺られること数日、目的地であるエリンケア国に到着すると、二人は下船した一瞬の隙をついて逃亡することに成功。そんな二人の前に現れたのは騎士団の若武者ジェイド。エメはジェイドに助けられるが、かわりにマルクが行方不明となってしまう。そんなエメをジェイドは自宅に匿い、マルクを探すうち、運命の糸に導かれて人身売買組織の黒幕と対決する——
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4.0小さいころからの文房具好きが高じて、大手文房具メーカーのティンテに就職した私こと大上凪子。希望通り営業部に配属されて3年。憧れの上司・宇佐美さんを目標にがんばってきた甲斐あって、今はそれなりに評価してもらえるようになった。そんなある日、会社の飲み会のあとに酔った勢いで宇佐美さんと一夜を過ごすことに。週明けからはまた上司と部下に戻るのだと自分に言い聞かせ、好きな気持ちを必死に抑えて、大人の関係と割りきって接しているのに、当の宇佐美さんは挙動不審。それじゃ、バレちゃうでしょ? ほどなく食事に誘われ、「今夜ももしかしたら……」という密かな期待は裏切られ、何事もなく寂しさを抱えながら家路につく。ほら、やっぱり宇佐美さんは、私のことなんか何とも思ってない。なのに同期の及川くんと飲みにいけば、今度は嫉妬全開——って、宇佐美さん、どういうつもり?
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3.0この春、総合商社に入社ばかりの奈子。ゴールデンウィークも終わりのころ、一人で入った近所の割烹『さち吉』で隣席の客と親しくなる。彼の名は西浦瑛介。先日ニューヨークから日本に帰ってきたばかりの紳士的な西浦とすっかり打ち解け、奈子は来週もこの『さち吉』で西浦と会う約束する。連休明けに出社すると、なんとそこに西浦が!? 彼は部長として奈子の配属部署に着任したのだった。こんな偶然ってある!? 驚く奈子を、西村は自分のアシスタントとして配置し、自ら指導するように。二人きりになれば、緊張する奈子に西浦は甘い言葉をささやいてくる。「こんな偶然ってある? 俺と付き合わない?」――付き合う? 部長と?
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3.5リベラリア王国には、美しい双子の王子王女がいる。兄のアレッシオ王子、妹のフランチェスカ王女。その双子の伴侶を探す催しと噂されるパーティ。令嬢たちがアレッシオ王子に見初められようとそわそわする中、伯爵令嬢のキーラだけはフランチェスカへの挨拶を前に緊張している。童顔で実年齢より幼く見られるキーラにとって、美人であるうえに賢く物腰穏やかな淑女と誉の高いフランチェスカは憧れの存在なのだ。だが、謁見の際に聞こえたのは、麗しい姿とは不釣り合いな低い声。その不自然な空気にどぎまぎするキーラを側近が別室に案内する。そしてそこに現れたのは——女装王子フランチェスコ! 王国の分裂と派閥争いを避けるため、国王が「双子は男と女」と嘘をついたのが、すべてのはじまり。そしてそのフランチェスコに一目ぼれされ、訊ねもしないのに王室の秘密を知らされてしまったキーラは……
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-魔女狩りから逃れるため、亡き母が「最後の手段」として遺してくれた術・転移魔法を使うまで追い詰められたレイニー・アナベル。彼女が降り立ったのは赤い月が輝く異世界だった……? そこに現れたのは、魔界七大陸の一つを治める悪魔大公エゴラス。レイニーの侵入に怒ったエゴラスは彼女を消そうと迫ってくる。魔力の弱すぎるレイニーは、なんとか穏便にすまそうと、エゴラスの説得にかかるが、まるで融通がきかない。このままでは殺される——レイニーが決死の覚悟で放ったのは『同調魔法』。「これであなたと私は一心同体! 私を殺せばあなたも死ぬ!」それを盾に身の安全を求めるレイニーに、エゴラスは渋々彼女の条件を飲み込む。しかし、魔力の弱いレイニーの魔法はいつ解けるかわからない。生き延びるためにエゴラスから逃れようとするレイニーと、己の命を守るためにレイニーを引き留めるエゴラス。いつしか、エゴラスとレイニーは互いに特別な感情を抱くようになって——
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3.7癒やしの力を持ち、この大陸でただひとりの聖女と言われたリリエンティーナは、彼女を目の敵にする国王の愛妾・グエンダの謀略によって、聖なる力を魔力に変えられてしまう。国王主催の舞踏会で勧められたワインを口にしたとたん、輝く蜂蜜のようだと謳われた美しい金色の髪はみるみる色褪せ光のない灰色に変わり、その場に居合わせた人々から魔女だと糾弾されたのだ。森の奥深い屋敷に幽閉されたリリエンティーナだったが……案外、自由気ままなひとり暮らしが性に合っているようで、森で出会った愛猫ルール—ルーとともに、ぐーたら生活を楽しんでいた。三年後。幼なじみ同然の王太子・アルセイからリリエンティーナのもとに手紙が届く。国王が崩御したこと、アルセイが新国王に即位したこと、リリエンティーナの名誉回復をしたいことなどが綴られていた。しかもその条件として王族との婚姻が示され、結婚相手の候補を送るとも。名誉を回復する気も、幽閉生活をやめる気もさらさらないリリエンティーナは、あくまでもお試しなんだし、と断る気まんまん。そしてやって来たのはレニアスと名乗る口数の少ない元騎士だった——
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2.0継母と義妹によって悪役令嬢に仕立て上げられてしまった公女アデリアは、『軍神』『銀の英雄』と称えられる大公ジークハルトとの婚約破棄を申し渡される。そしてアデリアは素直にそれを受け容れた。だが、追い打ちをかけるようにジークハルト本人から修道院行きが命じられ……いや、そんなの、原作になかったでしょう? アデリアは、令和の世ですべてにおいて残念な子の生まれ変わり。前世の記憶も、原作の記憶もあって、できる限りの手は打ってきたつもりだった。修道院に連れていかれる前に屋敷を脱出したアデリアは、亡き母の遺言にしたがって、教会裏のレーゼル商会へ。そんな彼女を出迎えてくれたのは、わが子同然に愛してくれた乳母だった。そこでアデリアは、レーゼル商会は亡き母が出資したということを知り、自立を決意。さらに乳母から今や継母の計略でコーヒー豆とカカオの輸入で失敗して破産寸前であることを聞かされて、黒幕たちに立ち向かうことを心に誓うのだった。——ザッハトルテで勝負よ。
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1.0目覚めたエマを、美麗な青年が見つめていた。泣きそうな瞳でほほ笑む青年は、エマの幼馴染ジルにとてもよく似ていた。年上のエマにプロポーズをした美少年のジル。彼に夢中な令嬢たちから受けるほのかな重圧と、二人の家格の圧倒的な違いから、恋しい気持ちに蓋をして遠ざけていたあのジルに。年上になったら結婚してあげる。そんな無理を言って、エマはジルの求愛をはぐらかしていた。目の前の青年はジルだと名乗った。君は五年間眠っていたんだ、君より年上になった俺の、プロポーズを受けてくれるね? と聞かされても、俄かには信じることができない。そもそもエマは、自分がジルにふさわしいと考えたことなど一度もない。少しずつ五年前の出来事を思い出しながら、エマは真実に近づいていく——
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4.0孤児のココリナは、幼いころ学院長のギルフォード公爵に拾われて以来、全寮制のイースバーン王立学院で使用人として働いている。イースバーンは魔術が存在する国。魔力を糧に、不思議な術を操ることができる一部の人々を『魔術師』と呼び、この学院で魔術を修めた者は『魔導師』の資格を得る。魔導師は真の精鋭。この国では貴族であれ平民であれ、魔力持ちは優遇されている。だが、そんな話は魔力のないココリナとは無縁の話。何かにつけて動作が緩やかでおっとりしたココリナは、生徒たちから邪険にされ、疎まれている。そんなココリナにも、先月から古代語の講師として赴任してきたラングスだけはやさしく接してくれていた。ココリナと同じく魔力を持たず穏やかな雰囲気のラングスは、生徒たちからは「昼行灯先生」などと呼ばれているが、古代語の知識に関しては魔道省幹部からも一目置かれている。ラングスを尊敬している学院首席のアリシアは、ラングスがココリナを構うのを快く思わず、魔力を使ってココリナを子猫に変えてしまう。屋外に放り出され、冷たい雨に打たれて生きる望みも失いかけたひとりぼっちのココリナ。だがそんな彼女を拾い上げたのは、ラングス先生!? 猫嫌いだとばかり思っていた彼の溺愛ぶりに戸惑うココリナだったが、やがてラングスのあたたかい膝の上ですやすやと眠るようになっていく……
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3.0舟橋純奈は祖父の設立した制作会社ミセルで働いているが、その祖父が病に倒れてしまい社長の座を降りることに。そんな折、純奈の上司である緒方郁人が社長候補として名乗り出たのだが、家族にしか経営権を渡したくないと渋る祖父。元々郁人に恋心を抱いていた純奈にある考えが浮かぶ。社長になってもらうことを口実に郁人と家族になってしまえばいいのだ——。「緒方さん。私と結婚しませんか」と、病院で郁人にそう告げると、なんと承諾してもらえて…!? こうして郁人との日々が始まったが、そこには意外な事実が隠れていた——。
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-ニャオン国の皇女・モモはヒト科の青年・ショウマのことがひそかに好き。ヒト科の入国を禁じているニャオン国では、密入国者は猫人の奴隷になるのが通例である。なにせ猫人族は他の種族を使うことに長けている。喉や背中、肉球を撫でさせてやれば、それがヒト科にとって金銀財宝なんかよりも至高のご褒美になる。わざわざ猫人族の奴隷になりたくて密入国してくる輩もいるくらいなのだ。ショウマがそのためにわざと密入国したかどうかまではモモはわからないが、二年前、たまたまショウマを見たモモは彼を引き取り、今は侍従として自分に仕えさせている。だが、素直になれないモモは、ショウマにわがまま放題。ある日モモは、父王から買うことを禁止されたハイヒールを手に入れるために、花嫁修業でもある刺繍や裁縫の内職をしていることを打ち明けて、ショウマに協力を仰ぐ。モモの健気なまでの心意気に感動したショウマは、快く応じただけでなく、鰹節を削る内職まで! 二人でためたヘソクリで念願の桃色のハイヒールをようやく手にしたモモに、ショウマはさらにハイヒールと同じ色の可愛いチョーカーをプレゼントしてくれたのだった。だがそのチョーカーを身に着けたモモは――なんとヒトの姿に⁉ 今までモモに忠実だったショウマの態度が一変、実はショウマは、ヒト科が建国したハボン国の王子の一人だったのだ。ショウマの手によってヒトに変身させられたモモは、ニャオン国の座敷牢に閉じ込められてしまい……
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-「係長。バラされたくなければ、私の要求をのんでください」 大手電機メーカー・大東産業(通称DTI)総務部総務課備品管理係勤務の中村やよいはコンサバなファッションをモットーとする地味子であり、モブ子であることを自認している。プライベートではモード系でスーツフェチでもあるやよいは、自分好みのスーツを着た男性をモデルに、自分好みの写真を撮り、製本して自分だけのための写真集を作りたいという密かな願望を持っている。そんなやよいが脅す相手は、直属の上司である宮崎和仁。ある日、やよいは宮崎の着ているスーツが人気覆面歌手のWAJIN Kが着ているものと同じものであることに気がつく。やがて宮崎がWAJIN Kであることを確信したやよいは、かねてからの願望を満たすため、宮崎をラブホに誘い出すのだった——
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-弟の担当医(推し)が小説投稿サイトに小説を連載してるの? ヤングケアラーのつむぎは、先生を応援することにした! 毒親家庭だったうえ、その両親すら事故で亡くして以降、病弱な弟の面倒を見ているつむぎ。ひそかに好きな、かかりつけの小児科医の恵一先生がウェブに小説を投稿しているらしいと知って、さっそくチェックしてみた。だが、「この小説は長期間にわたって更新されていません」というメッセージが。そういえば看護師らが、埋もれているだの、スコッパーに見つけてもらえたらだのと話していた。一念発起してスコッパーとなり、読み専のネットコミュニティに入ったつむぎは、恵一先生の小説の推し活を始める。リアルでバレないかとドキドキしていたが、弟の後押し(?)もあって、デートすることに。やがてつむぎは、ウェブ小説沼にも恵一沼にもはまっていく…… 番外編として、作中小説『余命1年の魔女ですが、死ぬ前に悪役を救おうとしていたら原作にない三角関係が始まっちゃいました!?』も収録
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-魔物が頻出し、外交も絶たれた太陽のない国・ノイモント。王家の姫であり巫女でもあるヘルミーネは、日々祈りを捧げながら虚しさを感じていた。峠を越えた先の大国・グランツィアは、魔法科学でたいそう栄えていると聞き及ぶ。強大化していく魔物の力にノイモント存亡の危機を覚えたヘルミーネは、父王にわが身を差し出してでもグランツィアに助力を請うべきと訴えるのだった。グランツィアの王子・ディートリヒと言えば、天才と名高く、美しいその容姿から『太陽の王子』と呼ばれている。対して『夜』の国、『魔界』の国の王女・ヘルミーネの異名は『呪い姫』。半ば賭けるような気持ちで使者を送ると、グランツィア国から「一年以内にヘルミーネが王子の心を開くことができれば、婚姻を認める」との返答を得て、ヘルミーネは旅立っていった。城に到着してすぐに王子の部屋を訪ねるヘルミーネだったが、ディートリヒの口を突いたのは「俺がお前を認めることは絶対にない」という激しい言葉だった……
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4.0竜族の末裔であるマリエルは里を出て、正体を隠しながら王立図書館で司書として働いている。ある日、開館時間前に訪れた藍色の瞳の美しい青年に声をかけると、あろうことか彼は「本が好きではない」と言い放った。彼の興味を引き出すためにあれこれ聞き出すマリエルだったが、青年にはまるでとりつく島がない。だが、その週末、マリエルの企画した朗読会には青年の姿が。会が終わると、青年は朗読会で読まれた作品を借りていったのだった。ジスランと名乗ったその青年は、以来、頻繁に図書館に通ってくるようになる。本を通じて会話が弾む二人。初めてのデート。もしかしてこれが恋だろうか? だが、マリエルは竜族。そしてジスランは……おそらく貴族だ??